2013/10/20━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.185 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 さーっと冷たい風が吹くようになりました。 すっかり秋の気配と思っていたら、 北海道はあちこちで積雪を記録しています。 秋も深まって、見上げる夜空も空気が澄んで 星がいっそう綺麗にはっきり見えるようになりました。 夜空は宇宙です。 星々を見上げている私のように、 どこかの星でやっぱり星々を見上げている何者かが いるかもしれません。 命は何のために生まれてきたのだろう。 命はどこから来たのだろう。 物事の根本を思うとくらくらします。 ヒトは太古の昔からそんな事を考え、 その時代なりに答えを見つけようとしてきました。 今回の話は3つのシリーズになっている最終話です。 前々回の「おばあさんの存在が火星移住の原動力になった話」、 前回の「縮む世界で生き延びる話」、 そして今回、「太陽に依存しない生物とヒトの目的の話」です。 太陽のエネルギーに依存しない生物の話や、 木星の月のエウロパに微生物がいる可能性の話、 そしてなぜ私たちは宇宙を目指すのかという事にまで話は広がります。 ちょっと詰め込みすぎたかもしれません。(笑) 次回からは、またちょっとゆるい感じで。 いやー、それにしてもこのシリーズの3回は力が入った入った。 ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm 「ラジオ山猫通信」も、ここから聞くことができます。↑ ━■太陽に依存しない生物とヒトの目的の話━━━━━━━━━━━━━━━━ 太陽は地球からちょうど良い距離にあります。 地球よりも太陽に近い水星と金星は、灼熱の星で生命は誕生しませんでした。 地球よりも太陽が遠い所にある火星の平均気温は、マイナス43度です。 生命が誕生するには寒すぎるようです。 地球は太陽がちょうど良い距離にあるから、 植物は太陽のエネルギーの恩恵を受けて育ちます。 その植物を動物が食べて生きています。 食物連鎖のもともとは太陽のエネルギーがあることで成り立っています。 そう考えていくと、地球の生命って、 太陽のエネルギーをちょうどよく受けとることが出来る奇跡的な存在ですね。 と、ここまでは 誰も異存がない、よく知られている事です。 で、この太陽からのエネルギーを元とする食物連鎖の輪とは関係ない生き物が 1977年に発見されました。 発見された場所は、太陽光が届かない真っ暗な海の底。 深海です。 深海には所どころに熱水噴射口という地球のマグマが噴出しているような、 ええと解りやすく言うと海底火山ですね。 そんな周辺に生物が生息しています。 発見されたとき、あまりに不思議すぎて、 何の仲間かさっぱりわからなかったんです。 この生物の長さは1mくらい。 大きいもので3mにもなります。 固いチューブの管が海底でコロニーを作って生えています。 チューブの先にはひらひらした赤いものが付いています。 このひらひらはエラで、魚と同じように海中から酸素を取り込みます。 これじゃぁ何の仲間か、よくわからなったので発見当初は、 とりあえずチューブワームと名づけられました。 それがそのまま現在でも呼び名として使われています。 和名は羽織虫(はおりむし)です。 植物とは、太陽のエネルギーに依存するものです。 チューブワームは太陽光の届かない所にいるので植物ではありません。 動物です。 でも動物ってものを食べる生き物でしょ。 植物はものを食べない。 でもチューブワームは動物なんだけど、ものを食べません。 口も肛門もない生き物なんです。 ものを食べない動物で、似たようなものに珊瑚があります。 珊瑚は植物の仲間ではなくて動物の仲間です。 クラゲやイソギンチャクの仲間です。 でも珊瑚には口も肛門もありません。 珊瑚は褐虫藻(かっちゅうそう)という藻の仲間と共生関係で生きています。 珊瑚が褐虫藻に棲みかを提供します。 褐虫藻が光合成で得た栄養の余ったものを 宿主の珊瑚に与えるという関係です。 だから珊瑚は太陽のエネルギーを褐虫藻を通して間接的に貰っています。 だから珊瑚は太陽のエネルギーなくしては生きていけません。 チューブワームは、太陽のエネルギーの届かない所で生きています。 何を栄養としているんでしょう。 どうも海底火山から湧き出る硫化水素っていう、 温泉地の硫黄くさいアレが硫化水素です。 硫化水素を使って植物の光合成のような働きをしてくれる微生物が、 チューブワームの体の中にびっしり詰まっているんです。 そんな微生物が体の半分以上、どうかすると八割が そういう微生物が詰まっているっていうと、 もうどっちが本体なんだかわからないですね。 植物は太陽からの光で光合成をして炭水化物つまりデンプンを作ります。 チューブワームの体の中の微生物も、 海底火山のエネルギーを利用して二酸化炭素からデンプンを作ります。 そのデンプンの一部がチューブワームの栄養として使われています。 チューブワームが、太陽のエネルギーなしに生きていくことができる微生物の 存在。 この地下微生物については、よくわかっていませんでした。 20世紀末までは、地下には生物の存在しない死の世界がただ広がっているだけと 考えられていたんです。 でも地下800mぐらいの範囲にたくさんの微生物が生息していることが わかってきました。 地球の陸上にいる生物と海の生物を重さで現してみましょう。 海と陸に生えている植物の重さは1兆トンから2兆トンです。 陸と海の動物あわせた重さは100億トンくらいです。 その内人間は3.5億トンです。 それでは次に微生物です。微生物は目に見えないくらい小さいものですけれど、 断然、数が多いのです。 重さにすると陸と海を合わせて3000億トンほどです。 ここまでが私たちが普通に知っている世界の生物の量です。 さて、今まで知られていなかった地下生物圏に生息する微生物は 3兆トンから5兆トンほど。 これって私たちが知っていた陸と海の生物の量の2倍かそれ以上です。 私たちはこのことを最近まで知らなかったんです。 しかもこの地下生物圏の微生物3兆トン、5兆トンっていう数字は 控えめな数字で、この10倍の数字をいう学者もいるし、 100倍を言う学者もいます。 どうも私たちのこれまで知っていた世界は、ほんの一部だったようなんですね。 地下に棲む微生物たちがどのようなものかまだ全貌はわかっていません。 でもとても重要だと思えるものに火山のエネルギーがあります。 地球内部にある地球そのもののエネルギーですね。 それが地球の表面に出てくるのが火山です。 火山は全部で1000個から1万くらいあるといわれますけれど、 そんな数とは関係なく、地球の内部に行けばそんなエネルギーは いくらでもあります。 地下のマグマは1000度前後と言われています。 割れ目の多い海底の岩盤には中間の温度の場所があることになります。 現時点で生物が生きていく事ができる最高温度の記録は122度の微生物です。 そして深海の海水温は2度とか3度です。 色々な微生物が自分の適温とする場所に棲んでいるのは容易に想像できますね。 私たち陸の生物は、 海が7で陸が3というそのわずかな陸の、気候の温暖な平地や、 わずかな山岳地帯にしがみついて暮らしている事を思えば、 地下生物圏の微生物たちは、地表にも海底にも地球ぐるりと 全部に存在するんですからその数は膨大だということです。 太陽の光のエネルギーこそが生命の源なんですけれど、 どうもそれは地球の表面に限ったことで、 太陽の光が届かない海底や地底にも大きなエネルギー源があったんですね。 地球の内部には、まったく未知の生命の世界があるというのが わかってきました。 私たちはまったく表面的な地球しかわかっていなかったんです。 地球内部では地球のエネルギーそのものの恵みを受けている生物がいる。 って事は、これは地球に限ったことではないと考えることができます。 今まで地球にしか生命はいなかったと考えられていたのは、 太陽からの距離が近すぎず遠すぎずちょうど良い距離にあったから。 他の太陽系の惑星は、遠すぎたり近すぎたりで生命が存在する可能性は まずないと言われてきました。 でも、21世紀になって、星そのもののエネルギーだけで 微生物が存在すると解ると、どの星ならそれがありえるか さっそく候補が上がってきました。 要するに水と熱があれば良いんです。 まず候補にあがってきたは、木星の衛星…つまり木星の月ですね。 木星の衛星はたくさんあって、私の子どもの頃は12個って習ったんだけど、 2012年の段階で66個といわれています。 その66個のうち大きいもの4つが、ガリレオが手製の望遠鏡で見つけた ガリレオ衛星と呼ばれる衛星です。 イオ、エウロパ、ガミメデ、カリストの4つです。 このイオには100個以上の火山がある事がわかっています。 お、熱がありますね。でも残念、イオには水がありません。 それでは次。 お隣のエウロパにも火山活動があるはずと言われています。 イオもエウロパも火山の熱源は、潮汐加熱といわれるものです。 潮汐っていうのは、地球でいう所の汐の満ち引き。 月や太陽の引力に引っ張られて海水が動く現象ですね。 地球もね、月や太陽に引っ張られるのは海水だけじゃなくて、 岩石の部分も少しだけ伸び縮みしているんです。  毎日地球の上にいますけれど気づかなかったですね。(笑) で、今の所の地球外生命の微生物がいそうな第一候補は、 木星の衛星のエウロパです。 イオにはなかった水がエウロパには氷という形で存在しています。 エウロパの表面は厚いい氷、たぶん数キロメートルから数十キロメートルの 厚さの氷で覆われています。 だからその火山活動は望遠鏡では見ることができません。 表面が氷に覆われている惑星や衛星っていうのは、 太陽系ではそんなに珍しい事ではありません。 わりとよくある事のようです。 地球もね、かつては3回かそれ以上、全部氷に覆われた時代があったと 言われています。 氷に覆われていること自体はそれほど珍しくはないんですけれど、 珍しいのは火山活動があるという事のほうです。 イオには火山活動があって、それは地球からも観測されています。 火山の噴煙が地球から観測されているんですね。 噴煙は100kmの高さまで舞い上がっているようです。 地球の火山の噴煙は10kmから20kmなので、 イオの火山活動の活発さは圧倒的です。 で、お隣のエウロパ。 残念ながら氷で覆われていて地球からは火山活動が観測できません。 それでもエウロパには火山活動があると言われているのは、 太陽系で一番大きな木星と、太陽系で一番大きな月、木星のガニメデに 挟まれて、イオとエウロパには大きな引力が作用して、 潮汐力があるはずなんです。 引力で引っ張られて、岩石の伸び縮みで生まれた摩擦力が岩石を溶かして マグマを作り出して、火山活動が活発だろうというのです。 エウロパの厚い氷の下には海底火山が溶かした水が集まって、 大きな海を作っているとしたら。 海があって火山があったら、そこに何かいても不思議じゃないです。 チューブワームくらいは、いてもおかしくないって事なんです。 エウロパの氷の下にある海を探そうとしても分厚い氷があります。 数kmから数十kmの厚さの氷。 去年の12月に配信したvol.165は「南極の話」がメイン記事でした。 その時に南極のロシア基地で厚い氷の下にある湖(ボストーク湖)に向かって 穴を掘る話を紹介しました。 氷の厚さは4000m弱。 おおよそ富士山くらいの高さっていうかそのくらいの厚さの氷を掘る作業です。 人っていうのはクラクラするような事に挑戦しますね。 私は最近よく思うのですけれど、 ヒトの文明とか科学技術とか何のためにあるのだろうの答えが、 もしかしたらこのあたりにあるんじゃないかと思うようになったんです。 たとえば数千mもの氷を掘削する作業は、氷の底のボストーク湖にどんな生物や 生態系があるのだろうという好奇心から始まったんですけれど、 この技術は、そっくりそのままエウロパの氷を掘削するような宇宙開発に 転換できます。 エウロパの海はとても深いことが解っています。 50kmとかあります。mに直すと5万mです。 地球の海の一番深い所でも1万mくらいですから、 5万mっていう深さは地球で練習できないような絶望的深さかと思いきや、 そんな事はありません。 海の深さが問題なのは距離ではなく水圧です。 水圧は重力に比例します。 エウロパの重力は地球の13%です。0.13倍。 っていう事はエウロパの海の深さ5万mの水圧は、 地球の海の6500mの水圧って事です。 6500mというと、「しんかい6500」という日本の探査用の潜水船があります。 エウロパの海底にいける技術はもうあるという事なんです。 ちょっと話しは変わります。 さて。会話ができるロボット宇宙飛行士「KIROBO」が完成しました。 作ったのは東京大学先端科学技術研究センターと、 ロボ・ガレージという民間会社と、 トヨタの音声認識の技術を使った日本の技術の結晶のロボットです。 そしてロボットのデザインは日本のロボットらしく、 その仕事内容に見合わない意味なく可愛い姿をしています。 このあたりの源は手塚治虫の鉄腕アトムの影響が底の方に流れていると 私は思っているんですけどね。 で今年の8月4日、宇宙ステーション補給機「こうのとり」が、 ロボット宇宙飛行士、キロボを乗せて打ち上げられました。 キロボは、日本人初の船長となる若田光一さんが十一月に到着するのを待って、 「宇宙における人とロボットとの会話実験」をする予定です。 宇宙飛行士ロボットの活躍です。 世界の技術はもうここまで来ています。 宇宙はとても過酷です。 それでもヒトは宇宙を目指したいらしい。 ヒトは何のためにアフリカから出発して世界に広がったのか。 世界に広がって、それでも人口は増え続け、これ以上増える事は 地球環境では無理っていう所まで増えてしまいました。 ヒトは今、宇宙を目指そうとしています。 ガリレオが手製の望遠鏡で星を見て、木星の衛星を見つけた事も、 いつの日にか宇宙に飛び立つためだったのかもしれません。 それ以前にも、数学が発展したのも科学が発達したのも、 生物学が発展したのも、すべての学問が発展したのは、 人類が次の段階の宇宙へ飛び出すためだったのかと、 私は最近そう感じるようになりました。 たとえば大量生産、大量消費の反動としてエコな生活を しなければならなくなりました。 資源の少ない宇宙の生活にはエコの精神は欠かせません。 ずっと以前、2001年配信のvol.43、vol.44、vol.45で 「テラフォーミングの話」をしたことがあります。 テラフォーミングとは、人間が住めるように他の星を地球の環境のように 改造することです。 こんなふうに考えることはできませんか?  たとえばですよ。地球という星が意思を持った生き物と仮定します。 地球は人間をウイルスのように使って、 他の星を自分に似せた環境を作るようにしているというような考えです。 そのために地球は生命を産んで進化を促してヒトを育んだ。 ヒトを宇宙にばら撒いて地球環境と同じような星を作ることを目的とするのが 地球の存在の意味っていうそんな仮説です。 ヒトは自分たちの意思で宇宙に飛び出しているつもりだけど、 本当は地球の意思でヒトはただ地球に動かされているにすぎない そんなウイルスみたいな存在。 そもそもテラフォーミングなんてそんな事をしてもいいの?っていう問題も あります。 他の大陸にない生物を持ち込んで、その土地の生物と生態系に 取り返しのつかないことをさんざんやってきた人類の歴史があります。 それをもっと大規模で行おうっていうのが、 宇宙開発でありテラフォーミングです。 生き物が生まれる意味。 生き物が広がろうとする意味。 広がりきって縮む世界を経験する意味。 科学をはじめとして、すべての学問は、宇宙に飛び出すための 準備だったのかな。 その答えは未来にあります。    * * * * *  * * * * *                                           すべての命の源は            空に輝く太陽の恵み            あの輝きがあれば命は輝く            でも太陽とは無関係な生命がいた            それもたくさん            地球のエネルギーが生み出した生き物たち            私たちは地に満ちあふれ出した            つたない知恵を重ねて宇宙へ目を向ける            他の星はどんな所だろう            私たちの意志は地球の意思            今日も意識は夜空のずっと向こう側 ━■みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「やちまなこ」 前回、道北へ旅へしたときに苫前町という所に寄って 「三毛別羆事件(さんけべつひぐまじけん)」の現場に行ってきた話を この欄に書きました。 今回はその時の旅で「利尻島」と「サロベツ原野」に行った話をします。 利尻島は、日本最北の宗谷岬からすぐの稚内市からフェリーで2時間という 距離にある火山島です。 海に浮かぶ富士山型の丸い島です。 利尻島の利尻岳は、その美しさに利尻富士という通名で呼ばれていて、 日本百名山の第一号の山でもあります。 また花の百名山にも選ばれています。 フェリーで島に着いて、帰りのフェリーの時間までどうしようとノープランで 来た私は、その空き時間にちょうど良い観光バスに乗ることが出来ました。 観光バスで島を一周しました。 利尻島は水に恵まれた島でした。 おいしい湧き水もあります。 美しい湖もあります。 湖に映る利尻富士は逆さ富士とも呼ばれ、絶景です。 と、利尻島の観光案内のような事をここに書きたいのではありません。 観光バスが湖のほとりに止まると、湖やその周辺の湿地を歩けるように 木道が作られていて、15分ほどで一周できるコースに寄ります。 バスガイドさんが言いました。 「どうぞ一周してみてください。全員が戻るまでバスはここで待っています。  あ、そうそう。この湖に絶対落ちないでください。  ずっっっと沈みます。  分解されない草がたまって底が泥炭になっているんです。  以前落ちた人が、新しいカメラを濡れさせたくなくて  手を挙げた状態で落ちたので、すぐにその手を引っ張って  助かった事がありました。  落ちるときは沈んでも良いから手を挙げてください」 湿地帯の泥炭地、怖ぇぇぇ〜。 翌日は、道北の日本海側にあるサロベツ原野に行きました。 サロベツ原野では「やちまなこ」というものを知りました。 妖怪の名前のようです。「やちまなこ」。 サロベツ原野も湿地の泥炭地です。 サロベツ原野の資料館で湿地の泥炭地について学びました。 湿地に生えている草が冬になって枯れます。 でも冬が終わって暖かくなっても、低温のために枯れた草は分解されないのです。 普通は分解されて、それがまた土の栄養となってその土地の植生を豊かに していきます。 でも低温の湿地帯ではその循環がないんです。 枯れたのに分解されないものが積もっていく。 それが数千年も積みあがるんですね。 そういう湿地帯の代表的な所が有名な「釧路湿原」と「サロベツ原野」です。 人間が利用できないので北海道のあちこちにあったんだけど埋め立ててしまって もうあまり残っていません。 でも釧路湿原とサロベツ原野は広大なので、そのまま残っているんですね。 枯れたのに分解されない植物の遺骸は、だいたい1年に1mm積みあがります。 サロベツ原野で8mというから8000年はかかって現在の湿地帯があります。 何の役にも立っていないと長年思われていたこのような湿地帯が、 近年、環境にものすごい役割を担っていると分ってきて、 改めてその価値に注目が集まっています。 このような仕組みなのでこういう湿地帯にはものすごい量の水が含まれています。 スポンジのようです。 これが水量の調節になっていて、 近隣への水の溢れ出しなどの予防になっている事。 野鳥の楽園であること。 留鳥はもとより渡り鳥たちのオアシスであること。 独自の生態系を持つこと。 などなど…などなどです。 サロベツ原野の湿地帯はものすごく広大で地平線が見えます。 その真ん中を木道があってぽこぽこ歩けるようになっています。 木道には、そここに説明文があってそれほど飽きないで歩くことが出来ます。 その説明文のひとつにあった「やちまなこ」。 サロベツ原野は木道から足を踏み出すことは禁止されています。 木道が作られているくらいだから、ちょっとは沈み込むことがあっても たぶん歩けるんだと思います。 でもところどころに「やちまなこ」という妖怪がいるんですね。 その妖怪は、入り口が狭くて中が広い穴です。 上からみただけではまったくわかりません。 ちょっとした水溜りなのか「やちまなこ」なのか区別がつかないんです。 木道のはずれに「やちまなこ」を体験できるコーナーがありました。 長い棒があって「ここに挿してみて」という所があるんです。 え?ここ?ってな所です。 長い棒を挿してみると、もう「のれんに手押し」状態です。 ずぶずぶずぶ…。怖ぇぇぇぇぇ〜。 底なしですよ〜。 ちなみにサロベツ原野は大小さまざまな湖がそこここにあります。 長沼、小沼、パンケ沼、ペンケ沼。 パンケ沼は水平線が見えて波がざぶんざぶんと押し寄せています。 沼って感じじゃありません。 水はちょっと赤いです。 植物の鉄分が染み出していてそれが錆びた色という説明です。 ここには鉄魚という魚がいるとの事で、この魚の由来は、 「よくわかっていません」という説明文が。 でですね、右側に長沼を見ながら木道を歩き、次に左手に小沼が見え、 ずっと進んでパンケ沼について、ざぶんざぶん。 ここまでで木道を歩いて3kmを超えています。45分かかっています。 この先ペンケ沼に行くには帰りの時間、 そのまままたかかるというのもあって、パンケ沼から引き返しました。 その間、誰にも会いませんでした。 だいたい道北は、どこに行っても人に会わないです。 このたびの旅で、ヒグマ怖ぇぇぇ〜。湿地帯の泥炭、怖ぇぇぇ〜と 改めて思い、先住のアイヌの人たち、または開拓の人たちの暮らしに 思いを馳せました。 今回の旅は、「湿地帯の泥炭」の怖さを実感したけれど 乾いた泥炭地の怖さというものもあります。     ======== (『語り継ぐ女の歴史』より) 乾いた泥炭層へ火が入ると、容易には消えません。 土の層そのものが燃えることになります。 「畑が燃えることへの驚きと怖れ。消しても消しても、地の底から炎が立ち、  主人と夢中で川からバケツで水を汲み、何十回、いや何百回も汲み、  火を消しました。衣服も何も泥んこです。  やっと火が完全に消えた頃、東の空が明るくなっていました。  精も根も尽き果てて、ぼんやり二人で座って空を眺めていました。 (中略)味噌を作るため、外のかまどで火を炊き、  作業の後充分気をつけて火を消したはずでしたが、  泥炭層に火が入ってしまい、家まで延焼してきて、焼けてしまいました」 干ばつの年など、煙草の火で土の中が10日間も燃えつづけたと記録にあります。 一度燃えた土は雨が降っても浸透せず、 風が吹けば「パフパフと飛んでしまう畑」になったといいます。     ========   なんかもう色々凄すぎます。 道北って本当に何もなくてずっと原野が続いています。 車で行って帰ってきたんですけれど、 帰路、運転していると、何もない原野に突然都会が現れるんです。 それが札幌です。 よくもまぁ、こんな原野にリトル東京を作ったもんだと 道北から札幌に帰ってくると、心からビックリします。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★10月16日の台風は伊豆大島で大変な被害を出しました。  その頃、北海道ではぐんと気温が下がって道内の峠は積雪を記録。  道内の山々も雪が積もりました。  それどころか旭川市、帯広市、釧路市でも積雪を記録。  この時期の平野部での積雪は例年より一ヶ月早くて  観測史上、例がない早さだそうです。  10年に一度の規模の台風とか、観測史上一番とか、最近そういう言葉を  耳にする事が多くなってきました。  たぶん気候が穏やかだった時期が終わったんだと思います。  地球の気候変動期になったんだと思います。  過去にはもっと気温が高い時期もあって海面が今よりずっと高かった  時代もありました。  過去にはもっと気温が低くて、地球がアイスボールにように全球凍結した  時代もあったようです。  数度の気温の上下でびくびくしていてもしょうがないです。  地球のほんの表面の一部で暮す身です。  それでも、避けられる被害は避けたいし、被害の大きさを知ると  胸が痛みます。  この台風の暴風雨の時、私、庭を見ていたんです。  そしたらスズメたちが風が弱くなった時に庭に来て、何やら色々ついばんでいる  んです。雨の中を。  ついばんでいるのはたぶんシソの実です。  いじらしいやら、たくましいやら。  小さなスズメたちに、励まされ、癒されました。 ★ラジオ山猫通信がリアルタイムで、  パソコン、スマートフォンから聴けるようになりました!   http://www.radiokaros.com/simulradio/  ↑ここがカロスのサイトの「インターネット放送聴取方法」のページです。  パソコンからスマートフォンから、カロスの放送を聞く方法が載っています。  http://www.simulradio.jp/  ↑ここがサイマルラジオのサイトです。  ここから全国のコミュニティーラジオが聞けるようになっています。    このサイトを開いたらちょっとスクロールすると「北海道」という場所があって  その下の方に「ラジオカロスサッポロ」という場所があります。  そこの「放送を聴く」をクリックするとメディアプレイヤーが立ち上がって、  リアルタイムに放送を聴くことが出来ます。  ラジオ山猫通信は、第一月曜日と第三月曜日の19:00〜19:30です。  明日10月21日19:00から「海流と漂流とアホウドリの話」が  リアルタイムで聞くことができます。  バックナンバーは、「やまねこ通信 E=MC二乗」のサイトの「ラジオ山猫通信」の  場所から、いつでも好きな回のお話を聴くことが出来ます。   ★今回のこの「太陽に依存しない生物とヒトの目的の話」は、  ネットでいつでも好きな時に聞くことができます。  http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm  ここの右側「ラジオ山猫通信」をクリックしてスクロールして  「太陽に依存しない生物とヒトの目的の話」をクリックすると聞けます。  すぐに聞けない人は、じっと待ってみて。きっと聞けます。  http://crashlanding.under.jp/rajiyama1007.mp3  直接URLはここです。  今回の文は、おおむねラジオ原稿そのままです。  ラジオ用をメルマガ用に書き換えているけどね。 ★vol.185の参考書籍       世界をやりなおしても       生命は生まれるか?     著/長沼 毅 朝日出版社       北海道開拓 特殊土壌       http://suido-ishizue.jp/kindai/hokkaido/06.html ★予告です。 10月21日放送「海流と漂流とアホウドリの話」(収録終わった)  (ネットにUP予定は11月4日) 11月4日放送「高い山と海底ケーブルの話」(書き終わった)  (ネットにUP予定は11月18日) 11月18日放送「絶滅していなかった話」(書き終わった)  (ネットにUP予定は12月2日) 12月2日放送「縄文は母系社会」(これから書く)  (ネットにUP予定は12月16日) ★ラジオ放送が月二回隔週であります。  最初はメルマガを元に原稿を書いてたけど、  今は、書き下ろし原稿です。  それをメルマガに転用するという逆転現象が  最近のメルマガ版「やまねこ通信 E=MC二乗」であります。 ★どうぞお時間のある時に「ラジオ山猫通信」も聞いてみてください。  5年目に突入の「ラジオ山猫通信」  どこまで続くんだ?  ここまで来たらいける所まで行ってしまえ!  最近は、トチらずスラスラよどみなくしゃべっているように聞こえます。  慣れてきたのです! ウソです。(笑)  編集で直して貰っているんです。 そのためずいぶん聞きやすくなっています。  決して私のしゃべりが上達したのではありません。  編集がうまくなったのです!(キッパリ) ★私はいつも「やまねこ通信 E=MC二乗」の事が頭の隅にあります。  次回テーマは何にしようかと常に思っています。  「やまねこ通信 E=MC二乗」は、私みかりんを構成している大事な要素です。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹     ★彡★彡★彡★彡★彡『蟹屋 山猫屋』★彡★彡★彡★彡★彡 生まれも育ちも北海道育の“みかりん”が、北海道の味覚を全国の方に広めるために 『蟹屋 山猫屋』を立ち上げました。一級品の道産品をお手ごろ価格でネット販売! 読み物としても楽しめるものを目指しているよ。    登録はここ→ 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