病みゆく人々
この記録は、ぼくがK高校化学部に入部し、
体をはって取材した貴重な記録である。


2月中旬
数年前、ある女子大受験場で、絶えず先生の位置を確認する挙動不審な受験生がいた。
スカートをはき、スカーフを締めた少しゴツイ人だった。
先生は怪しく思い、履歴書を確かめた。しかし、怪しいところは何処にもなかった。
そこで先生は出身校に電話をした。
「もしもし、そこにCという人が卒業しましたよね。 その人は、女ですか?男ですか?」
「うちは、男子校です。」
こうしてCは、捕獲されつまみ出された。
彼の3年に及ぶ計画は30秒の会話で無になった。
彼の最後の言葉。
「模試で合格率99%だったのに。」
こうして男子校出身で女子大の試験を受けた男として、K高の伝説となり今に伝わっている。

2月上旬
化学部伝説
「浦島伝説」

今から13代前の化学部部長Sは、可哀想に毎日、不良少年に絡まれていました。
それを見かねた同級生Gは、不良少年達にやめるように話を付けました。
部長Sは喜びGを化学部に招待しました。

そこには、美しくも美味しそうなスッポンがおりました。Gは、生物部のスッポンを美味しくいただき楽しい時を過ごしました。
この時、Gは、このスッポンが生物部の部長であることを知りませんでした。
Gが帰ると言いだした時、Sが言いました。
「助けてくれたお礼に化学部の宝であるこの箱をあなたに差し上げましょう。でも決して開けてはいけませんよ。」

Gは、家に帰り、誘惑に負け箱を開けてしまいました。 箱の中身は先代の部長が3年かけて作ったクロロホルムだったのです。
Gの意識が戻ったのは、病院のベットの上でした。
それからというものは、Gは、不良少年と共にSをいじめたという事は、言うまでもありません。

1月上旬
化学部伝説
「バラ色の家出計画」

化学部員Sが、素晴らしい事に気付いた。
化学部には生活の必需品である大量の塩(Nacl)砂糖(C6H2O6)・ 酢(CH3COOH、酢酸)そして鍋(ビーカー)・コンロ (アルコールランプ)・電気・水・ガス、そしていざという時のクロロホルム。

その日からSのサバイバルが始まった。
家から着替えを持ってきて、食料はみんなの弁当の残りや、グランドの野草を食し、水酸化ナトリウム(NaOH)から石鹸を作って シャツを洗い、殺虫剤を調合して虫と格闘し、水飲み場の排水溝を塞いで風呂にし、生活していた。

遅刻がちだったSもこの日からまったく遅刻は無くなった。

しかし、幸せは長くは続かなかった。
夜中、Sは、トイレに行こうとして廊下を歩いた時、警報が鳴った・・・!

警報の中、何処からともなくワラワラと現れる男達。警備員だった。
逃げるS、校内を知り尽くしているSも、銭形警部率いる警官隊の如く、警備員の数には勝てなかった。
こうして生活のすべてが先生にバレ、停学処分を受け、10日ぶりに家に返された。

12月上旬
ある日、K高校のスーツをぴっと着こなしていつもサングラスをかけている 人相の悪い先生が話しているのを聞いてしまった・・・・

A先生「この頃なぜだかわからないけど銀行に行くと必ず2〜3人の 警備員に囲まれているんだ・・・」
B先生「お前もか・・・どうしてこうなるか知らないんだけど、どんな満員電車でも必ずオレを中心に半径1メートル 以内に近づこうともしないんだよ・・」
A先生「オレもだよ。その時つい思い出し笑いをしたらその円が3メートルに 拡大したからな・・・」
B先生「やはりか・・・」
A先生「原因はわからんが空港の金属探知器には確実に引っかかるしな。」
B先生「ああ・・あの時はボディチェック20分以上かかるし
何も出なかったら若い警備員は『おっかしいなぁ』とつぶやくし・・」
A先生「そして校長に本当に教員免許持っているか疑われるし・・」

彼らはとても良い先生だがあまりの人相の悪さにより教師も生徒も接触は極力避けている。

12月上旬
隣にクラスのヤツに聞いた。
「テストとは何か?」
「だるまさんが転んだというギャンブルさ。」
以下、彼の話である。

テスト時、先生の管理下の元、一見真面目にテストを受ける生徒。
だが先生が後ろを向いた時生徒は変貌する。
前の者は後ろを向き、右の者は教科書を開き、左の者は手紙を廻し、後ろの者は携帯で相談し、 近くの者はアイコンタクトで答えを確かめ、遠くの者はモールス信号で皆に答えを知らせる。

ありとあらゆる方法で意志の疎通が行われる。
そして先生が前を向いた時、生徒は完璧なチームワークで何事もなかったようにテストを受けるのである。

だが先生も馬鹿ではない。巧みなフットワークによるフェイントで生徒のカンニングを見つけ出し、別室と呼ばれる生徒指導室に放り込まれる。
放り込まれたら半数は帰ってこない。

隣のクラスでは、死(別室)か、100点かのゲームが、毎回先生と生徒の間で行われているのである。

11月中旬
修学旅行と言えば、おみやげ。
僕も沖縄みやげを紙袋に何個か買った。家に帰りおみやげを出す。この瞬間も楽しいものだ。
あれ?あれれれれれ???紙袋がひとつないぞ?しまっっっっったぁぁぁ〜。ひと袋旅館に忘れてきたらしい。 悔しい・・・。あれ?あれれれれれ???これは何だ?枕カバー?もしかして旅館の?
僕はどうやら、おみやげの詰まった紙袋と旅館の枕カバーを交換した事になったらしい。
これは僕の負けだ。旅館の勝ち。
沖縄の旅の思い出、白い枕カバーが今、僕の手にある。

この文を見た旅館の人。枕カバーを返して欲しかったら僕のおみやげを返せ!
いや、返して下さい。お願いします。

11月中旬
雪がちらほらと降り始めた修学旅行前日の事。

「えー。我が校は沖縄に行く。沖縄は暑いので海パンとビーチサンダルを持ってくるように。 ない人は購入のこと。」

雪はいつの間にか吹雪となり気温はマイナスを指していた。
おいおい!この雪の中、海パンとビーチサンダルを買えというのかぁーっ!・・・。

11月上旬
K校には遠方からの生徒のために寮が用意されている。
今回はその寮での生徒と寮母の戦いの記録である。

すべては寮母の一言がはじまりだった。
「キリストの精神に乗っ取り不必要な物は持ってくるべきではないのです。 従って今日からコンセントを取り外します」
この寮母の前近代的な発言より寮生の現代文明は終わった・・・・
テレビ、ラジカセ、ステレオなどの娯楽物が質量のあるただの物質に成り下がったのである。
そして、戦争が始まったのである。

1年目の戦い現代文明を手に入れるためまずその代の先輩が寮の見取り図を手に入れたが どうすればよいかわからず手をこまねいている内にあえなく卒業。
2年目の戦いその後輩が意志を継いで見取り図を使い天井に穴を開け蛍光灯の電線を見つけたが電気器具はうごかなかった。そして卒業。
3年目の戦い先輩達の想いを受け継ぎ蛍光灯から疑似コンセントを製造 この発明で戦いに終止符をうつと思われた。
しかし次の日、
寮母「え〜、電気を盗もうという輩が居るようです。 一アンペアでも電気消費量が増えると照明器具はろうそくになるでしょう」 といいその場から消えた・・・

寮母の最終奥義「断電」により寮生の夢は砕け散り、疑似コンセントは 寮生のくだけた夢のかけらとして今も天井に張り付いている・・・・・

10月中旬
K高校の9割が深い眠りにつく宗教の時間。
今日は聖堂でキリストに関するビデオを見ることになった。 先生は「1950年頃の素晴らしい映画です。」と言った。

ターミネーターのようにキリスト像の目が光りそして動き少年に向かって話しかけた。
「お前ののぞみをかなえてやろう。」
まるで神龍のような事を言いだしたキリスト像。不思議なことに少年はこの怪しの物に答えるのである。
「天国にいるお母さんに会いたい。」と。
「その願いかなえてやろう。」
神龍そっくりなセリフを吐いた途端、少年の姿はすでになく、そこには墓が置かれてあった。

宗教の時間、こんな映画を見せられるのである。

10月上旬
今回は我がK高の話題ではなく、友人のT高の話。
スポーツの秋である。T高名物のマラソン大会についての手紙。
当日は、朝食を食べてきて下さい。しかし食べ過ぎなで下さい。
10時に就寝し早く起きて間に合うように集合して下さい。
靴は足に合ったものを履き革靴を禁止とします。
レース途中の食事は禁止としますが飲料に関してはその限りではありませんが、 適量に気を付けましょう。

高校生に向かってこの内容の手紙を寄越すとは、先生も意地になっているとしか思えない。 又は、笑いを取ろうとしているのか。

9月下旬
科目ハゲ率
一時限目・現国80%
二時限目・数B70%
三時限目・英文100%
四時限目・生物73%
五時限目・古文85%
六時限目・数U95%

毎週火曜日はハゲの日である。
1時間目から6時間目までハゲづくし。

この日ハゲ率平均83.83%である。毛量70%Offでもある。
今年は例年になくハゲが多いらしくこれからもパーセンテージは増えることはあっても減ることはない。 それがハゲである。ハゲ率100%もそう遠い未来ではない。

※注  基準=50%以上をハゲとする。

8月下旬
☆★ K高 謎の怪奇談 ★☆
〜恐怖×××たれ疑惑の音楽教師〜

ブラスバンド部の二名が夜遅く音楽室のドアを開けたとき、恐怖は始まった・・・・
 そこは目のしみる刺激臭が辺りに立ちこめ、雑巾やちりかみが散乱していた。 その場所で頭を抱えた音楽教師そっくりな男がいた。 男は二人を確認すると土気色の顔となり音楽教師そっくりな声で
『ここは・・・ここはまかして、は、早く帰りなさい!!!』と怒鳴った。
二人はびっくりして逃げ帰った。
次の朝、音楽室は掃除された後があり、消臭剤もあり、刺激臭も無かった。 二人はそのことを音楽教師に尋ねたが、
『私はその頃家で酒を飲んでいた』と言って否定した。

それからというもの、なぜか二人は音楽はトップだったという・・・
疑いをかけられた先生は今も音楽の授業で教鞭を振るっている。

7月下旬
校長の話しを聞く。
それは、ある意味戦争。その時、体育館は戦場となる。

バタッ
またひとり、昇天。これで5人目だ。さっきまであんなに元気だったのに。
右の人は、もう目が死んでいる。左の人は、ゾンビの形容がよく似合う。前の人は、先程救護班に運ばれた。 各先生の顔は死んで1週間ほっとかれたような活きの悪い魚のようだ。
校長(敵)が、全校生徒に向かって訓話をする。それ事態が攻撃となる。長く、意味無く、つまらない。
校長(敵)が、満足し語り終わったとき、戦争は終わる。そして我々は解放される。今日の犠牲者は5名。 次の犠牲者は、俺かもしれない。

6月中旬
髪型にはうるさい学校である。
生徒手帳にも長くするな。染めるな。パーマ禁止と こうるさい。
しかしヒゲについては、なんの校則による規制はない。したがってなかなかのヒゲ自慢が結構いる。
その中のひとりが「ヒゲを染めて来ようかな。」とつぶやいた。
僕は先生の反応が楽しみである。

6月上旬
我がクラスでは香水をつけてくるヤツが後を断たない。(男子校だ!)
そこで見かねた先生がひとりの生徒を問いつめた。

先生「おい、お前、何故 香水をつけてくるのだ?」
生徒「いや、ちょっと・・・。」
先生「香水でタバコの匂いを消すというやり方は、我が校伝統の技だぞ。 お前タバコを吸ったな?」
生徒「吸ってませんよ!」
先生「じゃぁ何故 香水をつけているんだ?」
生徒「・・・俺、最近風呂にはいってないんだ・・・。」

このことがあってから先生は、香水の事を口にしなくなっていた。

5月下旬
ここらでそろそろ化学部の前身、爆薬部について語らなければならない。
ここに入部する生徒は、例外なく爆薬好きだったため、ここの顧問の先生は、 危険を感じ、すべての生徒の入部を断ったという。
今、その面影はない。伝説のみが伝わっている。

5月中旬
「おい、お前、何点だった?」
「いやぁ、70点だったよ。」
「いいなぁ、俺、53点だったよ。」
「今から先生が最高点と平均点数を発表するぞ!!静かに聞け!」
ごく普通のテスト後の風景である。
しかし10年程前、ただ先生も生徒もうつむいたまま固まってしまった 話が伝わっている。
その時の先生のお言葉。
「・・・平均点0.6点。最高点6点。全クラスの半分以上が0点だ・・。」
この話は、我が校の伝説であり実話であり、最高機密である。
恐らく今の日本記録だろう。
尚、我が校は、北海道屈指の進学校であると付け加えたい。

5月上旬
今日、校内で鳩を見た。
鳩は体育館の天井をはがす作業にいそしんでいた。
まもなく努力のかいあって体育館から青空の見える日も近いだろう。

〜回想シーン〜
校内にあるいくつかのワンダーゾーンのひとつ。
怪しくうごめく集団有り。
額に「神風」と書いたハチマキをしめ、白衣姿の男が数人。怪しいトークをしている。
通りすがりの僕は思わず聞き耳を立てていた。
「体育館がなければなぁ・・。いつか壊したいなぁ。俺ならできる・・。」
〜回想シーン終わり〜

偶然だろう。もちろん。
いや、・・まて・・・。あの鳩の目。
あの目に見覚えがあるような?そういえば、あの男最近見ないな。
まさか・・・。

4月下旬
先生には2種類いる。
ハゲてるか、ハゲてないかの2種類である。(その中間型も多数確認済み)
そしてハゲにも2種類に分類できる。
堂々とハゲるか、こっそりハゲるかの2種類である。
堂々とハゲるのは一目瞭然。見れば解る。
もうひとつのタイプは、こっそりハゲている人々だ。
自らの輝きをカツラにしまい込んでる人々だ。
あたかもキリシタンがマリア観音像を拝んでいるように、うまくカモフラージュしている。
常人にはわからない。我々生徒が カツラを見分けるのはもはやカツラの踏み絵しかないだろう。

こんな事を言い出したのには訳がある。
先日50代後半の先生が「実は、私は22の時にハゲた。それ以来カツラを仕様している。」と 勇気ある重大発表をした。
その先生は、僕のハゲリストに載っていない先生だったのだ。
ハゲの世界の深さを知った日。
まだリストに載っていない隠れハゲはいる。

4月中旬
事件はある日突然起こった。
先生にいつも殴られていた男がいた。仮にZとしておこう。
いつものようにZの態度に腹を立てた先生は、Zを殴ろうと手を挙げた。
しかし、どういう心境の変化か、事もあろうにZは、反撃を試みたのである。
つまり向かってくる先生の手に噛みついたのである。
現在Zは掃除労働一週間の刑に処されている。
一方、生徒に噛まれた先生の心の傷は思ったより深いという。

3月中旬
卒業式が終わった。3年生達は、卒業していった。
この中に9月中旬のシンデレラ事件の生徒がいたんだろう。
かすかに匂う、大きな片方の皮靴と、謎と、笑いを残し、 とうとう事件は迷宮入りとなってしまった。
僕は、この事件で、学んだ事がある。
逃げ切れれば、高校生の時効は、卒業までなのか・・・。
3年生から学ぶ事は、多い。

2月中旬
生徒会長は選挙で選ぶ事になってる。
今回の候補者はひとりだけ。
会長候補は「人を認めるのも人格の内ですから。」と言い、
担任は「入れなければ国語の成績はないと思え。」と脅す。
我々一般生徒は自由な選挙権を求めている。

2月上旬
今日は、僕の中学の時の話をしよう。
頭が砂漠化が進行している先生がいた。
1本1本が命の源の様にいつも大事にしていた。
彼が家庭訪問に行った先の親にその頭を哀れだと思われて 1本の育毛剤をプレゼントされた。
先生は、うれしそうにお辞儀をしてその家を去っていった。
29歳の春だった・・・。

1月下旬
遅刻は、先生と取引をすれば許される。
内容は学級によって違ってくる。
例えば日直、黒板消し、ゴミ捨て。現に僕は先日15分遅れの 遅刻を掃除をして許されたのだ。
取引に応じぬ者は、遅刻者として罰せられる。

1月中旬
ある日、教室のドアを開けると、そこはカラスの乱舞場だった。
床には糞、辺りに匂いが立ちこめ2羽のカラスが所狭しと 飛んでいる、そんな世界だった。
1羽は外へ逃げていったが、もう1羽は縄張り宣言か廊下に やって来た。
1学年は騒然とし、大騒ぎの内に出ていって貰った。
そしてその教室は、その日、使われることなく生徒が掃除をするはめとなった。
それからは、教師は、事あるごとに、
「窓をちゃんと閉めてカーテンをしろ!」と言っている。
しかし、生徒は授業がつぶれる事を願いこっそり窓を 開けるのである。

12月下旬
夏休みのテキストが「数が苦」
で、今日、冬休みテキストを貰った。
タイトルは「数楽」
いや、ホントなんだよ。ホントの話。

11月下旬
我が校に伝わる伝説の赤い髪の男の話をしよう。
彼は政治・経済が出来なくて留年が決定した。
しかし、彼は留年を違法と思い、校長、教頭、理事長、担任を 法に訴えた。裁判を起こしたのである。
おそらく、自分だけが留年だという事が腹立たしかったに違いない。
札幌地裁で裁判長は言った。
「学業不振で、留年は当然である。」
彼は政・経のおかげで「留年は違法ではない。」という事を学び本州のどこかへ消えていった。

11月中旬
北海道は寒い。したがって普通は窓が二重になって寒さが入り込まないようになっている。
しかし我が高校は、窓が一枚だ。したがって寒い。
寮には鉄格子が張られていて、寮生が逃げ出さないようになっている。
本当は、ここは学校として作られているのではなく刑務所や何かを改造して学校になったのではないかと疑っている。

10月下旬
あるキリスト教の神父様(現 副校長)の黒い噂を暴く!
彼の頭髪が自由だった頃(現在は不自由)神父の修行のため外国に行っていた時、ヒヨコを育てて生計を立てていた。
毎日が平和そのものだったある日ヒヨコが全滅してしまった。
彼は嘆き悲しみ、そしてワナをしかけ、神に祈った。
「神様、どうか犯人がつかまりますように。」
祈りが通じたのかヒヨコ全滅事件の猫がワナにかかった。
彼は日本から持ってきた爆竹と練りわさびを持って猫と共にどこかへ消えた。
それ以来、その猫は行方不明となっている。

10月上旬
3ヶ月程前の話になる。
夏休みの講習のテキストのタイトルをここで披露しよう。
「数が苦 夏の陣」これホントの話。

9月中旬
ある土砂降りの日、シンデレラ伝説がK高で再現された。
この日の昼休み学校を抜け出した生徒が万引きで店員に見つかった。だが店員がちょっとめを離したスキに彼は、 消えていたという。濡れた大きい革靴を片方残して。
このK高のシンデレラは、まだ正体不明であり、 王子様役を引き受けた学校側は片方の靴にぴったりの シンデレラを停学にするべく今も探している。

9月7日
我がK高校に極秘のプロジェクトが動き出した。
大和魂に導かれて教員がかつての敵国アメリカの 空母インデペンデンスに空からの攻撃を試みようという 恐ろしい計画だ。
9月7日にその計画は実施される事になった。
空中に飛び回るラジコン特効作戦でインデペンデンスは、もろくも崩れる予定だった。
しかし、決行当日15万人という観衆にもまれ近寄ることが できず、遠くから眺めることしかできずに彼らの試みは失敗に終わった。
彼らの任務が、果たされたと時、日米問題は深刻化されていることだろう。

8月上旬
ぼくの学校は、光ってる。学校の職員室に行くと、輝く頭と生き残ったわずかな黒髪が、目に入る。
古典も国語も化学もそして担任も頭に光を反射させて生きている。
彼らから光を取ると僕たちは先生を見分ける事が、出来なくなる。
そのくらいハゲ率が高い。日に日に黒髪前線の加速が、目に見えて早くなる先生もたくさんいる。
ぼくは、光ある人間より、黒ある人間であり続けたい。

< 6月下旬
ここで悪友Kの紹介をしよう。
Kのことを一言で言えば可能を不可能にする男と言うことにつきる。
すべての理解可能の物件を理解不可能にしてくれる。まさに不可能生産機といえよう。
そんな奴が何を血迷ったか化学部に入部した。奴が入部して間もない時 気まぐれで塩酸の瓶を開けた。
瓶から玉手箱のように白い謎の気体が発生し、Kはおじいさんの ように横たわっていた。まるで浦島太郎のように・・・・。
ぼくはKがいるかぎり化学部で死人が出ることを確信している。

5月中旬
化学部の隣生物部に、事件が起こった。前生物部部長が、後任にハムスターを部長として任命。
これがすべて始まりだったこハムスターは、 人々の態度が変わったのを気にも止めずにマイペースなハムスターとして生活していた。
そんなある日、クーデターが起こった。
ハムスターが部長なのが不満だったJは、ハムスターの部下(部員)をなぎはらいハムスターに駆け寄った。 それは厳しい交渉だったに違いない。
こうしてJは、部長となった。そ後、ハムスターを 見たものは、いなかったという。
新部長は、次期部長にスッポンを考えているという。
こうして歴史は繰り返される。

4月下旬
友人Kの強い誘いを断ることが出来ずに、またあの異様な部室に足をふみいれた。
先輩達は言った。「今日はやること無いから僕たち帰ります。」実験も何もしてないのに。と思った時 そこには誰もいなかった。あるのは、薄暗い空気と、白く燃え尽きた我々。
ただ、立ちすくむことしかできなかった。


4月上旬
Kと僕は化学部に行ってみることにした。
戸には何故か鍵がかかっている。耳を澄ますと、中からやる気のないうめき声で満たされていた。
僕はノックした。鍵がはずされた。僕たちがが入ると脱力感あふれる声で「あ、50円だ。」
どうやら、新入部員が来るかどうか賭けていたらしい。僕たちは賭の対象となっていた。
部室に目をやるとあたりは栄養ドリンクとテストで埋め尽くされ、僕たち見学者には目もくれず怪しい雑談うごめいていた。
「今日はあんまりないから適当に見ていって。」
そして、僕たちは固まった。


最後まで読んでくれてありがとう。
感想はトップページの葱人のつぶやき伝言板 零式へ
たたき付けて!





蟹屋 山猫屋