閻魔大王とT教授


「貴様が女子大の哲学の教授をしていたTか」
「はいそうです。しかしあまりにも学生たちが男らしいので皆なのではという疑惑が生まれていました、ゆえに 男子大だったのかもしれません」
「とにかくお前の罪は度重なる嘘だ。もっともそれで人々を楽しませていた面がある罰は舌3分の1切断だ!」
「ちょっとお待ち下さい、デカルトという哲学者はすべての物事について疑っていたようです」
「だからどうした!!」
「そこで彼に習い疑っていくともしかしたら、嘘ではなかったかもしれません」
「馬鹿者そんなわけあるか!!!」
「いえいえ案外そうかもしれませんし、また私は天使のように正直に答えるつもりが何かの拍子に……」
「嘘ついてしまったとでも言うのか、コラ!!!」
「待ってくださいデカルトに限らず哲学者たるものすべての物について疑う義務があるのです。仮に嘘つきを正直者としたらどうなるでしょう、嘘つきと呼ばれている私は正直者になるのです 故に私は正直なのです」
「そんな訳ないだろうが!それはただの屁理屈だ。今は嘘と言う物は嘘だ!!!!」
「しかし閻魔大王様が嘘だと認識した物は本当は嘘ではなかったかもしれませんし, 私が嘘だと思って言っても言われた人にとっては嘘ではなかったかもしれないのです」
「嘘だと認識しとると閻魔帳に書いておろわ!!」
「いえもしかしたら閻魔帳に書かれているものこそ嘘かもしれませんし、その嘘も上辺だけで本当は仏教でしばしばもちいられる逆説によって真理をつたえようと…」
「屁理屈はいいかげんにしろ、こいつを舌3分の2切断の罰にしろ!!」
「哲学の徒として討論を……」
「黙れ」

「全くいるんだよあんな奴が…」

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