2008/4/9━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.127 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 最近、すごいですね。 何がってエコブームがです。 スーパーのレジ袋がなくなりそうな勢いです。 私たちがあのピラピラした袋を使わなくなったら、 ホッキョクグマが助かると思っているのでしょうか。 インタビュー  「レジ袋をやめたスーパーの店長さんにインタビューです。レジ袋やめましたね」 スーパー店長 「やめるとなんか『環境を考えてる』っていう良いイメージですしね。           印象が上がって売り上げ増に期待してます」 やまねこ通信の語る範囲は、 「動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学」と範囲を限定していて 政治・経済を語るというスタンスはないのです。 でも、この所の妄信的な脅迫的までのエコブームは、どっかりと「経済」が絡んでいます。 それと国際政治の力関係も絡んでいます。 あんまり政治経済の切り口で語りたくなかったんです。 温暖化現象について、今までは、それ以外の切り口で何度も語ってきました。 今年の夏、北海道で環境サミットがあります。 北海道在住の私が、自然科学(環境含む)を語るこの場で このテーマをスルーできないよなぁと思いまして、重い腰をあげて語ってみます。 あんまりコアな反対意見がくるとげんなりだなぁと思うのもあって躊躇していたのも事実。 ・京都議定書の京都メカニズムは失敗したっぽい。 ・地球温暖化は、CO2の増加ってホント? この2点で語ってみます。 長くなります。だから他のコーナーは今回はお休みです。 ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ━■京都議定書の京都メカニズムは失敗したっぽい話━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 京都議定書の最大の功績は「温暖化ガスの排出削減について、数値目標を定めたこと」にあると言われています。 「環境を守ろう」という心がけのレベルではなく、削減すべき排出量の割合、目標を達成できなかったときの ペナルティーとしての「排出権取引」も提示して、実行力のある条約になったという評価です。 京都議定書はもともと中国、インドなどの新興国を押さえ込むための条約であった。 「全世界で削減義務を負う」という名目のもと、彼らに削減義務を与え、経済成長を抑えこもうとした。 でも、このもくろみは失敗。 新興国、途上国陣営から「先進国が原因の問題で、何故我々の発展が制約されるのか」と猛反対がおきた。 そうりゃぁ、そうだろうね。誰でもその立場ならそう思う。 で、削減義務は先進国のみに課せられることになる。 ここで苦境を切り抜けた国々があった。 EUだ。 数値目標の基準年を自分たちに有利な1990年に設定することを主張し、 見事、削減率を実質的に「増加率」に化けさせるというミラクルを成功させた。 この図を見て欲しい。↓ http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/co2.htm ここに主だった先進国に京都議定書が貸した削減率と実際の排出量、議定書の実施状態を表にした。 削減率の所に「会議の時」とあるのは、京都議定書が開かれた1997年の時点で、基準年の90年から どれだけCO2が増えたか(減ったか)を表しています。 「署名」とは議定書で課せられた削減率。 「差引」とは、そのふたつを差し引いた“実際の削減率”です。 ドイツ、イギリスはEU加盟国として8%の削減義務を負ったはずなのに、97年までにCO2を減らして いたことが功を奏して、実際にはそれぞれ11%、5%の「増加率」を確保。 これが1990年のトリック。 1990年代とは、ヨーロッパが急激にエネルギー効率を改善した時代だった。 たとえばドイツ。 ドイツは90年時点では東西ドイツの統一を果たしたばかりで、省エネレベルがとても低かった。 省エネどころか公害物質が出放題だったといわれる旧東ドイツの工業地帯を抱えていたからだ。 でも、それは改善の余地が多いっていう意味でもある。 東ドイツの他にも、旧共産圏の国々は西側の経済体制に飲み込まれることで、急速に省エネ率をあげ、 CO2削減を達成した。 イギリスでも90年の時点では高効率発電が全電力の0.1%に過ぎなかったのに、99年には34%まで急増。 でも1980年から省エネ化を始めていた日本ではこうはいかない。 結局、京都議定書に参加した155ヵ国中、実質的な削減を義務づけられたのは、 アメリカ、カナダ、日本の3ヵ国のみというおかなしな結果となる。 世界最大のCO2排出国であるアメリカはこの不利な結果に怒って批准を拒否。 カナダも2007年4月に離脱。 今や、京都議定書の削減義務を遂行しているのは、世界でただ1ヵ国、日本のみとなった。 日本にとって6%の削減を実行するのは至難の業。 理由は2つ。 ひとつめ。 1990年以前から相当な省エネをしていたので、大幅な改善の余地はない。 ふたつめ。 1990年から2005年までの実質GDP(国内総生産)とCO2は比例関係にある。 日本が、経済成長策をとっている限り、CO2は増え続けるってこと。 だから1990年を基準にすると、日本はCO2排出を6%削減するどころか、05年までに 16%増加させてしまっている。 このままだと間違いなく削減目標は達成できない。 で、そこで登場するのが「排出権取引」。 緩和措置という名のペナルティーだ。 京都議定書では、削減目標を達成できなかった国は、国同士で排出枠を取引したり、 他国の排出権事業に取り組むことによって、自国の削減分に充てても良いとしている。 これを京都メカニズムという。 だから、日本は排出量に余裕のある国から未達成分を購入しなくてはならなくなった。 日本政府や日本企業によるCO2排出権の買い取りは始まっている。 売買は国同士で行う場合もあるけど、EU内にあるCO2の取引所を介する場合もある。 ロンドンにあるCO2の取引所では、株みたいに二酸化炭素に価格がつき、日々取引が行われている。 今、この「排出権取引」が大ビジネスに育つと世界中が注目している。 京都議定書から離脱したアメリカもCO2の市場創設には前向きだ。 そうして、そのCO2市場で「いいカモ」になっているのが我らが日本。 日本は、膨らむ一方の未達成分を相殺するために、CO2排出権を買いまくっているんだけど 買うばかりで国内に自前の市場を持たないので、価格形成力がなく、不利な条件で売買を押し切られる。 だったらEUのように国内の排出権取引市場を作ればいいじゃないかという考えがあるけど、 「排出権取引では、削減策にはならない」(御手洗冨士雄経団連会長)という産業界の強い反発がある。 何故、産業界が反対するかというと、国内に市場をつくり、企業にも排出枠が課せられるようになると 国内産業は、国際競争力を失ってしまうんじゃないかという事を怖れているらしい。 でも、このままだと金本位制じゃなくてCO2本位制とも言われる世界経済から日本は取り残されかねない。 日本は、京都議定書の約束の期間が終わる2013年以降の排出権は購入していない。 でも他国はすでに買い占めに走っている。 この間、財務省は今後の排出権購入のための必要予算を最大で1兆2000億円と試算した。 でも、これは京都議定書の約束期間の2012年までの話。 早く手を打たないと、日本は将来的に大きな代償を払うことになると思う。 で、こうやって日本が出遅れている間に、EUは新たな動きを見せている。 EUの新規戦略は「1990年基準、EU27」だ。 京都会議は、ヨーロッパは「EU15」だった。つまり旧西ヨーロッパを中心とした15ヵ国で参加だった。 今後、27ヵ国にしようとしている。 新たに加わる国のほとんどが旧共産国。 計算基準を1990年にする限り、前回と同じ論理で平均36%の削減が達成できる見込みになる。 EUは京都議定書で「協同達成(加盟国全体として目標を達成すること)」の概念を認めさせている。 今後も、改善余地の大きい旧共産圏がEUに加われば加わるほど、この仕組みが威力を発揮する。 EUは削減のための貯金を持っているようなものだ。 自分たちに有利な条約を結んで、削減義務を負うとしないEU。 京都議定書の批准を拒んだアメリカ。 それに比べて、最後の一国になってもCO2排出削減にまじめに取り組み、 削減できない分は、世界中から排出権を買い集めている日本。 あぁ、なんて誠実な日本。 でも国際社会での評価は「誠実な日本」とは正反対だ。 「京都議定書を守ろうとしているけど、継続的な経済政策を採っている」 「議定書を守ると表明しているけど、世界中から排出権を買って済ませようとしている」 今や、世界の5%しかCO2を排出していない日本だけが削減義務を負い、 他国は皆、CO2排出を増やす権利を持っている。 京都議定書の目的であったCO2削減の達成は不可能となった。 1990年を基準として、2003年の時点で世界のCO2は16%増えている。 日本は15%増えたけど、中国は73%、インドは88%増だ。 EUは見かけは3%の増だけど、共産圏の寄与がなければ13%の増。 京都メカニズムで行われていることは見せかけの削減。 「気温の上げ下げ」というのは科学現象なのだから、国際政治の駆け引きによって 見かけ上、削減しても意味はない。 主要国が削減する意思を持ち、現実に削減しないと効果はない。 まして今、日本のマスコミや政府が呼びかけている「個人の心がけ」程度では何も変わらない。 たとえば、各国が「鎖国政策」を採り「貨幣経済」でなければ、「個人の心がけで温暖化を防ぐ」というのは もしかしたら多少は効果があるかもしれない。 世界はすでにグローバル化して、金融は国際化で自由化が進んでいる。 そんな中で日本人だけが「わたしにできること」と言ってもなぁ。 編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★南太平洋の小国ツバルは「温暖化の影響で、世界で最初に水没する島」として  お正月の温暖化スペシャル番組でも放映された。  でもね、ハワイ大学の調査ではツバルで現在起きている海面上昇は、地盤沈下が原因とわかっている。  で、ツバルは、日本などの報道をテコに、先進国から援助金を集めようと躍起になっている。  そしてもちろん心優しい誠実な国である日本は、ツバルへの支援を決定している。 EUにしても小国ツバルにしても、みんなシタタカだね。 ★マスコミが報道すべきは、日本の省エネ技術の高さだよ。  あの「不都合な真実」のアル・ゴアでさえ  「日本はGDPは世界の10%を占めるのに(2006)、CO2排出量は世界の3.8%(ゴア氏の数字)。  世界平均からみると日本の省エネの割合は3倍」と賞賛している。  日本の自動車に乗ることで、いかに温暖化防止に寄与できるかも示している。  普通に考えれば、先進国の中でもっとも温暖化に貢献している日本が外国から排出権を買うのは  滑稽だ。  「燃費のすくない日本車」「省エネ家電」「省エネ技術」これらと引き替えに排出権を獲得できる制度が  あれば、日本は排出権赤字どころか黒字にもなるのに。  経営者が必死になり、若い技術者がそれに応え素晴らしい製品をつくる。  技術者の成果を政治が生かしてこそ、技術開発のモチベーションは上がる。  活力が生まれGDPがあがり、国民が元気になる。  なんか逆の事をやっているような気がする。マスコミも政治も。 ★今回は ・京都議定書の京都メカニズムは失敗したっぽい。 ・地球温暖化は、CO2の増加ってホント? の2本立てで語るつもりでした。 でも、第一部、長すぎ。(笑) そう間を置かないで、第二部これから書きます。 今度は、もっと本来の「やまねこ通信 E=MC二乗」の分野です。 温暖化の原因って、本当にCO2なの?っていう、そもそもの所に疑問を当てていきます。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 ★vol.127の参考文献         2008年文藝春秋3月号p196「日本よ、『京都議定書』を脱退せよ」    竹田邦彦              ★次回配信予定は未定です。でも必ず配信しますから。 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹     ★彡★彡★彡★彡★彡『蟹屋 山猫屋』★彡★彡★彡★彡★彡 生まれも育ちも北海道育の“みかりん”が、北海道の味覚を全国の方に広めるために 『蟹屋 山猫屋』を立ち上げました。一級品の道産品をお手ごろ価格でネット販売! 読み物としても楽しめるものを目指しているよ。    登録はここ→ http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/kani/   山猫屋の蟹は冷凍ガニではありません。ボイルしたてを食卓に直送! 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹    ↑↑↑  私、みかりんのもうひとつのメールマガジン。  北の味覚。海産物。蟹おいしいよ〜。  予算はこれくらい。食べる人数はこれくらい。と教えてくれたら、その中で  できる限りのご提案をします!山猫屋の蟹は冷凍物は一切扱っておりません!  さぁ、タラバ食べたいよう、毛ガニ食べたいようのメールをみかりんに書こう!  北の食材たちは脂が乗っておいしいです。  この機会に、どうぞ冷凍ではない蟹を!  ご贈答に、山猫屋の海産物を。 ★今、毛ガニ安いです!! ★みなさんの中にメールマガジンを発行している方はいませんか?  相互で宣伝しあいませんか?  連絡ください。 それじゃ、今回はここまで。 あなたのお便り待ってるよ。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 急に天から啓示があり(笑)、JAZZピアノに挑戦する。 で、私はリズム感の欠如という決定的な致命傷があるのを思い出した。(笑) まずはこのリズム音痴をなんとかしないと。 たとえばCコードって普通ドミソでしょ。 だけどジャズだとCと指定されていてもミソラレとかミソシレで対応…って、そんなぁ。 何から何まで色々と違います。 ってか、音楽って数学だ。 それが苦手だから絵画に行ったのに…なんで今になって音楽なんだ?まったくぅ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○ やまねこ通信E=MC二乗 vol.127  2008年4月9日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: ◆インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ◆メルマガ発行サービス「メルマガ天国」ID:3743 http://melten.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さに はまったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。 それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━