2001/2/16━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆        週刊 やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.11 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ みかりんです。 今週は、いつもと違って「クローン問題投稿特集号」です。 新しく登録して下さった人、はじめまして。 バックナンバーがあるので、ここ↓チェックしてみてね。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm クローン問題は、とても興味があって、さっさと取り上げようと思っていたら今年に なってからもどんどんニュースが入ってきて、取り上げるタイミングをはかっている 内に11号まで来てしまった。 以下は北海道新聞(私が購読している地方紙)から抜粋。 -ワシントン1月9日共同- アメリカの新興宗教団体「ラエリア」がクローン人間づくりに今月着手することを明 らかにした。 クローン胚(はい)づくりに成功すれば、代理母の至急に移植し、年内にクローン人 間誕生を目指すという。 -ワシントン1月11日共同- 遺伝子組み替え猿が誕生した。 緑色蛍光タンパク質を作るクラゲの遺伝子を組み込んだ、遺伝子組み替えアカゲザル を作るのに成功。 このサルはアンディと名付けられ、他の子ザルと遊ぶなど元気という。ただ、組み込 んだ量が少ないためか、アンディは通常の他のサルと変わらず緑色に光っていない。 サルにアルツハイマー病など人間の病因遺伝子を組み込めば、治療方開発のための実 験動物として使えるとしている。 -1月14日- 小太り遺伝子発見。 小太り、と言えるような軽度の肥満に関係していると思われる遺伝子を群馬大生体調 節研究所の武田純教授らが発見した。 肥満に対する遺伝子は欧米で5種類見つかっているが、日本人に多い軽度の肥満に関 する遺伝子は分かっていなかった。 -ワシントン1月21日共同- 米エネルギー省が、ヒトゲノム研究で、民間企業セレーラ社と提携。 官民が連携してゲノム解読データを分析する次世代コンピューター開発に着手すると 発表。 -ワシントンポスト1月27日- クローン人間来年にも誕生。 親と同じ遺伝形質を持つクローン人間を不妊治療の一環として1,2年のうちに誕生さ せる計画を、米国の生殖医学者が発表した。 手術方法は詳しく述べられていないが、夫との細胞から細胞核を取り出し、妻の乱視 細胞に埋め込んで成長させ、受精卵と同様の状況をつくるなどの方法が考えられる。 -レキシントン(米ケンタッキー)2月1日共同- クローン赤ちゃんの成功に自信 クローン人間をつくる計画を公表した米ケンタッキー大のパノス・ザボス教授は、共 同通信のインタビューに応じた。 「不妊治療の経験を生かし健康な赤ちゃんをつくれる自信がある。倫理問題専門家も チームに加え、経過を公開しながら計画を進める。クローン技術を完成させるのは科 学者の義務だ」 アメリカ発の記事が多いのは、アメリカがクローン実験が法律で規制されていない国 だからだ。 いくら他で規制しても、世界に最も多大な影響を与えるアメリカが規制していないの なら、他で規制してもまったく意味を持たない。 技術が大幅に進歩するのは、以前は軍事開発がきっかけだった。 第二次大戦以前も世界は、植民地政策は正義だったし、ちょっと前までは冷戦構造が 当たり前だった。 私たちは、ずいぶん野蛮で狂気じみていた訳だね。 アポロ計画も米ソ対立という狂気がなければ、月の裏側がどうなっているか知らない 状態からたった9年で人間を月着陸させ無事帰還という事を成し遂げたのもその冷戦 の狂気が原動力だ。 これからの技術革新の機動力は、軍事産業ではなく、「金」になるかならないか。こ こだけだと思う。 クローン技術にしたって将来「金」になる。と、判断した企業がスポンサーになって いる訳だし。 拝金主義になって人として一番大事にしたい部分を切り捨てて前に進んでいるように 見えるんだ。 野蛮で狂気な人間に、せめてロマンを。 それでは、クローン投稿を並べて表示。そのあとに私の見解を。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [吾心]  現実は、できるけれどやらない方がいいとか、やる事の意味とか、そんなアナログ  的なものではなく、できるか、できないか、という、限りなくデジタル的なものだ  と思います。  世界の99%がやらない方が良いと思っていても、残りの1%がやってしまった  ら、その良心は無意味なものになってしまう。  技術的にできるものなら誰かがやってしまう。  好奇心とか、儲けにつながるとか、歴史に名前を残したいとか、いろいろな理由  で。  先に例に出たマンモス。  学術的な研究というのは建前として、マンモスを復活させる本当の理由は、もっと  下世話なもの。  結局儲かるからだよ。  ジュラシックパークじゃないけれど、マンモスを動物園に売ったら、かなり儲かる  よ。動物園側としても、これ以上の客寄せマンモスはないし。  群生だの生態系だのそんなのはあまり重要じゃない。  そんなのを気にするなら、ライオンを一頭二頭ずつ動物園に置かないって。  要は見た目のインパクト。迫力とか、愛らしさとか、カッコよさとか。  表面的なものさえ見られればいいのだから、そこに記号としての動物がいればい  い。  クローン人間について、世界の大多数の人が、やらない方が良いんじゃないかな、  と思っていてもどこだかの宗教団体がすでに実施すると表明している。  やらない方が良い、と思うのは倫理とか宗教観とか、そう言う根本的な問題からな  のだけれども、実施を表明しているのも、宗教団体。  医療過誤で死んだ赤ちゃんを両親の強い依頼で行うらしいけど、独自の宗教観で、  それが良い事だというのであれば、意見は合うはずも無い。  強烈な親の愛を誰も責められないと言われたら、何も言い返す事はできないかも。  宗教観とかそういうのを抜きにしたら、それをやるメリットというのは、技術を  持っている事のアピール、ビジネス化への道。  良心から自分の所ではやらなくても、必ずどこかでやる所が出てくる。  特許でも押さえられたら乗り遅れるだけ。  大多数が二の足を踏めば踏むほど、やった所の儲けは大きい。  そこまでの計算なくして、ねずみの背中に人間の耳を付けたりはしないって。  という事で、クローン技術に限らず、全ての科学技術に対しては、少々悲観的で  す。  一度手に入れた技術は手放す事はできません。  世界の人口の半分がジョン・レノンになったとしても、核兵器は絶対に無くならな  い。  断言してもいい。(以上)  こういう話は居酒屋で酒でも飲みながら、「だぁかぁらぁ」なんて語っている方  が、より伝わると思います(笑) --------------------------- [やまねこ]  不妊のためだろうが何だろうが生物を作り出すのは反対。  それこそ神の領域です。  ただそれによって再生医療などが遅れてはならない。  このことによって多くの苦しんでいる人々が救われるのは間違いがない。  こんなに苦しんでいる人々が多いのは神の失敗としか思えない。  神が及ばない以上人間が出来る限りしなくてはいけない。  ある意味では神から託されているとも言える。 --------------------------- [つるべ]  自己と同じ遺伝子を持つもの」をクローンといい、生命は「再生」という点でも、 「生殖」という活動でもこれを作っているわけです。  これを人工的に行う、といってみても、自然活動に少々人間が手を出す、というだ  けの話ではないでしょうか?   クローン人間の人権は・・とよく話題になりますが、これもいってみれば「人工授  精」と同じと考えられるのでは無いかと思いますが。(まあ個体を作るメリットは  あまりないと思いますが)  それよりも、自分の「臓器・器官」が作れる、というメリットの大きさ!  手・足・胃・心臓、すべて本物の自分のものができるんですよ。   これ、止められますか?  --------------------------- [鴨]    環境に関しても「人間は結局やりたいこと、できることはやってしまう生き物だ」  ということを正面から受け止めて、どうしたらまずいことにならないようにできる  かを考えるべきなのでは。というのが最近の私の考えなのです。「皆が環境を大切  にする気持ちを持とう」「人間が自然環境に生かされていることをわきまえよう」  というのはスローガンであって手段にはならないように思うのです。  先回、「環境と共にということも、進歩を止めることではなく新たな何らかの技術  的進歩の上に達成されるもの」といったのも、そういう意味からなんです。モラル  はあまり期待できません。技術でクリアせねば。という諦観の気持ちがあります。  クローン人間も多分だれかがやっちまうと思います。  自然から浮き上がってしまったのは、人間の原罪であり、人類が続く限り逃れられ  ない。まあそういうもんだと思うしかないかなと。立花隆が「自然環境は生かさず  殺さず」といっていました。さすがにちょっと抵抗のある言葉ですが・・・ --------------------------- [えむ]  今から30年ほど前に、初の「試験管ベイビー」が誕生してます。当時はかな  りの生命倫理の大論争なったようです。しかし、いまとなっては「体外受精」  は、不妊治療としてありふれた「医療行為」になってます。たぶん、クロー  ン技術も四半世紀も経てばそういう技術になると思います。っで、オイラが  思うにクローン技術の先にある問題… それは、自己DNAに関する権利では  ないでしょうか?    例えば、抜群のスタイルのアイドルがいたとします。彼女のDNAを手に入れれ  ば、その容姿を簡単に作り出すことが出来ます。天才スプリンターがいたと  しましょう。彼のDNAを手に入れれば、これまた簡単にコピーする事ができま  す。人間の能力には後天的な物とで、先天性のものがあります。先天性の部  分はクローンで完全にコピーができるのがクローンですからね。  個人が有するDNA… いまのところ一卵性双生児以外で、同一配列の遺伝子を  もつ人間は基本的には存在しません。っで、DNA配列こそが、自分自身って事  になりますからね。そのDNA配列が無断で誰かに利用されたり、改変される事  を考えると… これほどの権利侵害は無いのではないかと? 多分その違和感  ってのをなんとなく感じてるから「反クローン」って雰囲気なるんだと思いま  す。いやでしょ、自分の海賊版が出回ったりしたら。  でも、クローン技術は必要でしょう。臓器移植だって拒絶反応が皆無だし。人  体パーツを培養するような形でのクローン技術なら、精神的に納得できますよ  ね。心臓だけとか、眼球だけとかを創る技術。今でも、大火傷とかすると、  臀部の皮膚を切り取って培養して移植に使うこともありますからね。  ただ、絶対、人間一個体を丸々クローンする奴が出てくると思う。そうなると  話がややこしくなるのですよ。培養タンクに入ってるモノは、元となるDNAの  提供者の所有物なのか… それともモノではなく一人間なのか…。  現在の人間は、母の遺伝子と父の遺伝子が、混合して出来た「無二の遺伝子」  なわけですよ。同じ遺伝子をもつ兄弟がいたとしても、その兄弟から生まれた  わけではないですからね。でも、クローンは全くのコピーを創ることが出来る。  そうなると、遺伝子のオリジナル者が抱くコピーに対する所有意識… これが  怖いですよね。… 2世紀前は人間が合法的に所有されてたわけだし… いま  でも非合法ではあるけど人身売買はありますからね。そうすると自分のコピー、  他人のコピーをを売り出す馬鹿者が多発するでしょうね。売られるクローンが  人間なのかモノなのか? その辺が問題になるんでしょう。  (どこまでのクローンが人間として扱われるのでしょうか? 脳味噌が空なら  全身クローンもあり?) --------------------------- 私は、何故クローン問題にこうも関心があるのだろう。 勿論、絶対反対派だ。 人々が利点を並べる。いわく「不妊治療に役立つ」「拒否反応のない臓器・器官移 植」「発病していない先天的に持っている病気の早期対策」等。 それらの意見をじっくり考える……。私は何故反対なのだろう。自問してみた。 臓器製造のためのヒトの商品化大量生産化。遺伝子的に劣った人間の存在を認めない 優生思想の発達。 ヒトは、遺伝子テストで振り分けられかねない。 通常の受精は精子細胞と卵子細胞が受精することで、夫婦の遺伝子を半分ずつ受け継 ぐことになる。 クローン人間の場合はその人の細胞しか存在していないため、100%父と全く同じ遺 伝子しか受け継いでいないことになる。お腹を痛めた子供でありながら、母親には全 く似ることがない。 極論すれば卵細胞の中に挿入する細胞核は男性のものでなくともよい。相手が女性で あってもその子供がほしいと思えば、その人の細胞を自分の卵細胞の中に入れて着床 せれば、理論的には子供は誕生する。 自分の遺伝子であってもいいわけだ。女性は自分の遺伝子を持った子供を産むことが できるようになる。 つまりクローン技術さえあれば、人類存続において男性は別にいてもいなくてもいい というわけなのだ。 クローン技術で死んでしまった自分の子供や親を復活させてほしいと願う人もいるだ ろう。細胞が残っていれば(髪の毛一本でも!)アインシュタインでもジョン・レノ ンでも田中角栄でも復活可能だ。アドルフ・ヒットラーでさえも! 人はブームに流される。 これから生まれる子どもをデザインする(能力や外見など)デザイナーチャイルド が、解禁になったと想定してみよう。 食べても太らないスリムな体型の子どもが流行になり、そういう子どもを望む親が増 えたとしよう。現在のような社会が続いているうちは良い。食糧危機となり充分な食 料が確保できなくなったとする。そこにはエネルギー効率が悪い人間ばかりいること になってしまう。 良い遺伝子の「良さ」とは、ある時代ある文化の制約の中で定義されたものに過ぎな い。時空を越えた普遍的なものではないんだ。 子どもというものは、父母から半分ずつ遺伝子を受け継いでいるもの。一方だけの遺 伝子を持つ人間というのは、何なのだろう? 遺伝子を自由に操る技術を手に入れたら、キメラ(遺伝子の異なるふたつ以上の合体 生物)も作ることが出来る。出来るということはやってしまうというのが人間だろ う。歴史がそう示唆している。 私たちヒトは手に入れてはいけない技術を手にしようとしているような気がしてなら ないんだ。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 次回からは、また通常通りのやまねこ通信です。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。 ★メルマガ相互宣伝です!  バックナンバーを読んでみて、気に入ったら購読すると良いよ。 ■Weekly Gaia-net ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━             ◆ 週刊ガイア・ネット ◆ ☆大切な人にそっと教えたい ☆動植物や自然、宇宙にまつわる『ちょっといい話・不思議な話』 http://www2.odn.ne.jp/~car77000/ マガジンID  :0000013210(まぐまぐ):003569(Pubzine) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■ ----------------------------------------------------------------------- *****************あなたのホームページ宣伝しませんか?***************** ホームページ情報局はあなたのホームページ、メルマガを約7700人に 宣伝します。メールマガジン購読者には抽選で毎月図書券をプレゼント いますぐ↓までアクセス!! http://www1.odn.ne.jp/~aag70710/hp_shoukai/ ----------------------------------------------------------------------- ☆★☆ ねっとわーくのおべんきょしませんか? ☆★☆ TCP/IPって何?LANってどういうもの?ルータって何をしているの?といっ た内容をわかりやすく説明します。ネットワーク管理をまかされるようにな ったという方、SE・PGとしてネットワークの知識が必要という方、スキ ルアップのため情報処理の試験を受けるという方にぴったりです。 http://www12.u-page.so-net.ne.jp/qc4/survive/ ----------------------------------------------------------------------- それじゃ、今週はここまで。 あなたのお便り待ってるよ。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ちくわの穴。ドーナツの穴。マカロニの穴。 穴がなくても別にいいんだけど、あったほうがいいね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○週刊 やまねこ通信E=MC二乗 vol.11  2001年2月16日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: ◆インターネットの本屋さん「まぐまぐ」 http://www.mag2.com/ ◆メルマガ発行サービス「メルマガ天国」 http://melten.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○週刊やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さに はまったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。 それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━