2001/4/20━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆        週刊 やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.19 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 子どもの頃、「クラインの壺」の存在を知ったとき、裏と表の関係を考え続けて 未だにその妙な感覚を引きずっています。 ※クラインの壺:メビウスの輪と同様に裏表の区別が出来ない曲面の例として有名。 新しく登録して下さった人、はじめまして。 バックナンバーがあるので、ここ↓チェックしてみてね。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ━■顔の話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2万年くらい前。インドネシアあたりに住んでいた種族が北上して、その一部の人た ちが当時陸続きだった台湾や沖縄から日本にやってきた。この人たちが日本の原住民 の縄文人。 これに対し約2300年前に中国大陸の奥の寒冷地から朝鮮半島を経て南下して日本 に来た人たち。この人たちが弥生人。 顔を比べてみよう。 南方系の縄文顔は、一般に四角い形をしていて彫りが深く、立体的で、眉間が隆起し 鼻も突きだしている。 寒冷地から来た弥生人は、長円形で彫りが浅く、寒いところでは熱が逃げないように 表面積を小さくするために顔が丸くなった。鼻は低く、皮下脂肪も弥生系の方が厚 い。 南方系では、まぶたの肉が薄く二重が多く、ヒゲが濃い。耳たぶが豊かで歯が小さく 歯並びが良い。 北方系ではほとんどが一重まぶた。ヒゲや耳たぶは凍ると面倒なのであまり発達はし ていない。歯が大きく前歯が出ている。凍った食物を噛んだり、皮をなめすのに丈夫 な歯が必要だったからだ。 現在の日本人は縄文と弥生の混血だから典型的な縄文顔や弥生顔を探すのは難しい。 でもこの特徴が混ざって中間になることはなく、パーツごとにそれぞれ面影がある。 耳と歯は弥生でまぶたが縄文とかね。あなたの顔も混在しているはず。 さて、大陸から農耕文化という高度文明を持ってやってきた弥生人は、北九州から近 畿地方へ進出し、支配階級になった。支配階級が弥生人だったので日本では弥生人の 顔が、高級でモテる顔は弥生顔、という時代が歴史的に長く続いた。平安の絵巻物、 江戸の浮世絵は、引き目、かぎ鼻、うりざね顔の弥生顔を様式化したものだ。 その支配階級の弥生顔の貴族からみたら、縄文顔は自分たちとは違う顔、危害を加え かねない怖い顔に見えたのだろう。縄文顔の特徴を際だたせたら「鬼の顔」ができ る。 このように縄文顔は長いこと低く見られてきた。しかし戦後になって事情は一変す る。西洋的な彫りの深い顔、つまり縄文顔が憧れの対象になったんだ。 さぁ、あなたの顔は?  ━■動物行動学からの性♂♀の話 (17)━━━━━━━━━━━━━━━━ 「江戸の色事(1)」 日本における一夫一婦制は、思ったより新しい概念だ。 明治政府が西洋の慣例に従って、「税制の最小単位を家族とする」と決めてみたの だ。 キリスト教がバックボーンにある一夫一婦制とそういうものがなく、形だけ取り入れ てみた日本の一夫一婦制は、税金の取り立てがそのきっかけだったりする。 それでは、その西洋の慣習が入ってくる前の江戸期の庶民の男女の関係はどういうも のだったのだろう。 「昔の日本人は儒教の影響で、婚外交渉などとんでもない!」という先入観は武士社 会のものである。 江戸期の、特に江戸の町の庶民は、かなりさばけたものだったのだ。 しばらくは、動物の性から離れて昔の日本人の性文化をみてみよう。 江戸の町では女の子が主導権を握っていた。デートの誘いもプロポーズも女性から。 男性はひたすら待つ身だった。 で、男性は恋文をせっせと書く。女性は返事を書かなくても良い。破って捨てようが 燃やそうが自由。 女の子は好きな人から恋文が来ると、どこかに隠れて声を出して読む。 (当時は黙読の習慣がなかった)気に入ると暗記する程読んで元結(もとゆい)に結 ぶ。 男性は恋文の他にプレゼントという手もあった。一番人気は紅。 ウナギ屋などはよくデートの場所になっていた。 ウナギ屋には離れがあってそこに通されると店の人が熱燗とつまみを置いて、ウナギ が焼き上がるまでの小一時間は誰もこない。その間にしっぽりと……という具合。 で、女の子から「ウナギ屋に行こう」って言われたら男はどきどき。でも決して男か ら言ってはいけないんだ。言ったら「自惚れるんじゃないわよ!」って言われてしま う。 デートは隅田川べりや不忍池(しのばずのいけ)の周りという水辺コース。ここに は、出合茶屋というラブホテルがいっぱいあった。男色専門の陰間茶屋もあった。 江戸の青年たちは女の子に、ちょっと水場が見たいわ、なんて不忍池なんかに連れて 行かれたら、もうウキウキだった。そしてやはり男から入ろうとは言わない。女の子 が引っ張って行く。 選択権は女性にしかない。だから不意にあなたにはもう飽きたわ。さよならってこと も有り。 何故、このような事になってしまったか。 それは江戸の町の特徴として、男女のバランスが悪く、ひどく男が多い町だったから である。 勿論、地方や上方になると江戸とは、また違う。 ようは、やはり男女の比率のアンバランスさが江戸の特異な状況を生み出したのだ。 次回ももう少し江戸の恋を追ってみよう。 ━●みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「餌付けの功罪」 「きゃぁ、かわいいっ!」「いやーっ、怖いっ!」 野生動物に、このようなヒステリックな反応しかできない人をみると暗たんたる気持 になる。 そして、餌付けについては功よりも罪の方が大きいのを知っているだろうか? かつて日本には、水田地帯に多くのツルが飛来していたんだ。 でも現在では北海道や鹿児島と、熊本の境に位置する出水平野近辺にしか、やって来 なくなってしまったんだ。 その原因はずばり!「餌付け」 ツルは世界に15種類、そのうち11種が絶滅の危機と言われて、減ってきている鳥 類で大事にしなければならない世界財産でもあるんだ。 出水平野は、40年前までは200羽しか飛来しなかったけれど今では地道な餌付け の結果13500羽のツルが飛来するようになった。他に飛来しなくなると、もう今 から餌付けはやめることができない。 「いい事しているんだから、続けたら良いんじゃないの?」 それがね、そういうもんじゃないんだよ。 冬はエサが少ない。でも出水平野では人間が食べさせてくれる。そこで栄養を付けた 鶴は体力を付け、死亡率を低下させ、繁殖能力を増大させ、しかも「出水平野に行け ばエサが貰える」とツル新聞に載ったのか日本中に散らばっていたツルというツルが 集まってきたんだ。 それで何が困るかというと、まず心配なのが伝染病の蔓延。 一ヶ所に集まり過ぎると全滅の可能性があるんだよ。 これは、絶滅の危機から救ってやろうという人間の親切心が招いてしまった、鶴たち の危機。人災なんだ。 ニホンザルで観光地によくあるパターンは、餌付けをした結果、エサの味を覚え、増 えすぎて人里に下りてきて悪さを働き、有害動物に指定されて駆除の対象になってし まう。サルは悪くない。人災なんだよ。 青森県沢村では、ニホンザルの北限であることを村おこしにしようとして餌付けした 結果、人に迷惑をかけ、殺すのは可哀想と捕獲、野生公園に閉じこめたまではよかっ たけれど、その後サルたちは集団脱走したんだ。でもね、エサを取って生きる術を忘 れてしまったサルたちはオリに戻ってきたんだよ。 この他にも、町にハトが溢れ、ハトの糞による感染症が心配されたため、町をあげて 餌付けを禁止した結果、80%も減り、自然な繁殖数に落ち着いた例など、餌付けの 罪は「かわいいー!」ではすまされないんだ。 北海道のシンボルとしてキタキツネが台頭してからというもの、観光客などのスナッ ク菓子を与えるという無責任な行動のために、キタキツネの免疫機能が低下し下痢を 引き起こし死に至るということもあるんだ。 厳しい自然の中で生きることが優しさにつながるんだ。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 前号の「ストロマトライトの話」について、つるべさんから。 それとオオイヌノフグリについての話しを。 -------------------- [つるべ]  18号読ませていただきましたが、「光合成生物」と「好気性生物」ごっちゃに  なってません?  「好気性生物」とは酸素が代謝に『必要』な生物ですが、「光合成生物」特に  シアノバクテリアにとっては、酸素は『廃棄物』ですので、かなり意味合いが違  うと思うんですが。  シアノバクテリアの発生によって「好気性生物」がブレイクする環境ができあがっ  た、と理解しているんですが違うでしょうか?  後、オオイヌノフグリですが、オオイヌというのは、狼のことと昔教わりました。  花ではなく、種子見ると、少し理解できます。  -------------------- ご指摘を受けて調べてみました。はいはい。そうです。つるべさんの言い方が正しい です。 ちょっと、はっしょった言い方になってしまいました。m(u_u)m つるべさん。指摘してくれてありがとう。 で、前回の記事を少し補足したいです。 まず、嫌気性生物が現れ、次に太陽光のエネルギーを利用する光合成細菌が現れ、そ れからラン藻があらわれ(ストロマトライト)酸素が放出されるようになると、二酸 化炭素から有機物を合成し、空気中に酸素を供給しはじめた。と、こういう順番です ね。 で、あそこで言いたかったのは、あの最後の部分。 「生物と地球は、別のものではなかった。 地球という環境が生命を作りだし、生命は地球を作り変えていったんだ。」 ここなんです。 生物が空気中に酸素を供給しはじめて、それがオゾン層を作りだし、地球を宇宙線な どから守っていった。そうして惑星と生物の壮大な共生関係が出来上がっていったん だ。ここを感じて欲しかったんです。 以前「やまねこ通信 E=MC二乗 vol.5」で“宇宙人と出逢う可能性の話”という記事 を載せました。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm バックナンバーはここね。↑ ここで地球に生命が誕生したのは、どんなに奇跡的な事なのかという事を紹介しまし た。 そして、地球が荒涼たる岩石の塊にならずに、オゾン層に守られた奇跡の星になるた めには、生物の力もあったんだって事を紹介したかったんだ。 嫌気性生物も光合成生物が発生する前段階で必要な事だったし、好気性生物がブレイ クするには、それらが必要だった。そうして地球は生物によって岩石の塊になる事を まぬがれて命の星になっていったんだ。 そのなれの果ての私たちヒトは、またも地球を変えようとしている……? この変化 は早すぎるけれど長いスパンでみると私たちの出現といつか来る滅びは、地球環境に とってどういう位置づけがされるのだろう? その結果を知ることのできる“ヒト” は存在しないのかもしれないけれど。 -------------------- [きょみち]  私は「クラゲ・水母・海月」の漢字が好きです。  特に「海月」なんて誰が考えたんだろ? -------------------- そうそう。このクラゲを漢字で書くと「水母」とか「海月」になるんだ。 いいねぇ。「海月」。 海に映る月がゆらゆらと定まらずにそこにうつろう様子を クラゲにみたのだろうか。 詩的で幻想的な夜のイメージ。 和名はいいね。最近、和名マニアになりそうだよ。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★「やまねこ通信E=MC二乗」の11号、12号、13号で「江戸のリサイクル事 情」を3週に渡って紹介したばかりで今度はまた「♂♀の話し」で3週に渡って江戸 期の庶民の性文化を紹介してみます。 江戸っていう時代は面白いよ。特に庶民はね。 私は歴史は好きで、乱世なら戦国の信長秀吉の頃と幕末の竜馬の頃、太平なら江戸の 庶民の自由な雰囲気が好きです。 ★叫びのコーナー餌付けの功罪で、ちょっとキツネについて触れてしまった。キツネ の事について言えば、言いたいことがたくさんある。 実は私はキツネ好きなんだ。 で、長くなるのでキツネについては新たに別に記事として「キツネの話」として思う 存分語ろうと思う。 たぶん6月の終わりから7月にかけて3回シリーズで「キツネの話」を。 キツネに3回も? はい。3回もです。(笑) ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。 ★メルマガ相互宣伝です!  バックナンバーを読んでみて、気に入ったら購読すると良いよ。 PR**…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…* //\\//◆◇H A P P Y  S T E P◇◆//\\//\ 大恋愛の末に学生結婚したはずの夫が、妹と失踪!!なんてこったい・・・。 //\\/\最初の夫との出会い〜結婚〜離婚〜そして再婚という、\//\ //\現役モデル・フェムトの波乱万丈人生を振り返るメールマガジン。/\ //\★配信登録\ http://www8.tok2.com/home/femto/happy /\\//\ *…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…**PR ━ メールマガジン広告 (購読無料) ━━━━━━━━━━━━━━━━        メルマガ「日本語紀行」週刊発行    新しい言葉に出会った時、人は新しい感情を手に入れる。 登録、過去誌→ http://www.alpha-net.ne.jp/users2/adria/magmag.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ それじゃ、今週はここまで。 あなたのお便り待ってるよ。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 思い出せないという現象がある。 素晴らしい考えだったのに! 確かに一時は存在したのに消えた……。 そういう 記憶、考え、思考は、何処に行ってしまうんだろう。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○週刊 やまねこ通信E=MC二乗 vol.19  2001年4月20日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: ◆インターネットの本屋さん「まぐまぐ」 http://www.mag2.com/ ◆メルマガ発行サービス「メルマガ天国」 http://melten.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○週刊やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さに はまったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。 それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━