CLANNAD-クラナド-

作品 発売日(初) メーカー システム 主役 メイン おまけ 付加 総計 ランク
CLANNAD-クラナド-(初回版) 1999/06/04 Key/Visual Art's 8 9 8 - 7 8 9 9 9 8 76(*1) S

*1…声が無いため90点満点中の76点であり、100点満点中に換算すると84点(小数点以下四捨五入)

 さて、ポイントレビューの記念すべき第1弾はKeyの有名作品「CLANNAD-クラナド-」。
 ポイントが低く見えるかもしれないが、90点満点中の76点であり、100点満点中に換算すると84点となる。
 各項目ごとに見てみたいと思う。

絵:8

 まずは一番最初に目に付く「絵」。
 原画は樋上いたる氏。
 「Kanon(それ以前略)」→「AIR」→「CLANNAD-クラナド-」と、回を重ねるごとに上手になっているのが分かりますね。
 ……まぁ、製作時間が年単位ですから、絵に携わることも多く、画力も上がっているんでしょう。
 ではあるものの、人を選ぶ絵なのは事実。
 そういうわけで今回は8点と相成りました。

音:9

 文句なしの最大値、9点。
 どの曲聴いても外れなし、耳に、心に残る曲ばかりです。
 オープニング、エンディング、挿入歌、グランドフィナーレの4つのボーカル曲も強力。
 エンディング、グランドフィナーレに関しては単体で聞いても泣けてしまう人がいるのではないでしょうか。
 keyの魅力の1つですね。
 というわけで最高点数の9点。

話:8

 おしい!
 どんな話にも欠点があるもので。
 ちなみに私はAIRに10点つけたい人です。
 惜しい点は「藤林姉妹+柊勝平シナリオ」と「古河渚シナリオ」ですね。
 前者は完全に説明不足、練りこみ不足、作者の趣味からの偏見。
 「藤林杏シナリオ」は誰が悪いって「藤林杏」と「岡崎朋也」であり、そこに同情の余地は無く、むしろ妹、「藤林椋」が哀れです。
 「藤林椋シナリオ」はこの話のラスト部分から「藤林杏シナリオ」に派生するだけあって非常に短いです。
 「柊勝平シナリオ」は「藤林椋」の変わり身の早さに誰もが驚いたものでした。
 普通に考えれば「変わり身が早い」のではなく「好き」と「憧れ」の違いであり、ある意味一番思春期の女の子しているキャラなのですが。
 そのせいでこんなスレが出来るんですよ……あきれてものも言えませんね、製作者にも、このスレを作った人間にも、その住人にも。
 とまぁ、「藤林椋スキー」なので入れ込んでしまいましたが、とりあえず「藤林姉妹+柊勝平シナリオ」についてはこの辺で。
 「古河渚シナリオ」ですが、「After Story」含めると素晴らしい話になります。
 が、あの時点では話がぶつ切り、あからさまな「次回へ続く」だったのが悔やまれます。
 ですが全体的に泣ける話が多く、ギャグも満載、いい話だったと思います。
 よっていい作品ではあるもののその「全て」が「完璧」とは言えず、-1点の8点。
 厳しすぎます?

声:-

 無いのでカット。
 PS2版が出ることを期待しつつ。

システム:7

 まずはいい点悪い点を箇条書きで。

 良
 ・セーブ数が大量にある
 ・スキップが早い
 ・文字1文字単位で既読判定する
 ・オ−トリードがあり、設定が細かく可能
 ・キャラとの絡み、プレイ回数などによって文章が細かく変化し、飽きが来ない

 悪
 ・セーブデータはどれがどの記録なのか見ただけでは判別できない
 ・スキップは早いがあくまで「全文章」を見なければならない
 ・フローチャートなどが無いためか、非常に難易度が高い

 こんなところでしょうか。
 平均を5点として、+項目が5、-項目が2で総計+2、7点となりました。

主役:8

 最初に言っておきますが、主人公である朋也は一般的に言う「不良」とは少しずれた「不良」です。
 他人に多少迷惑はかけるものの、あくまで「子供だから」で許される範囲であり、「悪」ではありません。
 それと、作中「古河渚」や「坂上智代」などに「格好いい」「背が高い」などと言われてますが、別にこれがモテた最大の理由でもないと思います。
 「こんな(モテモテな)キャラに感情移入できない」という方もたまに見かけますが、まずはその「ひがみ根性」を直しましょう。
 みっともないですし、同じオタクとして恥ずかしいものがありますし、何よりもそんな考えをしているからモテないのだと悟りましょう。
 さて、その朋也くん。
 最初は確かに扱いにくく質の悪い人のように見えますが、「春原陽平」や「藤林杏」などとつるんで話をしているときは普通の少年です。
 案外感情移入しやすいのではないでしょうか。
 私も親とはひと悶着ありましたので、朋也自身にはかなり感情移入できたと思います。
 が、実際「背負ってるものが結構重い」ので、その点で移入しきれない方々がいるのも事実。
 というわけ惜しくも8点となりました。

メイン:9

 ここで言うメインは「古河渚」「藤林杏」「一ノ瀬ことみ」「坂上智代」「伊吹風子」の5名です。
 さて、その中身ですが……

 「古河渚」……現代には珍しい真面目、一直線で、「周りに流されながらも自分は捨てない」少女。
 「藤林杏」……「面倒見のいいお姉さん」でありながら「好きな人ほどいじめる」案外子供っぽい一面も持つ少女
 「一ノ瀬ことみ」……「不思議系」だが、「辛いこと、苦しいこと」を全て一人で受け止めて歩いてきた心の強い少女
 「坂上智代」……元不良、「立派な姉」でありたいがために理想を掲げ、それを実現するために努力してきたカリスマ少女
 「伊吹風子」……純粋な想いが形になり、「不器用だが一途で一生懸命」という言葉を体現したような少女

 といったところでしょうか。
 そこが高ポイントに繋がりましたね。
 さて、どのキャラにも1つ共通している点があります。
 それは「一歩引いたところにいる」という事。

 「古河渚」はどちらかというと「少し離れたところからやさしく見守る」キャラ。
 「藤林杏」は自分が想いの中心にならないように、引ききれないながらも少し離れて「想いを隠そうとする」キャラ。
 「一ノ瀬ことみ」は自分の中の想いを確信しつつも、相手の負担、重荷、枷にならないように「引いた形で連れ添う」キャラ。
 「坂上智代」は常に誰とでも変わらずまっすぐ付き合っていながらも、結局は自分の理想のために「一歩引いてしまう」キャラ。
 「伊吹風子」はそもそも姉のために行動しており、自分自身のことなど蚊帳の外、「自分すら一歩ひいて見つめる」キャラ。

 逆に朋也にはこういう「一歩引いて見つめてくれる人」がいなかったので、そういう意味では馬があったのかもしれません。
 キャラクターとして、その他の付加価値(「古河渚」なら「あんぱん」「だんご大家族」、「藤林杏」なら「辞書投擲」「料理上手」など)も満載。
 魅力のある素晴らしいキャラとして成り立ってると思いいます。
 ゆえに最高得点の9点。
 10点はこのゲームを基準に、上回った場合につけられます。
 果たして取得するゲームは出るのでしょうか。

脇:9

 「CLANNAD-クラナド-」最大の魅力ともいえる、この脇役キャラ。
 ここで言う脇は「朋也」「メイン」を除くキャラです。
 どのキャラも固定ファンが出来るほどのキャラ立ちをしており、個別シナリオがあるキャラも多い。
 単なるイベント専用キャラだと思っていたキャラにも、過去があり、話に重みがある。
 誰にでも嫌なこと、辛いことがあるが、このゲームの脇役キャラも例外ではない。
 それらを見せつつも優しく楽しく連れ添ってくれる脇役達は、もはや他作品の主役級に匹敵するものである。
 ゆえにこれも現状最大の9点。

おまけ:9

 ここでのおまけはゲームについてくる特典物などについて。
 私はオフィシャルから通販したので、手元には「くらにゃどクリアファイル5種」と「ボタンぬいぐるみ」「アレンジアルバム」があります。
 特にボタンとアルバムはお気に入りで、未だに手元に大事においてあります。
 アルバムの曲も良く、オープニングのフルバージョンが入っていたりと豪華。
 前回(Kanon、Airまで)の「アレンジサウンドトラック」程ではないですが衝撃的。
 私的には、「最高のおまけ」は「サントラorアレンジアルバム」だと思います。
 他の物って、結構邪魔なんですよね。
 というわけで文句なしの最高特典(誤字に非ず)、9点!

付加:8

 こちらは逆にゲーム中でのおまけ、すなわちCG鑑賞など。
 シーン鑑賞などが無いのが残念ですが、それを除けばほぼ完璧。
 特定のシナリオを、クリアと共に保存し、実際に見たことのある範囲でいじれると最高だったのですが。
 (例:「草野球編」を、「○○がいない状態」ではじめられたりする)
 それ以外は完璧だと思われるので、-1点で8点としました。

総計:76点

 低いと侮る無かれ。
 私は「この先これ以上いい作品は絶対に出ない」と確信できない限り10点をつけません。
 ゆえに最大点数は81点(声無しのため)であり、項目が10個あると仮定した場合の計算でも、最大値は90点。
 90点満点中の84点、これは最大クラスなのではないでしょうか。
 ただ、長い年月をかけて作った作品の割にはおざなりなシナリオもわずかながらにあり、それが残念な点です。
 ぜひ家庭用に移植し、その際には見捨てられた「宮沢有紀寧シナリオ」、描写不足だった「藤林姉妹&柊勝平シナリオ」。
 そしてアフター前提話としてぶつ切りになってしまった「古河渚シナリオ」を修正した「完全版」として出て欲しいものです。