2001/4/13━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆        週刊 やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.18 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 月明かりで見ているものは、二回反射した太陽光。 新しく登録して下さった人、はじめまして。 バックナンバーがあるので、ここ↓チェックしてみてね。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm 自己紹介もあるよ。 ━■ストロマトライトの話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 私たちが何気なく呼吸している空気の中には、窒素や二酸化炭素が含まれているが、 呼吸に必要なのは酸素だ。 金星の大気には、ほとんどが二酸化炭素で酸素はない。火星には二酸化炭素と窒素が あるだけ。水星には大気さえない。地球型と言われる金星、火星、水星でこの通り だ。 地球の大気の成分は、窒素78%、酸素21%、それにわずかな二酸化炭素とアルゴン等。 今から40億年ほど前、原始地球の大気は二酸化炭素と窒素がほとんどで、酸素はな かった。 最初の生命は、硫化水素が吹き出る熱水鉱床の猛毒の海で、酸素がない環境で生きて いくバクテリアだった。酸素を必要とせず、酸素を放出することさえしない。これら 酸素を必要としない生物は、嫌気性生物、酸素を必要とする生物を好気性生物と名付 けられている。 この頃の原始地球には酸素が海水中に含まれていなかったために、これら嫌気性生物 が当時の海に大繁栄した。 そこで生物進化上最大の大事件が起きるんだ。突然変異で酸素を放出する生物、 好気性生物の出現だ。 この光合成生物は、水と二酸化炭素から太陽光線を利用してエネルギーを生み出す新 しいタイプだ。 このタイプは、嫌気性生物の20倍もエネルギー効率が良いため大繁栄することにな る。 嫌気性生物は、酸素のない地球に適応して生きてきたけど、酸素が出現すると酸素に よって酸化され、一種の燃焼が起きて分解されてしまう。このため嫌気性生物は、当 時の地球から駆逐されるか、酸素のない環境へ追いやられてしまった。 こうして地球史史上の大事件「生命の総入れ替え」になる。 この新しいタイプの生物が大繁殖することによって、酸素が大量に放出され、やがて 大気中に放出されていく。この時、初めて地球の大気に酸素が含まれるようになるん だ。今から35億年前の大事件だ。 この一番最初に酸素を吐きだした生物、原始的なバクテリア、ラン藻が作り出すスト ロマトライトが今でもオーストラリアで酸素を吐きだしている。 生物と地球は、別のものではなかった。 地球という環境が生命を作りだし、生命は地球を作り変えていったんだ。 ━■動物行動学からの性♂♀の話 (16)━━━━━━━━━━━━━━━━ 「雄の努力、雌の努力」 コロニーをつくる鳥でよく観察される例で、一夫一妻の鳥でもペア外交尾というのが 考えられている以上に多いようだ。コロニーをつくる鳥は何しろ密集しているから背 徳的なものにしろ、何にしろ量として増えてくる。他の鳥は広がっているから観察者 の見る機会が少ないだけだろう。 サギでは、ペア内交尾よりも多い頻度でペア外交尾が観察されているが、じつにうま く卵に遺伝子が入る時期を避けている。受胎期には雌もきちんと自分をガードしてい るし、雄も一所懸命についていて、闖入者を排除する。 オオミズナギドリの場合、夜明けと共にタブノキに登って飛び立つが、その時通りす がりの雄と雌が時々交尾する。あれは乱婚というより生理的なたかぶりのはけ口と考 えられている。 高頻度であっても、一夫一妻なり、お互いが選びあったペアを壊すようなものではな いものらしい。 縄張り行動は雄の努力である。なわばり行動が一番高い頻度を持っているのは、営巣 の後半、内装を作るところ、つまり交尾期。ところが一夫一妻の鳥だと抱卵期以後は 抱卵を手伝ったり、育雛を手伝ったりで縄張りどころでなくなる。 雌の努力というのは、モズの場合だと繁殖期になると雌の体重が20〜25%も重くな る。雄から求愛給餌を受けているのである。 人間でいえば50kgの人が10kgも食べていることになる。これは苦痛だよ。雌はそれだ け食べて雄をひきつけておく。遊ばせない訳だ。 一晩たって次の朝にはまた元の体重に戻っていてまたジャージャーと鳴いて雛のマネ をする。それをやられると雄はやたら餌を持っていきたくなるものらしい。(笑) 雌の幼形行動といって、この雛のマネには一石二鳥の効果があって、雄は遊べない し、雛が孵った時の練習にもなる。(なんという合理的な作戦!) 雄の方からすれば巣にいる雌にはすごく興味がある。巣に行きたいけれど追い払われ ちゃう。雌の巣に対する所有権があまりに強いから、餌を持って近づかなきゃならな いんだという解釈もあるくらいだ。 なだめの総菜をぶら下げていく訳だ。(笑) ━●みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「クマゲラ的自然」 「ヒグマ的自然」という言い方がある。 ヒグマが生態系の頂点にいる自然は、ヒグマが生息できるほど豊かだという意味。そ れとヒグマがいる森といない森では、人間が抱く畏怖心、緊張感に天地の差があり、 重みが違う。 かつて北海道には「オオカミ的自然」も「カワウソ的自然」もあった。 いつも私が散歩している森に、ある日クマゲラがいた。 クマゲラは天然記念物の大型のキツツキである。成鳥雄で体長45.5cmある。森に来た キツツキは雌。それでも30cmはたっぷりある。本来この森にはクマゲラは生息してい ない。ここから直線距離で10kmの原生林に2羽ほど確認されている。 この森でクマゲラは初めて見た。 初めてみた大型キツツキは感動的であった。しかしその後、この森は大変な憂う気目 に遭うのである。 このクマゲラと遭遇する直前に森の様子が変な事に気付いた。 森の木に信じられないような穴がそこここにあいている。最初、誰かのいたずらと 思ったが、人間のやった仕事なら他にも試し切りの跡があるはずと、探したけれど それはない。 これは何なのだろう。 穴の大きさは、縦30cm、幅7cm、深さ20cm! こんな穴が一本の木にいくつもあいてる。 犯人は一匹のクマゲラの雌。 穴は毎日増えていった。 穴のあいている木の下には、雪の上に多量の木くずが落ちている。 無惨な光景だ。 たった一匹の雌のクマゲラでここまで森の木々はぼろぼろになるのを目の当たりに見 た。 もしこれらが群でいたらどうなるんだろう。つがいで増えていくなら森はどうなるん だろう。 あんなものがたくさんいたら絶対駆除の対象になるだろう。 数も少ないし、天然記念物だから珍しがられて保護されているけれど。 ある日、無惨な木が増える日が止まった。クマゲラはどこかへ行ってしまったよう だった。 余程の深く広い森でないとクマゲラを支える事は出来ないのだと痛感した。 私が、ほっとしたのはいうまでもない。たとえ天然記念物であろうとも。 あのクマゲラがあけた穴は未だに無惨な姿で木々が痛々しくその姿を見せている。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 植物の自我についての、きょみちさんの投書です。 ---------------------- [きょみち]  早稲田の理工化学の先生の言葉なんですが、「植物は人間や動物にとっては  空間的な存在として、逆に、人間や動物は植物にとっては時間的な存在として  共存し、自然の秩序を創っている」    この方(三輪教授)によると、植物に自我はあるけれど人間から見ると非常に薄く  自我というなら一本の木よりもむしろ群れの方にシフトされてあるのではないか  ということです。  一本の木の隣に成長しようとする木は、隣の木とは反対方向に伸びて行く。  隣の木はまだそれほど大きくはないのに、それが大きくなったときの日陰を  あらかじめ避けるようにして伸びて行く、らしいです。  自我って、強ければわがままみたいで悪いもんみたいに言われちゃったり  しますよね。今の世界ってまるで、言ったもの勝ち。自己主張できないもの  の負け、みたいなところがある。  口もきけない彼ら(植物)にも自我があって、口もきけないからお互いに  譲り合っている。(それが自分のためではあっても相手のためにもなっている) ---------------------- タレントの明石家さんまが言っていた話しを思い出しました。 「前の奥さん(大竹しのぶ)との寝室に、でっかい観葉植物をおいてあったねん。そ れはまっすぐに伸びる種類で絶対に曲がらないと言われていた観葉植物だったのに、 寝室に置いていたその観葉植物は、ある日まっぷたつに枝分かれしてもうて、そうい う形のままどんどん伸びていくんよ。いやホンマに。誰に言ってもそういう種類では ないって言われたんやけど。そうしてある日、バーンと倒れてしまって。その頃、わ てらもお終いでしたわ」 昆虫や植物や微生物の自我。そんなものは“ない”とは言えないと思う。そりゃぁ、 私たちの自我とは違うものだけれど。 次の話題は、前回の私が「ママコノシリヌグイ」という植物の名前に、なんて言 葉……。と絶句したのを受けての投稿です。2つ続けて。 ---------------------- [catoh]  「ママコノシリヌグイ」僕も以前、この植物の名前を知ったとき、  すごく興味を覚えました。漢字で書くと「継子の尻拭い」  田舎の方に行くとよく生えてる雑草なんだけど実物見たことありますか?  茎にトゲがいっぱい生えてて、触るとかなり痛いです。  昔、継母が自分の子供じゃない継子に対して、その雑草の茎でお尻を拭いてやったと  か。よっぽど可愛くなかったんですかねぇ。  植物の名前っておかしなものが多いですよね。  「オオイヌノフグリ」とか。漢字だと「大犬の殖栗(玉袋)」  あんな可愛い花なのに、なんでやねん!ってかんじですよね。 ---------------------- [ぽん]  私は魚の「リュウグウノツカイ」ってのが好きだな。 ---------------------- 図鑑で「ママコノシリヌグイ」を見つけたとき「オオイヌノフグリ」も知りました。 なんでオオイヌなんだろう? イヌではないのだろう? いや「イヌノフグリ」とい う植物もあるのだろうか? う〜ん。これらを名付けたのは誰だ? それを正式名称 として認めたのは誰だ?  責任者弁明しなさいってな気持です。(笑) 「リュウグウノツカイ」……。一瞬解らなかった。よく読めば“魚の”と書いてあ る。はいはい。魚の「リュウグウノツカイ」ね。うんうん。解るよ。こういう和名っ ていうのは風情があっていいね。 そうそう月にも趣のある呼び名がたくさんあるんだよ。 「十六夜(いざよい)」とか、満月の事を「天満月(あまみつつき)」とかね。 上弦や下弦の月の事を「弓張月(ゆみはりつき)」。 和名って良いでしょ。 だからってママコノシリヌグイ……オオイヌノフグリ……。責任者出てきなさいっ! (笑) ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★ストロマトライトの話し。かなりはしょって説明してしまった。 本当はもうちょっと詳しく書きたかった。 海の中でストロマトライトの吐きだした酸素は、海に溶けていた鉄に反応して酸化さ れ、鉄サビとなって海底に沈殿し始めたんだよ。 こうして地球の各地の海で鉄の沈殿が起き、その総量は数兆トンにものぼり、現在の 文明がこの先数百年続いたとしても使い果たすことの出来ない量がこの時、作られた んだ。 この原始の海に溶けていた鉄が、生物が放出する酸素によって、すべて沈殿した後 も、酸素はどんどん放出され、酸素は大気中に漏れていくのである。 ★♂♀の話し。とうとう次回は人間編。 行きつ戻りつしながらも、だんだん人間について語ることが多くなってくるかも。 いままで辛抱強く昆虫や鳥の♂♀を読んでくれた読者の方。いよいよですよ〜。 (笑) でも、いきなりヒトの♂♀の話しにはいかない。ちょっと横道にそれるけれど 「江戸の色事」というテーマで3回シリーズで。 現代よりも、もっとおおらかであっけらかんとしたキリスト教倫理が入ってくる前の 江戸庶民の性文化を紹介します。 ★前号の編集後記で11年周期で太陽活動が活発なるので今は北海道でオーロラが見 えやすい話しを紹介しました。 北海道新聞の4月5日の朝刊に、北海道陸別町の銀河の森天文台が、5日夜から6日 未明にかけてオーロラ発現予報を出しました。オーロラ予報は始めての事だそうで す。 4月7日の朝刊には、「流氷とオーロラ」という本州以南の人たちには、なんてファ ンタスティック! と感嘆と憧れのため息が聞こえてきそうな写真が載りました。 そりゃぁ、幻想的な写真ではあるけれど、北海道に住む私たちには、この組み合わせ は寒いだろーなー。と、つい人々の夢をぶち壊してしまうような感想を持つのでし た。(笑) ★4月10日、中国の黄河上流域の「黄砂」が偏西風に乗って、札幌と稚内で観測さ れたんだよ。 稚内では9年ぶり、札幌では18年ぶり。中古車の展示販売店は、車や展示スペース 全体に黄色っぽいホコリのようなものが付いてしまって、払い取るのが大変。という ことです。 中国全土では今季、例年以上に黄砂が多発していて、その要因として中国北方での森 林伐採などの人的理由で砂漠化が急速に進んでいることを挙げている。 砂漠は北京の北西70kmまで迫っている。 国境は人間が決めてみた区分。世界は繋がっているし、砂には国境は関係ないんだ。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。 ★メルマガ相互宣伝です!  バックナンバーを読んでみて、気に入ったら購読すると良いよ。 ■Weekly Gaia-net ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━             ◆ 週刊ガイア・ネット ◆ ☆大切な人にそっと教えたい ☆動植物や自然、宇宙にまつわる『ちょっといい話・不思議な話』 http://www2.odn.ne.jp/~car77000/ マガジンID  :0000013210(まぐまぐ):003569(Pubzine) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■  〜〜 こんなメルマガ、読んでみませんか? 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜   / ☆ +*    「セカンドクラスの添乗員」     ☆  ★. + 。.:*  元添乗員が書くお客様との攻防戦(木)。.:*:・ // +・ /  /    読者による旅のリレーエッセイ(月)  ☆  ★*   ☆ ☆ * http://www07.u-page.so-net.ne.jp/bg7/taisho/ ☆ ------------------------------------------------------------------------ それじゃ、今週はここまで。 あなたのお便り待ってるよ。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 窓ガラスに付いた水滴で絵を描く。 誰の目にも触れないうちに傑作が流れていく。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○週刊 やまねこ通信E=MC二乗 vol.18  2001年4月13日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: ◆インターネットの本屋さん「まぐまぐ」 http://www.mag2.com/ ◆メルマガ発行サービス「メルマガ天国」 http://melten.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○週刊やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さに はまったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。 それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━