2015/3/1━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.218 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 毎日寒いですよね。 昔は寒いの平気だったんですけれど 今ではすっかり寒がりさんになってしまっています。 寒い日が続くと温泉で芯から温まるのっていいですよね。 そして思うのは、今は一面の雪に覆われているけどこの下、地下深くは マグマやマントルがあって煮えたぎって熱いのになぁっていう事。 温泉も地下水が地熱で温められているものが噴出しているものですしね。 ストーブのそばから離れられない時も、地面の下は煮えたぎっているんです。 もう穴掘って直接地球の熱で暖を取りたい気分です。 やまねこ通信は、太陽や地球や宇宙、動植物や自然環境を題材に語る事が 多かったのですけれど、311の震災以降、地学の分野の話が多くなってきました。 今日もそういう地学の分野の話です。 地面の下は煮えたぎっているんです。 ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm 「ラジオ山猫通信」も、ここから聞くことができます。↑ ━■火山とアトランティスの謎の話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ここ数年、私の中でマイブームなのが夏山登山です。 今は冬なのでただじっと夏が来るのを待っています。 去年登った山で印象的だったのは、 富良野岳や上ホロカメットクを登った時に見えた安政火口です。 火口というから丸い穴のようなものを想像していたのですけれど、 見えたのは全然違っていました。 もう言葉も出ないほどのダイナミックな風景で、2000m級の山が ひとつ崩れた跡のような風景でした。 山体崩壊です。 そこから何ヵ所も煙がもくもくと出ていました。 この山のすぐ近くに十勝岳という活火山があります。 やっぱり煙がもくもくしています。 それから支笏湖のすぐそばの樽前山に登った時も感動しました。 190万都市札幌から車で1時間ちょっとで、地球創世の頃のようなとも思える風景が 間近に見れるんです。 そうやってだんだんと火山に魅せられていたので 去年の9月の御嶽山の噴火のニュースには心が痛みました。 犠牲者の方には心からご冥福をお祈りします。 日本は火山国なので噴火のニュースはしばしばあります。 阿蘇山、雲仙普賢岳、蔵王、桜島、三宅島などなど。 私が興味深くてしょっちゅうチェックをしているのが、 小笠原諸島の西ノ島に新島が出来て、くっついて今も島は成長している様子です。 もちろん災害は恐ろしいんですけれど、 これらが地球の鼓動だと思うとちょっとわくわくする気持ちもあるんです。 火山の爆発で集落が一瞬のうちに壊滅する事がままあります。 1783年の浅間山が噴火して死者1500人以上の大惨事になりました。 この時は降る灰のため関東では昼間も夜のように暗くなったという記録があります。 もちろん火山国は日本だけではありません。 世界中にあります。そして火山には恩恵もありますし災害もあります。 20世紀最大の火山災害が1902年のカリブ海のプレー火山の噴火です。 コロンブスが「世界で最も美しい場所」と言ったマルティニーク島での出来事です。 火砕流がふもとの街サン・ピエールを直撃して一瞬で三万人の犠牲者が出ました。 生存者は、地下ろうに繋がれていた死刑囚と、洞窟で遊んでいた少女と、 地下倉庫にいた靴屋の3人だけでした。 このプレー火山の噴火から近代の火山学が始まりました。 3万人が一瞬で亡くなったこの噴火は、実は兆候はたくさんありました。 人々は兆候に気づいていました。火山灰が街に降り、地震も何度もありました。 硫黄のにおいがたちこめて、火口付近は湯気がもうもうと吹き出る湖が 出現していました。 ヘビやムカデが大移動して家畜を襲っていました。 夜の闇に山が光ることがありました。 でも行政が住民の避難を禁止していたんです。 火山の爆発があったのが5月8日なんですけれど、 5月11日に街は選挙を控えていたのです。 住民が避難してしまうと選挙が成り立たなくなってしまうので、 行政はことさら安全だと住民に説きます。 記録を読むと人災の面も大きかったのがわかります。 もうひとつ。火山が街をそのまま壊滅させた有名な話を紹介します。ポンペイです。 場所はイタリア。火山はベスビオ山です。 ベスビオ山のふもとは、土地は肥沃で気候は温暖で紀元前から人々が多く集まり 栄えていた場所でした。 紀元前88年にポンペイはローマ人のものになり、平和と繁栄の象徴の街でした。 1万数千人収容の円形闘技場や金持ちの別荘、 芸術家にフレスコ画を描かせた公共の浴場や、巨大な神殿もありました。 ブドウをはじめとして多くの果物や麦が穫れました。 こんな繁栄が150年も続いた頃、紀元62年にベスビオ山は噴火したのです。 この時の噴火でポンペイの街は公共の建物のほとんどと個人の住宅が灰になりました。 皇帝ネロの時代です。 この災害からポンペイの街は復興します。 新しい神殿、壮大な浴場、家々、居酒屋、劇場も作られて、 災害がそろそろ忘れられようとしていた紀元79年。 再びベスビオ山が大噴火したのです。 1回目の噴火から17年後のことでした。 ベスビオ山も西斜面はおおかた吹っ飛んでいて、 ポンペイの街は二千人の人と共に6mの灰に埋まってしまいました。 隣街のヘルクラネウムは、20mもの泥流と軽石に埋もれました。 でもゆっくりと埋もれたので、ポンペイとは違って人々は逃げることができたそうです。 そしてポンペイとヘルクラネウムの2つの街は忘れられてしまいました。 時は流れてローマ人が衰退してさまざまな人々がこの土地の上に歴史を作っていきました。 中世になってハクスブルグ家の何代もの総督たちが ベスビオ山周辺を支配するようになっていきます。 ヘルクラネウムの上には新しい街ができて、ポンペイの上にはブドウ園ができていました。 ベスビオ山は100年に一度くらい噴火をして大量の灰を天に吹き上げて、 泥流と溶岩を山腹に流していました。 でも、壊滅的な被害をもたらした79年の大爆発のあとの記録が残っていないんです。 100年に一度の噴火というのは、灰や溶岩を調べた、のちの研究者によって わかった事です。 1631年ベスビオ山が噴火して、四千人もの人が亡くなり、6000頭もの家畜に被害が 出ました。 この時の噴火からの再建のために穴を掘っていた所、 偶然にも数枚のローマの貨幣が見つかりました。 この噂が広まって多くの人たちが埋もれている財宝を目当てに掘り始めました。 最初の百年は泥棒のように勝手に掘り出して、いざこざが絶えませんでした。 きちんと考古学的な発掘が始まったのが18世紀から19世紀です。 発掘してわかった事ですけれど、空気を含まない灰の層のお陰で、 ポンペイの大部分が風化せずそのまま発掘されたんです。 1800年前のパンが炭になって出てきました。 壁画は色あせずにそのまま保存されていました。 火山の犠牲者たちは、発掘から数週間で分解してしまったけれど、 彼らの体をぴったりと包んでいた灰の人型が残されて、 そこに石膏を流し込んで、人々のその瞬間の姿を再現する事ができました。 埋もれた古代都市の大掛かりな発掘作業は、当時の繁栄をそのまま現代に伝えています。 百軒を越すバーと居酒屋があって宿屋があってパン屋と毛織物加工場が何軒もあって 当時のポンペイの街の喧騒がよみがえるようです。 ベスビオ山は今でも数十年おきくらいに噴火して、 穏やかな時期に人々は集まって来て、肥沃な土地で収穫を楽しみ、 忘れた頃また噴火して被害をもたらしているのを繰り返してます。 そしてそこに住む人々は「いつかまた噴火する山だけど自分の生きている内は大丈夫」 と思って暮らしているらしいです。 ポンペイ発掘は今もまだ続けられています。 20世紀最大の火山災害である三万人の犠牲者を出したプレー火山は、 実は小規模火砕流に分類されます。 今お話したポンペイを襲ったベスビオ山の噴火が中規模火砕流です。 それでは大規模火砕流ともなるとどんなものになるのでしょう。 超古代文明アトランティスって聞いたことあるでしょ。 12000年ほど昔、今の現代文明も凌ぐほどの文明が発達していて、 人々は美しく道徳的で、全ヨーロッパとアジア中にその素晴らしさは 知れ渡っていたといいます。 アトランティスのエネルギーはレーザーを使って遠隔操作されたもので供給されていて、 オリハルコンという金属を自在に操ることができて、 飛行機や潜水艦なども作っていて、その技術は素晴らしいものだったといいます。 でもこれだけ高度な文明を誇っていたアトランティスは、 大地震と大洪水に襲われて一昼夜のうちに海に沈んでしまったという伝説です。 世界中の人々を魅了するこのアトランティス伝説も、 もとをたどると2冊の本に行き着きます。 2冊とも著者は同じ人です。 誰でもその名前くらいは聞いたことがあると思います。 ギリシアの哲学者プラトンその人です。 プラトンは紀元前400年ごろのギリシア哲学の祖と言われたほどの聡明な人物です。 でもこの話はプラトンが実際アトランティスを見聞して書いた話ではありません。 プラトンよりちょっと前のギリシアの政治家にソロンという人がいました。 ソロンがエジプトに旅行に行った時に、エジプトの神官たちから聞いた話でした。 ソロンは、不思議だけど真実に違いないと思ってその時の会話を書きとめておいて、 後のために本にして残そうと思ったけれど果たせなかったんです。 それを20年後にプラトンが自分の本に書き残したんですね。 実はアトランティスは現代文明も凌ぐ技術を持っているとは、 プラトンは一言も言っていません。 超技術云々は19世紀にベストセラーになった本に書かれていた事で、 今で言うかなり話を盛った人が書いたことなんですね。 プラトンの記述は、運河の様子、建物の色、町の中心部の神殿の描写、 平野部の区分とその使い方、放牧の様子などかなり細部にわたって具体的です。 そしてその滅亡の様子も書き記しています。 アトランティス帝国は強い軍隊を持っていて近辺の大陸も支配していきました。 その侵略の矛先はやがて地中海にまで及ぼそうとしました。 この時期地中海地方はアテネが支配していました。 アテネは大帝国です。当時アトランティスの軍隊と互角に対抗できる唯一の国でした。 そうして激しい戦いが行われ、アテネ軍はアトランティスの軍隊を撃退し、 アトランティス大陸に乗り込んだその時、耳をつんざく大音響とともに、 いくつもの閃光が走り、地鳴りが響き、凄まじい大地震が起きたのです。 その後一昼夜に渡って続いた大地震と大洪水のために、 数万のアテネ軍とアトランティスの多くの人々、動物を道連れに大陸は暗い海の底に 沈んでしまいました。 アトランティスの位置については、プラトンの記述は不確かで、 大西洋上かもとぼんやりと想像できる含みがある程度でわかりません。 この話をプラトンが書いてから現在まで、2300年に渡って絶えることのない論争を 巻き起こすことになって現在に至ります。 私は、このアトランティスの場所についての今まで言われた説を色々調べてみました。 まぁ、さまざま場所が想定されていました。 近年になってもアトランティス文明の名残じゃないかという海底遺跡発見のニュースは、 何度も上がってきています。 で、調べていくうちに興味深い説を見つけました。 地中海にクレタ島という島があります。 島はエジプトやリビアなど北アフリカと、ギリシアやトルコなどに囲まれています。 イスラエルとも海を隔てて隣接しています。 まぁ、古代の政治文化の中心地ですね。 クレタ島では紀元前2000年頃にはミノア文明が起こっています。 このクレタ島よりちょっと北にサントリーニ諸島という5つの島々が 集まったところがあります。 このサントリーニ諸島は、かつてひとつの島で、 紀元前1500年頃、桁外れの火山爆発が起きて島は吹き飛んで崩壊しました。 現在ある5つの島はその外輪山にあたります。 爆発で大津波が起きて、軽石や火山灰の雨が降り、二酸化硫黄が大量に大気中に 流れて気候が大きく変動しました。 近年での大噴火の記録は、19世紀の終わりにインドネシアのクラカタウ島という島が 大爆発した記録が残っています。 爆発で高さ30kmにまで火山灰の柱が立ち、大音響とともに島のほとんどが消し飛び、 海底に300mのくぼみを作って、数十mの津波が起き、津波は地球を一周して 世界各地に被害をもたらしました。 人間だけでも35000人が亡くなって、植物は根こそぎ津波に持ち去られ、 海に落ちた軽石は何mも層をなして海面を漂い、船は走行できなくなりました。 世界中に巻き散らかされた粉塵は太陽を覆って、 三年間、赤褐色にぼやけて見えたといわれています。 そして世界各地に深刻な冷害をもたらしました。 この凄まじいインドネシアの大爆発よりも、 紀元前15世紀におきたサントリーニ島の噴火の方が数倍以上の規模だった事が 最近の調査でわかっています。 まぁ、地球史的にも最大規模の爆発だったんですね。 アトランティスが一昼夜にして海に沈んだという伝説が、 地中海のサントリーニ島の爆発だとすると、 プラトンの記述と合わない所がでてきます。 プラトンはアトランティス帝国の大きさを示しています。 神殿があった中心の島も大きいし、これ以外にも支配する地域が9つあったことに なるので、地中海をはみ出してしまうこと。 それと年代の矛盾です。 プラトンは9000年前の事として書いています。 現代からみると約12000年前っていう事になります。 クレタ島のミノア文明が滅んだのが紀元前1500年頃なので時間にズレがでてきます。 でもね、落ち着いてよく考えてみると、 紀元前一万年以上前っていうと日本では縄文の頃です。 文化はあったけれど新石器時代から土器の時代、 狩猟採取生活の頃でまだ金属の時代ではありません。 いくら超古代文明と言っても、運河とか牛の牧場とか、 王様による政治とか都市とか大規模な侵略戦争とか無理があります。 たぶんこういう事じゃないかなという説明があるんです。 このアトランティス伝説の元はエジプトの神官に聞いた話です。 これもしかしたら、翻訳が1桁間違ったんじゃないのという説です。 プラトンのいう所の面積を10分の1にすると、サントリーニ島の面積になるし、 9000年前の所を900年前にすれば、サントリーニ島の爆発の時と同じ頃になるんです。 それにね、エジプトの神官たちの話によると9000年前の話というんでしょ。 9000年も言い伝えるって無理だと思うのです。 900年ならなんとかギリギリの所かな。 さて、今回私がアトランティスを取り上げたかったのは 「一昼夜のうちに大陸が沈んでしまった」というこの部分です。 幸いな事にこの説ではアトランティスは大陸ではなくて1桁小さくなって火山島に なったので、一昼夜のうちに沈んでしまった可能性は信憑性が出てきました。 アトランティスはサントリーニ島ではないかもしれません。 大西洋に大陸があったといまだに探している人も多くいます。 2013年、日本の潜水艇しんかい6500が、大西洋の海底を調査中に、 陸地でしか作られない花崗岩を発見したというニュースが配信されました。 ブラジル政府はこれを受けて「伝説のアトランティス大陸が存在した極めて強い証拠」 と発表したんです。 それで日本とブラジルでこのニュースが大きく報道されました。 でも真相は、花崗岩の崖でした。この時のしんかい6500の調査は、 ブラジル沖の海底にそびえる山の調査だったんです。 この海底の山は1億年以上前に南米大陸とアフリカ大陸がひとつに繋がっていたときの 大陸の跡です。 これもじゅうぶんアトランティスに負けないロマンです。 今日は色々な火山災害を紹介しました。 災害部分に目をやればそれは防ぎようのないまさに天災としかいいようがありません。 火山の恩恵は、肥沃な土地と温泉と地熱。魅力的です。 最初のほうで紹介したプレー火山の災害は、行政が被害を大きくしていました。 311のときに強く感じたことなんですが、 津波も地震も火山噴火も人がいないとただの自然現象なんです。 そこに人がいてはじめて災害になります。 御嶽山も真冬に噴火していたなら人は誰も登っていなくて被害はなかったんです。 地震も噴火もあるこの星で暮らす。 できれば恩恵だけを受けて暮らして生きたいです。    * * * * *  * * * * *         地球の中はどうなっているのだろう       爆発する火山は地球内部の窓だから       数百年眠ってみる       時々起きてブルって震えてみる       大きく爆発して山ごと吹っ飛ぶ       地震や津波も起こしてみる       星が生まれたばかりの頃       星はもっと猛々しかった       あの頃から比べれば       今はたいそう穏やかになった       小さな命がしがみついてる       小さな命が怯えている       そんな事は知ってるさ       星は何でも知ってるんだから   ━■みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「火山を所有する人の話」 昭和新山。 文字通り昭和になってから生まれた山です。 私は道民なので当たり前に知っているんですけれど、 全国的な知名度ってどうなのだろう。 昭和新山は洞爺湖の近くにあります。 すぐ近くに有珠(うす)山という活火山もあります。 昭和新山は1943年(昭和18年)12月から1945年(昭和20年)9月までの2年間に 17回の活発な火山活動で畑の中から出来た山です。 標高398mです。 今も噴煙があがっています。 噴火当時は太平洋戦争中です。 世間の動揺を抑えるために噴火の事実は伏せられて、 公的な観測すら行うことができませんでした。 近くに住んでいた郵便局長であった三松正夫(みまつ まさお)さんが、 火山の成長過程の詳しい観察記録作り続けました。 三松さん55歳の時です。 有珠山麓の麦畑から突如として活動を開始した昭和新山の定点観測を続けたのです。 その手法は地震の回数を皿に置いた豆で記録し、 台に顎を乗せ視点を固定し、水平に張った糸で日々の形状の変化を計測するという 独創的なハンドトレスの手法で作成されたそうです。  これは後年、ミマツダイヤグラムと名付けらてれ、貴重な資料となりました。 三松さんの功績はそれだけではなくて、この貴重な火山の徹底的な保護と、 いきなり火山になってしまった土地に暮らしていて家と農場を失った住民の 生活の支援のために、私財を投じてその土地の買い取りを行いました。 ですから昭和新山は三松家の私有地なんです。 世界でも珍しい私有地内にある火山です。 1957年(昭和32年)、特別天然記念物に指定されています。 この昭和新山と同じ時期に同じことが起きた山がありました。 場所はメキシコです。 1943年、メキシコで一晩のうちにトウモロコシ畑に長さ24mの亀裂ができました。 その亀裂から火山灰と赤く熱せられた岩石が噴出しました。 火山誕生の瞬間です。 火山は翌朝には10m、一週間で170mに、1年もたたないうちに300mを越えたのです。 その頃までには大量の火山灰が30km四方の地域に降った。 それからも火山は成長し、最終的には412mに達しました。 昭和新山は標高398mだから、メキシコの方がちょっとだけ大きいですね。 そしてメキシコには三松さんはいなかったので、 農民は畑を失って、2つの村の4500人が家を失ったのです。 そして学者は火山の誕生を観察するまたとない機会を得ました。 山の名前はパリクティン山といいます。 パリクティン山の火山は、その形成がその発端から目撃されたということで とても珍しくて「世界の自然七不思議」に登場します。 こうしてみると昭和新山がどれだけ貴重で珍しいかがよくわかります。 ちょっと興味を持って、昭和新山のような活火山を個人所有している人が 他にもいるのかネット検索してみました。 いるんですねー。世界は広いです。 場所はニュージーランド北島の離島、ホワイト島という火山島です。 島の名前は、18世紀にキャプテン・クックが名付けました。 蒸気に包まれて白く見えたからだといいます。 島は19世紀後半から硫黄の採掘として幾人もの手に渡っていました。 当時硫黄は肥料として採掘の対象だったんですね。 でも度重なる火山の爆発で、放ったらかしにされている数年間もあったりして 長く重苦しい時代がありました。 最終的に1936年にバトル家が所有して現在に至ります。 ホワイト島は、それまで人々は硫黄採掘場としてでしか 価値を見出していませんでした。 バトルさんは違ったんですね。 「私はむしろ、火山を“所有する”という考えの方が好きだ。  この島が持つ魅力を人々に伝えるという、一見不可能に思われることに  挑戦したい。変だと思われるかもしれないが、この島は信じられないほど美しく、  その美しさは筆舌に尽くしがたい」 それまでの所有者が、いかに硫黄を採掘しようと苦戦してきたのとは全く逆の発想です。 当時としてはかなり異質な発言だったと思います。 実際、バトルさんは島を調査して、膨大な量の鉱物があることは分かっていたんです。 でもそれ以上採掘を続けるという事はしなかったんですね。 バトルさんは約70年も前に、まさにエコツーリズム概念の先端を進んでいたのです。 このホワイ島に行った方のブログを拝見しましたけれど、本当に美しいんです。 そしてなんていうか景色に「惑星感」があるんですね。 もちろん規模は違うと思うけれど、札幌から1時間程の支笏湖そばの樽前山も 「惑星感」があります。(私は樽前山の惑星感が好きで年に何度か登っています) 国レベルの財力でやらなければならない事を、時に三松さんやバトルさんのように、 個人が私財を投げ打ってまでも、しかも当時の考え方とは相容れないにも関わらず やり抜いてしまう人っているのですね。 そういう意味ではメキシコのパリクティン山は、惜しかったです。 火山の個人所有。 もちろん独り占めではなく三松さんもバトルさんも保護が前提です。 素敵です。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★今回はメイン記事も、みかりんの叫びも、テーマは「活火山」です。  書いていて判ってきました。  私は火山の風景の「惑星」っぽい感じに惹かれているんですね。 ★私は、NHKのネイチャー番組や科学番組を熱心に見ます。  最近の番組では「ホットスポット 最後の楽園 season2」の  巨木の森 空飛ぶ動物たち 〜スンダランド ボルネオ島〜がとても良かったです。  色々珍しい動物も紹介されていました。  その中でも、特に興味深かったのがヒヨケザルです。  vol.206で「ムジナとモモンガと妖怪の話」で、モモンガは空飛ぶハンカチ、  ムササビは空飛ぶ座布団と表現しました。  ヒヨケザルはもっと大きくて、空飛ぶ畳です。  すごいや。あんなのが滑空するのか。    それからボルネオゾウ。アジアゾウから分化したとされる亜種で、  生態は詳しく判っていない動物です。  vol.193で取り上げたイチジクとイチジクコバチの関係も  この番組で取り上げていました。  家にいながら世界中の珍しい景色と動物と生態を知ることが出来る。  私、たぶんものすごい(子どものような)集中力でこの手の番組を見ています。   ★ラジオ山猫通信がリアルタイムで、  パソコン、スマートフォンから聴けるようになりました!  http://www.radiokaros.com/simulradio/  ↑ここがカロスのサイトの「インターネット放送聴取方法」のページです。  パソコンからスマートフォンから、カロスの放送を聞く方法が載っています。  http://www.simulradio.jp/  ↑ここがサイマルラジオのサイトです。  ここから全国のコミュニティーラジオが聞けるようになっています。    このサイトを開いたらちょっとスクロールすると「北海道」という場所があって  その下の方に「ラジオカロスサッポロ」という場所があります。  そこの「放送を聴く」をクリックするとメディアプレイヤーが立ち上がって、  リアルタイムに放送を聴くことが出来ます。  サイマルラジオは数分時間がズレて聞こえることがよくあります。  ラジオ山猫通信は、第一月曜日と第三月曜日の19:00〜19:30です。  来週の月曜日19:00に「石油の怪しい話」が  リアルタイムで聞くことができます。  バックナンバーは、「やまねこ通信 E=MC二乗」のサイトの「ラジオ山猫通信」の  場所から、いつでも好きな回のお話を聴くことが出来ます。   ★今回のこの「火山とアトランティスの話」は、  ネットでいつでも好きな時に聞くことができます。  http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm  ここの右側「ラジオ山猫通信」をクリックしてスクロールして  「火山とアトランティスの話」をクリックすると聞けます。  すぐに聞けない人は、じっと待ってみて。きっと聞けます。  http://crashlanding.under.jp/rajiyama0216.mp3  直接URLはここです。  今回の文は、おおむねラジオ原稿そのままです。  ラジオ用原稿をメルマガ用に書き換えているけどね。 ★vol.218の参考書籍&参考サイト       火山 ライフ地球再発見    著/タイムライフブックス                       日本語版監修/下鶴大輔       まっくろくりすけ 麦畑に突然出来た山 昭和新山       http://makkurokurosk.blog.so-net.ne.jp/2013-09-09       ニュージーランドエコツアー通信       http://www.eco-tour.jp/special/tenai/tenai07.html ★予告です。 3月2日放送「石油の怪しい話」  (ネットにUP予定は3月15日)(収録終わった) 3月16日放送「火星の風景の話」  (ネットにUP予定は4月5日)(書き終わった) 4月6日放送「シナントロープの動物たちの話」  (ネットにUP予定は4月19日)(書き終わった) 4月19日放送「ナキウサギと氷河の風の話」  (ネットにUP予定は5月3日)(書き終わった) 5月4日放送「秀吉と地震の話」  (ネットにUP予定は5月17日)(書き終わった) 5月17日放送「食う食われる数の話」  (ネットにUP予定は6月1日)(これから書く。まだ何も考えてない) ★ラジオ放送が月二回隔週であります。  最初はメルマガを元に原稿を書いてたけど、  今は、書き下ろし原稿です。  それをメルマガに転用するという逆転現象が  最近のメルマガ版「やまねこ通信 E=MC二乗」であります。 ★どうぞお時間のある時に「ラジオ山猫通信」も聞いてみてください。  2009年9月から始まった「ラジオ山猫通信」  どこまで続くんだ?  ここまで来たらいける所まで行ってしまえ!  最近は、トチらずスラスラよどみなくしゃべっているように聞こえます。  慣れてきたのです! ウソです。(笑)  編集で直して貰っているんです。 そのためずいぶん聞きやすくなっています。  決して私のしゃべりが上達したのではありません。  編集がうまくなったのです!(キッパリ) ★私はいつも「やまねこ通信 E=MC二乗」の事が頭の隅にあります。  次回テーマは何にしようかと常に思っています。  「やまねこ通信 E=MC二乗」は、私みかりんを構成している大事な要素です。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹     ★彡★彡★彡★彡★彡『蟹屋 山猫屋』★彡★彡★彡★彡★彡 生まれも育ちも北海道育の“みかりん”が、北海道の味覚を全国の方に広めるために 『蟹屋 山猫屋』を立ち上げました。一級品の道産品をお手ごろ価格でネット販売! 読み物としても楽しめるものを目指しているよ。    登録はここ→ http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/kani/   山猫屋の蟹は冷凍ガニではありません。ボイルしたてを食卓に直送! 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹    ↑↑↑  私、みかりんのもうひとつのメールマガジン。  北の味覚。海産物。蟹おいしいよ〜。海水ウニもありますよー。  予算はこれくらい。食べる人数はこれくらい。と教えてくれたら、その中で  できる限りのご提案をします!山猫屋の蟹は冷凍物は扱っておりません!  さぁ、タラバ食べたいよう、毛ガニ食べたいようのメールをみかりんに書こう。  タラバも毛蟹も良いのが入荷してきています。  北の食材たちは脂が乗っておいしいです。  この機会に、どうぞ冷凍ではない蟹を!  ご贈答に、山猫屋の海産物を。 それじゃ、今回はここまで。 あなたのお便り待ってます。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 夜、ひとり雪どけ道をざくざく歩く。 ざくざく。ざくざく。 この音を聞いているのは私。 それと半分になった月。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○ やまねこ通信E=MC二乗 vol.218  2015年3月1日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さには  まったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。  それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━