2015/8/16━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.229 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 木々の緑が濃くなって植物たちの季節です。 花は咲き誇り、昆虫たちは忙しそうに飛び交い、植物は競って光合成をしています。 こうやって興味を持ってみていると植物たちは確かに生きています。 でも動物とは違う生き方ですね。 今日はそんな植物たちをちょっと深く掘り下げて、 いったい植物って何?っていう話とか、 シカとお坊さんが同じ効果をあげている話とか、 植物の話からはなれて、シラミの研究から判った人間の意外な話や… ええとね、ぶっちゃけていうと、 これひとつじゃ短くて紹介する機会がなかった面白い話を集めてみました。 だから今日の話は脈絡もなく寄せ集めです。 タイトルはどうしようかな。 ええと「植物と動物の間を行き来する話とその他の話」です。 ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm 「ラジオ山猫通信」も、ここから聞くことができます。↑ ━■植物と動物の間を行き来する話とその他の話━━━━━━━━━━━━━━ 緑まぶしい夏。植物がやたら元気です。 時々考えるんですけれど、植物と動物ってどちらが先に地球に登場したんでしょう。 答えを先に言ってしまうと 「まだ決着のついていない問題なので、わからない」か、または 「同時に発生した」なんですね。 共通祖先からほぼ同時に植物と菌類と動物に分かれているんです。 でもこの問題、そんなに簡単じゃありません。 動物と植物どっちが先?っていうからには 動物とは何であるか、植物とはどういうものであるかという定義が重要になってきます。 え? そんなの簡単じゃん。動き回る事と食べるという事をするのが動物で、 動かないで光合成をおこなって、食べることをしないものが植物だよ。 と答えたくなります。 動物と植物はこのように対立するものとして考えがちです。 それじゃさ、水溜りや田んぼの水を顕微鏡でみたら、いつでもみることができる 「ミドリムシ」ってどっちなの?って思います。 ミドリムシは光合成をするしクネクネと動く事もします。 実はミドリムシは動物でも植物でもない生物なんです。 生き物の中にはこういう動物でも植物でもないものもいるし、 動物なのに植物みたいなものもいるし、 動物と植物の間を行ったり来きたりするものまでいるんですね。 そんな曖昧な、動物と植物の境界線上の生き物を紹介します。 まず紹介するのは「エリシア・クロロティカ」 アメリカ東海岸の浅い海にいるウミウシです。 ウミウシっていうのは貝殻はないけど貝の仲間です。だかられっきとした動物です。 このウミウシは深い緑色をしていて体は平べったくて葉っぱのような外見です。 クロロティカという名前は葉緑体のクロロフィルに由来しています。 そう、このウミウシは動物なのに葉緑体を持っていて、 植物のように光合成で栄養をとっているんです。 クロロティカは生まれつき葉緑体を持っている訳じゃなくて、 子どものころにフシナシミドロという藻を食べることで光合成が出来るようになります。 普通、私たち動物は植物を丸ごと食べても、つまり葉緑素ごと食べても消化してしまうので、 植物のように光合成できるようにはなりませんよね。 それができたらもう日向ぼっこするだけでおなかいっぱいになるって事です。 なんて楽なそして怠惰な生活なんでしょう。ちょっと憧れます。 クロロティカはフシナシミドロを見つけると吸い付きます。 そして細胞の中身を吸い出します。この時、葉緑体だけ消化しないで体の中に持ち続けます。 そして光合成で作られた栄養だけで生きていきます。 最大の謎は、なぜ動物の体内で葉緑体がずっと働き続けられるのかという事です。 食べ物の遺伝子を盗んで自分のものにしてしまったのではないかという仮説や、 フシナシミドロの遺伝子をウイルスがクロロティカの細胞に運んだのではないかという仮説も ありますけれど、よくわからないというのが本当の所です。 こんな生き物を知ると、光合成しているのが植物でーとは言えなくなってしまいます。 サンゴ礁のサンゴって普通に見たら石みたいです。 動物か植物かと聞かれれば、ええと植物?って答えたくなりますけどサンゴは動物です。 サンゴは動けません。サンゴはあの石のような中に褐虫藻(かっちゅうそう)という藻を 飼っています。 この藻から光合成する栄養を貰ってサンゴは生きています。 動物だからサンゴは産卵もします。 どっちかというとイソギンチャクの仲間なんですね。 これらとは逆に、植物の中にも動いたりエサをとったりするものもいます。 すぐに思い浮かぶのがウツボカズラやハエトリソウなどの食虫植物ですね。 だから食べない、動かないっていうのは植物の定義ではないんです。 ではここで、ものすごく不思議な生き物を紹介します。 2005年に発表された植物プランクトンの一種で、 ハテナ・アレニコラと名付けられたものがいます。 見つけたのは日本人でハテナは日本語のなぜ?とか不思議みたいな意味のハテナです。 ハテナはふたつに分裂して増えるプランクトンです。 分裂した時に光合成できる葉緑体は一方だけに受け継がれて緑色をしていて そのまま植物として生き続けます。 もう一方のは透明でエサを取るための捕食器ができます。 この時、このプランクトンは動物に変わるんですね。 エサとなるのはプラシノ藻と呼ばれる藻で、うまくこのエサを捕らえた透明なハテナは、 その藻を食べて葉緑体を自分のものとして取り込みます。 そして捕食器は消えて植物としての生活に戻るんです。 ハテナは動物のように捕食して生きる細胞と、 光合成を行う細胞の両方を生み出しているんです。 ハテナは時期によって動物であり、植物でもあるというんですね。 動物と植物の間を行ったり来たりするハテナ。 このハテナの発見が科学雑誌に発表されたとき、 さまざまな新聞や雑誌にも取り上げられて、ついには妖怪図鑑でも紹介されたといいます。 私は、ひとつの生物が一生のうちでオスとメスを経験する生き物が珍しくないって知った時、 すごく驚いたんです。 若いときはオスで年を経たらメスになる甘エビの仲間。 ホッカイシマエビやボタンエビも若いときオスで年を経るとメスに性転換します。 魚ではクマノミやハナヒゲウツボなどがソレです。 その逆のメスからオスになるハナダイやベラなどの仲間もいます。 海の中にはこういうオスとメスの両方を経験する生き物がたくさんいるんです。 でも、まさか動物と植物の間を行き来するものがいるとは。 ハテナを発見した研究者は言っています。 「ハテナからわかる事は、どうも生物にとって『食べること』は本質で、  最初から持っている性質だという事。  食べることによって植物が生まれたという事。  だから食べる食べないで動物と植物を分けることはできない」と言います。 最初にお話したミドリムシは、今は食べることなく光合成で生きていけるけど、 今でもちゃんと捕食器の痕跡はあるんです。 研究者は言います。 「植物と言うのはそもそも植物としてあるのではなく『植物になる』『植物化する』のだと  思います。植物とは植物として生きる事を選んだ生物たちだと考えています」 う〜ん、深い言葉ですね。 光合成をして栄養をとるクロロティカというウミウシ。 植物と動物の両方を経験するハテナ。 私たちの概念を越える生き方をしている、まだ発見されていない生き物は まだまだいるんでしょうね。 生き物の話はいつだって面白くてエキサイティングです。 それでは次の話題。 私がいつか会いに生きたいと思っているもののひとつに、 屋久島の1000年を越える杉の木があります。 縄文杉が有名ですね。 樹齢千年以上のものを屋久杉と言って1000年未満のものを小杉と呼ぶらしいのです。 1000年以下は小僧っ子扱いです。凄いですね。 屋久島は1000年以上の巨木で有名ですから、 本州で見られる種類の植物が小型化したものが多いと知った時は意外に思いました。 特に小型化したものは渓流沿いの植物に多いことから、 激しい水流にさらされる環境への適応じゃないかという仮説があります。 背が低くなって葉っぱの形そのものが小さくなっているんです。 屋久島は雨が多いですからね。 屋久島にはヤクシカという日本鹿の小型化したものもいます。 ヤクシカが小さいのも渓流のせいなのかという冗談もあるらしいですけど、 もちろんそんな事はありません。(笑) ところで渓流とは関係なさそうな屋久島の山頂に生えるオオバコという植物の葉っぱも 小さいんです。 さて、話は東北まで飛びます。 宮城県の牡鹿半島の南東の先端の方に、金華山という島があります。 この島のオオバコも小さい葉っぱをつけるんです。 金華山には標高400mちょっとの山があって、 かつて人が山頂と山腹に神社を建ててシカを放したんですね。 屋久島と条件が似てますね。 島という環境にシカがいるとオオバコは小型化するのか。という仮説を立てたくなります。 シカは地面に鼻を擦るのが嫌なんですね。背の低い植物はシカから免れるんです。 小さな島なのでシカが増えて植物を食べつくすとシカが減って、 再び植物が増えてはシカも増える事を繰り返すと、 植物の方が食べられにくくなる方向に変わっていったんです。 というのは、金華山のオオバコは小型化しているだけなんですけれど、 サンショウの木は香りもきつくなってトゲが長くなっているという変化がみられます。 シカはブナの実を食べますっていうか食べつくします。 だから島のブナは新しい命が育ちません。 最も新しいブナの木の樹齢は500年ですから、 シカが島に来て500年くらいだという事がわかります。 わずか500年でサンショウの木とオオバコが形を変えたんです。 この島のサンショウの種を本州で植えてみても小さな葉っぱをつける事から もう遺伝的に固定されているようです。 サンショウは草ではなくて樹木なので、世代交代に時間がかかるだろうに、 それだけ植物たちはシカ対策を急いだんですね。 この現象は屋久島と金華山だけではなく、広島県沖にある宮島でも起きています。 宮島にもシカがいてオオバコの葉っぱが小さいんです。 「島にシカと閉じ込められた植物は小さくなる」この仮説は成り立つのでしょうか。 これ調べた人がいるんですね。 結果は、この仮説が成り立つためには島が小さすぎるとダメで、 宮島ほどの大きさ(約30平方キロメートル)はないと、 シカが本当に植物を食べつくしてしまって、 葉っぱの大きさに選択圧がかかる前にオシマイになってしまうことがわかりました。 植物の葉っぱが小さくなるのは「島、シカ、植物」という共通項があるのがわかりました。 シカによる選択圧です。 同じ選択圧なんだけど「神社仏閣型」といわれるものがあります。 神社仏閣に生えているオオバコの葉っぱはどれも小さいと江戸時代から知られていました。 それも日本全国、由緒正しい神社仏閣のオオバコの葉っぱが小さいというんです。 という事は、シカとお坊さんが草を取るとオオバコは小さくなるっていう現象です。 この現象は、由緒正しい神社仏閣っていう所にヒントがあります。 どんなに古い神社仏閣でもその歴史は長くても千数百年がせいぜいですよね。 まぁ、およそ千年としましょう。 シカの500年よりちょっと長いくらいでそう変わらない年月で オオバコの葉っぱが変化しているんです。 でもこの結果に異論を唱える人もいます。 たとえば葉っぱが小さくなる変異は一度だけどこかのお寺で起こって、 その種が熱心な参拝者の草履にくっついて全国の神社仏閣に広まった というストーリーも成り立つという説です。 DNA解析の結果わかった事は、それぞれの地域で何度も変化が起こっていたという事です。 しかも、オオバコの細胞の大きさは正常で、数を減らすことで 葉っぱが小さくなっていました。 植物の葉っぱは先っぽから作られます。 単に小さく作るだけならさ先っぽの方だけ作って終わりにすれば手っ取り早いんですけれど、 小型化した葉っぱを持つオオバコは全体のプロポーションを保ちながら、 上手に細胞を間引いて全部作って小型化しているんです。 植物は環境に対して柔軟に対応していますね。 オオバコにとってはシカもお坊さんも同じなのかっていう所がちょっと面白く感じました。 それではまた話は変わります。 次の話題は植物から離れます。 話題の中心はシラミです。 ほとんどの動物たちは毛が生えてくるのに、私たちは裸で生まれてきます。 育っても他の動物のような毛は生えてきません。 だから私たちは服を作って着ています。 服を着る意味って何でしょう。 真っ先に思いついたのが防寒です。 これは私が北海道に住んでいるから寒さから身を守るっていうのを 一番最初に思ったのかもしれません。 寒さのほかには、服は怪我からも身を守りますね。 服の色や種類で、着ている人の階級がわかる場合もあるでしょう。 昔になればなるほど服装によって身分がひと目でわかる場合が多かったと思います。 今ではそれぞれの作業に適した服、それから普段着、あらたまった場所での服、 着飾ってひと目を引くための服もあれば、反対にひたすら目立たないための服もありますし、 衣装や仮装など違う人格になるための服など、さまざまな用途の服があります。 服を着ない日などまずありません。 それではいつごろから人は服を着始めたんでしょう。 これね、単純な問いのように思えるけれど判らないんです。 映画や漫画に登場する原始人はケモノの毛皮を身にまとっていますけどね。 実際の所はわからないんです。 衣服は化石に残らないんですよ。 衣服は、骨を取り巻く筋肉と同じくあっという間に朽ち果ててしまいます。 石器などの道具は残るから判ります。 だから衣服を縫ったとみられる縫い針のような間接的な証拠は発見されます。 日本では縄文時代の初めのころの1万年前にはシカの角や魚の骨が材料の、 針穴の開いた縫い針が発掘されています。 世界では古いものでは4万年前の針が発掘されています。 だからといって衣服の起源は4万年前であるとは断言できません。 これまでよくわかっていなかったのです。 2003年にドイツの研究チームが、シラミのDNAから衣服の起源を7万2000年前と発表しました。 研究に使ったシラミは40匹。 世界中の12箇所からヒトだけにつくアタマジラミとコロモジラミを採取して、 チンパンジーのシラミを含めてDNA解析をおこないました。 ヒトにつくシラミは、毛髪につくアタマジラミと衣服につくコロモジラミのふたつです。 もともとこのシラミは同じでした。 ふたつに分かれたのが7万2千年前だというのがわかったんです。 ヒトが衣服を着なくてはコロモジラミは生まれません。 だからアタマジラミからコロモジラミが分化した頃、 またはその少し前にヒトが衣服を着始めたという説です。 これは動かぬ証拠と言ってもいいと思います。 7万2千年前。その頃、ヒトはアフリカから出ようとしていた時期でした。 もうちょっと詳しく言うと、ヒトは2度に分けてアフリカから出ているんですけれど、 この2度目の時です。 一度目のときはホモサピエンスではなくて、ホモエレクトスです。 このホモエレクトスから進化したのがネアンデルタール人とも言われています。 このあたりは諸説あってよくわかっていないのですけれどね。 で、二度目にアフリカからヒトが出た時は10万年前からとも7万年前から始まったとも 言われていますけれど、この時、アフリカから出たのは私たちホモサピエンスです。 時期的にちょうど最後の氷河期が始まった頃です。 このシラミのDNAが意味する所は、 ホモサピエンスである私たちの祖先は、服を着てアフリカを出たって事になるのかな。 このシラミの事実は、ヒトが服を着た時期がわかっただけです。 それがたまたまヒトがアフリカを出て行った時期と同じだったからと言って、 ホモサピエンスだけが服を着てアフリカを出たという事にはならないですよね。 調べてみると、それほど精巧なものではないだろうけれど ネアンデルタール人も服を着ていたと考えられています。 っていう事は、服を着た私たちの祖先のホモサピエンスもネアンデルタール人も、 7万年前くらいから服を着ていて、大陸のどこかで出会っているんですね。 その頃は氷河期。寒いですもんね。 今までのイメージでは数万年も前のヒトたちは裸かそれに近いものでした。 でもかなり早いうちから私たちは服を着ていたという事が シラミから判ったというお話でした。 今日は、バラバラのみっつのお話を紹介しました。 共通することといえば、 私たちが持っているイメージよりも生き物ははもっとしたたかだという事でしょうか。 動物や植物と分けることのできない狭間の生き物。 環境によってわずかな期間で姿を変える植物。 それと初期の頃のヒトは思っていた以上に創意工夫をして服なんか作って 案外おしゃれを楽しんでいたかもしれないと思うと、 サルっぽいイメージ画も一新されなきゃなりませんね。 その事をシラミが教えてくれたというのがなんとも味わい深いと思いました。    * * * * *  * * * * *         動物か?植物か?だって?       そのどちらでもあるし、どちらでもないよ       オスだった時もあるしメスになる事もある       そのどちらでもない事もある       そうそう何でも枠の中に入れたがりなさんな       枠の中に納まりきれないのが、この世ってもんだ       どっちでもないしどっちでもある       境目、境界線上、曖昧さは可能性だ       変化しやすい事は臨機応変だし       イレギュラーは未知数の未来だよ       光合成で栄養を取る動物になりたいって?       そりゃいいね、日なたで昼寝してりゃ満腹だ       心底そう願ったらできるかもしれないよ       全身ま緑色の河童のような連中が       日なたで寝そべる未来か   ━■みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「トンデモ説 月の空洞に宇宙人住まうの説」 私は月が好きです。 天体・物理的な意味でも、地球から見る感情揺さぶられる情緒的な意味でも月が好きです。 もうただ月を見てるだけでもものすごく満足で嬉しいのです。 人類の興味が移ってしまったのか、宇宙開発は火星や冥王星が今は脚光を浴びて、 月探査があまり聞かれなくなってしまったのが寂しいです。 ある日、私んちで数人が集まってジンギスカンパーティーをしました。 そこで声の大きな酔っ払いが言いました。 「知ってるか? 月は表面が硬くて中が空洞なんだ。星の中心のコアである鉄みたいのを  アンコのように吸い上げて表面をコーティングしたから、表面が硬くて中が空洞なのだ」 「鉄をアンコのように?」 「中身を脱いで表面にって事は、月は裏返しになったの?」 「誰がそんな事をしたの?」 「何のためにそんな事をしたの?」 聞き手は、声の大きな酔っ払いの言う事を理解しようと頑張りますが、 脳内で月が大変な事になった映像が浮かんでしまうばかりで途方に暮れて質問します。 声の大きな酔っ払いは、ますます声を大にして叫びながら、途方に暮れた聞き手に説明します。 「いいか、地球にな、衝撃を与えてその振動を調べると地球内部の構造がわかるのだ。  同じように月にも振動を与えて内部構造を調べたらだな、ごーんごーんとずっと響いて  それはお寺の鐘のように鳴り止まず、そこで月は空洞だとわかったのだ」 ごーん。ごーん。ごーん。 私たち聞き手の脳内では、月は鐘になりました。 「誰が何のためにだと?宇宙人に決まってるだろうがぁ!  月の空洞の中には宇宙人が住んでいて地球を常に観察しているのだぁ」 月好きの私は、少しウンチクをしゃべってみました。 「昔から不思議でしょうがない事のひとつに、月と太陽の大きさは全然違うのに  地球からの見た目の大きさは同じだよね。これって偶然にしては出来すぎてるよね」 太陽は、月のおおよそ400倍の大きさなんですけど、 地球から月までの距離は、地球から太陽までの距離の400倍前後なので、 地球から見ると同じ大きさに見えるんですね。 だから太陽が月にすっぽりと綺麗に隠れるという日食が面白いことになるんです。 「それはワザとそうなるように宇宙人がしたのだ」 「何のために?」 「私たちはここにいてあなたたちを見ていますよっていう合図のためにだ。  知恵を促すヒントとしての役割もある。だいたいそんな偶然がある訳がないだろう。  わざとその位置で地球の周りをまわっているのだぁ」 その後、声の大きな酔っ払いは大騒ぎし、会はたけなわとなり、夜はふけていきました。 翌日、私は後片付けをしながら月空洞説を反芻していました。 そして少し調べてみました。 気になったのをいくつかピックアップしてみますね。 (a)アポロ12号が月面へ入った際、月の上空65kmから機器を捨て、   その衝撃による振動が、中が空洞でなければならないような測定値だったらしい。 (b)月は地球の60%ほどの密度しかないらしく、中身の40%は空洞ではないかと言われている。 (c)クレーターの面積が広いということはそれだけ衝撃が強かったはずなのに、   面積のわりにどのクレーターの深さが浅い。   しかもクレーターの底の部分が、月の球面に沿ったように盛り上がっている。 (d)月から持ち帰った石を年代測定してみたところ、   月の誕生は太陽系の起源よりも古いことが判明した。 月面ですぐ近くの石同士を持ち帰ったはずなのに、石の年齢は何億年もかけ離れていた。 ある石は、その石そのものよりも、その石の上に付着している泥の方が   10億年も古いものだった。 (a)と(b)が、空洞説が言われるそもそもなんですね。 そこに宇宙人が住んでしまう隙があった。(笑) で、声が大きい酔っ払いのいう 「星の中心のコアである鉄みたいのをアンコのように吸い上げて表面をコーティング」 っていうのは(c)が示すことと同じですね。表面がとても硬いんですね。 (d)は、はじめて知った話です。これ確かな情報かどうかは判らないけれど これがホントなら、月の起源の有力候補であるジャイアントインパクト説は消えます。 でもねー、現在は「地球のマントルと月の化学組成が似ている」っていうのが前提で 話が進んでいます。 2007年に日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)が打ち上げた探査機「かぐや」が 2009年に月面の様子を捉えた写真に、 月表面に直径60〜70メートルもの大きな縦穴に見えるものが写っているものがあります。 オカルト系のサイトでは「これこそ宇宙人の月内部基地への入り口の証拠である」という。 写真はホンモノでも、解釈がオカルトなんですね。(笑) 冒頭で「月探査があまり聞かれなくなってしまったのが寂しい」と書いたけれど 判らないことがあるって楽しいなぁ。 判らないことがあるっていうのはオカルトがはびこる余地があるっていうことです。 ネッシーも雪男も、たいがいのオーパーツも捏造って事になってしまった科学の現代。 人々は宇宙にオカルトを求めているのだな。 人がいる限り、怪しげな話は場所を選ばず沸くのだな。 人は怪しいものが大好きなのだな。 話していると楽しいしね。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★ネットで調べものしていたら、ある事象が7万年前と書かれている派と、  17万年前とする派の2派がある事に気付きました。  どこかの誰かが写し間違ったのが拡散しているんだね。  常識に的に考えて7万年前でしょ。これ。  何も疑わずに書いてネットで拡散〜。これ私もやりそうな事だから困る。 ★ラジオ山猫通信がリアルタイムで、  パソコン、スマートフォンから聴けるようになりました!  http://www.radiokaros.com/simulradio/  ↑ここがカロスのサイトの「インターネット放送聴取方法」のページです。  パソコンからスマートフォンから、カロスの放送を聞く方法が載っています。  http://www.simulradio.jp/  ↑ここがサイマルラジオのサイトです。  ここから全国のコミュニティーラジオが聞けるようになっています。    このサイトを開いたらちょっとスクロールすると「北海道」という場所があって  その下の方に「ラジオカロスサッポロ」という場所があります。  そこの「放送を聴く」をクリックするとメディアプレイヤーが立ち上がって、  リアルタイムに放送を聴くことが出来ます。  サイマルラジオは数分時間がズレて聞こえることがよくあります。  ラジオ山猫通信は、第一月曜日と第三月曜日の19:00〜19:30です。  明日の月曜日19:00に「ペンギンが友達になるまでの話」が  リアルタイムで聞くことができます。  バックナンバーは、「やまねこ通信 E=MC二乗」のサイトの「ラジオ山猫通信」の  場所から、いつでも好きな回のお話を聴くことが出来ます。   ★今回のこの「植物と動物の間を行き来する話とその他の話」は、  ネットでいつでも好きな時に聞くことができます。  http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm  ここの右側「ラジオ山猫通信」をクリックしてスクロールして  「植物と動物の間を行き来する話とその他の話」をクリックすると聞けます。  すぐに聞けない人は、じっと待ってみて。きっと聞けます。  http://crashlanding.under.jp/rajiyama0803.mp3  直接URLはここです。  今回の文は、おおむねラジオ原稿そのままです。  ラジオ用原稿をメルマガ用に書き換えているけどね。 ★vol.229の参考サイト     動物なのに光合成して生きてゆける不思議な生き物が存在している     http://buzzap.jp/news/20120508-elysia-chlorotica/     動物と植物のあいだ? 半藻半獣の生き物ハテナ     http://bsj.or.jp/frontier/BSJreview2010A4.pdf     葉っぱから考える     違和感としてわかる豊かな形作り:塚谷裕一×中村桂子     http://www.brh.co.jp/seimeishi/journal/048/talk_index.html     なぜヒトだけが氷河期を生き延びたのか? 〜道具の起源はアイデアの宝庫     http://diamond.jp/articles/-/48243?page=4     「月の内部は空洞であり、そこには異星人が住んでいる」という説     http://ww5.tiki.ne.jp/~qyoshida/kaiki2/129tuki02.htm ★予告です。 8月17日放送「ペンギンが友達になるまでの話」  (ネットにUP予定は9月6日)(収録終わった) 9月7日放送「強いものは弱いの話」  (ネットにUP予定は9月20日)(書き終わった) 9月21日放送「ネス湖とネッシーの話」  (ネットにUP予定は10月4日)(書き終わった) 10月5日放送「キツネに化かされない日本人の話」  (ネットにUP予定は10月18日)(書き終わった)         10月18日放送「昆虫界のジキルとハイド バッタの話」  (ネットにUP予定は11月2日)(書き終わった) ★ラジオ放送が月二回隔週であります。  最初はメルマガを元に原稿を書いてたけど、  今は、書き下ろし原稿です。  それをメルマガに転用するという逆転現象が  最近のメルマガ版「やまねこ通信 E=MC二乗」であります。 ★どうぞお時間のある時に「ラジオ山猫通信」も聞いてみてください。  2009年9月から始まった「ラジオ山猫通信」  どこまで続くんだ?  ここまで来たらいける所まで行ってしまえ!  最近は、トチらずスラスラよどみなくしゃべっているように聞こえます。  慣れてきたのです! ウソです。(笑)  編集で直して貰っているんです。 そのためずいぶん聞きやすくなっています。  決して私のしゃべりが上達したのではありません。  編集がうまくなったのです!(キッパリ) ★私はいつも「やまねこ通信 E=MC二乗」の事が頭の隅にあります。  次回テーマは何にしようかと常に思っています。  「やまねこ通信 E=MC二乗」は、私みかりんを構成している大事な要素です。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹     ★彡★彡★彡★彡★彡『蟹屋 山猫屋』★彡★彡★彡★彡★彡 生まれも育ちも北海道育の“みかりん”が、北海道の味覚を全国の方に広めるために 『蟹屋 山猫屋』を立ち上げました。一級品の道産品をお手ごろ価格でネット販売! 読み物としても楽しめるものを目指しているよ。    登録はここ→ http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/kani/   山猫屋の蟹は冷凍ガニではありません。ボイルしたてを食卓に直送! 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹    ↑↑↑  私、みかりんのもうひとつのメールマガジン。  北の味覚。海産物。蟹おいしいよ〜。海水ウニもありますよー。  予算はこれくらい。食べる人数はこれくらい。と教えてくれたら、その中で  できる限りのご提案をします!山猫屋の蟹は冷凍物は扱っておりません!  さぁ、タラバ食べたいよう、毛ガニ食べたいようのメールをみかりんに書こう。  毛蟹の良いのが入荷してきています。  北の食材たちは脂が乗っておいしいです。  この機会に、どうぞ冷凍ではない蟹を!  ご贈答に、山猫屋の海産物を。 それじゃ、今回はここまで。 あなたのお便り待ってます。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今日見かけた無意味なもの。 大雨の中の公園の噴水。(笑) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○ やまねこ通信E=MC二乗 vol.229  2015年8月16日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さには  まったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。  それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━