2005/6/10━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.113 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 6月です。 初夏のこの頃、北海道はそれはそれは素敵な季節に突入します。 今はライラックが咲きその香りが街中に漂うさわやかな北国です。 6月になると札幌近郊の山は、エゾハルゼミの鳴き声でいっぱいになります。 今もエゾハルゼミの大合唱の中で、メルマガ執筆です。 今回は、エゾハルゼミに声援されての発信です。 ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ━■何故ヒトは裸なのだろうの話(4)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 何故、ヒトは裸なんだろう。 前回、劣性の突然変異説を取り上げてみた。 裸の欠点を補うことができる形質が同時に現れたマレな場合だけ、裸で生存できた。 1度起こった裸化の突然変異をほかの2重3重の突然変異でその欠点を補うことが必要だった。 だからそれは重複する偶然で、本当にマレな事件だったんだ。 それでは、ヒトは裸化になって何を失って、その欠点をどう補ったんだろう。 熱帯のマラリアなどは今でも細心の注意を払っても防ぐことはできない。 マラリアになるかどうかは一種の運かもしれない。 それでも毛皮があればこの運を楽なものにできる。 「毛皮を失う」とい無謀さは、どう考えてもとても不利。 裸化に利点はない。でもヒトが成功した理由は裸化にある。という矛盾がある。 結論を先に言ってしまえば、それは「言葉を発する機構」 実は、言葉を発する機構そのものは、とても適応的な構造ではないんだ。 その説明をしてみよう。 喉(のど)は、気管と食道のふたつの管の通り道だ。 気管の上に声帯があって、そのすぐ上で食道と気管が合流する。 この合流部分が喉頭(こうとう)だ。 この喉頭にふたがあって、食物が気管に間違ってはいらないようになっている。 ここまでの構造は、チンパンジーとヒトは同じ。 で、喉頭蓋の上、舌の奥が咽頭。 この咽頭の位置が、チンパンジーとヒトが違う所だ。 そもためチンパンジーでは、鼻からの空気は、咽頭から直接気管に入り、口からの食物は咽頭蓋の低い位置に、食道に入る。 食物のルートと空気のルートが別になっているということだ。 だからチンパンジーは、食べながらでも声帯を振るわせて出した音を鼻からだすこともできる。 食べ物を飲み込む時にも呼吸を止めない。 でもヒトは、咽頭で鼻からの空気と口からのの空気が一緒になるので、声を出しながら食物を飲み込めない。 気管に食物が引っかかる問題がまったくない喉の構造から、何故、食事中は声が出せず、 気管に食物が詰まるという不利な構造に変わったのだろう? ヒトの生存に適切ではない形が現れるのは、これで2度目だ。 裸化と喉の構造と。これは自然淘汰で説明できない。 そこで思い出すのはアルフレッド・ウォレスの「裸化は適応的なはずがない」という言葉だ。 このヒトの生存を危うくする2重の不利な突然変異を、土壇場で逆転したのが言葉。 喉の構造が変わっただけでは、言葉は出ない。 吸い込んだ息を細かく吐き出して、吐く息に音色と高低と強弱をつけて自在に操る、肺、口周辺の筋肉、 それを支配する神経系の発達。 そのすべてがいっぺんに起こったと考えるしかないという事になる。 (※ 現代人の特有の咽頭の位置と構造は、直立二足歩行によって獲得したという説もあります。) 裸化と言葉がいっぺんに起こったと考えるなら、この前号で語ったように裸化は1属1種でしか起こらないという事を 考え合わせれば、ネアンデルタール人は、自前の毛皮をまとっていたし、言葉を持っていなかったということになります。 でも脳容量は現代人よりも大きいとされています。 さて、裸になって言葉を持ったヒトは(4号にまで渡って語ったけれど、あくまでも仮説です)、 この裸を維持する文化を作って伝えていった。 家と焚き火なしでは生きていけない集団だったから、それを守る特別な社会構造を作ったんだ。 そうして大脳の前頭葉が巨大化していった。 すべての問題は、そこにある。 巨大化した前頭葉は、ヒト特有の能力が生み出され、これまで手放しで評価されてきた。 でもね、野生動物としてみたヒトはどうだろう? 現世のヒトは、生態系の枠組みを壊してまで繁栄してきた。 これでは、不完全な動物ではないのか? 死後への恐怖という想像上の恐怖におびえるようになった。 アフリカ海岸の遺跡の貝のサイズを測ると、中期旧石器には、成長した貝がほとんどなのに、 後期旧石器には未成熟のサイズの貝ばかりになっていた。成長しきる前の貝を採集していたのがわかる。 将来への恐怖が、資源浪費につながっている。 貝殻のサイズの例は、ヒトが過剰消費型の動物だという事を示している。 何故そういう事になってしまうんだろう? 不測に備えるから。想像される将来に備えるから。そこにあるだけでは満足しない。 食物がなくなる季節にはどうする? 子どもたちが増えたら? 動けなくなったら? 将来の不安、想像上の不安が、必要以上の採取、蓄積する衝動になっている。 食物だけではなく、死後の恐怖という幻影におびえ、想像上の敵を作り出して憎悪を強めるという傾向も 前頭葉の働きだ。 この巨大化した前頭葉が、生命維持とは反する問題も引き起こすという事でもあるんだ。 そういう「裸化し、完全ではない欠陥があるヒト」という見方は必要じゃないかと考えるんだ。 ━●みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「新説 ステゴザウルス」 1億4千万年前ジュラ紀後期に繁栄した、全長6mほどの大型恐竜ステゴザウルス。 背骨に沿って互い違いに、大きな板(皮骨板)が何枚も並んでいるのが特徴だ。 その機能は、さまざまに推測されていた。 私は、温度調節のためと、昔、何かに書かれていたのを覚えていた。 カルフォルニア大学などの国際チームが、このたび「ステゴザウルスの大きな皮骨板に用途なし」とする 新説を発表した。 あまりに特徴的なこの皮骨板は、これまで、体温を調節するラジエーター説が有力だった。 皮骨板の中に血管らしいものが走っていたからだ。 でも今回の調査で、血管だったとしても行き止まりになってしまう、末梢神経で温度調節には不向きだという。 それほど堅くないので防御にも向かないという。 オスとメスでも特に違いもないから、異性を引きつける目的でもなさそうだという。 う〜ん、う〜ん。あれほどの大きなものが用途なし? 面白い。わからないことだらけだ。世界はわからないことだらけだ。 ステゴザウルスの皮骨板は不思議だ。 キリンの首が長いのは、高い木の葉を食べるため、という理由があって良かったね。 現世の動物で、容姿にまったくの理由が見つからなかったら、とても困るだろう。 ゾウの鼻が長いのは、化石からも分かるのだろうか? ずっと未来、ゾウなど忘れられてしまったくらいの未来。 化石からあの長い鼻の容姿がわかるのだろうか? 恐竜は、もっと毛むくじゃらかもしれない。耳があるかもしれない。カラフルかもしれない。 今想像されている形とは全然違うかもしれない。 何億年も前の地球のことやその生物の事も、なにもわからなく、 今現在の地球のことやその生物の事も、よくわからなく、 未来のそれらのこともよくわからなく。 そういう混沌の中に私たちはいる。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [Ogamino]さん。  「人は何故裸なんだろう?」で、私が直接その論議に向わないのは、その論議以前に、  人は不完全に裸であって、完全無毛ではない、無毛化の途上にあるようだからです。  毛のあるところ、無いところ、・・・そういう変化が何故起こったか?  そこに 無毛化のプロセスがあるのか、ないのか?  それを歴史的に、かつ生物学的に観察し、考察すればおのずと人の、哺乳動物一般の  毛というもについての相対的な認識ができるはず・・・と思ったからです。  みかりんさんの「ハダカネズミ」の事例から 人の裸論に至る話も  確かにおもしろい、又それなりに意義のあることと思います。   「何故あそこにあって、ここにはないのか?」・・・というような身近な問題に目を向けず、  大論にだけ関わるのでは、ろくなことが見えない、あんまり有益なこととも思えない・・・というふうに、  漠然とですが感じているんです。  科学の考えは 現象から本質へ、本質から更なる支配法則へ、そして又そのバックグラウンドへ・・・と探求が続きます。  又「何故あそこにはあってここにはないんだろう?」、  という問いには、原子論や、中間子理論や、素粒子論、などの物理科学とも、共通する科学的思考でしょうね。   私たちが立てる素朴な問いは、すべての道がローマに通じるように  この問いが 深遠な生物界の現象、原理に通じている。  そしてこの問いにある答えを出そうとしたら、一生や二生はかかるかも知れません。   なにも命題は 「人は何故裸なんだろう?」、だけでなくてもいいわけです。  どこからでも E=MC2 のような世界をいつか見ることができるはずだから  好きな命題から入ったり進めたりしてすればいいはず。  でも私はこの命題を持ち続けてみたい気がします。 -------------------------------------------------------- 「何故裸なんだろう」の次に「何故部分的に生えているんだろう」の疑問が生まれます。 時々思うのですけど、何故に答えはあるのでしょうか? 特に生物に関しては、もしかしたらあまり明確な答えなどないのかもと思ってしまったりもします。 漠然とした感覚なのですけど、生物はいつも「有利」や「効率」の方向だけに動くともかぎらないからなのです。 私たちの経済活動は、効率優先です。 その反動でたとえばファーストに対してスローフードという事が言われるようになってきました。 または、地産地消なども言われています。 でもね、それすらも「長い目で見ればその方が安全で安心で健康的なの」という長期型の有利、効率主義だからじゃないかと疑ったり。 ヒトの脳がそういう効率主義を好むのかなと思ったり。 あ、すみません。Ogaminoさんの文の返事にはなっていませんね。(笑) ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★「何故ヒトは裸なのだろうの話」は、4号に渡って書いてやっと終わりました。 いままでやまねこ通信を書いていて、心がけていたことは、「メイン記事」は、なるべく私の主張を入れない話を。 「みかりんの叫び」は、事実と根拠はちょっと置いておいて、「私はこんなフウに世界をみてるんだぁ〜」という、 みかりんというフィルターを通した偏った見方を書いてきました。 で、今回の「何故ヒトは裸なのだろうの話(4)」は、そういう意味では、メイン記事にふさわしくないのです。 「みかりんの叫び」側の主張です。 それで、前回、破綻予告をした訳です。 だから「何故ヒトは裸なのだろうの話(4)」は、予告通り破綻編です。(笑) ★裸の動物は、ハダカデバネズミと、オヒキコウモリと、コビトカバと、バビルーザだけなどと断言していましたが、 イヌ科のヘアレスドッグもいますし、ネコにもスフィンクスという無毛品種がいます。 ものすごくうろ覚えで、申し訳ないのですが、ヘアレスドックは、毛だけじゃなく歯もない?という怪しげで不確かな記憶があります。 でもインカの頃からの古い犬種で、狩りは牙を使わず(無いからね)、前脚で絞める?という方法を使うという記憶があるんです。 ネットで調べたけれど分かりませんでした。 裸化は、毛を失うだけではなく道連れに、別の何かも失う劣性遺伝子というのは、ある程度は当たっている事なのかもしれません。 ヒトは、毛を失って、想像上の敵を作って暴走しているのかもなぁと思うと、合点がいったりするのです。 ★前号メイン記事の8行目。 「そのため、無痛の環境で飼育すると生後21日までに50%が、60日までにほとんどが感染症で死んでしまう」        ~~~~~~         ↑        「普通の」です。変換ミスです。無痛の環境じゃ意味不明です。すみません。    ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 ★vol.113の参考文献         「裸の起原 不適格者は生きのびる」  島 泰三   木楽舎          北海道新聞5月19日         ★次回配信予定は未定です。でも必ず配信しますから。 ★メルマガ宣伝です! 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹     ★彡★彡★彡★彡★彡『蟹屋 山猫屋』★彡★彡★彡★彡★彡 生まれも育ちも北海道育の“みかりん”が、北海道の味覚を全国の方に広めるために 『蟹屋 山猫屋』を立ち上げました。一級品の道産品をお手ごろ価格でネット販売! 読み物としても楽しめるものを目指しているよ。    登録はここ→ http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/kani/   山猫屋の蟹は冷凍ガニではありません。ボイルしたてを食卓に直送! 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹    ↑↑↑  私、みかりんのもうひとつのメールマガジン。  北の味覚。海産物。蟹おいしいよ〜。  予算はこれくらい。食べる人数はこれくらい。と教えてくれたら、その中で  できる限りのご提案をします!山猫屋の蟹は冷凍物は一切扱っておりません!  さぁ、タラバ食べたいよう、毛ガニ食べたいようのメールをみかりんに書こう!  さぁ、6月だ。海水ウニのおいしい季節が来だよ。  ウニ屋山猫屋になる季節。ウニだよウニ。時代は季節は蟹じゃなくウニだよ。(笑)  うそうそ、蟹ですってば。(にこっ)  父の日に、ウニ、カニ、アスパラはいかがですか?   ★みなさんの中にメールマガジンを発行している方はいませんか?  相互で宣伝しあいませんか?  連絡ください。 それじゃ、今回はここまで。 あなたのお便り待ってるよ。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 右足に、今まで感じたことのない感触が……。 こわごわみると……カレイの煮付けの中に右足が! こんな所にカレイの煮付けがっ! ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○ やまねこ通信E=MC二乗 vol.113  2005年6月10日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: ◆インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ◆メルマガ発行サービス「メルマガ天国」ID:3743 http://melten.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さに はまったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。 それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━