2015/5/3━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.222 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 桜前線がやっと北海道にやってきました。 春が来れば初夏も間近。 北国の短い夏山登山のシーズンになります。 去年、登山をしていて偶然、まったくの偶然にナキウサギに会いました。 下山するはずが別の山に向かってしまったという失敗をした時、 そう、道を間違った時にナキウサギに出会ったんです。 目の前2mの所にいました。キピュッキピュッと鳴いていました。 私も道を間違って半泣きだったのでナキウサギに励まされました。 泣き人間とナキウサギの出会いです。 2時間遅れで無事下山してから、ナキウサギは私の中で特別な動物になりました。 今日はそんなナキウサギの話をします。 あの時道を間違わなかったら、ナキウサギに会わなかったら、 今日ナキウサギのお話をすることはなかったと思います。 今日のお話は「ナキウサギと氷河の風の話」です。 ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm 「ラジオ山猫通信」も、ここから聞くことができます。↑ ━■ナキウサギと氷河の風の話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 北海道にいるナキウサギはエゾナキウサギといいます。 ナキウサギは本州にはいません。 日本では北海道だけにいます。 15cmくらいの片手に乗るくらいの大きさです。 耳は丸くて小さくてとてもウサギにはみえません。 その姿からは、ハムスターとかネズミとかそんな仲間かと思ってしまいます。 ネズミとウサギには決定的な違いがあって、 その特徴からナキウサギがウサギの仲間だとわかるんですね。 ナキウサギはウサギと歯の数が同じです。 そして上の前歯が二重になっているんです。 そう、ウサギは見た目は上の前歯は2本なんですけれど、実は裏にもう一対あるんです。 この「上の前歯が二重」っていうのがウサギの仲間の特徴なんです。 ウサギはネズミと同じく歯が伸び続けます。 だから以前はげっ歯類と一まとめにされていました。 でも、今はネズミとウサギは全然別物、かなり遠いものとして分類されています。 ウサギは、ネズミの仲間のげっ歯類とはあごの構造が違っています。 ネズミの仲間はものを食べる時、前後にあごを動かすんですけれど、 ウサギはね、あごを左右に動かすんです。 これってウシなどの有蹄類と同じです。 ウサギってネズミよりもウシに近いんじゃない?っていう説もあるほどです。 さて、話は2万年以上前にさかのぼります。 その頃地球は氷河期でした。 氷河期とはどういう時代かというと、夏でも山の雪は溶けずに積もり、 厚く積もった雪の上にまた雪が積もって、そんな雪の厚みが50mも越えると、 雪の重みで下のほうが氷になってしまって、そしてゆっくり滑り始める。 これが氷河です。 そしてそもそも雪は、どこから来るかと言うと、 海から蒸発した水蒸気がもとになっています。 暖かい現在では、山に積もった雪も夏には溶けて川となって海に戻っていきます。 でも氷河期には降った雪は氷河になって山に凍りついています。 海からは水分が蒸発していくばっかりで、海に戻っていく水は減っています。 こんな状態が何万年も続くと、あんなにたくさんある海の水も減っていくんですね。 海水の量が減ると海面は低くなっていきます。 氷河期は何度も訪れています。 今から一番近い氷河期が始まったのが6万年前で、終わったのが1万年前くらいです。 その頃の話をします。 海面が低くなると海の浅い所は次々と顔を出しはじめます。 氷河期にはどのくらいまで海面が下がったのでしょう。 諸説ありますが、だいたい100mくらい下がったんじゃないかというのが 多くの学者の結論です。 海が100m下がると、もう今の地図とは全然違っています。 北海道をとりまく海峡のうち、本州との間の津軽海峡は130mもあって ここはつながらなかったようです。 北海道とサハリンの間の宗谷海峡は深さ50mです。 サハリンとアジア大陸を隔てる間宮海峡は深さ10mです。 2万年前には、北海道はサハリンを通じてユーラシア大陸と繋がっていて 陸続きだったんです。 ちょっと想像してみましょう。 海面が下がってきて今まで海だった所が歩けるようになっていきます。 まず10m下がります。間宮海峡が渡れるようになりました。 ユーラシア大陸とサハリンが繋がったのです。 でもまだやっと繋がったという程度でしょう。 高波が来たら危険です。 それから時間をかけて50m下がりました。 ここで北海道とサハリンが繋がります。 海面から細い橋のような陸地が顔を出しました。陸橋ですね。 この頃には、ユーラシア大陸とサハリンはもうしっかりと繋がっています。 時は流れ海面がさらに下がって100mもさがりました。 あの細かった陸橋はもうずいぶんと幅が広がって堂々とした橋になっています。 この陸橋を通ってさまざまな動物たちがユーラシア大陸からやってきました。 マンモス、ヒグマ、キツネ、ウサギ、クロテンなどの動物たちです。 その中にナキウサギもいました。 この時、北海道と本州は繋がっていません。 これが本州と北海道の動物相が違う理由です。 サルは青森が北限ですし、ケナガマンモスは本州には行っていません。 津軽海峡は深かったんですね。 さて今から一万年くらい前に最後の氷河期が終わります。 地球は急激に温暖化しはじめました。 世界中の氷河が溶け始めたので海面は上昇していきました。 サハリンも北海道も島になってしまって、 やってきた動物たちは島に閉じ込められました。 ヒグマはエゾヒグマに、ウサギはエゾウサギに、クロテンはエゾクロテンにと、 みんな頭にエゾが付く、ユーラシア大陸産とはちょっとだけ違う亜種になって いきました。 ナキウサギも北海道のはエゾナキウサギというキタナキウサギの亜種です。 世界のすべてのナキウサギは北半球の寒くて厳しい環境ばかりに棲んでいます。 アラスカのロッキー山脈、ヒマラヤ山脈、中央アジアの天山山脈やパミール高原、 チベット高原、シベリアの森林地帯。 こうやって並べてみると厳しい土地ばかりですね。 緯度が低い地域では高山に棲息しています。 エベレストの6100m地点でも見られるそうですよ。 ナキウサギは世界で最も高い所に住む哺乳類でもあるんですね。 ナキウサギのいる地域には共通点があります。 雪に閉ざされた長い冬があること。 短い夏でもエサになる植物が成長できること。 変わりやすい天候であること。 こういう厳しい条件の寒冷地にナキウサギたちは適応しているんですね。 でもね、こんな厳しい条件の地域でナキウサギは冬眠しないで冬を過ごすんです。 高山の冬を冬眠しないで過ごすとなると、気になるのが気温と食料ですね。 雪国じゃない人はイメージしづらいかもしれませんけれど、 雪って積もると寒さを遮断する効果があります。 雪が積もってしまったその下の温度はそれほど厳しいものでもないんです。 問題は食料です。 ナキウサギは夏から秋にかけて、雨のあたらない岩陰に山盛りの草や花やコケを 貯めこみます。 それらは緑色を保ったまま乾燥野菜の状態で冬を迎えるんです。 縄張りにいくつもそういう貯めこんだ場所を作って、そこを訪れながら冬を越します。 そして雪のトンネルを掘って、新鮮なタラノキや針葉樹やシャクナゲの若い木を かじりに行きます。 ここちょっと覚えて置いてください。 あとから重要になっていきます。 さて氷河期が終わって1万五千年くらい前からだんだん暖かくなってくると 北海道のエゾナキウサギたちは暑さを嫌って山に登り始めました。 でもこうやってナキウサギたちが高山に棲み付くと、 行き来ができないので、山ごとに孤立しているって事でもあります。 夕張や芦別岳の山域と、大雪山一帯と、日高山脈の3つの分布域は、 次の氷河期まで遺伝的に交流することはないんです。 小さな個体群は陸地の孤島に棲んでいるようなものです。 氷河期の生き残りといわれるほどですから、ナキウサギは冷涼な気温を好みます。 たとえばワナで捕まってしまって直射日光のあたる所に1時間もいると死んでしまいます。 とにかく暑いのがダメなんです。 それでエゾウサギたちはガレ場といわれる石がごろごろしている所を好んで 棲んでいます。 ガレ場は石と石の隙間が隠れ場にもなるし、越冬場所としても最適です。 動くことで熱くなった体を冷やすのにもいいんです。 氷河期にはそういうガレ場が低い所でもたくさんありました。 今では山の高い所にしか生えないハイマツも、 エゾマツやカラマツの仲間と一緒に生えていました。 けれど森林は今よりずっと少なくて、 ナキウサギの好きなガレ場や草原があちこちに広がっていたんです。 ナキウサギを通して氷河期の風景を想像することができますね。 そういえば私がナキウサギにあった所も山の上のガレ場でした。 小さいくせに結構はっきりとした声で鳴くんですよ。 キピュッキピュッって。 山域ごとに点在してしまったエゾナキウサギ。 その棲息地のひとつに大雪山国立公園の然別湖(しかりべつこ)周辺があります。 ここは標高にして800m。 普通だったらとてもナキウサギが棲める高さではありません。 ナキウサギが好んで棲むのは標高1500mを越えた森林の育たない場所だからです。 なぜこんな低い所にエゾナキウサギが棲んでいられるのでしょう。 然別湖周辺には、氷河期の北海道の景色がそっくり残っているんですね。 普通なら森林限界あたりに生えているハイマツが針葉樹林より低い所に生えています。 そしてそこは岩くずだらけのガレ場になっています。 ガレ場だけの場所もあるけれどアカエゾマツが林を作っています。 アカエゾマツというのはとても厳しい場所に生える植物なんです。 このアカエゾマツの生えている場所の岩の間に手を入れると 夏でもかなり冷たい風が当たります。 風穴です。風穴の風は10度以下といいます。 風穴が暑さに弱いナキウサギをこんな標高の低い所で生かしている秘密なんです。 然別湖周辺が標高がそれほど高くないのに、 本来なら高い所に生えるハイマツが生えている。 と、ここまで調べた時、私は思い出したことがありました。 vol.208「山と石ころとドラマの話」でアポイ岳の話をしました。 その時、アポイ岳は不思議な山で、普通なら1000mから森林限界になって ハイマツ帯になるのに、380mというずいぶん低い所で森林限界になって ハイマツが生えている。と言っています。 アポイ岳の植生は不思議でよく判っていないんですけれど、 然別湖周辺の低温の理屈はわかっています。 でも、きっとアポイ岳の不思議にも理由はあるんだろうな。 本来なら高い山の冷涼な気温の所にしかいないはずのナキウサギが棲むほど、 標高の低い然別湖周辺が低温になっている理由はガレ場の風穴にあります。 風穴には色々な理由があるんですけれど、 然別湖の風穴は、永久凍土と関係しているというのです。 永久凍土についてはvol.213「永久凍土とマンモスの話」でもお話しました。 永久凍土っていうのは土が全部凍ってしまっているのではなくて、 上の方は溶けて普通の土になっていても、 地下の土が夏の間も溶けずに凍っていたらそれは永久凍土なんです。 今お話しているのは大雪山系南側の然別湖周辺ですけれど、 大雪山系西側の置戸町にも、永久凍土があります。 やっぱり岩が積み重なっていてガレ場になっている所だけに永久凍土があって、 その上にはアカエゾマツの林になっているんですね。 然別湖と同じ風景です。 ガレ場には永久凍土ができやすいんですね。 夏でもガレ場の底の方までは日が射し込まないことと、 岩と岩の隙間を流れる冷たい気流があるんですね。 そして冷たい空気は重いので、ガレ場の斜面をつめたい風となって流れ下るんです。 だからガレ場の底で冬に凍った土は、夏になっても溶けにくくて 永久凍土が保たれるんです。 大雪山の森林限界を超えた高い所でなければできない永久凍土が、 800mの低い所でできているんです。 然別湖周辺は、ナキウサギと共に氷河期の北海道の風景をほうふつさせます。 ナキウサギに必要なのは標高の高さではなく、 ガレ場で岩と岩の隙間があるようなところであれば、 標高の低い南日高の標高50mの所にも生息しているのを 確認したという報告もあります。 1925年、先ほどお話した置戸町で山火事の跡地に植林したばかりのカラマツの苗が 何者かに持ち去られるという不思議な事件が続いていました。 そう。エゾナキウサギのしわざです。 前半で針葉樹の若い木を齧りにいきますと説明したのがここに繋がります。 若い木は齧るんですけれど、持ち去ったという事なら、冬場の食べ物として 乾燥野菜にするために持ち去ったのでしょうね。 この時、営林署ではこの未知の動物を「特殊野鼠」ととりあえず名付けました。 のちにこの動物がエゾナキウサギである事が判明します。 そう、この時、初めて北海道にナキウサギが生息している事が確認されたんです。 それまで知られていなかったんですね。 北海道に長らく暮らしているアイヌ民族の人たちは、 エゾナキウサギの存在は知っていたと思うんですけれど、 アイヌの伝承にも出てこないんです。 そして3年後の1928年に特殊野鼠のエゾナキウサギは捕獲されて、 珍獣として新聞記事になり人々の知れることとなります。 でも地元ではすでに知られていてゴンボネズミと呼ばれていたらしいです。 新聞に珍獣と載って 「なんだぁ、これゴンボネズミでねぇか」と地元民は言ったでしょうね。 ゴンボネズミかぁ。やっぱりネーミングは大事ですね。 今、手元に「大雪山のナキウサギ裁判」という本があります。 「大雪山のナキウサギ裁判を支援する会」が編集した本です。 奥付をみると1997年発行ですから、今から18年前になります。 18年前というとバブルの終焉の頃ですね。 先ほどからお話している然別湖周辺のまさに日本のエゾナキウサギの最大の生息地に 道路を作る計画があって、猛然と反対する団体が、裁判を起こす直前に発行した本です。 計画では、山麓の士幌町から然別湖に抜ける道路を作るというものです。 もうすでに士幌町から然別湖に抜ける道路があるにも関わらず、 もう1本作るという計画です。 新しい道路によって短縮できる時間は10分か20分です。 最初の計画はナキウサギの生息地のど真ん中を分断するものでした。 この士幌高原道路への反対が高まると、 今度はトンネルにしてでも通そうという案が浮上します。 当初、この道路は山火事を守るための監視道路だから絶対に必要と 工事推進派は主張したのに、トンネルにしてどうやって監視するの? という反対派の突っ込みに、 推進派は 「トンネルという事にしたんだから、もうナキウサギに影響はないだろう。  文句を言うな」という答えだったようです。 当時の横路孝弘知事の言葉が残っています。 「自然環境に与える影響は最小限である。  地元自然保護団体のコンセンサスを得ながら工事を再開したい」 こんな言葉も、道路公共事業ばかりに頼っていた当時の時代が言わせたのでしょうか。 しかもここは大雪山国立公園の中なんですよ。 ナキウサギは澄んだ空気でしか生きられませんから排気ガスに弱いし、 もちろんトンネルなど言語道断です。 そして長い論争とさまざまないきさつを経て 1999年、掘達也知事が建設中止を表明して、この問題に終止符が打たれました。 この本を読んでいると、無駄な道路やダムがイケイケドンドンで作られていた頃の 空気が読みとれます。 開発に伴う利権の匂いがぷんぷんします。 「生物多様性」という言葉が新しい概念として紹介されています。 本は訴えています。 私たちだけの問題ではない、私たちには地球の人々40億人がついている…と 書いてる箇所があってビックリしました。 今、世界の人口は70億人を超えました。 18年で30億人も世界の人口は増えているんですよ。 たぶん世界のあらゆる問題は急激な人口増加が根底にあります。 ナキウサギだけではなく、世界中で起きている野生動物と人間の軋轢は、 その最前線にいます。 ともあれ日本のエゾナキウサギの最大生息地に、 無駄な道路が作られる工事は中止となりました。 ナキウサギは岩場でぼーっと空を見上げている事がよくあります。 これはナキウサギの瞑想のポーズとよばれています。 なぜナキウサギが瞑想のポーズをするのか。 それはナキウサギしかわかりません。 氷河期のころの風を思い出しているのかもしれません。    * * * * *  * * * * *         ケナガマンモスと一緒にこの地にやってきた       でもケナガマンモスはいなくなってしまった       冷たい風が心地よい       あの頃の風を思い出す       ケナガマンモスとの日々       岩の感触は変わっていないのに       風穴の風はいい       熱くなった体を冷やしてくれる       風穴の穴はいい       敵から隠れることができる       でも一番いいのは       ぼーっとしている事       何も考えてないように見えるって?       瞑想しているんだよ。       内容は内緒だ。   ━■みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「生きのびようとする」 前号vol.221のこのコーナーで「首なしマイク」というタイトルで ニワトリの驚異の生命力の話を紹介しました。 読者の羽田恭さんから 「首なしマイクを読んで、旧日本陸軍の舩坂弘という人を思い出しました。  人間でも恐ろしいほどの生命力持つ場合があるようです」 という連絡を頂きました。 それでググってみました。 すごいです。 知りませんでした。ほとんど不死身人間です。 いえ、寿命がきて亡くなりましたけど。 ざっと紹介しますね。 ================ 舩坂 弘(1920 - 2006) 【不死身エピソード その1】 戦争中、米軍の銃火の中に数時間放置され、ようやく味方の軍医がやって来るも、 あまりの傷口の深さと大きさに、 もはやこれまでと、舩坂軍曹に自決用の手榴弾を手渡して去ってしまう。 おまえはもう死んでいる、と宣告されたようなもの。 舩坂は近くにあった日章旗で足を包帯代わりに縛り、 夜通し這って味方の陣地に帰り着く。 着いた時には、死体が這ってきたような姿だったが、 翌日には、左足を引き摺りながらでも歩けるまで回復してしまう。 【不死身エピソード その2】 部隊壊滅後、手榴弾六発、拳銃一丁を持って米軍指揮所テント群に数夜をかけて潜入。 その時には、すでに左大腿部裂傷、左上膊部貫通銃創二箇所、頭部打撲傷、右肩捻挫、 左腹部盲貫銃創を負っていた。 突入してきたこの異様な風体の日本兵に、発見した米兵もしばし呆然として 声もでなかったという。 舩坂は前哨陣地を単身突破し、米軍司令部を目指し突入するも頸部を撃たれて昏倒し、 戦死と判断される。 しかし3日後に米軍野戦病院で蘇生する。 身柄を移されて2日目には、重傷を負っているにも拘わらず捕虜収容所から脱け出し、 米軍弾薬庫の爆破に成功している。 【本人の言い分】 その後も瀕死クラスの傷を何度も負うも、動くことすらままならないと思われるような 傷でも、不思議と翌日には回復しているのが常であった。 これについて舩坂は 「生まれつき傷が治りやすい体質であったことに助けられたようだ」 と、その事由を述べている。 ================ 戦後、舩坂弘さんは書店経営をしながら慰霊団を組織し、現地墓参に引率し、 戦没者の調査と遺族への連絡等々に尽力しました。 2006年85歳で腎不全のため死去。 ここでは戦争の罪や悲惨さの話をしているのではなく 生き物の生命力について話題にしています。 「生まれつき傷が治りやすい体質であったことに助けられたようだ」 体質って一言で片付けられても。(笑) 「首なしマイク」には大変驚きましたけれど、 人間もたいしたものです。 次の次のやまねこ通信 vol.224で「食う食われるの話」で 生き物のエネルギーの使い方について触れています。 天敵が増えると、食べられる動物の数が減る現象について考察しています。 天敵がいると食べられる方の数が減るのは、食べられて数を減らすというよりも、 天敵から逃げるために、本来なら繁殖に使うべきエネルギーを使って逃げているという 話を紹介しています。 生き物は、次世代を残して次に命を繋げるのが大いなる仕事です。 でも自分が死んでしまってはモトもコもありません。 そこで全力で逃げるんですね。 命は「どうやってもとにかく生き延びるモード」になることもあるという事なのかも しれません。 生命ってのは簡単に死んでしまうし、でもなかなか死なないし。 生き物の持つ生命力。 私たちはまだ何もわかっていないのかもしれません。 前号とまったく同じ結論です。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★エゾナキウサギ。  https://youtu.be/BVhcnIIori4  こんな動物です。   小さい体なのによく通る声で鳴くんです。  人が飼うことはできません。 だから動物園にもいません。  出逢えたのは本当にラッキーだったと思います。  ネットで生息地を調べてみると、私が出逢った場所は、  エゾナキウサギの生息地とされている所とは離れていました。  だから小さな生息地なんだと思います。  でも、標高1800m以上のガレ場であることなど  いかにもエゾナキウサギが好みそうな場所でした。  今は点在してしまった生息域ですけれど、次の氷河期には生息域が拡大して  離れていたものたちが交じり合うんでしょうか。    北海道の高山の冬を冬眠せずに過ごすんですね。  あー、ウサギって冬眠しないですものね。  エゾウサギの足跡って雪原で見かけます。  でも本体はみた事がありません。  エゾウサギよりずっと希少なエゾナキウサギに逢えたって事なんですね。  本当にラッキーでした。    ★ラジオ山猫通信がリアルタイムで、  パソコン、スマートフォンから聴けるようになりました!  http://www.radiokaros.com/simulradio/  ↑ここがカロスのサイトの「インターネット放送聴取方法」のページです。  パソコンからスマートフォンから、カロスの放送を聞く方法が載っています。  http://www.simulradio.jp/  ↑ここがサイマルラジオのサイトです。  ここから全国のコミュニティーラジオが聞けるようになっています。    このサイトを開いたらちょっとスクロールすると「北海道」という場所があって  その下の方に「ラジオカロスサッポロ」という場所があります。  そこの「放送を聴く」をクリックするとメディアプレイヤーが立ち上がって、  リアルタイムに放送を聴くことが出来ます。  サイマルラジオは数分時間がズレて聞こえることがよくあります。  ラジオ山猫通信は、第一月曜日と第三月曜日の19:00〜19:30です。  明日の月曜日19:00に「秀吉と地震の話」が  リアルタイムで聞くことができます。  バックナンバーは、「やまねこ通信 E=MC二乗」のサイトの「ラジオ山猫通信」の  場所から、いつでも好きな回のお話を聴くことが出来ます。   ★今回のこの「ナキウサギと氷河の風の話」は、  ネットでいつでも好きな時に聞くことができます。  http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm  ここの右側「ラジオ山猫通信」をクリックしてスクロールして  「ナキウサギと氷河の風の話」をクリックすると聞けます。  すぐに聞けない人は、じっと待ってみて。きっと聞けます。  http://crashlanding.under.jp/rajiyama0420.mp3  直接URLはここです。  今回の文は、おおむねラジオ原稿そのままです。  ラジオ用原稿をメルマガ用に書き換えているけどね。 ★vol.222の参考書籍&参考サイト       大雪山のナキウサギ裁判              大雪山のナキウサギ裁判を支援する会 編  緑風出版       ナキウサギ【生きた化石】       http://www.ikita-kaseki.com/ikita/nakiusagi/       北海道化石物語 https://sites.google.com/site/palaeonthokkaido/home/hyougaki-no-iji/nakiusagi-       ナキウサギ、愛くるしい小動物       http://pucchi.net/hokkaido/nature/nakiusagi.php       ウェブマガジン カムイミンタラ 2006年11月号       ナキウサギを泣かすな!「ふぁんくらぶ」の11年       http://kamuimintara.net/detail.php?rskey=132200611t01       ウサギの分類       http://www.geocities.jp/tyatorand/bunnrui.u.html       へなちょこ動物園のへなちょこSTUDIO       http://hena.exblog.jp/15668480/ ★予告です。 5月4日放送「秀吉と地震の話」  (ネットにUP予定は5月17日)(収録終わった) 5月18日放送「食う食われるの話」  (ネットにUP予定は5月31日)(書き終わった) 6月1日放送「チョウとオサムシが教えてくれた話」  (ネットにUP予定は6月14日)(書き終わった) 6月15日放送「流れ星と隕石の話」  (ネットにUP予定は7月5日)(書き終わった) 7月6日放送「保護の罪の話」  (ネットにUP予定は7月19日)(書き終わった) ★ラジオ放送が月二回隔週であります。  最初はメルマガを元に原稿を書いてたけど、  今は、書き下ろし原稿です。  それをメルマガに転用するという逆転現象が  最近のメルマガ版「やまねこ通信 E=MC二乗」であります。 ★どうぞお時間のある時に「ラジオ山猫通信」も聞いてみてください。  2009年9月から始まった「ラジオ山猫通信」  どこまで続くんだ?  ここまで来たらいける所まで行ってしまえ!  最近は、トチらずスラスラよどみなくしゃべっているように聞こえます。  慣れてきたのです! ウソです。(笑)  編集で直して貰っているんです。 そのためずいぶん聞きやすくなっています。  決して私のしゃべりが上達したのではありません。  編集がうまくなったのです!(キッパリ) ★私はいつも「やまねこ通信 E=MC二乗」の事が頭の隅にあります。  次回テーマは何にしようかと常に思っています。  「やまねこ通信 E=MC二乗」は、私みかりんを構成している大事な要素です。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹     ★彡★彡★彡★彡★彡『蟹屋 山猫屋』★彡★彡★彡★彡★彡 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まったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。  それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━