愛撫の夢


夢の中に私はいる。
多少、変形した体で愛撫を感じている。

私の少し膨らんだ、
胸に優しく触る。
髪を軽く撫でられ……。
私は愛撫を感じる。

無数の手。
いつしか私を取り囲んだ。
ひどく細く柔らかな手で。

誰なのか、何人なのか。
見ようとして、
目を開けると、
暗闇ばかり。
その二本の指は、ゆっくりと目を閉じさせる。
愛撫の感触ばかりする。

顔の産毛をいたずらに引っ張り、
性器の部位にも触れ、
多くの手の愛撫の中に
私は無抵抗に、むずがゆい快感を覚え、
私は静かに、一つの手と、
手をつないだ………。


横たわる私に、
冷たい水が、少しずつ、
愛撫に来る。

手の、暗闇の、
動きはおさまり、
多くの手は、顔と髪と胸と、
二つの性器に一斉に集まり、
激しい愛撫をした。

手は去り、
私は波打つ水を、
動かずに待ち、
水は、水もまた、
私を愛撫する。

性器も胸も髪も顔も、
水に漬かり、
優しくも、冷たい愛撫は、
体の中にまで入り込み、
体は流され、
沈んだ。

濃い緑と黒のグラデーション………。
僕の眼はかすかに、口からの気泡と水の中の風景を見て、
無意識的に目を閉じた。

冷たい愛撫に、私は沈みつつ、
水と私は性器で愛し合い、
水と私は、互いに、
男性器をいれ、女性器に差し込んだ…………。
両性具有の私たちは。

体は愛撫で凍え、私は二つの、
淫らな水を排出する。<>rb 水とした、そのままで……。

砂地の海底に着き、
私は、夢の中の私は、
ぼんやりと思い出す。
私は私を、私の為に生贄にした事を。

ここに至るまで、
愛撫を受けるために私は身を捧げた事を。
今度は私が愛撫をする立場に立つ、
人でないものとして。

そう夢の中で思い、私は気泡を吐いた。
最後の気泡だと、夢の中で思った………。


夢から覚め、現実の私は、
大きく息を吐いた。
夢を見続ける私は。





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