CLANNAD-クラナド-

作品 発売日(初) メーカー システム 主役 メイン おまけ 付加 総計 ランク
Fate/stay night(初回版) 2004/01/30 TYPE-MOON 8 8 8 - 9 8 9 6 9 9 74(*1) S

*1…声が無いため90点満点中の74点であり、100点満点中に換算すると82点(小数点以下四捨五入)

 ポイントレビュー第2弾はTYPE-MOONの有名作品「Fate/stay night」。
 「CLANNAD-クラナド-」同様ポイントが低く見えるかもしれないが、90点満点中の74点であり、100点満点中に換算すると82点となる。
 各項目ごとに見てみたいと思う。

絵:8

 まずは一番最初に目に付く「絵」。
 原画は武内崇氏。
 「CLANNAD-クラナド-」同様、「月姫」→「歌月十夜」→「Fate/stay night」と、回を重ねるごとに上手になっているのが分かりますね。
 絵は上手なものの、一押しが足りない。
 そういうわけで今回は8点。

音:8

 音はちょっとだけ厳しく8点。
 いい曲もあるにはあるんですが、どれもインパクトが弱いというか。
 エンディング曲にいたってはタイトルも曲調もわかりません。
 聞いたことはあるはずなのに、なぜだろう。
 とはいえ、盛り上がる場所、泣ける場所、これらでの音楽はまったく外していません。
 というわけでそこそこいける、と8点。

話:8

 伝記ものとしては破格の点数になるであろう、8点。
 小説では味わえないほどのリアルな興奮を呼び覚まします。
 欠点はやはり桜シナリオこと「Heavens Feel」でしょうか。
 惜しむらくは、それまでのシナリオ「Fate」「Unlimited Blade Works」において、桜が序盤で登場しなくなる点。
 もうしばらく……せめて話の中盤まで活躍してくれさえすれば、ここまで言われることもなかったでしょう。
 ですが話としては正しくまとめであり、衛宮士郎が自分を得るシナリオ、とでも言いましょうか。
 ……まぁ、考察についてはいずれ。
 素直に熱く、感動できる作品だと思います。
 というわけで、この先の発展に期待して、8点。

声:-

 無いのでカット。
 PS2版が出ることを期待しつつ。

システム:9

 まずはいい点悪い点を箇条書きで。

 良
 ・セーブ数が大量にあり、データごとにスクリーンショットが出るためわかりやすい
 ・スキップが早い
 ・シーン単位でスキップができ、大幅な時間短縮が可能
 ・オ−トリードがあり、設定が細かく可能
 ・選択肢によって大抵が一発死なので、難易度が低い(直前セーブ&ロードでOK」
 ・流れるような動きをビジュアルノベルで再現している
 ・セーブデータに名前をつけたり、上書き不可にするなど、ユーザーの立場に立った機能がついている

 悪
 ・シーン単位でスキップした際、選択肢だけが現れるため、前後の文章がわからなくなる可能性あり
 ・ステータス、ウェポンに関しては実際に役に立ってはおらず、残念
 ・エフェクトに頼っている感があり、マシンパワーが低いPCでは楽しめるかわからない。

 こんなところでしょうか。
 平均を5点として、+項目が7、-項目が3で総計+4、9点となりました。
 かなり素晴らしい出来のシステムですので、これを超える作品は恐らく出ないかと。

主役:8

 これについては今回の場合、正しく武内節炸裂といったところでしょうか。
 「正義の味方」を目指す代償というべきか、彼には自分の命が「物事の損得勘定」に入れられていません。
 具体性のない目標のために、自己の損得をなげうつ(本人にはそんな感情自体がないのですが)。
 ある意味歪んだ主人公といえるでしょう。
 が、逆に言うと「ここで引いたら男じゃない」という場面で決して引かない主人公であり、その点感情移入しやすいかと。
 私的には「Heavens Feel」容認派、桜擁護派なので、ようやく自分自身での目標を持った桜編の士郎には非常に感情移入できました。
 が、むしろこの桜編の士郎に感情移入できない方が多いのも事実。
 というわけ惜しくも8点となりました。

メイン:9

 ここで言うメインは「セイバー」「遠坂凛」「間桐桜」の3名です。
 さて、その中身ですが……

 「セイバー」……現代に蘇った伝説の騎士。少女という外見ながら中身は大人で、戦う姿は凛々しくもある。
           最後まで自己を見失わない強さは特筆に価する。
           その十分なほど大人な精神の彼女が見せる「食い意地」が親しみやすさをもたせる。
           剣を持とうと持たずとも、すんなりと士郎の「日常」の一部になれるのが強み。

 「遠坂凛」……まさに「ミスパーフェクト」……と思いきや、肝心なところでポカをやる「遺伝子レベルでの性分」が○。
          親しみやすさもあり、「ヒロイン」という言葉がしっくりくる。
          壮絶なまでの「猫っかぶり」だが、嫌がられる性格なわけでもなく。
          魔術師になりきれない「人間くささ」が実は一番の魅力?

 「間桐桜」……いろんな意味で「悲劇のヒロイン」。メインヒロインの1人にして「日常の象徴」兼「最後の大ボス」。
          「この世全ての悪」をかなり押さえていた事といい、「強さ」で言うなら彼女も負けてはいない。
          「Fate」と「Unlimited Blade Works」において出番がほとんどないのが致命的。
          が、作中一番の「恋する乙女」。また、士郎に「自分自身での目標」を持たせた事は立派。

 といったところでしょうか。
 そこが高ポイントに繋がりましたね。
 
 どのキャラも捨てがたい魅力がありますが、惜しむらくは桜。
 結局士郎は桜編で、「正義の味方」と「桜一人の味方」を秤にかけ、桜の方を選びます。
 が、それまでがぜんぜん魅力的に描ききれておらず、むしろそれ以前の話では登場回数は非常に少ない。
 この辺が、桜編の評価の低さに繋がっているのではないでしょうか。
 が、セイバーも凛も桜も、みんな魅力的なキャラであり、全員が単体で動かせるほどに作りこまれています。
 ゆえに「CLANNAD-クラナド-」と同点の9点。

脇:6

 近作最大の欠点と思われる脇役キャラ。
 ここで言う脇は「士郎」「メイン」を除くキャラです。
 確かにどのキャラも固定ファンが出来るほどのキャラ立ちをしており、人気も高い。
 が、違いはただ一つ、「一瞬しか登場しないようなキャラが多い」こと。
 が、「いてもいなくても変わらない」レベルではないため、平均+1点の6点。

おまけ:9

 ここでのおまけはゲームについてくる特典物などについて。
 オマケは「Fate/side material」。
 細かな設定などが書かれてあり、本自体に「全シナリオクリアまで要封印」と書かれるほど。
 が、その文字通りにかなり事細かに内容が書かれています。
 下手なファンブックなんかよりも充実した中身。
 ここまでのものをつけてくれるメーカーは他にないでしょう……というわけで、文句なしの9点。

付加:8

 こちらは逆にゲーム中でのおまけ、すなわちCG鑑賞など。
 シーン観賞、サウンドテストが可能、OPムービー、ステータスなどの確認も出来、実は何気に作りこまれてます。
 よって8点。

総計:76点

 素晴らしい作品です。
 しかし、どこまで行っても欠点にされてしまう「間桐桜」には残念の一言。
 私の中では一番好きなキャラですが、やはりあそこまで黒い部分を見せられると、引いてしまう人も多いわけで。
 元はイリヤシナリオだったのを曲げて桜シナリオに、というだけあってか、細かいところに矛盾もあって。
 なにより、彼女のシナリオにだけオープニングがないのが可愛そうです。
 ですが、それら全てを無視して問題ないほどの熱さ、激しさ、そして感動。
 ぜひプレイしていただきたいゲームです。