旧秋保電鉄のこと


 かつて、東北本線の長町駅から秋保まで鉄道が走っていました。
 いまや人々の記憶から消え去ってしまった旧秋保電鉄の痕跡をさがしてみました。
 でも、いわゆる「廃線跡調査」までは時間もなく、踏み込めておりません。もっと詳しい調査をすでにたくさんの方がやっておられますので、そちらをご覧下さい(「秋保電鉄」で検索すればGoogleで80件はヒットします)。


秋保電鉄の沿革

 秋保に鉄道が走り出したのは、1914年(大正3年)8月30日(※1)。当初は秋保石材軌道と呼ばれ、長町から秋保温泉までの16.35q(※2)を結び、秋保で産出される「秋保石」の運搬を主目的にした馬車鉄道でした。

 やがて1925年(大正14年)には全線が電化され、秋保電気軌道と改称、その後秋保電気鉄道、仙南交通と名称を変えながら走り続けたものの、1961年(昭和36年)5月8日に廃止されました。

秋保電鉄の略歴
1914年(大正3年) 秋保石材軌道として、長町〜湯元(その後秋保温泉に改称)間開業
1922年(大正11年) 秋保石材電気軌道 と改称
1925年(大正14年)9月17日 秋保電気軌道 に改称届出
1929年(昭和4年) 長町〜秋保温泉間でバス事業開始
1941年(昭和16年) バス事業休止
1944年(昭和19年)8月1日 秋保電気鉄道 に改称
1949年(昭和24年) 長町〜鈎取間でバス事業再開 その後7年ほどの間に仙台駅前から秋保温泉、西の平、太子堂、萩の台など近郊に路線網を拡大
1959年(昭和34年)7月1日 仙南交通自動車と合併、仙南交通と改称
1961年(昭和36年)5月8日 全線廃止
1970年(昭和45年)10月1日 仙南交通、宮城バスと宮城中央バスが合併、宮城交通が発足
(※1)『鉄道廃線跡を歩く』3(宮脇俊三編著・JTB)の本文記述による。『私鉄史ハンドブック』(和久田康雄著・電気車研究会)では、12月23日と記録されています。また、11月開通と記述しているWebページも見られます。
(※2)当時はマイル・チェーン表示のため、1マイル=80チェーン、1チェーン=0.0201168qで換算。


本の中の秋保電鉄

 1977年(昭和52年)に出版された自分の戦争体験を綴った児童向けの本『ガラスのうさぎ(※3)』(高木敏子・作)の中に、秋保電鉄が登場します。
 空襲で両親を亡くした主人公の敏子が、兄に連れられ、「仙台からずうーっと入った名取郡秋保村」に住んでいる父の一番上の姉である伯母の家に預けられることになり、伯母とともに家に向かうシーンである。

 わたしは叔母と、仙台より手前の長町という駅で降りた。国鉄の駅を出て、秋保電鉄の乗り場へと急いだ。最終電車に間に合わなければと、二人でかけ出した。やっと間に合った。伯父は、この私鉄の会社に勤めているそうだ。
 電車の窓の外は真っ暗で、約一時間以上乗っただろうか、わたしは伯母さんにうながされて電車を降りた。降りた人は、わたしたちだけだった。あたりはしーんとしていて、とても駅などという感じではなく、細い電柱があって、電球が一つぽっと、ともっていた。
(中略)
 …線路ぞいに、昨夜電車を降りた所まで行って見た。丸太棒が建っていて、「磊々峡(らいらいきょう)」と書いてあった。ずいぶんおもしろい名前の駅だなあと思いながら家にもどってきた。

 思えば、この本の秋保電鉄の記述は自分にとってもかなり印象に残っていたのでしょう。このページをつくるにあたってふと思い出し、本棚の奥から引っ張り出して引用させていただきました。

(※3)1979年(昭和54年)にNHKがドラマ化し、翌年には映画化されています。映画では、主題歌を海援隊がうたっていた、という記憶まではあるのですが、秋保電鉄までは記憶にありません。

秋保電鉄の痕跡

長町駅周辺

 長町駅裏に残る秋保電鉄の軌道敷跡
 正面の白い建物(「たいはっくる」)の場所に、長町駅がありました。以前は宮城交通の長町ターミナルとしてかつての駅をしのばせる雰囲気があったのですが、現在はあとかたもありません。
 上の場所からもう少し西側から撮ってみました。
 この線路跡部分は宮城交通の私有地です。
 旧駅に背を向けて、西側をとってみました。
 現在は軌道敷部分がそのまま駐車場として利用されています。ここだけ時間が止まっています。
 バス停を利用した看板です。
 宮城交通の社有地であることがわかります。
 いろいろ痕跡を探したのですが、いまのところ見つかっていません。

西多賀駅跡

 国道286号線バイパスの西多賀三丁目交差点の南側(畠山医院前)にある空地。ここがどうやら西多賀駅の跡地のようです。
 廃止後はこの場所に仙南交通西多賀寮があったようですがバイパス建設で撤去され、その後は歩道と民家の間の微妙な空間として生き残っています。
 歩道橋の上から見た駅跡。車が駐車しているスペースが跡地。
 さらに東側(長町側)から。

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