2014/10/19━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.209 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 もうすっかり秋を深まって初雪のニュースもまもなくでしょう。 趣味の夏山登山のシーズンはおしまいです。 今年もたくさんの山を登ってそして無事に降りてきました。 ここ数年は札幌市内に何度もクマが出て話題になっていて 市民のヒグマに対する警戒心と関心も高いです。 私も登山をするようになって、より身近にヒグマを感じるようになっています。 やまねこ通信では過去に何度も「ヒグマの話」というテーマでお話しています。 今日は、もちろん今までとは違った視点での話しです。 今日の話はちょうど1年前に亡くなった、アイヌ民族最後の狩人、姉崎等さんが語り、 聞き手の片山龍峯さんによってまとめられた本「クマにあったらどうするか」を 元にお話をしていきます。 いつもは生活の役にはまったく立たないやまねこ通信。 今回は違います。 実用版やまねこ通信です! メイン記事だけじゃなく、「みかりんの叫び」でも「編集後記」でも ヒグマについて語っています。 今回は全編ヒグマのやまねこ通信です! ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm 「ラジオ山猫通信」も、ここから聞くことができます。↑ ━■ヒグマの話3━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 先々月の7月25日の北海道新聞に、 札幌市内の小中学校でヒグマの生態を学ぶ取り組みが 広がっているという記事がありました。 そこには 「ヒグマはもともと人間を食べません。  ヒグマが人間を攻撃するのは自分を守るための防衛なのです」 という主旨の事が書かれていました。 ちょうど私が、アイヌ民族最後の狩人の姉崎等さんの本を読んでいた時で、 姉崎さんも同じような事を語っているのです。 これまでヒグマについて書かれたものを読むと、 クマはやたらとヒトを襲う動物ではないとクマを弁護しつつ、 次のページではヒトをどんどん襲って食い殺していく獰猛な動物という実例を 延々と書いあったりして、どっちなんだーとよく思っていたんです。 「クマにあったらどうするか」この本はとても素晴らしいです。 今まで知られていなかったクマの習性が語られています。 全部引用したいくらいですけどそうもいきません。 クマが何を考えどういう習性がある動物なのか。 私が特に感じ入ったところを中心に、 そして山のスペシャリストではない普通の人がクマに出会わないために、 または出会ってしまったらどうしたらいいのかという所に向かって お話していきます。 まず絶対にやってはいけないのが、 クマに会ったら背中を向けて逃げるっていう行為です。 どんなに足の速さに自信があってもダメです。 クマは平地でも斜面でも時速60kmの速さで走ることができます。 人間よりずっと早いんです。 こんな話があります。 昭和に入ったばかりの頃、7、8人の営林署の人たちが山でクマに出会いました。 そして「クマがでたぁ〜」って言って逃げたんですね。 若い者は足が速くてどんどん逃げる。 でも林道だから足場が悪くて半分が崖になっていて 足の弱い年寄りがひっくり返る。 この時、7、8人の内のひとりだけクマに襲われていて死んでいます。 亡くなったのは一番足の速い人で真っ先に逃げた若者でした。 クマは転んで倒れた人よりも、 背中を向けて逃げていった者を追いかけて襲うという性質があるんです。 逃げる者は追わなきゃならない本能があるんですね。 だから逃げるくらいなら腰抜かしてへたりこんでいた方が ずっとマシなんです。 それでは、腰を抜かしてクマにのしかかられたらどうなるのか。 姉崎さんの話から紹介します。 支笏湖畔に住んでいた人が、マイタケ採りに山に登って行ったら、 門別岳の上の方からクマが降りてきた時のこと。 (というように、姉崎さんのお話は道民に馴染み深い地名が出てきて身近に感じます) クマが降りてきたのでその人は逃げたんです。 逃げなければクマも追わないのに、逃げたからクマが追ってくる。 その人は、太い木の周りをぐるぐる回ったんです。 クマも追って木を回る。 そしたら人の方が早く回ってしまって、クマの後ろにドン!とぶつかったんです。 この場面、漫画のようですね。 ぶつかられたクマはさっと反転してすぐに人に襲いかかります。 人は仰向けに倒れます。 クマは人の上にまたがって「ハウッ、ハウッ、ハウッ」って言って、 目の上でクマが怒ってよだれがタラタラと落ちてきます。 もうこの時点でダメですよね。 助からないですよね。 想像するだけで命がありませんよね。 でもね。 クマはすぐにかじり殺すかというとそんな事はないんです。 姉崎さんが言うには、そこがクマが肉食動物とはやり方が違うからと言います。 クマって雑食で草や木の実を中心に食べます。 シカや鮭も食べますけれど、主に食べるのは植物なんです。 話を続けますね。 その人は観念して目をつぶって動かないでいたんです。 そうやって動かないでいたら、ドーンとその人の胸を一発叩いたんですけれど それでもその人は動かなかったんです。 そうしたらクマはもう一度ぽんと叩いて、バサッと音を立てて跳んでいったんです。 しばらくそのままでいて、もう全然音がないから、 「あぁ、行ってしまったんだな、よし帰ろう」と思って起き上がったら、 そばにクマが座っていてまた飛び掛ってきたんです。 クマっていうのは音を残さないで立ち去ることができます。 先ほどのように動かなかったら良かったんだけど 今度は少しでも逃げようとしてもがいたら、動くところをかじるんです。 足を動かしたら足をかじられます。 だから動かないでじっと我慢していて、 やっぱり立ち去る時に、ドンと一発胸を叩いてバサっと音をたてて クマは跳んだんです。 今度はもっと長い時間じっと辛抱していたら、 ガサガサって山に登っていく音が聞こえたけれど、 それでもじっとしていたら、やっぱり一度止まった音がしたので まだ辛抱強くそこで寝ていて、上のほうでかすかに登っていく音が聞こえてから、 起き上がって走って帰ってきたという話です。 まぁ、のしかかられるという、いきなりハードルの高い話ですけれど、 それでもどうせ逃げたって逃げ切れません。 諦めて座り込むなり腰が抜けるなりした方がよっぽど生き残れる確率が上がるんです。 腰が抜けたら動けません。 クマは抵抗しないものにはかかっていかない習性があるんです。 それでは出遭ってしまったらどうするか。 姉崎さんは逃げないで棒立ちになると言います。 決して動かないでクマをじっと見て、「うぉー」っと腹の底から声を出すんです。 よつんばいだったクマは立ち上がります。 ここ、人間がよく誤解するところなんですけれど、 クマは襲うために立ち上がっているんじゃないんですね。 クマは立ち上がることで、声を出した人の他に人間はいるのかって 自分の安全を確認しているんです。 立ち上がったクマから目をそらさずにいると、 クマの方は目をそらして周囲を見渡します。 それでもクマが立ち去らないときはもう一度「うぉー」って声を出します。 クマはこの人以外に人はいないんだなと考えて、 今度は自分の逃げる方向を決めて逃げていくといいます。 でもなかなかクマを目の前にして腹の底から声を出すなんてことは 普通の人にはできません。 こういう時はただ睨みつけているだけでもいいんだそうです。 他にも、アイヌのおばあさんが、倒れた木の陰に寝ていたクマに気づかず、 ぶつかってしまったけれど助かった話を紹介しています。 ぶつかられたクマはその時、立ち上がって人を睨み付けて 「ハウッ、ハウッ、ハウッ」っていって歯の音をぎりぎりとさせるんです。 そのあばあさんも逃げないで動かないで黙って座っていたんです。 今にも飛びかかりそうになってクマは怒っていたけれど、 その内に去っていったというんです。 姉崎さんは、クマはいきなり襲い掛かる動物ではないと言います。 ただし、逃げなければです。 それから、自動車の窓の所のゴムのパッキンを持って いつも山を歩いていた千歳の方に住んでいたトメ婆さんの話も紹介しています。 クマに出くわしたら、トメ婆さんはゴムをヘビのように振り回して対応するんです。 クマはヘビが苦手です。 ある時、山に慣れていない姉と二人で山に入ってキノコを採っていたら、 蚊の鳴くような声が聞こえてトメ婆さんが振り向いたら、 姉が自分の方に向かって一生懸命走って来て その後ろからクマが追っかけてくるという状況が目に入ったんです。 トメ婆さんは慣れているから「逃げるなー声かけれー」って怒鳴ったんだけど、 姉は腰が抜けた状態で妹に向かって走ってくる。 すごい状況ですね。 私ならそんな状況を見ただけで腰が抜ける自信があります。 トメ婆さんは、どうしたかというと、 姉を助けにクマのほうに向かって走っていったんですね。 するとクマが立ち止まって退散していったんです。 この時はゴムは使っていません。 これ、物凄い勇気がいる行動です。 クマはこいつは弱いと見て追っかけている時に、 予想外に人間に向かってこられて怯えてしまったんです。 トメ婆さんすごすぎです。 姉崎さんは何度も言います。 クマはやたらに人を襲う動物ではない。 まず自分が襲われるかどうかを考える動物だといいます。 そう言われても、普通は、いきなり出会ってしまって冷静に対処できませんよ。 でも少しだけクマがどういう動物か理解の入り口に立ったような気持ちです。 姉崎さんは、意外な事を言っています。 クマは人間の方が強いと思っているというんです。 いったいどういう事なんでしょう。 人間というのは、数が多くてどこでも堂々と歩いています。 色々な動物が人間の事を気にしているのは それだけ人間のことを強い存在だと見ているからと言います。 クマも人里近いところで人間を観察しています。 たとえばクマは直径15cmくらいの木の枝を折ることが出来ます。 直径15cmの木を折るというとクマでもなかなか大変です。 クマは木の裏側をよく噛んで弱らせてからまげて折るんです。 知恵のある動物です。 ドングリを食べる時などそういうふうにして枝を折って食べる事があるんですね。 それで、クマは人間が木を伐採して大木を倒すのを見ているんですね。 今はチェーソーを使ってですけど、昔は斧を使って、 太い木を一気に倒す人間をクマは見て知っているんです。 あんなに太い木をドサッと倒す人間はクマにとって怖い動物なんです。 そして自分たちより早く走れる車も見て知っています。 人間が怖いからあまり寄り付きたくないんです。 そういう機械もない時代、たとえば弓と矢の時代でも トリカブトの毒が回って仲間が死んでいくのを見て、 人間は変な力を持っていると思っていて、クマはやっぱり人間を恐れているんです。 だからクマは普通は人間を襲おうとは思っていないんです。 でも、一度人間を襲ってしまったら、人間は他愛もなく倒されてしまいます。 クマは「なんだ恐れていたけどこんなに弱いのか」って すごく自信を持ってしまいます。 襲って食べたら味も覚えてしまいます。 そうなると人を恐れずに次々と人を襲うクマになります。 だから最初から人を襲って食べようと思っているクマは、 もうすでに事故を起こしているクマなんですね。 だから一度でも人を食べてしまったクマは それまでの臆病で用心深いクマとはまったく違う、 人を餌としか見れない恐ろしいクマになってしまうんです。 こういうクマはすぐに駆除しなければなりません。 それから姉崎さんはこうも言います。 出遭ったクマが大きいクマだったら安全なクマだと。 大きいクマは、そんなに大きくなるまで人間と事故を起こさず、 人間を避けて用心深く生きてきたクマという事なんです。 だから若い経験の浅いクマよりも大きいクマの方が安全だと言います。 それと姉崎さんはハンターとしてクマを鉄砲でしとめたときに、 用心しての二発目の弾を撃つなといいます。 クマが倒れているのならもう逃げる力を奪っているんだから ハンターとしては九分九厘仕留めているって事なんです。 それに瀕死の重傷のときこそ一番怖いといいます。 普通ケモノは死んでしまうと毛が寝てしまうんだけど、 まだ毛並みがフワーって立っていたら精神はまだ死んでいなくて、 隙を狙って逆襲するんだという意気込みがあるんですね。 ある程度毛並みがグタって寝ていても、 息の根がまだ止まっていない時は、 下腹のあたりが動いて薄く息をしている。 こういう時は気をつけた方が良いんです。 そんな時、とどめを刺すために二発目を撃ちに棒で突っつけるほど接近するのが とても危険なんです。 彼らの動作はすごく早くて、クマに接近している時は鉄砲よりクマの方が速いから 危険なんですね。 生きていくために臆病なくらい用心深くなる。 倒されてもチャンスがあれば反撃する。 最期の瞬間まで諦めないその野生の命の話に感動します。 棒立ちになったり腰を抜かしたりして声をだしたら、 クマはすぐに飛びついてこないもんなんだけど、 時に三歳くらいの若いクマは、向かってくることがあります。 これは人間の中学生とか高校生がいきがるようなもんだそうです。 それでも決して逃げてはダメで、声を出して抵抗するのが良いんです。 何かを振り回すのもいいといいます。 その振り回すものなんだけど、棒はダメなんですね。 棒で突っついたり叩いたりすると、 クマが自分の方が強いんだぞーってかかってくるんです。 意外にも有効なのが、細かい枝が付いている木の枝がいいそうです。 痛い目に合わすんじゃなくて、 細かい枝が付いている木の枝を鼻先でしゅっしゅって振ってやると、 こういうのは嫌いなようで、顔を背けて寄って来ないんです。 それから姉崎さんはクマの面白い習性を話しています。 畑を耕すクワ。 あれをガラガラと引きずってクマから逃げのびた人がいるんです。 ああいった引きずるものを飛び越えて向かってくる習性はないと言います。 釣竿を引きずって歩いて助かる例もあります。 それでも、引きずって逃げるよりそういうものを振り回して 大声を出してクマを撤退させたほうが安心できるといいます。 根気の強いほうが勝つんですね。 クマが根負けするくらいそこで頑張ると良い。 それとベルトのようなものを振り回すのも良い。 これはトメ婆さんの戦法ですね。 でもベルトのようなものを投げつけたらダメ。 それっきりベルトが動かなくなるから。 その人の手元で動いているとクマは何か気味が悪いと思うんですね。 それから熊鈴。 今では札幌の街中の小学生でも熊鈴をランドセルにつけて登校している地区があります。 登山でも皆、常識のように熊鈴を鳴らして山に入ります。 あれは効果があるんでしょうか。 音を出すという事は、ここに人間がいるよってクマに早く知ってもらうことになります。 これが大事なんです。 でもそういう音にクマはすっかり慣れちゃってもいるんですね。 動物は音に慣れます。 たとえば千歳のシカやクマは鉄砲や大砲の音では逃げません。 自衛隊の千歳の演習場の近くでは音に慣れちゃってるんですね。 鉄砲の音に慣れたシカを撃つと、撃たれたシカは倒れるけれど周りのシカは 知らん顔しているんです。 昔の山は人間が出す音がなかったから、自動車の音でもクマもシカも逃げたんだけど、 今では平気です。 姉崎さんはクマに有効な音を見つけたといいます。 それはペットボトルを押してペコペコ音を出すことといいます。 耳慣れないペットボトルのペコペコ音はクマにとって気味が悪いようで寄って来ません。 それともうひとつ、効果があるのが、 細い棒で木を縦に叩てビーンビーンと響かせる叩き方。 横に叩いても響かないんです。 こういう音を出すとクマの姿は見かけなくなります。と言っています。 それではまとめです。 【予防のために】 ・ペットボトルの音をペコペコ鳴らす。 ・または木を細い棒で縦に叩いて音を響かせる。 【クマに出会ったら】 ・背中を見せて走って逃げない。 ・大声を出す。 ・声が出せなかったら、じっと立ってるだけでも良い。 ・その場合大きく体を動かさない。 ・腰を抜かしてもいいから動かない。 ・にらめっこで根くらべをする。 ・人に敵意がないとわかったらクマ去っていくものだ。 ・ベルトをヘビのように揺らしたり、 ・釣竿をヒューヒュー音を立てたり、 ・細かい枝のある木の枝を振り回す。 ・またはそういう枝を引きずって静かに離れる。 【子連れのクマに出会ったら】 ・仔グマを見ないで親だけをみながら静かにあとずさりする。 姉崎さんから聞き取って本にした片山さんは言います。 「なんか嫌だな」「ちょっと怖いな」とクマも人間も感じあうことが、 クマと人との共存のあり方を示していると。 この大きな隣人たちとの関係の物語はこれからも続きます。    * * * * *  * * * * *                                                私たちが市街地で見上げる月を         森の中でクマも見ているだろう         餌となるドングリやコクワの木が増えますように         森の木の実が豊作でありますように。         多くの鮭が川をのぼれますように。         月見て願う命の繋がり         やんちゃなクマは駆除されて         用心深いクマが生き残る         私たちから見えないクマ         クマのほうからはヒトが良く見えている         クマはクマのルールで生きている         月は人もクマも照らし出す。         数万年以上も前から、         これからもずっと月は見ている          ━■みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「もっとヒグマの話」 メイン記事だけではまだ語り足りないです。 だからもっと語ります。 このメイン記事の元になった「クマにあったら どうするか」の本を読んでいた頃、 北海道新聞にメイン記事にも書いたように、 札幌市内の小中学校でヒグマの生態を学ぶ取り組みが 広がっているという記事が載っていました。 それとは別に8月中旬から下旬にかけて「私の中の歴史」という全13回の連載が はじまって、書き手の人が動物学者の門崎允昭(かどさき まさあき)さんという方 でした。 タイトルは「ヒグマ研究45年」です。 その他にNHKスペシャルで「知床ヒグマ運命の旅」という番組が放映されました。 どうして今までそういう視点がなかったんだろうって思ったほど、 ヒグマの動物としての生態に焦点を当てた番組でした。 あ、ヒグマってそういう動物なのかとよくわかった番組でした。 とにかく私が「クマにあったら どうするか」の本を読んでいた頃、 私の見るもの聞くものヒグマだらけだったんです。(笑) メイン記事にも書いたように、知れば知るほどヒグマはやたらと人を襲う動物では ないと理解していきました。 新聞連載の門崎さんの連載も素晴らしい内容です。 ここに全部書き写したいくらいだけどそうもいきません。 門崎さんは、メイン記事で紹介した姉崎さんとはちょっと主張が違っていて 「襲われたらナタで応戦しよう」派です。 痛い目に遭ったクマはそこで人間の怖さを学んだので、 人目を避けて奥山に引っ込んでしまいます。 そんなクマをとことん追い詰めて駆除すべきではないと言います。 クマの棲む場所に入るときは、ナタを持って入ることが礼儀だと言います。 自分の命を守り、結果的にクマの命も守ることになるからです。 それから私が「ヒグマの話2」で紹介した「新世代グマ」という考え方は 間違っていると主張します。 親子で歩いている時は、母熊は人間の生活圏に入ってきません。 仔グマが行きたがっても母熊は許しません。 親離れした若いクマが好奇心で人間の生活圏に入ってきているのが ニュースになっているクマです。 数日うろついて、ここは自分の居場所にはならないと納得したら 山に帰っていくもので、これは若いクマの習性であって、新世代グマなんて マスコミで言われているけれどそれは見当違いです。 若いクマのなわばり探しです。昔からクマとはこういうもんです。 と説明しています。 門崎さんは、ちょっとの目撃情報で、札幌市民の山、藻岩山などの遊歩道を 閉鎖にするのは、行政の対応は事なかれ主義と言います。 クマがいて当然な場所なんだから笛、ナタなど相当の準備をして 自己責任で自然を楽しめばいいのです。と。 私が住んでいるのは札幌市の端っこです。 歩いて数分の所に原生林に繋っている自然公園があります。 今年8月下旬にその公園にクマの目撃情報があって2週間ほど公園は封鎖されました。 若いクマだったようです。 それからもっと奥の方に滝が何本もある国立の自然公園があります。 去年9月と10月に監視カメラに若いクマが写って、 その年いっぱい公園は封鎖されました。 その国立の公園は、以前は小動物が行き来できるように柵に500箇所以上 隙間を作っていたのです。 現在は閉じられています。 公園内にクマの糞があった場所には、クルミやヤマブドウの木がありました。 まぁ、山などならともかくも公園にナタを持って入るってのは、 ちょっと無理かもだけどね。(笑) 札幌圏ではヒグマにより人身事故は2001年5月に山菜採りの男性が襲われて 亡くなった事件以降、一件もありません。 クマの生息地と人の生活圏は画然と区別されています。 札幌市民は、この大都市にヒグマも一緒にすめる自然を誇って良いと 門崎さんは言っています。 この連載ではヒグマと人との、共存のための心構えと手立てと覚悟を提案しています。 北海道の自然は豊かで魅力的です。 山菜採り、登山、キャンプ、釣りなど積極的に自然の中に入っていきましょう。 そして、ナタと笛は必ず持って行きましょう。と締めくくっています。 私のケータイのストラップは、ホイッスルにしています。 ナタは…持ってないな。 NHKスペシャル「ホットスポット 最後の楽園 season2 生命を巡る地球の旅」 という番組が始まります。 絶滅に瀕する生物や大自然のドラマを壮大なスケールで描く 大型自然ドキュメンタリーです。 福山雅治がナビゲーターです。season1も素晴らしかったです。 2011年に放送された第1シリーズ(6本)に続き、 この10月より新たな第2シリーズ(6本)が放送となります。 毎月1回、3月まで放映されます。 10月11日にプロローグという事で、これから始まるseason2を紹介する番組を 見ていました。 その3月に放映する番組の紹介の所で、 北海道くらいの広さのインドのスリランカにゾウが5000頭ほどいて 人間とすぐ近くに暮らしているのです。 (北海道のヒグマの個体数は不明で、30年前に出した1900頭〜2300頭と  いう説があって今でも引用されています。増えているのか減っているのか  現在に当てはまるかは判らないのです。  広さと数が、ちょっとスリランカと似ています) 野生のゾウとの距離がすごく近くて、住民との軋轢もあります。 家をゾウに襲撃されて蓄えていた米などの食料を食べられ、 家の壁を壊されて布で壁の代わりの応急処置をしている家の住人に 福山雅治が訊ねていました。 福山「ゾウ、いなくなって欲しいですか?」 住民「とんでもない。ゾウにはずっといて欲しいです。怖いけど」 福山「それはどうして?」 住民「だってここは大昔からゾウが住んでいた土地です」 福山さんはこうまとめていました。  「他の住人や子どもにも聞いてみたんですけれど、   みんなゾウはいなくなってほしくないと答えるんです。   人って好きなことや興味あることは続けられます。   自然の中に入って自然と触れ合って欲しいんです。   そうしたら、この自然とどう共存していったらいいのか   本気で考えることもできます」 これって、門崎さんが言ってることと同じだなと思ったんです。 「北海道の自然は豊かで魅力的です。  山菜採り、登山、キャンプ、釣りなど積極的に自然の中に入っていきましょう」 スリランカでは相手はゾウだけど、北海道ではヒグマです。構造は同じです。 世界中で人と野生動物の軋轢と距離間が問題になっています。   共存の道は必ずあります。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★もうちょっとクマの話をさせて。(笑)  今月10月5日に、札幌のカムイ岳っていう山にクマのために  ミズナラの木(ドングリがなります)の植林をするためのボランティア募集って  いう新聞記事をみつけたんです。ものすごく行きたかった。  カムイ岳なら何度か登っているし、クマのためだし、植林だし。  私の好みド真ん中なボランティア募集だ。  でもその日は都合がつかなくて行けなかった…。  またそんなボランティアを見つけたら今度こそ都合をつけて行きたい!  実現したらレポートします! ★よく本州からの観光客に「北海道にはゴミ箱がない!」という悲鳴のような  旅行ブログをみかけます。  それには理由があるんです。ヒグマ対策です。  人間の食べ物に興味を持ってほしくないんです。  ゴミはお持ち帰りください。  どうぞご理解とご協力をお願いします。  私はそういうブログを見つけると、地味に理由をコメントしてまわっています。  そんな言い訳コメントをみかけたら、それは私です。 ★ノーベル賞に3人の日本人が選ばれました!  今まで、科学の分野で日本人がノーベル賞を授与したら  なるべくこの欄で取り上げるようにしていましたが、  2002年の小柴教授のカミオカンデも、  2012年の山中教授のiPS細胞も、私はちゃんと説明できませんでした。  「うわー、なんかすごい!おめでとうございます!」です。(笑)  今回の青色LEDは、カミオカンデよりはかなり身近です。  色々な説明を読んでもなんとかついていけます。  というか、これほどまでに生活に密着したものに貢献したものでも   ノーベル賞の対象になるんですね。というのが私の正直な感想でした。  青色発光ダイオードのおかげで、人々の生活がこれだけ違ってくるという  説明の文を読むと「おぉぉ、なるほど〜」と思うんだけど  それなら「ここ20年のインターネットで人々の生活と経済は大きく変わったよ」とも  思うんですよー。  インターネットで誰かノーベル賞受賞したの?   たとえば世界で初めてゲノム解析した人とか。  いえね、別に難癖をつけようなんて大それた事を言っていないです。はい。  発明発見などの科学の分野ならまだわかるけれど  平和賞を(今回受賞された17歳のマララさん、素晴らしいです!)  アメリカ大統領とか政治家に授与となると、ねぇ。  そういう意味ではノーベル文学賞も同じで、ちょっと意味不明だよね。  そろそろアジア圏からひとり出しておこうかとか。    ノーベル賞と言っても、人間のやることだからね。完全って訳じゃないよね。  あ!すみません!  私はお祝いの言葉を書こうと思っていたのです。  2014年ノーベル物理学賞を受賞された名城大学教授の赤崎勇さん、  名古屋大学大学院教授の天野浩さん、カリフォルニア大学教授の中村修二さん、  おめでとうございます!  日本人の受賞によって、あとに続く人材が多く現れると頼もしいです。   ★10月8日の皆既月食は日本のド真ん中で起きたので、  いつになく長い時間、1時間程の皆既月食状態でした。  札幌でも綺麗に見えました。    綺麗に写真に撮りたいものだけれど、光が弱いので難しいですね。    月食とか日食って月蝕とか日蝕とも書きますね。  虫が食べて形が変わっていくイメージなんですね。  日本語って面白いな。  次回の皆既月食は来年4月4日。  ただ、4月4日は皆既月食の状態になっている時間が短いです。 ★ラジオ山猫通信がリアルタイムで、  パソコン、スマートフォンから聴けるようになりました!  http://www.radiokaros.com/simulradio/  ↑ここがカロスのサイトの「インターネット放送聴取方法」のページです。  パソコンからスマートフォンから、カロスの放送を聞く方法が載っています。  http://www.simulradio.jp/  ↑ここがサイマルラジオのサイトです。  ここから全国のコミュニティーラジオが聞けるようになっています。    このサイトを開いたらちょっとスクロールすると「北海道」という場所があって  その下の方に「ラジオカロスサッポロ」という場所があります。  そこの「放送を聴く」をクリックするとメディアプレイヤーが立ち上がって、  リアルタイムに放送を聴くことが出来ます。  サイマルラジオは数分時間がズレて聞こえることがよくあります。  ラジオ山猫通信は、第一月曜日と第三月曜日の19:00〜19:30です。  明日19:00に「太陽系とか宇宙とかの話」が  リアルタイムで聞くことができます。  バックナンバーは、「やまねこ通信 E=MC二乗」のサイトの「ラジオ山猫通信」の  場所から、いつでも好きな回のお話を聴くことが出来ます。   ★今回のこの「ヒグマの話3」は、  ネットでいつでも好きな時に聞くことができます。  http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm  ここの右側「ラジオ山猫通信」をクリックしてスクロールして  「ヒグマの話3」をクリックすると聞けます。  すぐに聞けない人は、じっと待ってみて。きっと聞けます。  http://crashlanding.under.jp/rajiyama1006.mp3  直接URLはここです。  今回の文は、おおむねラジオ原稿そのままです。  ラジオ用をメルマガ用に書き換えているけどね。 ★vol.209の参考書籍&参考サイト 「クマにあったらどうするか」語り手/姉崎等 書き手/片山龍峯 ちくま文庫    北海道新聞2014年7月25日 ヒグマの生態 小中生が学習    北海道新聞2014年8月18日〜8月30日               私の中の歴史 ヒグマ研究45年1〜13 門崎允昭 ★予告です。 10月20日放送「太陽系とか宇宙とかの話」  (ネットにUP予定は11月2日)(収録終わった) 11月3日放送「縄文の最先端技術の話」  (ネットにUP予定は11月16日)(書き終わった) 11月17日放送「家畜化の話」  (ネットにUP予定は11月30日)(書き終わった) 12月1日放送「永久凍土とマンモスの話」  (ネットにUP予定は12月14日)(書き終わった) 12月15日放送「見えない時間の話」  (ネットにUP予定は12月28日)(これから書く) 1月5日放送「ヒツジの話」  (ネットにUP予定は1月18日)(まったく構想もない。これから考える。干支だし) ★ラジオ放送が月二回隔週であります。  最初はメルマガを元に原稿を書いてたけど、  今は、書き下ろし原稿です。  それをメルマガに転用するという逆転現象が  最近のメルマガ版「やまねこ通信 E=MC二乗」であります。 ★どうぞお時間のある時に「ラジオ山猫通信」も聞いてみてください。  2009年9月から始まった「ラジオ山猫通信」  どこまで続くんだ?  ここまで来たらいける所まで行ってしまえ!  最近は、トチらずスラスラよどみなくしゃべっているように聞こえます。  慣れてきたのです! ウソです。(笑)  編集で直して貰っているんです。 そのためずいぶん聞きやすくなっています。  決して私のしゃべりが上達したのではありません。  編集がうまくなったのです!(キッパリ) ★私はいつも「やまねこ通信 E=MC二乗」の事が頭の隅にあります。  次回テーマは何にしようかと常に思っています。  「やまねこ通信 E=MC二乗」は、私みかりんを構成している大事な要素です。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹     ★彡★彡★彡★彡★彡『蟹屋 山猫屋』★彡★彡★彡★彡★彡 生まれも育ちも北海道育の“みかりん”が、北海道の味覚を全国の方に広めるために 『蟹屋 山猫屋』を立ち上げました。一級品の道産品をお手ごろ価格でネット販売! 読み物としても楽しめるものを目指しているよ。    登録はここ→ http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/kani/   山猫屋の蟹は冷凍ガニではありません。ボイルしたてを食卓に直送! 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹    ↑↑↑  私、みかりんのもうひとつのメールマガジン。  北の味覚。海産物。蟹おいしいよ〜。海水ウニもありますよー。  予算はこれくらい。食べる人数はこれくらい。と教えてくれたら、その中で  できる限りのご提案をします!山猫屋の蟹は冷凍物は扱っておりません!  さぁ、タラバ食べたいよう、毛ガニ食べたいようのメールをみかりんに書こう。  タラバも毛蟹も良いのが入荷してきています。  北の食材たちは脂が乗っておいしいです。  この機会に、どうぞ冷凍ではない蟹を!  ご贈答に、山猫屋の海産物を。 それじゃ、今回はここまで。 あなたのお便り待ってます。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ミルクティーをいれてパソ前に座る。 パソであちこち見ながらミルクテーを飲む。 あれ?なんかキーボードを打ちづらいぞ。 あ、私、箸を持ってる!(笑) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○ やまねこ通信E=MC二乗 vol.209  2014年10月19日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さには  まったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。  それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━