2014/6/15━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.201 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 私が学生の時、冬服から夏服に変わるタイミングは6月15日と決まっていました。 今でもそうなんでしょうか。 だから私の感覚からすると今日から札幌の夏です。 北国では、ページをめくるように季節が代わっていきます。 さて。 今日の話は、ヒトは白い人も黄色い人も黒い人も外見の違いほど差がなくて 驚くほど均一なんだよっていう話をしたいんです。 ただその話に持っていくのにシャチに登場してもらう所が、 やまねこ通信っぽいところです。 ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm 「ラジオ山猫通信」も、ここから聞くことができます。↑ ━■シャチとヒトの共通点の話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 19世紀の自然科学者ダーウィンは、 まわりを海で囲まれたガラパゴスの島々にいる色々な鳥が、 フィンチというただ一種類の鳥から分かれていったものだと気がつきました。 キツツキのように木の中の昆虫を食べる鳥も、植物の種ばかり食べる鳥も、 イグアナの皮膚の古い角質や寄生虫を食べる鳥も、 サボテンの実や葉っぱを食べて、代わりにサボテンの花粉を運ぶ鳥も、 全部もとは一種類のフィンチという鳥なんです。 中にはカツオドリという鳥に後ろから近づいて突っついて流れた血液を飲む 吸血フィンチまでいます。 それぞれのフィンチは、見た目も大きさもくちばしの形も全然違います。 でも、どうもこれらは祖先が同じ鳥たちなんですね。 ガラパゴス諸島は割と新しい火山系の絶海の孤島で、 最初からこれだけの種類の鳥がいたとは考えにくいんです。 そして1000km程離れた南米大陸には親戚スジの鳥がいることから、 この鳥たちは、かつて存在して沈んでしまった島々を伝って 、今から200〜300万年前に祖先の一群がやってきて、 そして環境に合わせてそれぞれの形に進化したものとされました。 このように分かれていくのを適応放散とか種の分化とかいうんですけれど、 鳥の場合は求愛のときのさえずりも、この種の分化を進めた大事な要素だったようです。 フィンチのヒナは求愛の歌を父親から習います。 メスは自分が歌うことはないけれど、つがいの相手を選ぶときに、 自分の父親の歌と似ているかどうかも選ぶ基準のひとつになります。 ある集団が違う場所に住むと、遺伝子だけじゃなくて歌にもバリエーションが できていきます。そうして離れたグループの歌は急速に違っていって、 求愛の歌の違いがますますグループの間を隔てていって、 再び出会ったときには、違う種類になっているんです。 これがガラパゴスのフィンチの話です。 このフィンチの話でもわかるように、棲んでいる場所が違っていると種類も違って 分化が起きやすいんですね。 陸の動物にとっては、海や大きな川や山で隔たっていると 種類が違ってきやすいです。 それでは海はどうでしょう。 海には隔てるものがあまりありません。 場所によっての変化があまりない所です。 だから海に進出した哺乳類は、陸に棲む哺乳類ほど種類が多くないんです。 はい。ここでシャチの話になります。 シャチって英語でキラーホエールって言います。意味は殺人クジラです。 シャチの学名を訳すと「冥界の魔物」という意味になります。すごいですね。 そしてシャチってとても大きいんですよ。 大きいもので体長は10mで体重は10トンにもなります。 背中の背びれだけでも2mもあるんです。 私の身長が150cmちょっとです。 私は大きめのシャチの背びれほどもないんですよ。 北極にはアザラシを狙っているシャチがいます。 南極にはペンギンを獲物にするシャチがいます。 北極から南極まで、つまり世界の海のどこにでもシャチはいます。 海は陸のように遮断するものがありません。 でも、シャチはいくつかのグループに分けられるようなんです。 彼らを分けているのは何なんでしょう。 シャチは哺乳類の中でもっとも賢いもののひとつです。 複雑な行動パターンと驚異的な学習能力を持っています。 その賢さのために、遺伝的な壁が生まれてグループ分けになったんです。 陸の動物が物理的に、たとえば海とか川とか山や砂漠に隔たれて 種類が分かれていったのとはまったく違う理由で、 シャチは種類が分かれつつあるようなんです。 実はこのあたりがとてもヒトと似ているんです。 シャチを分けるもの。それは文化的なものです。 信じられないかもしれないけれどシャチの社会的な伝統で、 現在進行形で遺伝的にどんどん離れつつあるんです。 どういう事か説明しますね。 長年、海洋生物学者は、シャチが10頭から25頭という群れを作って、 アメリカとカナダの西海岸をうろついているのを確認していました。 母親が自分の子孫だけの群れを率いているのが一般的です。 この群れの移動パターンは一定していて、毎年夏になると いつも同じ狩場にやってきて好物の鮭を食べます。 だから鮭の移動のタイミングに合わせてシャチも移動します。 鮭が川を上るシーズンになると、待ち構えています。 シャチたちは餌場から餌場へと移動する間もとてもおしゃべりで、 舌を鳴らして獲物の居場所を連絡しあっています。 同じ海域に、これらのシャチのグループとは別の小さなグループも 観察されていました。 この小グループは、2頭から5頭が1群れになっています。 そしてメンバーは血縁ではなくて、動きも鮭の移動とは関係ないのです。 学者たちは追放されたシャチがグループを作っていると考えて、 「放浪グループ」と名づけて、 母親が率いるもっと大きなグループを「定住グループ」として、 区別して観察していきました。 するとこのふたつのグループのシャチは決して混じることはなくて、 よくみると外見の違いもある事に気づきました。 定住グループシャチの背びれの先端は丸いです。 放浪グループのは、とんがっています。その背びれの 裏にある白い斑点の形や色合いもなんとなく違うんです。 そしてもっとも違うのが食事です。 定住シャチたちは鮭を食べます。 放浪グループのシャチたちは魚にはまったく興味を示さないんです。 魚じゃなくて哺乳類が好きなんです。 ゼニガタアザラシ、アシカ、ネズミイルカ、マッコウクジラ、 ザトウクジラ、コククジラなどなど。 どうも哺乳類ならなんでもいいみたいです。 海の哺乳類だけじゃなくて、間違って海に入ってしまったカワウソや 大型のシカなども餌にします。 こんな記録があります。 人間に捕まった放浪グループの3頭のシャチは、 与えられた魚を食べることを拒否して、75日目に1頭が死んでしまいました。 残りの2頭は79日目に鮭を食べたけれど、 海に返されると再び哺乳類を食べる食生活に戻ったんです。 魚なんか食べるくらいなら死んだほうがマシという事でしょうか。 シャチには強い好みの違いがあるようなんです。 だから定住グループと放浪グループの狩りの仕方は全然違います。 放浪シャチは、定住シャチとは違って、黙ったまま狩りをします。 だけどいったん獲物に牙を突き刺すと、さかんに声を出します。 アザラシは、定住のシャチの声と放浪のシャチの声を聞き分けます。 定住シャチが近くを通りかかっても警戒もしません。 のんびりしたもんです。 でも放浪シャチの声を聞くと、恐怖に駆られていっせいに岸に戻ったり 深く潜ったりします。 放浪シャチのアザラシの狩りで興味深いことがあります。 流氷に乗っているアザラシをみつけると、数頭で大きな波を作って 流氷を揺らしてアザラシを氷の隅に追い詰めて海に落として捕獲します。 その時おなかがすいていなかったら、さんざんアザラシをもて遊んだあと、 そっと氷の上に返すことがあるんです。 これ、人間が釣りでよくやるキャッチ&リリースなんです。 捕まえるけれど放してやる。今は食べない。 無駄に殺すより後で餌にしたほうがいいし、 そのアザラシを二度と捕まえることができなくても、 アザラシが増えることになればいいんです。 この波を使ったテクニックやキャッチ&リリースの文化は、 何世代も受け継がれてきたものだと考えられています。 定住シャチについても興味深い報告があります。 ある定住シャチ数頭が、はえ縄漁の網から魚を取る方法を覚えたんです。 そうしたらグループ内のシャチはこの行動を真似るようになって、 すぐに別の定住シャチグループへとこの文化は伝わっていったんです。 シャチの世界では革新的な事はめったに起きないんだけど、 いったん起きたら、新しいやり方はあっという間に広まっていくようなんです。 人間の知識の広まり方と同じなんですね。 1990年代のはじめ、30頭から60頭という大規模なグループを作って、 外海を泳ぎ回っているシャチが観察されました。 これを沖グループと名づけて、定住グループ、放浪グループと区別しました。 沖グループには色々なグループがある事が判ってきました。 サメや小魚ばかり食べるグループ。 南半球にいるメロという魚ばかり食べるグループ。 ミンククジラばかり狙うグループ。 アシカの子どもが大好物なグループなどです。 海には隔たりがないので、違うグループの行動域が重なっている事があります。 ふたつの定住グループの間に、 沖グループと放浪グループが重なっているというようにです。 そして最近の遺伝子解析でわかった事なんですけれど、 縄張りが重なっていても、異なるタイプのグループは交流していないんです。 繁殖相手にならないんですね。 シャチはそれぞれ自分と同じタイプのグループの中から交尾の相手を選んでいます。 シャチにとって地理的な近さよりも、文化的に同じである事のほうが とても大事なんですね。 こうやってシャチはそれぞれ同じ文化を持つシャチからしか 繁殖相手を見つけないので、そのグループの中だけで遺伝子が固定化されて、 今だんだん種類が違ってきつつあるようなんですね。 たぶん言葉も違うのでもう話は通じないと考えられています。 最初にお話したダーウィンのフィンチを思い出してください。 分類上はまだ同じ種類なんだけど、歌の違いが交尾の壁になっていくのと同じです。 グループによって餌の好みが違う。 狩りの戦略が違う。鳴き声が違う。移動のパターンが違う。 これらは後天的な学習によるものです。 シャチたちが行動パターンによって分かれているのは、 本能的な壁というよりも、人間と同じような文化的な壁で 分かれているようなんです。 定住グループと放浪グループとでは遺伝子的な差はすごく小さいんだけど、 文化的な差が大きくて、ヒトでいうと民族の違いのようになっているんです。 哺乳類を食べるシャチが、魚を食べるくらいなら死を選ぶ。 これは学習した事や過去の経験にとても忠実で、 場合によっては自己保存の本能より優先しているようにみえます。 こういう教えられた事に強く反応するから シーワールドのアトラクションでもシャチは人気者になれるんですね。 さて。 ここでやっと私たちヒトの話になっていきます。 私たちヒトもシャチと同じように簡単に教育されます。 そしてその後、固まってしまいます。 私たちは幼い頃から学んだことを大事にして、それにこだわって伝統として 伝えるという性質を持っています。 それは裏を返せば言葉の通じない外国人を排他的扱いやすくなる性質を 持っているという事でもあります。 そして時には、道理の通らない考えに染められて、他の本能を上回ることもあります。 民族間の紛争の自爆テロなんかははこういう例ですね。 あぁ、こんな例もありますね。アメリカは移民の国です。 そこに暮らす東アジア系、インド系、ユダヤ系の家族は それぞれの伝統を実践しているばかりではなくて、 他の民族との結婚を認めたがらない傾向にあります。 もちろんすべてではありません。 でもこの事なんかは地理的な壁がなくても、 後天的な学習で壁を作ってグループを維持しているという点がとてもシャチと似ています。 ヒトは長い間そういうグループを作ってきたので、 民族やグループによって、外見はずいぶん違いがあるように思えます。 肌の色、髪の毛の色、目の色、顔立ち。 でも、実は外見の違いほど遺伝子の幅はありません。 ヒトは同じヒトとしてのグループなんです。 私たちは見かけよりもとても似ているんです。 で、ここから話す事が重要なんですけれど、 うっかりすると誤解して頭に入っていくから気をつけて読んで欲しいんです。 ジョン・エンタインという人の著書に 「黒人アスリートはなぜ強いのか。その身体の秘密と苦闘の歴史に迫る」 という本があります。 そこからの引用ですけど、西暦2000年の時点で過去4回のオリンピックの100m走の決勝に 出場した32人は全員アフリカ系の選手でした。 さらに詳しく言えば皆西アフリカ系で、セネガル、ナイジェリア、カメルーン、 ナミビアという海沿いの国の出身でした。 これが中距離走、長距離走になるとアフリカのケニアの人が記録を出してきます。 1964年から2000年までのオリンピックでケニア人は38個のメダルを取っていて、 そのうち13個の金メダルが男子の走る種目です。 これを上回るのはアメリカしかいません。 アメリカには西アフリカ系の人々がたくさんいるんです。 そしてケニアの全土からまんべんなくメダリストが出ているわけでもなくて、 世界最速の人たちの出身地はグレールフトバレーの高地にある カレンジ地方に集中しています。 オリンピックのメダリストのうち70%がカレンジの出身なんです。 もっと地域を狭めることができます。 そのカレンジの中でも、緑豊かな丘のひとつで牧畜生活をしているナンディーの人々が 特に速いんですね。 2000年までに人口50万人のナンディー地区出身者が主な国際大会で長距離競技の メダルの20%を取っているんです。 ここでまたダーウィンのフィンチという鳥を思い出して欲しいんです。 フィンチは小さい島に閉じ込められて、違うものを食べるようになって、 13種類のフィンチに分かれていきました。 姿形も大きさも食べ物も全然違います。 今では種類が完全に違っていて、もとは同じ種類だと想像できないくらいに 見かけも違って、もちろん繁殖もできません。 フィンチは、地球全体に分布している人類よりもはるかに多くの種類に分かれました。 だから本来は、ヨーロッパ系とアジア系とアフリカ系の人々が そもそも勝負できるということ自体に驚くべきなんです。 そして走る種目の1000着以内にアフリカ系以外の人が数多くいる事にも注目です。 2008年男子100m走の記録はウサイン・ボルト選手の9.69秒。 ヨーロッパ系の白人の記録は10秒ちょうどなので0.31秒の差です。 これはスポーツ競技として差はあるかもだけど人種の差はないと言っていいでしょう。 違うのは比率なんです。 アフリカ系の人々の方が最高レベルで走れる人の比率が高いんです。 2004年アテネオリンピックの400m走の金メダリストはテキサス州出身の白人です。 400mに関して言えばヨーロッパ系とアフリカ系の人々が出せる記録は 変わらないんですね。 オリンピックやプロスポーツは、遺伝的に極端な層を見せることになってしまって、 本当は人種を超えて身体的に同じなんだけど、違うという印象を与えてしまいます。 無作為に選んだ2匹のチンパンジーと、無作為に選んだ二人の人間の遺伝子を 比べると、チンパンジーのふたつの遺伝子の差はヒトの2倍もあります。 実は私たちは驚くほど単一な種属なんです。 数百万年未来には、シャチは文化的な壁で分かれて、 フィンチのように全く違ういくつもの種類になっているのでしょうか。 その頃、グローバル化が進んだヒトは、 もっと交じり合って理解しあっているのでしょうか。    * * * * *  * * * * *                                       狭い島に閉じ込められた鳥は        十三種類ものまったく違った鳥になった        広い海を制覇したシャチは年長者から伝えられた文化を守る        ヒトとシャチは        先祖からの文化を大事にするあまり        違う部族とは交流しない傾向がある        文化の違いがやがては別の種類に分かれていくだろうシャチ        でも世界中に分布しているヒトは        違いを認めつつ交流しよう           私たちは実は外見ほど違っていない        足の速い人がいて、歌がうまい人がいて        計算の得意な人がいて、絵のうまい人がいる        ヒトは他の動物に比べて驚くほど単一な動物なのだから ━■みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「空中プランクトン」 前号vol.200のこの欄で、ウミガメの前ヒレの動かし方の話を書きました。 アオウミガメが羽ばたくように左右同時に上下させて泳いでいて、 他の爬虫類は左右交互に足を動かすのに。という話でした。 ここにそれを書いていたら、無性に水中を泳ぐカメを見たくなって私は札幌円山動物園へ 行ったのです。5月31日のことです。 動物園に行くと私は、オオカミとかヒグマの前で時間を過ごすことが多いんですが この日目指したのは爬虫類館でした。 円山動物園に行くには、円山公園という大きな公園の横を歩いていきます。 円山公園というのはたくさんの樹木があって、札幌市民のお花見の場所として 代表的な場所でもあります。 頭の中が泳ぐカメでいっぱになっていた私は、ぽこぽこと円山公園の隣接している道を 動物園目指して歩いていました。 その時、一陣のさわやかな5月の風が吹きました。 あぁ! なんという風景でしょう。 無数の植物のタネが、空中を飛んでいるのです。 キラキラした風と無数のタネ。 見ると足元にもタネが積もっています。 こんなのです。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/201.htm こういう飛ぶタネを翼果(よくか)といいます。 カエデの翼果は、プロペラのように左右に羽があります。 ハルニレのは扇のようです。 風に乗って親木よりも離れた所に運ばれようとしています。 公園のハルニレが大量のタネを飛ばしていたんです。 見事な飛ばしっぷりでした。 札幌は大きな公園にはハルニレの大木が多いです。 ハルニレは30mくらいになります。見事な木です。 それが同じ時期に、わんさかタネを飛ばします。 だからこの時期、札幌の街はハルニレのタネだらけになります。 土の上に落ちたものはすぐに土に返るんだけど、コンクリやアスファルトに 落ちたものは、なんだかなぁという感じでちょっとの間、積もっています。 動物園に向かっている時に、吹いてきた風と宙に舞った無数の ハルニレのタネの風景を見て 私は「これは…空中プランクトンだ!」と思ったのでした。 水中にプランクトンがいるのなら空中にプランクトンがいてもいいです。 翼果が植物プランクトンなら、動物プランクトンは昆虫とかクモの子とかでしょう。 空中プランクトンを食べるのは、鳥やコウモリなどでしょう。 クモの子は生まれると、草の先や木の枝の先まで行って、お尻から糸を出して 風に乗って何千kmも移動して新天地を目指す種類がいます。 海の底が隆起して絶海の孤島が出来て、 まず最初の生物がこうした風に乗ってやってくるクモなどです。 って事は、ほとんどの空中プランクトンは無残にも海に落ちています。 運の良いものがだけが生きていける風まかせの人生のスタートです。 そのくらい空中にも命のタネが浮遊しているんですね。 その日、動物園の中もハルニレのタネでざくざくしていました。 オオカミとヒグマの前でしばらくたたずんで、爬虫類館に行きました。 そんなうまい具合に、泳いでいるカメに会える訳ないかと思いながら。 そしたら泳いでいるカメに会えました! コウヒロナガクビガメ ってのが2匹、ずっと泳いでいました。 基本はジタバタ型だけど結構器用にに前足を操っていましたよ。 他にも爬虫類たちをじっくり見てきました。 爬虫類たちはどれもみんな左右ジタバタ型で手足を動かして移動しています。 やっぱりアオウミガメの羽ばたき型の泳ぎ方が特異なんだねぇ。 それから私は、その日の次の予定のために街中の大通り公園の方へ移動しました。 札幌テレビ塔の所です。ちょっと時間より早く着いてしまったので しばらく大通り公園のベンチに座っていました。 足元にはやっぱりハルニレの翼果がたくさん落ちています。 5時になり、名物のトウキビワゴン(トウモロコシを観光客などに売っているワゴン)が 片付けを始めました。 大通り公園にはドバトがたくさんいます。 このトウキビワゴンからトウキビを買ったお客さんが食べこぼしたおこぼれを ドバトが食べます。 あまりにドバトが増えたので、トウキビをドバトに与えないでという告知が 少しずつ広まって、いくぶんドバトの数が抑えられてきています。 その時、私は見ました。 ベンチで時間つぶしをしていた私の足元に来たドバトが トウキビワゴンが片付けを始めたのを見て、 それから、いかにもつまらなそうにハルニレのタネをついばんでいるのを。 翼果のタネの部分の所を器用についばんでいます。 でも、それはトウキビをのように大喜びでついばんではいません。 やっぱりね、どうみてもトウキビの方が粒が大きいし、 栄養価が高くてドバト的にもおいしいのでしょう。 検索したらこんな動画を見つけました。 http://www1.nhk.or.jp/creative/material/ea/D0002031224_00000.html エゾリスがハルニレのタネを夢中で食べている動画です。 無数のタネは多くの命を支えているのを今さらながらに実感しました。 それにしても、円山公園からの無数のハルニレの翼果が空中に舞う光景は素晴らしかったです。 あの時、カメラを持っていたのに写さなかったが悔やまれます。 なぜ、写さなかったか。それはカメの泳ぎ方について頭がいっぱいだったからです。 その後、ドバトが私の足元でハルニレのタネをついばんでいたのを、 なぜ見ていただけで写真を撮らなかったのか。 そんなのいつでも撮れるもんと思ったからです。 バカバカバカ。 3日後、空中植物プランクトンが舞う所を写真に収めようと円山公園に行ったのですけれど もうその日はほとんど飛ばしていませんでした。 シャッターチャンスを逃したのです。 一週間後、大通公園のドバトがハルニレのタネをついばむのを撮ろうとしました。 でも、よさこいソーラン祭りが行われていて、太鼓がどんどんと鳴り響いて、 ドバトはほとんどいませんでした。 シャッターチャンスを逃したのです。 シャッターチャンスは一度きり。 でも私は、あの空中植物プランクトンが飛び交う空を、脳内ではっきり再現できます。 そろそろ、札幌中のポプラが綿毛を飛ばし始める頃です。 綿毛の中には小さなタネが入っています。 ポプラの葉っぱが光を反射してキラキラ輝いています。 乾いた空気の中、ふわふわな綿毛がたくさん飛んでいる風景は北海道独特のものです。 北国の短い夏が始まりました。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★メイン記事は、「ヒトは見かけほど遺伝子の差はない。ってか同じ」って話でした。  これって言い換えれば、「ヒトは遺伝子の多様性が少ない」という事でもあります。  見かけが違うけど、本当はほとんど同じものっていうのの例として  ヒョウとクロヒョウがいます。  何世紀もの間、ヒョウとクロヒョウは別種のものとされていました。  でも、実際には同じ種類であるばかりではばく、  同じ親から、ヒョウとクロヒョウが生まれる事もあるんです。  ジネズミっていうネズミは、トガリネズミに似ていて鼻先がとんがっています。  でもジネズミはゾウに近縁なんです。  見かけ上の違いが遺伝的な同一性を隠してしまうんです。  ヒトの分布は広くて、いまや世界中に広がっています。  こんなに広い分布なのに、種類としては一種なんです。  この事は他の動植物にない特徴なんです。 ★ラジオ山猫通信がリアルタイムで、  パソコン、スマートフォンから聴けるようになりました!  http://www.radiokaros.com/simulradio/  ↑ここがカロスのサイトの「インターネット放送聴取方法」のページです。  パソコンからスマートフォンから、カロスの放送を聞く方法が載っています。  http://www.simulradio.jp/  ↑ここがサイマルラジオのサイトです。  ここから全国のコミュニティーラジオが聞けるようになっています。    このサイトを開いたらちょっとスクロールすると「北海道」という場所があって  その下の方に「ラジオカロスサッポロ」という場所があります。  そこの「放送を聴く」をクリックするとメディアプレイヤーが立ち上がって、  リアルタイムに放送を聴くことが出来ます。  ラジオ山猫通信は、第一月曜日と第三月曜日の19:00〜19:30です。  明日19:00に「クマンバチは空を飛ぶの話」が  リアルタイムで聞くことができます。  バックナンバーは、「やまねこ通信 E=MC二乗」のサイトの「ラジオ山猫通信」の  場所から、いつでも好きな回のお話を聴くことが出来ます。   ★今回のこの「シャチとヒトの共通点の話」は、  ネットでいつでも好きな時に聞くことができます。  http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm  ここの右側「ラジオ山猫通信」をクリックしてスクロールして  「古代DNAの話」をクリックすると聞けます。  すぐに聞けない人は、じっと待ってみて。きっと聞けます。  http://crashlanding.under.jp/rajiyama0602.mp3  直接URLはここです。  今回の文は、おおむねラジオ原稿そのままです。  ラジオ用をメルマガ用に書き換えているけどね。 ★vol.201の参考書籍        なぜシロクマは南極にいないのか 著/デニス・マッカーシー                        訳/仁木めぐみ                          化学同人    ★予告です。 6月16日放送「クマンバチは空を飛ぶの話」(収録終わった)  (ネットにUP予定は7月6日) 7月7日放送「竹の話」(書き終わった)  (ネットにUP予定は7月20日) 7月21日放送「サルの習性からヒトを考えるの話」(書き終わった)  (ネットにUP予定は8月3日) 8月3日放送「ゾウを食べるトカゲの話」(書き終わった)  (ネットにUP予定は8月17日) 8月17日放送「ムジナとモモンガと妖怪の話」  (ネットにUP予定は9月1日)(こらから書く) ★ラジオ放送が月二回隔週であります。  最初はメルマガを元に原稿を書いてたけど、  今は、書き下ろし原稿です。  それをメルマガに転用するという逆転現象が  最近のメルマガ版「やまねこ通信 E=MC二乗」であります。 ★どうぞお時間のある時に「ラジオ山猫通信」も聞いてみてください。  6年目を目指す「ラジオ山猫通信」  どこまで続くんだ?  ここまで来たらいける所まで行ってしまえ!  最近は、トチらずスラスラよどみなくしゃべっているように聞こえます。  慣れてきたのです! ウソです。(笑)  編集で直して貰っているんです。 そのためずいぶん聞きやすくなっています。  決して私のしゃべりが上達したのではありません。  編集がうまくなったのです!(キッパリ) ★私はいつも「やまねこ通信 E=MC二乗」の事が頭の隅にあります。  次回テーマは何にしようかと常に思っています。  「やまねこ通信 E=MC二乗」は、私みかりんを構成している大事な要素です。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹     ★彡★彡★彡★彡★彡『蟹屋 山猫屋』★彡★彡★彡★彡★彡 生まれも育ちも北海道育の“みかりん”が、北海道の味覚を全国の方に広めるために 『蟹屋 山猫屋』を立ち上げました。一級品の道産品をお手ごろ価格でネット販売! 読み物としても楽しめるものを目指しているよ。    登録はここ→ http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/kani/   山猫屋の蟹は冷凍ガニではありません。ボイルしたてを食卓に直送! 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹    ↑↑↑  私、みかりんのもうひとつのメールマガジン。  北の味覚。海産物。蟹おいしいよ〜。海水ウニもありますよー。  予算はこれくらい。食べる人数はこれくらい。と教えてくれたら、その中で  できる限りのご提案をします!山猫屋の蟹は冷凍物は扱っておりません!  さぁ、タラバ食べたいよう、毛ガニ食べたいようのメールをみかりんに書こう。  タラバも毛蟹も良いのが入荷してきています。  北の食材たちは脂が乗っておいしいです。  この機会に、どうぞ冷凍ではない蟹を!  ご贈答に、山猫屋の海産物を。 それじゃ、今回はここまで。 あなたのお便り待ってます。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 鍵をなくした!と慌てていた。 意外なところにで発見。 トイレにあった。(笑) あぁ、あの時…って思い当たる。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○ やまねこ通信E=MC二乗 vol.201  2014年6月15日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さには  まったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。  それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━