2011/10/19━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.137 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 秋も深まってきました。 春から夏にかけて賑やかだったセミの声は、秋の鳴く虫にバトンタッチです。 夜、ころころころりーりーと囁く秋の虫たちの声に耳を傾けるのが好きです。 生き物が好きなんですね。 思えば動物に関する本などは小さな頃からずいぶん読んでいました。 だから動物のちょっとした話も知っている方だと思っていました。 でも世界は広くて深くて、私の知識なんかホントたいしたことがないのをよく思い知らされます。 今日の話題は「動物の意外な話」です。 ええええっっっ、そうだったんだぁ、知らなかったぁっていうお話。 ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm 「ラジオ山猫通信」もここから聞くことができます。↑ ━■動物の意外な話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 私は歴史物がちょっと好きで、守備範囲が幕末と戦国です。 竜馬と信長が好きだからです。だから去年のNHK大河ドラマの「竜馬伝」は熱心に見ていました。 今年の大河の「江」はトヨエツの信長が死ぬところまで見ていました。 だから今年は前半の数回だけです。トヨエツの信長はゾクゾクするほど格好良かったです。 で、来年の大河ドラマは? と気にしていたら松山ケンイチが主役の「平清盛」という事です。 私が松山ケンイチを知ったのは数年前のデスノートのL役でした。 うわっ!そのまんまじゃん。って。デスノートの原作はマンガです。 そこにでてくるLっていう役をマツケンが演じているんですけれど、そのそっくりっぷりが ただごとではないのにビックリしたんです。 後で知ったんですがマツケンはカメレオン俳優と呼ばれているんですね。 カメレオン俳優っていうのは、役柄ごとに演技や外見を変えて 固定したイメージのない役者さんのことです。 憑依型俳優ともいうそうです。なるほどねー。 と、ここでやっと話がカメレオンまで来ました。 長い前振りに付き合ってくれてありがとう。(笑) そう。カメレオンの話をしたかったのです。 カメレオンといえば体の色を周りに合わせて変化自在に変えるという事で、 カメレオン俳優という言葉ができたのでしょう。 でもね、カメレオンが周囲の色に合わせて自分の体の色を変えるっていう 人々の間に長く信じられているこの説は、間違いだっていうんです。  ええぇぇ、私はずっと信じていましたよ。 カメレオンっていえばそれが一番の特徴でしょう。 究極の保護色を持つ動物だって思ってました。 本当は、カメレオンはたいてい周りの色とは無関係に自分の体の色を変えているんです。 カメレオンが体の色を変える時。それはほとんどの場合、体温調節のためなんですね。 カメレオンは変温動物です。 変温動物っていうのは周りの気温によって体温が変化する動物のことです。 爬虫類、両生類、魚類などほとんどの動物は変温動物です。 哺乳類と鳥類は恒温動物と言って自分で体温を作り出します。 その変温動物のカメレオン。 朝、日が昇ると太陽からの熱を吸収しやすくするために、体を暗い色にするんです。 そうして体が充分に温まってくると、今度は体の色を明るくさせて太陽光を反射させるようにして、 体温調節をするんです。 それじゃさ、カメレオンの本来の体の色って何色なんでしょう。 緑色っていうイメージがあるんですけれど、違うのかな。で、調べてみました。 カメレオンには本来の色というものはなく、黄色、緑色、褐色の3の色素細胞の色素の粒を 広げたり縮めたりして色を変えているので、全部本来の色なんです。 そして体調が良いときは明るい色で、体調が悪いときにはくすんだ色になるんです。 ですから死んだときは、極端に体調が悪いって事でもありますから、くすんだ色になるんです。 樹上で日に当たっていれば明るい黄色〜緑色系、日陰や岩場などだと暗い緑色〜褐色系、 となるようです。 で、体の色が変わる条件で、ちょっと面白い事を知りました。 オス同士が縄張りを巡って争う時、お互いに体の色を変化させて 「お前、こんな明るい色だせるか?」とか 「どうだ?俺の体の色、明るいだろう?まいったか?」という静かなケンカをするんです。 どっちが体の色を明るできるか競争という見た目には平和な戦いです。 静かな戦いで、そういう性質を知らなかったら、とてもそこで激しいファイトが行われているとは 気がつきません。 カメレオンの体の色は、元気や気分にも反映するものなので、本当に元気で闘争心旺盛で やる気満々じゃないと明るい色は出せないんですね。 変温動物であるカメレオンが元気であるという事は、体温が高いこと、 暗い色にして熱を吸収する必要もないことで、誤魔化しが効かないんですね。 戦いの勝敗は見るとわかります。 負けた方が体の色を暗い色にして 「負けました。もう体の色を明るくする力もありません。太陽の熱を吸収するため黒っぽくします」 というのが負けを認めたサインになるんです。 なんかもうカメレオンのイメージが変わってしまいました。 それじゃぁ、周囲の色に合わせて体の色を変える動物っていないんでしょうか。 います。ニホンアマガエルです。 日本各地にいるアマガエルです。このカエルの私たちのイメージは、全身が明るい緑色です。 小さくて可愛らしいカエルです。 アマガエルは実際には緑色に褐色の斑紋が入っていたり、褐色の地にもっと濃い褐色の斑紋が 入っていたり、全身がほとんど黒かったという状態までいます。 全身が鮮やかな緑色の印象が強いのは、葉っぱなどの上にいて、その状態のものが よく見かけるからなのでしょう。 緑色に褐色が混じっている時は、水辺や水の中にいる時。もっと褐色が濃くなるのは、 木の幹や枯れ葉の上にいる時。 そしてアマガエルはさっと体色を変えることはなくて、10分とか20分とかかけてじんわりと 色が変化していきます。 カメレオンは1分とか2分という単位で色が変わります。 さっと顔色が変わるのは人間の方かもしれませんね。(笑) 財布をなくしたとき、嘘がばれそうになったとき、何かをやらかして恥ずかしい思いをしたとき。 人間は顔色を一瞬にして変えてしまいます。 または人間はひとの顔色をうかがうこともしますね。(笑) そうそう、冒頭のカメレオン俳優の話。 周りの状況に合わせてというのならカメレオンよりもアマガエルの方が 得意なんだから、カメレオン俳優というよりもアマガエル俳優っていう言い方の方が 合っているという事になってしまいます。 アマガエル俳優。なんか微妙な言い回しですね。 カメレオンが周囲の色よりも体調や気分で色を変える話も知らなかった私ですけど、 次に紹介するフジツボの話も知りませんでした。 フジツボってアレですよ。海にいるフジツボ。岩場や船底にくっついているフジツボです。 私のフジツボの思い出といえば、子どもの頃、岩場に遊びに行った時、フジツボを石で潰して 中の肉を取りだし、針金の先に付けて、岩場の隙間に入れて小さな蟹を釣って遊んだのを 覚えています。 その蟹をどうするって訳でもなく、釣って遊んで満足して逃がしてしまうだけなんですけれど。 そのフジツボが貝じゃないっていうんです。 いや、どうみても貝でしょう。 このどこから見ても貝にしか見えないフジツボは、ずっと貝だと思われてきました。 あれ?これって貝じゃないよ、エビ、カニの仲間じゃない?って判ったのが19世紀初めのことです。 フジツボのタマゴが孵化すると、ノープリウス幼生という甲殻類特有のものになる事が判ったからなんです。 19世紀半ばになるとあのチャールズ・ダーウィンがフジツボの研究に没頭する生活に入ります。 ダーウィンのフジツボ生活は8年にも及んだそうです。 ダーウィンの次男、のちの地球物理学の父と呼ばれるジョージからすれば、 おとなとはフジツボを研究する人のことと思いこんでいたようです。(笑) ダーウィン家のお隣に住む、銀行家で天文学者で数学者でもあるラボックの子どもに、 「きみのお父さんはどの部屋でフジツボを研究するの?」って聞いたというんですから。 それにしても、すごいですね。 何がって、登場人物がです。 あのダーウィンの次男がのちに地球物理学の父と呼ばれる人です。 このジョージは天文学者で数学者でもあります。その隣に住むのが銀行家で数学者で天文学者。 町内会にそんなに何人も学者先生はいないですよね。普通。(笑) フジツボは、岩にくっついた生活をします。そこから一生動きません。 他の甲殻類とはそこが大きく違います。 エビやカニが、歩き回る足は、フジツボの場合、形を変えて萬脚というものになりました。 海の中のプランクトンを濾過して食べるためのものになったんです。 富士山型の貝殻状のものは、エビの背中、カニの甲羅に相当します。 でも他の甲殻類とおなじように脱皮もするようです。 でも脱皮と言っても内側からなんです。殻の内側から外にえいっと出すんですね。 フジツボの子どもは、岩にくっつくとき、仲間がくっついている近くを好むんです。 だからフジツボは集まってくっついている事が多いんです。 これはフジツボが動き回って繁殖相手を見つける事が出来ないからなんでしょう。 そしてフジツボは雌雄同体です。 でも自家受精することはないみたいで、近隣のフジツボが繁殖相手になるようです。 そのためにフジツボは長いペニスを持っているんです。 体長の8倍の長さのペニスっていうのは、たぶん動物界のギネスものだと思われます。 さてフジツボにまつわる面白い話があります。話は20世紀初頭の日露戦争の頃に飛びます。 最後に意外な形でフジツボの話になりますので、まぁ聞いてください。 日露戦争の前の世界情勢のおさらいをします。ロシアの仮想敵国はイギリスでした。 そしてイギリスとフランスは植民地をめぐって対立していて、イギリスはドイツとの同盟を 模索していました。 当時ロシアは凍らない港を求めて南下政策をすすめていました。 朝鮮半島がロシアの勢カ圏になる事は、日本がロシアに奴隷化されるという事。 だから日本は大国ロシアと、国家の存亡を賭けて戦争を決意したんです。 近代に入ってアジア・アフリカの有色人種は、白人社会にいいようにされていて どんどん植民地化されていった時代です。 アジアの小国日本vs大国帝政ロシア。 ロシアのバルチック艦隊が日本の戦力の3倍というデータに、世界各国は、 日本が負けるに決まってるムード一杯で注目しています。 ここで日本が負けると、アジア・アフリカの植民地化はもっと進むでしょう。 明治維新も日本史の奇跡でしたけど、日露戦争も日本史のいや世界史の奇跡です。 東郷平八郎司令官と秋山真之参謀のコンビの活躍でバルチック艦隊をやぶってしまい、 世界中が驚いてしまったのです。 で、ここでフジツボの登場です。 この勝利の陰にはフジツボがいたんです。 もうちょっと説明しますね。 日本の連合艦隊と対馬沖で対戦したロシアのバルチック艦隊は、はるかバルト海から 派遣されています。 小型の艦船はスエズ運河を経由して、大型の艦船はアフリカ南端の喜望峰を経由して マダガスカル島で落ち合いました。 そしてさらなる援軍を出すからと、そこで待機命令がでたんです。 そんなことをしているうちに半年以上も月日が流れています。 そうしてやっとのことで日本海に到着したバルチック艦隊の船底はフジツボだらけ。 フジツボびっしり。  そう、フジツボは、さきほどお話したように雌雄同体で密集する性質があるんです。 当時は白人社会の植民地ブームです。 イギリスは植民地政策全盛期の頃。 この頃日英同盟で、日本とイギリスは仲良しだったんで、ロシアのバルチック艦隊は、 イギリスの支配する地域の港に寄ることも出来ず、中立のフランスやドイツもこの戦いを 静観するばかりで協力的ではなかったんです。 ロシアはフジツボを落とす事ができなかったんです。 フジツボはどんどん船底にびっしりとくっついて、 船は30%も減速するような事態になっていたのでした。 世界史の奇跡、日露戦争の日本の勝利は、 東郷司令官と秋山参謀とフジツボの3者のチームワークのたまものだったんです。 大国ロシアのアジア侵略を小国日本が止めたんです。 この奇跡はその時は良かったんですけれど、ひとつ勘違いがありました。 国民が「もしかして俺たちってすごくね? 俺たち最高!」と思ってしまった事なんです。 この勘違いは太平洋戦争の敗戦まで続きました。 ともあれ、大国のアジア侵略を止めた功績の一部に、 フジツボの「固まって生息する」という習性があったというお話でした。 もうひとつ私の知らなかった動物の話をしますね。 東京にある葛西臨海水族園という所で今年の夏から、血液が透明な魚が世界で初めて 公開されています。 この魚はコオリウオという南極の海で暮らす魚です。 血液が透明なのは脊椎動物ではこのコオリウオの仲間だけです。 イカなんかも血液は透明だけど、イカは脊椎動物じゃないですから。 この魚は、水温を1度〜2度に維持しなきゃならないんで生きたまま捕獲するのが難しくて、 水族館での展示の例は今までなかったんです。 生きた状態で展示するのは世界初。 水温1度か2度って言ったらちょっと下がるとすぐに凍ってしまうような極低温です。 さすが南極の魚です。 血液には普通、赤血球があってその中にヘモグロビンという赤い蛋白質があります。 このヘモグロビンが酸素を体中に運ぶんだけど、コオリウオにはこれがないんで 血液が透明なんです。南極海には赤い血の魚もいます。 生きていくのに必要なヘモグロビンを、どうしてコオリウオがなくしてしまったのか、 実はよくわかっていません。 凍るほど冷たくなる南極の海では、暖かい海よりもたくさんの酸素が海水中に 溶け込んでいることも関係あるかもしれません。 南極特別仕様の魚である事は間違いないようです。 で、南極大陸の厚い氷の下深く4000m下に琵琶湖の20倍以上の巨大な湖があることが、 1970年前後からレーダー観察で判っていました。 この湖は淡水であると考えられていて、平均水温はマイナス3度。 不思議ですね。凍っていないんですよ。 これは氷で押されて強い圧力がかかっているためなどいろんな説が考えられています。 この湖を調査するのは今までとてもためらわれていたんです。 中には今まで知られていない生物がいるかもしれない。 何か未知の生物がこちら側に来てしまうかもしれない。 反対に湖の隔絶された生態系を汚染して壊してしまうかもしれない。 強い圧力がかかっているのに穴を開けたら、水が飛び出してたちまち湖は 凍ってしまうかも知れない。 それでも、環境を保護する掘削方法での研究プロジェクトがスタートしています。 ロシアが数年越しで掘削作業を続けています。 早ければ来年にも未知の世界に到達するかもと発表されました。 透明な血液を持つ魚どころじゃない、もっとすごい南極の生物のお話を 山猫通信ですることが出来る日が来るかもしれませんね。    * * * * *  * * * * *    明るい色は元気の印とばかりに、静かな戦いをしているカメレオン。    アジア圏を植民地化から救ったフジツボ。    冷たい海に棲む透明な血液を持つコオリウオ。    未知なる生態系と、未知なる生物の可能性を秘めた、まだ誰も見たことのない巨大な湖。    この世界はまだまだ知らないことばかり。    ひとつ知ると、ふたつ知らないことが増える。    世界は未知数。    世界は謎だらけ。 ━●みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「コオリウオの謎」 今回の原稿を書くためにコオリウオという魚の存在を知りました。 江戸川区にある葛西臨海水族園で、血液が透明な魚が世界で初めて公開されて 話題になっています。 この魚はコオリウオの仲間です。 「脊椎動物で唯一ヘモグロビンを持たない」というふれこみです。 でも、みかけは普通の魚です。 「透明な血液を持つ魚」っていうとなんだか身まで透明感のあるファンタジックなイメージを 抱いてしまいますけど、ちょっと見、ハゼか?っていう感じの魚なので過剰なイメージを 持つとあまりに普通でがっかりします。(笑) で、ここで大いなる疑問がわき上がりました。 コオリウオが血液が透明なのはわかった。 なんだか特別に血液にヘモグロビンがない魚だといういうなら、うん、了解。 それとは別に、よく透明な魚っているでしょう? 骨だけが泳いでいるみたいに見える熱帯魚とか。白魚とか。 そういう魚は、血液が透明ではないんだろうか。 ヘモグロビンがないという訳ではないのだろうか。 この点が疑問で謎で考えてもわからなくて、原稿が書けなくなってしまったんです。 検索してもわからない。あちこち調べまくってもわからない。 思いあまった私は、さかなくんにメールで質問しようとして、さかなくんのメルアドを調べた けれど、それも判らぬじまい。 それでネットにある質問サイトを初めて利用したのです。 魚のヘモグロビンについてなんてマニアックな質問に誰が答えてくれるというのでしょう。(笑) するとまもなくひとつ回答が寄せられました。 ============================================================= [ANo.1] 白身の魚の血もヘモグロビンがあるので赤いです。 カツオやマグロなどのいわゆる“赤身魚”と呼ばれる魚は、身(筋肉)に “ミオグロビン”という色素タンパク質を多く含んでいます。 ミオグロビンは鉄分を含んだ赤い色素を持っているので、筋肉中にミオグロビンが多い魚ほど赤く見えます。 イカやタコの血はヘモグロビンがなく銅が含まれるので青いですね。 http://www.1101.com/kasoken/2004-03-05.html http://home.tokyo-gas.co.jp/shoku110/shokuzai/416.html http://gigazine.net/news/20110131_red_meat_not_bloody/ [ANo.1さんへの みかりんのお礼] 書き込みありがとうございます。 はい。白身の魚の血もヘモグロビンがあって赤いのは理解できます。 私が知りたいのは、白身の魚の血というよりも、透明な魚の血はどうなっているのだろうという事なんです。 「透明な魚」で検索すると色々な透明な魚を知ることが出来ます。 http://www.youtube.com/watch?v=dIdGyMm3104 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%88%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%95%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A5 http://umafish.com/2008/03/post_57.html http://news.hellojinzai.com/?eid=1150579 白魚(しろさかな)ではなく、白魚(シラウオ)のつもりで「白魚」と表記してしまい、 誤解を招いたようで申し訳ございません。 葛西臨海水族園で公開中のコオリウオが、「脊椎動物で唯一ヘモグロビンを持たない」というのならば、 透明な魚はヘモグロビンを持っているの?というのがとても疑問に思ったのです。 ============================================================= う〜ん。残念、この最初に回答してくれた方は、私の書き方がまずかったみたいで 私の疑問とは違う方向で答えてくれました。 お、そうこうするうちにもうひとり回答が来ました。 ============================================================== [ANo.2] おそらく濃度や血液量の問題で人間の目に赤く見えないだけではないかと思います。 体の透明度を高めることで捕食者に見つかりにくくしているのかと思います。 [ANo.2さんへの みかりんのお礼] お返事をありがとうございます。 あー。なるほど。 濃度や量で赤く見えにくくしているという可能性はありますね。 考えてもわからなくて、私の思い至らなかった点を教えていただいて、ありがとうございました。 ============================================================== あぁ、なるほどと思いました。 これ以上返事が来ないならこれで納得してもいいやという、納得の答えでした。 もう少し待ってみよう。 するとまた、回答が寄せられました。 この質問サイトっていうの面白いですね。 ============================================================== [ANo.3] 私の知識では、コオリウオが脊椎動物で唯一ヘモグロビンを持たないと言うことはないと思います。 ご質問のシラウオやウナギやアナゴの稚魚(幼生)等も赤血球やヘモグロビンを持たないはずです。 これらの赤血球やヘモグロビンを持たない魚類は、当然透明になりますが、血管を太くし、 体表呼吸で何ら代謝に異常を来すことはありません。 ウナギの幼生が葉っぱ状の理由に体表面積を多くして皮膚呼吸の効率を上げているのだという方もいます。 コオリウオは氷点下で生活しますから氷点下での溶存酸素量は多くなり、 ヘモグロビンを必要としないものと思います。また、血液中に多量の糖タンパク質を不凍液代わりに 溶かし込んでいますから赤血球やヘモグロビンが含まれますと血液の粘性が高くなりすぎるから ではないかと考えられています。 [ANo.3さんへの みかりんのお礼] 回答をありがとうございます。 >コオリウオが脊椎動物で唯一ヘモグロビンを持たないと言うことはないと思います。  ↑ そう。こう言っていただけると納得なんです。 http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=zpDRpwWx8LM ↑ここで、「脊椎動物で唯一ヘモグロビンを持たない」と言い切っているので、 「じゃぁ、透明な魚はどうなの?」と思ったんです。 コオリウオは透明でもなんでもなく普通の魚ですし。 しかも透明な魚って、結構いるんですね。 あちこち検索しても、透明な魚のヘモグロビンについて書かれているサイトを見つけられず、 サカナくんにメールして聞いてみようとまで思ったんですけれど、 サカナくんのメールアドレスも見つけられなかったので、ここで質問してみたのです。 「コオリウオが脊椎動物で唯一ヘモグロビンを持たない」という訳ではないと認識しても 良いって事なんですね。 ありがとうございます。 だいぶスッキリしてきました。 ============================================================== そうそう、そもそものあの動画を作った民放のナレーションが間違っているって考えれば 納得行くな。 「コオリウオが脊椎動物で唯一ヘモグロビンを持たない」という訳ではない。これが答えかな。 そう思いながらも、私はツテを頼って本当のところを知っていそうな人に メールで尋ねたりしていました。そうしてやっと答えにたどり着いた頃、 また回答が書き込まれていました。 ============================================================== [ANo.4] 魚は変温動物ですから、体温の維持にエネルギーを消費している訳ではありませんし、 水の浮力によって体を支えられていますから、姿勢を維持するのに必要なエネルギーも、 陸棲動物よりは少なくて済みます。 そのため、魚は、激しい運動をしなければ、酸素の消費量を少なくする事が可能だと思われます。 鰓呼吸を行う生物がいる事からも判る様に、ヘモグロビンが含まれていない、ただの水にも、 少しは酸素を溶かし込む事が出来ます。 つまり、ヘモグロビンを持たない種類の魚は、血漿(血球の周りにある血液中の液体成分)に 少しだけ酸素が溶ける事を利用して、血漿で酸素の移送を行っている様です。 ヘモグロビンを利用する場合と比べて、同量の血液中に溶け込む事が出来る酸素の量が 少ないため、ヘモグロビンを持つ魚と比べて、血液の循環量を多くして、対処してる様です。 【参考URL】  コオリウオの不思議-海洋政策研究財団のブログ   http://blog.canpan.info/oprf/archive/27  尚、ANo.1のお礼欄に貼られていた   http://news.hellojinzai.com/?eid=1150579 に関しては、良く見ると、胸鰭らしき鰭の付け根に近い位置の胴体内に、 赤い塊(もしかしますと心臓かも知れません)が見えますから、 血管が細くて本数も少ないために、全体としては透明に見えている、という可能性もあります。 [ANo.4さんへの みかりんのお礼] 書き込みありがとうございます。 みなさまが色々考え書き込まれた事、感謝しています。 その間、私もずっと色々調べました。 >赤い塊(もしかしますと心臓かも知れません)が見えますから、血管が細くて本数も少ないために、 全体としては透明に見えている、という可能性もあります。    ↑ どうも、透明に見えるサカナは、そういう事のようなんです。 みなさまが色々書き込んでくださっている時も、色々調べました。 そして判ったことは「コオリウオは唯一ヘモグロビンを持たない」というのは正しいらしいのです。 コオリウオ科の魚16種のうち15種は、ヘモグロビンの遺伝子を そもそも持っていないんです。 だから本当に未来永劫ヘモグロビンを作らないんです。 そんな脊椎動物は確かにコオリウオだけらしいのです。 色々考えてくださって、書き込んでくださってありがとうございました。 ============================================================== [みかりんが選んだベストアンサーは ANO.2] このようなマニアックな質問に4人もの方が回答をしてくれた事に感謝しています。 私も質問をした後も、色々調べていました。 そして蛋白質の専門家の方にもお聞きしたのです。 すると以下のような回答を頂きました。 ======= ヘモグロビンはタンパク質です。タンパク質は、遺伝子にコードされています。 遺伝子=設計図、タンパク質=設計図から出来る現物 ですね。 さて、「ヘモグロビンがない」とはどういうことか。 「遺伝子がない」のか。それとも、「遺伝子はあるがタンパク質が作られない」のか。 実は、「コオリウオは唯一ヘモグロビンを持たない」というのは正しいんです。 他の脊椎動物は、少なくとも遺伝子(設計図)は持っています。 設計図からタンパク質をどれくらい作るか、というのは別問題で、 モノによってはライフサイクルの中で、この時期はあまりヘモグロビンを作らないとか、 発現量が非常に少ないとか、そういうものはいますけどね。 そういうやつは、透明に見えたりもします。 ところが、コオリウオ科の魚16種のうち15種は、ヘモグロビンの遺伝子を そもそも持っていないんです。ただ、元はその遺伝子だったのではないかと 思われる遺伝子配列の断片はゲノム中に存在しているようですが。 コイツはだから、本当に未来永劫ヘモグロビンを作らないんです。 そんな脊椎動物は確かにこいつだけじゃないかと思います。 普通、脊椎動物にとってヘモグロビン遺伝子の異常は致死ですから。 やはり冷水の中にいて、溶存酸素量が多いから何とかなっている、と 論文もちゃんと出てますね。 もう一つ、これは「透明な魚」についてですが、 血液って、魚類の平均では体重の6%程度です。 その半分は黒っぽい静脈血で、光に透かしても赤くは見えません。 ですから、「赤い血が流れる血管」なんて、せいぜい体全体の3%程度なんです。 小さい透明な魚などでは、ほとんど肉眼では見えないだろうし、 割と大きめの魚でも、意識して見なければ「透明だなぁ」という印象しか 持たないと思いますよ。 因みに、肉の赤身を決めるのは、ヘモグロビンとほぼ同じ構造のタンパク質、 ミオグロビンです。赤身魚はミオグロビンを大量に発現していて、白身魚は ほとんど発現していません。筋肉の赤味は、ほぼミオグロビン発現量に比例します。 コオリウオ科の魚は、ミオグロビンも発現していません(こちらは遺伝子はあるようです)。 コオリウオ科の中でもNeopagetopsis ionah(学名。日本名は不明w)は 一応ヘモグロビン遺伝子を持っているが、この遺伝子の産物(タンパク質)は ヘモグロビン本来の機能を持たない、とありますね。。 コオリウオ科16種のうち16種ともが、まともにヘモグロビンを作れないようです。 ソースは英語版wikipediaの「コオリウオ科」。 http://en.wikipedia.org/wiki/Channichthyidae ======= No.3の方の「脊椎動物で唯一ヘモグロビンを持たない」事そのものを疑う姿勢も勉強になりました。 ネットをざっと見渡して、「コオリウオは脊椎動物で唯一ヘモグロビンを持たない」と言い切っているのは、 http://www.youtube.com/watch?feature=player_embedded&v=zpDRpwWx8LM この動画だけだったんです。 言い切っている文章はこの動画をソースにして書いています。 この動画はテレビ局制作のものですし、コオリウオの宣伝をしたいがための勇み足っていう面も あるかもなぁと、疑う姿勢の大事さを学びました。 結果はNO.2の方の、「透明なサカナの血液は、濃度の関係で赤く見えにくい」という説が 本当の事のようなので、NO.2の方をベストアンサーとさせていただきます。 みなさま、ありがとうございました。 ============================================================== この場を借りて、蛋白質研究者の怪さんにお礼を申し上げます。 このような素人のくせにマニアックな質問を、嫌がりもせず判りやすく 説明してくださってありがとうごさました。 そして、判らなかった事が少しずつ疑問が解けていく過程がとても楽しかったです。 私が不思議だったのは、どうして他の人はこの疑問を持たないのだろうという事でもありました。 ネット上の質問箱の面白さも初経験でした。 使いやすかった質問サイトは、http://ziddy.japan.zdnet.com/ でした。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★光よりも速い物質があるというニュースには驚きました。  アインシュタインもびっくりです。  物理学が根底からくつがえされてしまうニュースです。  E=MC二乗を名乗る「やまねこ通信 E=MC二乗」もこのニュースに触れない訳には  いきません。でも、どう触れていいかもわかりません。(笑)  どっちかっていうと未来よりも過去に行けるっぽい事になってしまうようです。  でも戻って来れないという…。  う〜む。  ナンバーズの番号を覚えて、過去へ行ってやり直せという事なのか?    いや、そんなみみっちい事をいってどうする。(笑)   311以前に行って、被害者を少しでも減らすような行動を起こせるのか?    でも、起きてしまった事は変わらない。それを踏まえて未来へ。  というのが、今までの考え方の常識中の常識。    光より速い物質。私たち人類に使いこなせるのか? ★ラジオ放送が月二回隔週であります。  メルマガを元に原稿を書いてたけど、それもままならなくなって  書き下ろし原稿が増えていきます。  それをメルマガに転用するという逆転現象が  最近のメルマガ版「やまねこ通信 E=MC二乗」であります。 ★今回のこの「動物の意外な話」は、  ネットで聞くことができます。  http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm  ここの右側「ラジオ山猫通信」をクリックしてスクロールして  「自然の形の話」をクリックすると聞けます。  すぐに聞けない人は、じっと待ってみて。きっと聞けます。  http://crashlanding.under.jp/rajiyama1003.mp3  直接URLはここです。  今回の文は、おおむねラジオ原稿そのままです。 ★予告です。 10月17日放送「キノコの話」 (ネットにUP予定は10月31日) 11月7日放送「深海の話」 (ネットにUP予定は11月21日) 11月21日放送「ネコの話」 (ネットにUP予定は12月5日) ★vol.137の参考文献     週刊文春 竹内久美子のイキモノローグ  ★「ラジオ山猫通信」はメルマガ版を元にして書いていますけれど  同じ題材でもどんどんメルマガ版から離れてきています。  もうあの頃とは時代も違っていますし。  でも伝えたい、なんていうか核の部分は同じです。  あの無駄に熱い「やまねこ通信」ならではの魂は不滅です。(笑)  どうぞお時間のある時に「ラジオ山猫通信」も聞いてみてください。  放送開始から丸2年が過ぎました。3年目突入です。  でも相変わらずしゃべりはトチってばかり、噛んでばかりです。  なんかモゴモゴしています。(笑) ★もしかしたら、また休刊状態になるかもしれません。  でも、こうしてまた復活するかもしれません。    どんなことがあっても、私は「やまねこ通信 E=MC二乗」の事は忘れていません。  いつも、次回テーマの事が頭の隅にあります。  「やまねこ通信 E=MC二乗」は、私みかりんを構成している大事な要素なんです。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 ★次回配信予定は未定です。でも必ず配信しますから。 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹     ★彡★彡★彡★彡★彡『蟹屋 山猫屋』★彡★彡★彡★彡★彡 生まれも育ちも北海道育の“みかりん”が、北海道の味覚を全国の方に広めるために 『蟹屋 山猫屋』を立ち上げました。一級品の道産品をお手ごろ価格でネット販売! 読み物としても楽しめるものを目指しているよ。    登録はここ→ http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/kani/   山猫屋の蟹は冷凍ガニではありません。ボイルしたてを食卓に直送! 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹    ↑↑↑  私、みかりんのもうひとつのメールマガジン。  北の味覚。海産物。蟹おいしいよ〜。  予算はこれくらい。食べる人数はこれくらい。と教えてくれたら、その中で  できる限りのご提案をします!山猫屋の蟹は冷凍物は扱っておりません!  さぁ、タラバ食べたいよう、毛ガニ食べたいようのメールをみかりんに書こう。  新製品「じゃがぽぉ」も、あるよー。  北の食材たちは脂が乗っておいしいです。  この機会に、どうぞ冷凍ではない蟹を!  お歳暮に、ご贈答に、山猫屋の海産物を。 それじゃ、今回はここまで。 あなたのお便り待ってます。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1年に2回くらいカップヌードルが食べたくなる。 今日がその日。さっき買ってきた。 お湯を入れているときに気づいた。 これ、シーフードヌードルだ…。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○ やまねこ通信E=MC二乗 vol.137  2011年10月19日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さに はまったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。 それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━