幽霊との会話

「怨む」
「待って下さい。何なのです」
「怨む、あの地獄を」
「あなたは本来一ヶ月で亡くなる所だったのですよ。それを三ヶ月間延命したじゃないですか」
「怨む、あの体の固定を」
「あなたが点滴を外してしまうからですよ。延命のため外さないよう体を固定する必要があったんです」
「怨む、あの薬を」
「あれがあなたの病気の特効薬なのです。効果のわりに副作用が強く感じたかもしれませんが」
「怨む、あの拒否を」
「わが病院の方針として安楽死を一切認めないのです。大変苦しかったでしょうけど」
「怨む、すべてを」
「待って……」

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