蟲葬



月の光の下
一人の少女が眠っている
左胸に血の花を咲かせ
永久に眠る
綺麗な顔で
木の葉のベットの上に
何者も手を触れることなく
秋の葉のない木々の本
永遠の夢の旅に
彼女を起こす王子もなく
二度と起きる事はない

一つの不気味な集団がはってきた
膨大な茶色の集団
多くの粘液のテカテカした反射
短冊状の大きな蟲たち
彼女の存在に気づき
葬儀を始める
彼女が動けないのをいいことに
彼女にまとわりつく
彼女を慰め
自分達の胃を満たすために
少女の体を
蟲たちが覆う

蟲たちの葬儀
バリバリ音がした
少女を食べる音
少女は蟲たちのなすがまま
服の下を探られ
体内に入っていく
少女の顔
蟲たちのキス
王子は来ず
蟲たちが来た
しだいに皮膚がなくなり
醜く化す

蟲たちはいなくなった
少女もいなくなった
太陽の下
土の上に
白骨がある
可憐な少女はもういない
でもきれいなものはある
きれいな白骨が
元は少女の白骨が

蟲たちの葬儀
これにて終了
蟲たちの食事
これにて終了

蟲のはったあとに
きれいな白骨がある
元少女の
白骨がある



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