「BSEについて」

BSEの発生以来、消費者の牛肉離れは深刻です。
政府の初期対応のいい加減さや、マスコミの恐怖をあおる報道、さらに雪印の偽装事件。その後も次々と出てくる産地偽装の事実。いったい消費者は何を信じて買い物をすればいいのでしょうか?
こんなにもいい加減な国だったのでしょうか?売れさえすれば何でもいいのでしょうか?生産者として憤りを感じます。
私は肉牛の生産者ですが、牛肉以外は消費者です。立場は同じです。一緒に考えなくてはなりません。牛肉に関して言うと、情報を流すということです。誰が育てた牛なのか、どんなところで何を食べて大きくなったのか、公開します。
うそはもちろんだめです。それでその肉を選ぶ選ばないは消費者が決めればいいことです。こうすれば、どんな作物にもこのやり方は通用すると思います。選ぶためには学ぶ必要があります。何が危険で、何が問題があるのか判断するために知識が必要になります。みんなが冷静に判断できれば所沢のほうれん草の時のようなことは起きなかったと思うし、今回のBSEに関してもここまで混乱はしなかったと思います。
いまだ牛の価格は回復しません。うちは1/4−1/5です。これではとてもやっていけません
何とかしようと、加工所を立てて、牛肉を自分で売ることにしました。野菜や米は許可が必要ありませんが、肉は保健所の販売許可が必要です。春に向けて加工所の立ち上げを計画しています。これからホームページで加工所の立ち上げを実況したいと思います。よろしくお願いいたします。2002.4月


9月にはBSE1年ということでいろいろ特集もありましたが、この頃はもうさっぱりです。この1年を振り返って何か書いておいたほうがいいと思いましたが、なかなか書き出せずにいました。何も解決していないからです。原因もわかりません。BSEが発生して消費者の牛肉離れは、まるで畜産農家が毒を作ってでもいるような錯覚に陥りました。ほこりを持って牛を生産していたつもりが一気に自信も何も崩れ去りました。あの頃の気持ちは本当にこの先の見通しの無さに不安がいっぱいでした。今も価格は元に戻っていないし、苦しいことには変わりありません。BSEの後、うちは素牛の導入ができませんでした。お金が無くて買えなかったのです。その影響がこれからでてきます。これから出荷できる牛が極端に少ないのです。5月からうちでは古い家を改装して加工所を作り、お肉の直売を始めました。半年たって少しずつですが定着してきた手ごたえを感じています。お客さんにおいしいといってもらえる喜びを体いっぱい感じ、去年のどうしようもなかったつらい気持ちが薄れていきます。もちろん忘れられませんが。BSEをきっかけに食と農という言葉があちこちで見られます。今一度立ち止まって自分の食べるものを考える機会になればいいと思います。うちも牛に食べさせているものを公開し、質問に答えてというふうに変わりました。解からないことは聞けばいいのです。2002.11

2003.1.23 北海道の牛が7頭目のBSEに認定されました。6頭めにすぐ続いたので扱いも小さめです。こうしてどんどん出てきて、原因が究明されればしめたものなのですが。出た所ではきっと対応に追われているのでしょうね。どうか廃業にはならない対応をして欲しいと思います。
2003.2.26 札幌で保健所主催のBSEの講演会があって参加した。日本での発生から1年半近くたちその後の研究の様子など新しいことが聞けてよかった。農家としては日本のBSEの感染経路の究明が1番なのですが現在の7頭しか発見できていない現状では特定することは難しそうだ。4月から死亡した牛の検査も始まるのでそれに期待したい。今回の話の中で初めて知ったのだが、去年の4月から屠場で脊髄吸引機を使っているそうだ。また、BSEの判定は現在死んだ牛の脳幹の一部を取って検査するのだが、尿や血液で検査をする方法の研究が進んでいるそうだ。生前診断ができれば擬似患畜の取り扱いも変わってくると思う。ぜひ早く実用化して欲しい。また、種の壁を越えて今回はBSEが移っていることもわかっている。この研究のことは聞けなかったのだが、ぜひ解明して欲しい。屠場の検査体制について質問があり、薬物検査はサンプリングで抜き打ち検査されているそう。BSEの診断になんと4時間かかるそうだ。それによって生産者の牛の搬入時間も変わった。今までのデータを下にBSEの検査も全頭検査からリスクの高い月齢の牛になっていくのではないかと先生が言っていた。時間とコストの無駄ということだ。これは消費者に理解してもらうには時間がかかる気がする。そういってもこの日消費者の姿は両手で足りるほど。ほとんどが保健所の職員という感じ。誰のための会なのか疑問。もう消費者のみんなはBSEは忘れたのかな?この話の中でヨーロッパが肉骨粉の使用を全面に禁止したのに対し日本では牛には禁止するという何か中途半端な気がしてこれからも見守っていかなくては。
2003.5.23 カナダでBSEが発見されたとニュースで見た。あまり騒ぎになっていないようだが、1月に屠畜した牛らしい。どういうことだ?あれだけ世界中でBSEが発生していてアメリカやカナダが出ないのはおかしいと思っていたが、きちんと検査してるのか疑問。輸入牛は大丈夫と言っていたのはどうなるんだろう。BSE以来トレサビリティーという言葉がお肉はもとより野菜にも言われている。輸入の物は対象にならないのか?なんだかすごく変。
2003.5.28 カナダのBSEの話はあっという間に消えました。ニュースは消えるのが早い。日本では何の問題になっていないようだが、輸入に頼っているんだからもっと対策など考えないのかな?BSEの感染牛が発見された場合の同居牛の処分範囲が大幅に狭くなったそうだ。これは農家にとってリスクが減らせる朗報だ。しかし、原因究明は進んでいない。みんなもう、忘れたのかな?

2005.5.18 このページ久々の更新です。現在日本では18頭のBSEの牛が発見されています。つい最近18頭目が見つかりましたが、報道も冷静に事実のみを伝えているし、消費者の混乱も無いようでほっとしています。また日本では出荷した牛全頭がBSEの検査を受けています。今日は農水と厚生労働省の主催の食品の安全に係わるリスクコミュニケーションと言う会合に参加しました。アメリカのBSE対策を日本の現状と比べて説明がありました。今後食品安全委員会にアメリカの牛肉と日本の牛肉のリスクの同等性を諮問するそうです。
私の意見は、1.今の牛肉の価格は高すぎて適正な価格とは思えない。2.日本では和牛、ホルスタイン、輸入牛と住み分けができていた。3. 消費者がその中から自分で判断して何を買うのか決める。 4.アメリカの牛肉が輸入再開されるなら、アメリカも日本なみのBSE対策をしなくてはならない。5. 輸入が再開されるなら偽装が心配なので対策を。6. 外食や給食では何を使っているのか消費者は選択肢が無い。(これは今日の会場の意見その通りと思った)7.アメリカは生産履歴がわかるシステムを作っているそうだ。それなら輸入再開はそれからでもよいと思う。と、思いついたことを書きましたが、おおむね会場の意見はアメリカの牛肉に対する心配、不安の声が多かった。やはりなぜ今なのか?というところが納得できる説明ではないから全体にアメリカの牛肉の輸入再開のための日本の基準見直しと受け止めてしまう。まあ、実際そうなんでしょうが。今後の動きを注目したい。
2005.6.5 別海町で19頭目のBSEの牛が見つかった。新聞の扱いも小さくBSEが出てもお肉は出回らないと消費者がきちんと認識したのでこんな小さな扱い、それも事実の報告のみ。BSEも消費者に理解されたということか?しかし、BSEはまだわからないことがいっぱいだ。感染源も特定されないし、感染経路なんてわかるんだろうか?イギリスがBSEの原因が肉骨粉とわかり自国の肉骨粉を使用禁止にしておいて海外には輸出していたと言うのだからあきれる。どうしてこのこと誰も怒らないんだろう・・・。
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