弾丸人間




発射音の様な
叫び声を張り上げ
握り締めた刀を 頭上に掲げ
人を切りに行く
ただ 力の限り振り下ろして

人を切り 骨まで切った
感触を味わう余裕も無く
また人を切る
同じように ただ ただ ただ
振り絞った力で 刀を振り落とす
切った人のことは考えない
人という弾丸
叫び声を上げ続け 高い猿の様な声を 肺の奥底から排出し
切る
切り続ける



刀が折れ
もう 人は切れない
でも 弾丸の狂気は 収まらない
素手で相手に襲い掛かり
勝てるのか考えもしない
相手に無慈悲に狂気だけを帯びて 飛び掛る弾丸
相手を倒すために存在を許された 命


今 弾丸は人となった
血を地面に流し 郷里の家族を考え 狂気を失った人間になった
殺した人間たちと共に あの世へ行く
一人の人間となる


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