2004/9/24━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.107 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 先日、札幌では珍しく台風を経験しました。 だいたい台風は北海道にくるころには、温帯低気圧などというぬるいものになってし まうんです。 台風は、見慣れた風景はドラマチックな風景に変えました。 あらぬ方向を向いている信号機。飛ぶ屋根や看板。ぼっきり折れている公園や街路樹 の木。その下でぺちゃんこになってる自動車。広範囲に及ぶ停電。折れるアンテナ。 圧巻は、服が脱げちゃっているお婆さん。これは大風のため、逆てるてる坊主状態に なってしまったお婆ちゃんです。台風恐るべし。 ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ━■海のモンゴロイドの話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 世界地図を思い浮かべて欲しい。 北端の頂点をハワイ。西南端をニュージーランド。東端がイースター島。 そこに巨大な三角を描く。 この巨大な大三角の広がりはポリネシアだ。     ↓こんなに広い。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/porinesia.htm このポリネシアの大三角圏は、領域だけを言うなら地球全面積の6分の一以上に 及ぶ。とてもつもなく広大な広さだ。 でも陸地面積は、唯一の大陸島のニュージーランドを除くと、他のすべての島を全部 合わせても日本の九州ほどの広さにしかならないんだ。 海底火山の頂上にできた多数の孤島だけが点在する海の世界。 この地域はヒトが最後に進出した地帯なんだ。 言い換えれば、最後まで無人の聖域として残されていた。 ヒトの地球開拓史の最後の舞台。 アフリカからユーラシアへの拡散。 アジアからアメリカやオーストラリアへの拡散。 ヒトのオセアニアの海洋世界への進出は、それらに匹敵する出来事だったんだ。 遠距離の島々を結ぶ巧みな航海術を使ってオセアニアの大洋世界に進出したのは、 モンゴロイドの一派だった。 いったいいつ頃、ポリネシア人というモンゴロイドは(というより、人類は)オセア ニアの海洋へ移動していったんだろう。 さまざまな説がある。いちばんオーソドックスなシナリオは、今から2000年前く らいではないか、という。 反論のひとつに、もっと古く3000年前くらいではないかという説もあるという。 っていうことは、まぁ、2000〜3000年くらい前のことだと思えばいいわけ だ。 これは人類史にすると、ほんと最近。ついこの間だ。 ソサエティー諸島やマーケサス諸島などのタヒチあたりの島々(西暦がはじまる前 後)に定着したポリネシア人は、 ハワイ諸島などの北の方面に(1500年くらい前)、 さらにイースター島やニュージーランド(1000年くらい前)など辺境ポリネシア へ拡散を続けていった。 これらの拡散現象は、短い期間にいっせいに起きたらしい。 そしてその拡散段階には、一定期間の停滞期があったようだ。 つまりちょっとの停滞期に、さまざまな生活技術や航海術などが革新して より大きなスケールの距離の、未知なる航海へ。 たぶん今から1000年前後くらい前に「ポリネシア人大航海時代」ともいえるよう な時代があったんだ。 イースター島などに到達したグループは、さらに東へと旅をし、どうもアメリカ大陸 に その太平洋岸に到達してしまった可能性があるんだよ。 地図上では、ポリネシアの3000から8000とも言われる点在する島嶼(とう しょ)世界は、東はイースター島でひとまず終わる。 もう島影はない。はるか何千海里ものかなたに、まったく別の世界、アメリカ大陸が 存在する。 「この先に、なにかあるなら行ってみよう」 これが冒険者の精神だろう。直接の動機は植民航海かもしれないけれど、たぶん東へ または南へとカヌーを漕ぐ衝動は、ハワイを発見したくらいでは燃え尽きるようなも のではないだろう。 果たして、先史ポリネシア人たちは、アメリカ大陸まで到達したんだろうか。 だとすれば、なぜ彼らは南太平洋の開拓者にはなれたのに、アメリカ大陸の開拓者に ならなかったんだろう。 アジアを出発して陸の北回りでアメリカ大陸に拡散していったモンゴロイドのグルー プ、つまり先住ネイティブアメリカン(インディアン)と、海の南回りで広がって いったモンゴロイドの末裔ポリネシア人が、それぞれの最先端で遭遇する出来事が 起こっていたかもと、想像するのは楽しい。 さて。ここでサツマイモの話をしたい。サツマイモの謎だ。 この中米もしくは南米原産の植物は、ポリネシアの多くの島々には、もっとも重要な 作物として古くから存在していたんだ。 ヨーロッパ人が到達する以前にはアジアのどこにもなかったサツマイモ。 それが東ポリネシアの島々、とくにイースター島やハワイやニュージーランドなど、 たがいに遠く離れた島々で、昔から存在していたんだ。 この事実が確認されると、さまざまな学説の引き金となったんだ。 この植物はいったいどこから来たのか。 ・先史ポリネシア人が南アメリカまで往復航海して持ち帰った説 ・南太平洋の先住民アメリカ・インディアンがポリネシアに漂流して  ポリネシアの祖先となった説など。 現在では、このサツマイモの道はだいたい解明されたらしい。 たぶんポリネシア人の航海活動によって、まずはマーケサス諸島やクック諸島や ソサエティー諸島など東ポリネシアの中央部の島々にもたらされ、 その後、イースター島、ハワイ、ニュージーランドなどの辺境ポリネシアの島々につ ぎつぎに伝達されていったのだろうという。 ポリネシア人は、アジア方面からオセアニアに進出した海のモンゴロイド。 サツマイモは、太平洋をはさんだアメリカ大陸原産の栽培植物。 そんなポリネシア人とサツマイモが交差した。 その意味は、はかり知れないほど大きい。 サツマイモが導入される以前の島嶼(とうしょ)生活は、タロイモやパンノキなどに 基盤をおいていた。 それらでは、乾燥した島や環礁島などでは生育しないため、人々が定着できなかっ た。 イースター島やニュージーランドなど亜熱帯から外れた島々も、寒すぎて育たなかっ た。 だから本格的に入植するのは至らなかったんだ。 そんなときにタロイモの代替品としてのサツマイモを手に入れることが出来たとした ら。 それはすごいメリットが生まれただろう。 長期間にわたる保存に耐える。栽培場所をさほど選ばずに栽培できる。 先史ポリネシア人たちは、サツマイモを修得し、ポリネシアの島々を開拓する植民 開拓を発展させたんだろう。 とするならば、ポリネシアにサツマイモが持ち込まれたのは、ニュージーランドの開 拓よりも先だったことになる。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [まるこ]さん  先日、娘に「セミはかわいそうだね。だって1週間しか生きられないんだもん。」  と言われました。  「セミは土の中でうんと長く生きてるんだから、早死にってことは無いんだよ。」  と答えると  「そんなに長く土の中にいたら、やっぱりかわいそうだ。」  と言うので、  「動物や植物の幸せを人間の尺度で、見ることのほうがかわいそうなんじゃないの  かな?」  と答えたところ、ママの話は難しいとそっぽを向かれてしまいました。  そういえば動物や植物にとっての幸せって、なんなのでしょう。  セミって土の中でどんなことをしているんでしょう。  き・・・気になる。 -------------------------------- 動物や植物にとっての幸せってなんなのでしょう。 哲学的な質問ですね。 それでは「人間にとっての幸せは?」これなら答えられるかというと、 これも簡単には答えられません。 答えはたくさんあるようでもあり、ひとつであるようでもあり。 「幸せとは何か」って事ですね。 セミの気持はヒトにはわかりません。昆虫の気持はわからないです。 感覚器官が違うので、見える世界(複眼の世界)、感じる世界が全く違います。 触覚の感覚など想像力をたくましくするしかないです。 同じ世界に住んでていても違う世界を感じているんです。 私とモサク(飼い犬)が森を散歩していても、見える世界、感じる世界は違うんで す。 でも、瞬間、心が通じ合う瞬間が来ます。その一瞬で良いんです。 分かりあっているという誤解よりも、一瞬の心の通じ合う瞬間。異種生物間の コミュニケーションはこの一瞬で十分ですし、幸せの瞬間でもあります。 そう思います。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★モンゴロイドのポリネシア人の拡散の歴史を紹介したかったんだけど、 後半、サツマイモの話に熱を帯びてしまった。(笑) 南太平洋の島嶼(とうしょ)世界。そこに住むポリネシア人などに対するイメージは ステレオタイプになりやすい。 南海の楽園。ココヤシが茂る常夏の気候。エメラルドグリーンの環礁によって囲まれ た湖。けだるい貿易風。裸同然で暮らす褐色の肌の人々。 ドキュメンタリーもどきのTV番組では、いつも人物はにこにこ。朴訥そうな表情。 太り気味の人たち。 どこにも歴史の匂いがするような情景も出てこないし。 何かしら非現実的な印象を持つ。 でも、南太平洋の島嶼(とうしょ)世界でも当然のように人間の歴史は繰り広げられ てきた。 それもスケールが大きい華々しい歴史。 そこに住む人々のかけがえのない歴史。他の世界の人々にも教訓を与えてくれるよう な歴史。さらにはアジア史の延長にある歴史でもあるし。 いくら太平洋が広くても、陸地面積は限られていた。海洋資源は豊富だけど、その他 の資源が乏しすぎた。 だから派手めの物質文明は発明される機会はなかった。 文字など存在しなかった。18世紀や19世紀にヨーロッパ人が出没するようになる まで、いかなる文字とも無関係に歴史が流れてきた。 歴史は代々受け継がれる記憶と、記念碑のような岩絵や巨石像。 記憶の歴史は忘れられ、時間の脈絡が怪しくなる。 だからといって、歴史性が乏しいわけでは決してない。隠されてきたものが見えにく いだけなんだ。 大陸の歴史は、古くからいた民族と新しく来た民族が出合い、いさかいを起こした り、入り交じったりして、複雑に絡み合った歴史だ。 でも太平洋世界に進出した歴史は、ただ拡散の歴史だった。 だから、この広大な世界にただひとつの民族だけが住みつくことになった。 ポリネシア人の歴史は海洋を航海することで、始まった。 これは陸上生物であるヒトにとっては画期的なことだ。 人間の冒険心を見せつけるような歴史だ。 私は、この広大な海洋世界に点在する島々を、宇宙に点在する星にも思えるんだ。 未来、こういう感じで、人類は宇宙に進出していくんだろうか。 ★いやぁ、補足としてここでも多くを語ってしまった。(笑)  2回に分けて配信しようかと思ったけれど、まぁこんな感じで1回で語ってしまっ  た。  長くなったから、「みかりんの叫び」は今回はお休みです。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 ★vol.107の参考文献    「海のモンゴロイド」      片山 一道      吉川弘文館    ★次回配信予定は未定です。でも必ず配信しますから。 ★メルマガ宣伝です! 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹     ★彡★彡★彡★彡★彡『蟹屋 山猫屋』★彡★彡★彡★彡★彡 生まれも育ちも北海道育の“みかりん”が、北海道の味覚を全国の方に広めるために 『蟹屋 山猫屋』を立ち上げました。一級品の道産品をお手ごろ価格でネット販売! 読み物としても楽しめるものを目指しているよ。    登録はここ→ http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/kani/   山猫屋の蟹は冷凍ガニではありません。ボイルしたてを食卓に直送! 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹 ↑私、みかりんのもうひとつのメールマガジン。  北の味覚。海産物。蟹おいしいよ〜。  予算はこれくらい。食べる人数はこれくらい。と教えてくれたら、その中で  できる限りのご提案をします!山猫屋の蟹は冷凍物は一切扱っておりません!  さぁ、タラバ食べたいよう、毛ガニ食べたいようのメールをみかりんに書こう!  今が旬の花咲ガニ。秋鮭。生筋子!   ★みなさんの中にメールマガジンを発行している方はいませんか?  相互で宣伝しあいませんか?  連絡ください。 それじゃ、今回はここまで。 あなたのお便り待ってるよ。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 朝、鏡を見ると1本の線が顔を横断。 うつ伏せ寝でシーツの跡が付いたらしい。 ブラック・ジャックのような午前中。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○ やまねこ通信E=MC二乗 vol.107  2004年9月24日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: ◆インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ◆メルマガ発行サービス「メルマガ天国」ID:3743 http://melten.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さに はまったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。 それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━