2015/9/6━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.230 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 北海道はすっかり秋の気配です。 本州以南にお住まい方は残暑真っ盛りなんでしょうか。 今日はそんな北海道以外の残暑の中、少しでも涼しくなるような 氷のイメージのあるペンギンの話をしましょう。 「やまねこ通信vol.136」で南半球と北半球の話をした時にペンギンにも触れています。 南極大陸に棲んでいるのは18種いるペンギンのうちの数種類だけで、 南極で繁殖するのはアデリーペンギンとエンペラーペンギンだけで、 あとは南極の周りの島にいたり、ニュージーランドに多く棲息しています。 そればかりか赤道直下に棲むガラパゴスペンギンや、 アフリカの最南端にもケープペンギンがいます。 そんな話を紹介しました。 今日のペンギンの話はちょっと視点を変えて「ペンギンが友人になるまでの話」です。 ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm 「ラジオ山猫通信」も、ここから聞くことができます。↑ ━■ペンギンが友人になるまでの話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ペンギンという生き物がいることを世界に広めて、 その名前「ペンギン」を世界語にしたのは欧米人です。 今いるペンギンたち18種は、おおむね南半球にいます。 だから南半球に住む人々がペンギンの存在を世界に知らせることになる可能性も あったんですけれど、世界史はそういうふうにはならなかったんですね。 世界中の人々がペンギンというヨーロッパ式の名前を受け入れました。 私たち日本人は300年ほど前には誰一人としてペンギンの存在を知らなかったのです。 それが、どのように日本にペンギンが認知されて、 しかも実態とはちょっと違う今の可愛いペンギンのイメージが作られて、 こんにちに至るのかという話を今日は紹介していきます。 今ではほとんどが南半球にしかいないペンギンですけど、 以前はペンギンそっくりなオオウミガラスという鳥が、北半球に生息していました。 南半球にいる今のペンギンはペンギン目ペンギン科という独立したものですけれど、 オオウミガラスはチドリ目ウミスズメ科で、黒い背中に白いおなか、 そしてヨチヨチ歩きと飛べない翼と驚異の潜水能力を持っています。 私たちの知るペンギンそっくりなんです。 このオオウミガラスの仲間に北海道の天売島にいるオロロン鳥がいます。 オオウミガラスの生息域は、ニューファンランド島からグリーンランド、アイスランド、 イギリス、スカンジナビア半島までの北大西洋そして北極海に分布していて 群れを作っていました。 ヨーロッパ人はこの鳥のことを太った鳥という意味合いでペンギンと呼んでいました。 オオウミガラスは人間に対する恐怖心がなくて、 逆に好奇心を持って人間に近づいてくるような鳥だったと言われています。 5千年前の貝塚のような跡にもたくさんの骨がでてくる所から、 大昔からヒトはオオウミガラスの肉や卵を利用していたのがわかります。 15世紀後半、ポルトガル、スペイン、フランスの漁師が魚のタラを求めて 大西洋を西に向かい始めました。 当然、彼らはオオウミガラスの棲む辺鄙な島々を発見していて、 肉を求めてオオウミガラスを襲撃するのが慣わしになっていました。 この漁業権争いに、他のヨーロッパの国々も参戦して全ヨーロッパ的スケールに なっていきました。 それに伴って無数にいたオオウミガラスは彼らの食糧補給のために数を減らしていきました。 そして18世紀中ごろには、アイスランドの西の端の小さな岩礁に 細々と暮らすだけになっていました。 オオウミガラスの悲劇はまだ続きます。 1830年、アイスランド近海で海底火山が噴火したのです。 この噴火でオオウミガラスの最後の生息地は沈んでしまいました。 それから間もなく、あんなに無数にいたオオウミガラスは絶滅したと考えられていた所に、 噴火を免れてわずか50羽ばかりが小さい島に避難している事がわかりました。 私は長年疑問に思っていた事があったんです。 その疑問とは、「どうしてイギリスとかの欧米人ってものを集めたがるんだろう」 っていう疑問です。 よその国のものも何もかも集めて集めてそして分類する。分類学という学問まで作っている。 その熱心さと情熱は尋常じゃないし、常軌を逸しているとまで感じていたんです。 その答えがこのオオウミガラスの絶滅にいたる物語でわかりました。 あの異常な収集癖はキリスト教がコンポンにあったんですね。 神が創りたもうた自然は整然と秩序正しいと確信していて、 だから世界中のあらゆるものを収集して、その目録をつくることによって 自然の秩序を見出すことこそが神を賛美することになり、 義務であると考えたという事なんですね。 神が創りたもうたものを分類し、そのひとつひとつに名前をつける博物学こそ最高の学問と 考えた。という事らしいです。 なるほどね。 今でこそ科学と宗教は、まったく別個のものであるというポジションだけど、 19世紀のニュートンとかダーウィンの頃までは、 神様の創りたもうた秩序ある世界を証明するために、天文学が発達したり、 キリスト教が後ろ盾になって科学が邁進する一面があったんです。 こういう宗教的な背景があるという事を知った上で、更なる悲劇の物語は続きます。 海底火山噴火でオオウミガラスの生息地がなくなってしまったというニュースは、 欧米の学者たち、特に博物館の館長たちに大きな衝撃を与えました。 そのショックは、今の私たちが想像するものとは質が違うものでした。 「知識の殿堂であるべき自分の所の博物館にオオウミガラスの剥製や標本がひとつもない!」 博物館の館長たちはこのように思ったんです。 そこに小さな島にわずか50羽ほどが生存しているニュースが飛び込んできたんです。 それじゃ保護しなきゃ。と考えるのは現代の私たちの感覚です。 当時の欧米の博物館館長たちは競って、オオウミガラスの剥製と骨格標本と卵の標本を 欲しがったんです。 1844年、こうして北半球のペンギン、オオウミガラスは地上から完全に 姿を消してしまいました。 容赦ないハンターたちと自然災害が重なった上で、 とどめを刺したのは当時のアカデニズムだったんです。 そして欧米人たちの心に、ヨチヨチ歩きをする、人を恐れることをしなかった太った鳥の 記憶が「申し訳なかったかも」というちょっと後ろ暗い感じで残ったのだと思います。 さて、時代を少し戻します。 世界史は15世紀から17世紀半ばにかけて大航海時代に入ります。 最初はスペインやポルトガルが、それからイギリスやフランスが、 その後続々と海へ乗り出して領土拡大と航路を開拓していきました。 16世紀になるとアフリカの喜望峰や、南米大陸と南極の間の海へも進出します。 この時ヨーロッパ人は南半球のペンギンたちに出会うんです。 ここでも過酷な航海の貴重な食料としてペンギンたちはずいぶん食べられたようです。 この頃、ヨーロッパでは航海記ブームや学術的発見航海日誌ブームというものが おきていました。 探検航海に科学者や芸術家が同行した読み物ですね。冒険小説みたいな感じです。 この時もこの太った海鳥であるペンギンは、極度の食糧不足や物資の不足に苦しむ船乗りに とって貴重な資源だったんです。分厚い皮下脂肪からランプ用の油も取れました。 この冒険日記出版ブームでペンギンに役割が与えられていきました。 ペンギンは「南の海」や「未知の南方大陸」について語るときに 登場させない訳にはいかない重要な脇役になっていったのです。 たとえば話に信憑性を持たせるために、ペンギンについてより多く語り、 時には挿絵を入れたりして紙面の多くをペンギンにあてるようになっていきました。 冒険ものには欠かせない鳥になっていったんですね。 一方、ヨーロッパ諸国間の争いは新しい段階に入っていきます。 スペインとポルトガルは南米大陸で勢力争いをし、 北米大陸ではイギリスとフランスが第二次百年戦争に突入しています。 東インド貿易を牛耳ったオランダに対して、スペイン、イギリス、フランスは 新たな交易や発見を求めて探索活動を活発化させていきました。 この頃のヨーロッパ諸国のテーマのひとつに「未知の南方大陸の発見」というものが ありました。南極大陸の事です。 ニューギニアやオーストラリアが発見されると、これこそが伝説の大陸かと注目され、 やっぱり違うと証明され、何人もの探検家が何度も挑んでいきました。 その時に南の海へ進めば進むほどペンギンに遭遇する率が高まっているのに気づいたのです。 この頃の船には博物学者も同行していて、一般の人にもペンギンの生態をわかりやすく 伝える役目を果たしています。 キングペンギン、ジェンツーペンギン、ヒゲペンギンなど 何種類ものペンギンが発見されました。 18世紀に入り、ヨーロッパは本格的な出版の時代になっていました。 15世紀に活版印刷の発明って学校で習ったけれど、 最初は発行部数も少なくて宗教書ばかりで制約も多くて、 実際に普及するのに300年かかっているんですね。 18世紀のヨーロッパは人々が読書に興じた時代でした。 探検家たちは19世紀になってついに南極大陸を発見します。 そして南極で繁殖するコウテイペンギンとアデリーペンギンに出会い、 その生態がヨーロッパ人に伝えられることになりました。 南極大陸発見の航海日誌は、博物学者はもちろんのこと 政治家、実業家、軍人そして冒険を夢見る大衆に、喜んで迎えられました。 本文に添えられた美しい図版の、遠い南の果ての荒涼とした雪と氷の世界と そこに佇むペンギンたちの姿は多くの人の脳裏に刻まれました。 18世紀から19世紀にかけて発展した博物学の裾野を広げて、 その影響力を大衆の世界観まで変えたものの重要な道具のひとつに、 世界地図があります。 当時の世界地図は航海ルートや支配領域を示すという実用面だけじゃなくて、 見知らぬ世界への憧れと冒険心を大いに刺激したと思います。 世界地図にはその地域の民族や風景や動植物をあしらったものや 解説がついたものもありました。 ペンギンは世界地図には欠かすことの出来ない生き物として定着していきました。 ペンギンはこの南極付近の海域を表す代名詞として記号化されていった と言ってもいいでしょう。 南極探検ブームの中でこのパターンは繰り返されて、 南極大陸を代表する生き物となって人々の中に入り込んでいきました。 時代は進んで、この後、欧米では動物展示ブームが起こります。 この時、ドイツのハーゲンベックが発案の「北極パノラマ展示」というものが 大人気になりました。 石とコンクリートを氷に見立てて白く塗り、実物大の探検に使った船の展示というものです。 極地、雪と氷、探検の船です。 そこに並んだのは、アシカとシロクマとケープペンギンでした。 アシカはアザラシの代用で、アフリカに棲む温帯性のケープペンギンは、 オオウミガラスを含めたすべての代表でした。 北極パノラマ展示は、世界中の動物園や水族館に絶大な影響を与えました。 これ以降、ペンギンの種類に関係なくペンギンプールにはほとんど岩場が作られて 雪と氷を表す白い塗料で塗られることになったのです。 そう、温帯性のケープペンギンやフンボルトペンギンが展示されていてもです。 ハーゲンベックの北極パノラマで、人々はペンギンを見れば雪と氷を連想して、 動物園でそれを確認するという、ペンギンの雪と氷のイメージを定着させる 強力な仕掛けとなりました。 現に私もずっとペンギンイコール雪と氷のイメージしかありませんでした。 温帯性のペンギンがいるんだって知ったのは、大人になってからです。 19世紀のドイツ人の思い付きが、21世紀の極東の島国の私にまで影響を与えています。(笑) さて。やっと日本の話をします。 どうもペンギンという生き物がいるらしい。という事は18世紀の始めにごく一部の日本人は 知っていました。六代将軍徳川家宣の頃です。 日本人ではじめてペンギンの事を文献に記録したのは新井白石です。 新井白石って日本史では改革を行った人と習った覚えがある名前です。 白石は「采覧異言(さいらんいげん)」という本にぺンギンの事を書いています。 鎖国していたこの時代、新井白石はどこでペンギンの事を知ったのでしょう。 鎖国しても一大決心をしてやってくる宣教師はいたんですね。 もちろんすぐ捕らえられて江戸に送り込まれます。その尋問を行ったのが白石なんです。 新井白石は政治家という面もあったんですけれど同時に学者でもありました。 こういう捕らわれ宣教師や、長崎や江戸にいるオランダ人やその通訳やらを質問攻めにして、 精力的に海外の情報を集めていました。 その集大成が白石が書いた本なんです。 もちろんペンギンの絵が載っている世界地図も見ているでしょう。 白石の残したペンギン情報は、時間をかけながら少しずつ日本の学者もに 伝えられて広まっていきました。 この頃、立て続けにペンギンの皮が日本に入ってきています。 その中には袋状のポシェットになっているものもありました。 欧米のアザラシ猟師たちが使っていた加工品です。 その一部が流れ流れて日本までやってきて、大名や学者たちの好奇心を刺激しているんですね。 江戸時代の後期になると、長崎の出島にドイツ人のシーボルトがやってきます。 出島で西洋医学を伝えました。 この時、堀田という博物学に長けた大名が、 江戸に来たシーボルトを訪ねてペンギンの皮のポシェットを見せているんです。 シーボルトは小冊子を出してきてペンギンの図を指し示して、 「この皮はピングインのものである」と言ったと記録に残っています。 けれどここでシーボルトは不思議な事を言うんです。 「北の海の、人が途絶えた島にいる鳥」と言ったんですね。 その4年前に別のオランダ人に、堀田が同じくペンギンの皮のポシェットをみせた所 「南海に棲む水鳥」という答えを引き出しているんです。 動物学に詳しかったシーボルトほどの人が間違うというは考えにくいんです。 ただ欧米人のオオウミガラスに対する思いは強かったんだろうなというのは感じ取れます。 その後シーボルトは禁じられている日本の地図を国外に持ち出そうとした罪で 国外追放となります。 キングペンギンの皮製ポシェットには、こんな逸話を残しながら スケッチした絵が残されています。 さて鎖国時代は終わり、幕末から明治にかけてペンギンに関する情報は ほとんど文献だけで日本に伝わってきました。 学校教育や出版物を通じてペンギンという単語は日本語の中に定着していきました。 そのペンギン情報はすべて欧米からのものです。 一般の人向けの読み物としては「ロビンソンクルーソー漂流記」であったり、 百科事典などでもペンギンが扱われていました。 こういう事典などはすべて日本人が執筆したことになっているんですけれど、 どうもペンギンの項目はヨーロッパの辞書からの引用のようでした。 ペンギンに関する情報は、ほとんどすべて欧米人を通して日本に伝わってきました。 ペンギンには最初から舶来もののイメージが漂っていたんです。 でも、この鳥について語る時、 欧米人は「オオウミガラスの絶滅」や「油の採取のためのペンギン大量殺戮」については まったくと言っていいほど口を閉ざしていました。 そして日本人の持つペンギンイメージは、20世紀初頭の世界中で話題になった南極点を 目指すレースで、日本の探検家 白瀬 矗(しらせ のぶ)が加わることによって 決定的になりました。 「南極観測船しらせ」の名前は、この白瀬さんが由来です。 白瀬隊はペンギンを探検隊資金調達のメインキャラクターにしたんです。 それは白瀬隊だけじゃなく1930年代までに南極探検に挑んだ欧米の探検家たちも同じでした。 こうして「南極といえばペンギン」という世界的常識を日本人も共有することになったんです。 この後、白瀬隊がペンギン剥製第一号を日本に持ってきます。 そして昭和に入って生きたペンギンが氷山を背景にする展示方法で 一般公開されるようになって、戦前のうちにペンギンイコール南極は固定化します。 その後1960年代に入って動物園や水族館でペンギン飼育がブームになります。 ここからです。 ペンギンが主人公の絵本や学習雑誌でペンギンが特集されるようになり、 ペンギンのキャラクターが多く生み出されました。 サンスターの歯磨きの「ペンギンペンギン可愛いな〜」の歌で ペンギンは一気にスターダムにのしあがります。 https://youtu.be/5suCqo65bBk  ↑これです!(す・すごい、歌えるくらい覚えてる私。(笑)) その後氷山とペンギンの絵が描かれたロッテクールミントガムが発売されます。 このふたつは南極観測隊のブームの影響があったけれど、 このあと60年代後半から80年代にかけて、 冷凍庫のホシザキのペンギンマーク、サンリオのタキシードサム、山一證券のペンギン、 サントリーのペンギンなどどんどんペンギンのキャラクターが生まれて どれも大ヒットしました。 南極探検白瀬隊以降、日本人は80年かけてペンギンから可愛いという要素を抽出しました。 可愛いという記号としてのペンギンです。 欧米人はペンギンにひょうきんさ、逞しさを感じるといいます。 どちらがいいとか正しいとかではなく、 ペンギンと人間がこれからも末永く付き合っていければいいのですけど。 毎年、暑い夏が来るたびに、人々がこぞって動物園と水族館には南極の涼しさを求めて、 可愛いペンギンに会いに行きます。    * * * * *  * * * * *         冬の南極で子育てするペンギンがいる       水深300mの所でイカや魚を獲ってるんだぜ       すごいだろ?       氷原に立ち尽くす生き物はペンギンしかいない       ずっとペンギンしかいなかったんだ       そこに直立するニンゲンがやってきた       お前は誰だ?       珍しいからずっと観察してみた。       声をかけてみた。すると向こうもマネをしたから応えてやった。       近づいてみる。もしかしたらお前、新種のペンギンか?       どうも変だ。違うらしい。       可愛いだって?よせよ。       よちよち歩くだって?うるさいな。       こっちに来てもいいけど       あんまり悪さをするなよな       ここはペンギンの世界なんだから   ━■みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「西ノ島 探査」 先月、8月23日に放送されたNHKスペシャル「新島誕生 西之島 〜大地創成の謎に迫る〜」 これ見ました? にわか西ノ島ウォッチャーの私としては見逃せない番組です。 もうわくわくしながら見ました。 38インチのテレビ画面の1mの所でかぶりつきで見ました。(笑) 番組を簡単に再現してみましょう。 拡大を続ける火山島西之島は、東京から南へ1000kmの所にあります。 本州から船でノンストップで50時間です。 現在、直径約2km、高さ140m以上に成長しています。 これほど大きな島の誕生を観測できているのは人類史上初なんですね。 とても危険なため島から4km以内は立ち入りが禁止されています。 ですので、最新鋭の無人機を改造して遠隔操作による岩石採取や撮影に挑戦しました。 そう、4km先からの遠隔操作です。 この時期、宇宙ステーション補給機「こうのとり」のドッキングが世間の目を集めていますが この西ノ島探査も同じくらい興味津々です。 (「こうのとり」については近々メイン記事で取り上げようと思っています) 爆発から1年半、いまだに噴煙や噴石や溶岩を猛烈に吐き続けていて治まる気配がありません。 噴火口がある山は何にも邪魔されないためか綺麗な円錐形を作っていて、 現在海抜140m以上に成長しています。 海底からは4000mの海底火山なんですけれど、それが海面に頭を出している状況です。 それにしても1年半も溶岩を流し続けているっていうのも珍しいんです。 島が拡大している最前線の海岸は波をかぶって水蒸気をあげています。 岩がかなり熱いのがわかります。 こういう様子がわかるのも、今回の主力機械である無人へリで撮影しています。 揺れる船にヘリが無事に着船するのがひどく難しいんですね。 いろんな器材が船にあって引っかかりやすいんです。 ヘリは手元のリモコンでヘリを見ながら離着陸専門で操縦する人と、 その後、船内で4km先のヘリの操縦を計器や映像を見ながら操縦する人など 複数のリレーで数人で操縦します。 で、ここでトラブル発生。 なんとヘリのエンジンの冷却水が、島からの輻射熱(ふくしゃねつ)で熱くなりすぎて エンジン不調に!  島がものすごく熱いのがよくわかります。 エンジンに海風を当てるなどしてヘリはなんとか回復しました。 ヘリは島のあちこちを映像として送ってきます。 溶岩が流れている様子から、島が急速に厚みを増しつつあることがわかります。 島は横方向の広さだけじゃなくて高さ(厚み)も成長しているんですね。 夜の溶岩流の映像が光っていて綺麗です。 火口からは昼夜関係なく、噴石が飛んできます。 大きなもので3mもの岩やら何やらがぼこぼこ飛んでいます。危険です。 無事火口付近の撮影に成功。 その次に挑戦したのが4方向同時に撮影できる機械を島に置くこととその回収です。 このカメラの映像をつなぐと360度の風景になります。 西ノ島はもうすっかり新しい溶岩に覆われて島が拡大してしまっているけれど もともとの西ノ島だった場所も1ヘクタールほど※残っています。 西ノ島は今まで多くの鳥の繁殖地で、 ここでしか繁殖が確認できていないアオズラカツオドリなどが現在どうなっているのかを 調べるのが目的です。 24時間360度録画できるカメラを鳥のいる平地に置いて、遠隔操作ヘリで回収します。 回収方法はヘリからぶら下げたロープの先に釣り針のフックみたいなのに引っ掛けるという 超アナログ。超高難易度のUFOキャッチャーです。(笑) ヘリ、回収時に鳥に邪魔にされて苦戦。あれ?鳥、結構いるね。 途中、海に落としたらそれでオシマイ。 甲板ではエアクッションを敷き詰めてカメラを受け止める準備です。 どきどきの回収とわくわくの録画再生。 ヒナに餌をやってる様子も映っています。 この地で繁殖を続けているんです。 もともと数十羽いたとされるアオズラカツオドリは、親鳥を含めて30羽ちかくいそうです。 円錐の山から噴煙ふきあげる山を背景に、溶岩に囲まれたちょっとの平地で、 焼き鳥にもゆで卵にもならずに、アオズラカツオドリは、たくましく生きていました。 噴火のため少しの草も生えていない、まったく地球っぽくない風景です。 すぐそばで溶岩が流れている環境で子育てをする海鳥が子育てをしています。 どこか遠い星のような風景です。 次は超難しいミッションです。 無人ヘリの遠隔操作で溶岩採取機をぶら下げて岩石を採取します。 溶岩採取機っていうとなんか特殊なスバラシイ機械っぽいけど 今回のために作ったもので、回転するブラシで溶岩を書き込む仕組みです。 採取機にはカメラが付いてるけれど、操作する2人には見えていません。 (操作は2人でするんです) あ…! 景品落とした。(いや、だからUFOキャッチャーじゃないって(笑)) 溶岩のサンプルリターンです。 これって、「惑星探査機はやぶさ」がした仕事ですね。 はやぶさは、宇宙の彼方でサンプルを採取して帰ってきたんだから、 はやぶさ君はすごいんですねー。 お、手ごろな岩石がうまく採取できました。 誰も手にしたことがない西ノ島で生まれたばかりの溶岩ゲットです。 これで色々なことがわかるそうです。 このあと西ノ島の周囲の海底の岩石採取でミッション終了です。 海底は、火山から流れた溶岩を足場に珍しい珊瑚の仲間たちが並んでいます。 新種らしい魚や、大きなカグラザメが映っていました。 西ノ島からの溶岩が、意外に豊かな生態系を育んでいました。 さて。 採取した岩石を詳しく成分分析すると大部分が安山岩だということがわかりました。 西ノ島で起きていることは、 太古の地球に起きていた光景を見ているのかもしれないって事です。 研究者の無茶振りに応えようとする技術者。 探索結果に目を輝かせる研究者や技術者の人、 無人ヘリから送られてくる映像に釘づけで瞬きさえしていない人々。 溶岩を手にして本当にうれしそうな顔。 調査をする学者の皆さんが「おおー!はははは!」と歓声を上げる姿。 研究者みんな少年のようにキラキラした目をしていて、 見ている私も一緒になって喜んでいました。 ダイオウイカの時と同じ興奮です。 どうも私の中では、ダイオウイカと西ノ島と、 宇宙ステーションの補給機こうのとりのドッキングは同列にいるようです。(笑) (※の印:この数字と単位に自信ないです。  メモに残っていない。メモしながら見てたのです。  再生機能しかないデッキしか持っていないんで。) ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★メイン記事の文中「白瀬隊」という言葉がでてきます。  これ文字でみると何の違和感もないんだけど、発音すると「しらせたい」なんですね。  ラジオ収録の時「知らせたいの?何を?」ってなってしまうのに困った。(笑) ★メイン記事の文中でも紹介したペンギンの歌。  https://youtu.be/5suCqo65bBk  1番だけ歌詞を書き出してみますね。     サンスターCMソング 「ペンギンさん」   作詞/重園よし雄  作曲/平岡輝章  歌/星野広子    氷のお山で すまし顔    いつも気どって えんび服    もしもステッキ かいこんで    黒いカバンを 持ったなら    とても立派な お医者さん    ペンギン ペンギン かわいいな  私、これ歌えるくらいしっかり覚えているんですね。  子どもみかりん、間違いなく歌っていました。  そして当時の子ども用の百科事典や学習雑誌で  ペンギンが大きく扱われていたのも覚えています。  「もしもステッキ かいこんで」  ここ、「かいこんで」ってワザとひらがな表記したんですけれど  どんなサイトを見ても「買い込んで」というふうに  ペンギンがステッキをたくさん買ってるようになってるんです。   「買い込む」とは     買って自分の物とする。     特に,将来を見越して多量に買う。     「参考書を−・む」 「災害に備えて食料品を−・む」  でもひとつだけ「買い込んで」ではなく「掻い込んで」ではないのかと指摘している  サイトがありました。「掻い込む」とは何?と検索してみると   「掻い込む」とは      わきの下に抱え込む。     「洋銀の握りのついた細い杖 (つえ) を―・みながら」    と、ありました。  あ、なるほど。こりゃぁ「掻い込んで」が正解ですね。  それから    「もしもステッキ」の所を    「もしもステーキ」だと思っていましたっていう  書き込みもいくつか見られました。(笑)  私はどうだったかなぁ。「ステーキ」って歌っていたかなぁ。  ちょっと覚えていません。(笑)  歌詞からの想像というか妄想は  「えんび服+ステッキ+黒いカバン=お医者さん」 なんですね。  でも、えんび服を着てステッキ持ってるお医者さんってみたことないです。  お医者さんって白衣を着て、頭のオデコの所に今のCDみたいなのをつけて  聴診器を首から下げているイメージです。(子どもの頃のお医者さんのイメージ)    実際のペンギンを見て「お医者さんみたいだ」って思う人はたぶんいないです。  ペンギンを見て「お医者さんになりたい」って思う子どももいないと思います。(笑)  これは、ペンギンってものすごく現実味のない遠い国の幻の生き物って事なんですね。  欧米から持ち込まれたペンギンイメージはとにかく「洒落た舶来もの」だったんです。  その欧米紳士のイメージが、えんび服+ステッキ(ステーキ?(笑))だったんでしょう。  その感覚、よくわかります。  サンスターのペンギンの歌が歌えるくらいの世代ですから。    ★ラジオ山猫通信がリアルタイムで、  パソコン、スマートフォンから聴けるようになりました!  http://www.radiokaros.com/simulradio/  ↑ここがカロスのサイトの「インターネット放送聴取方法」のページです。  パソコンからスマートフォンから、カロスの放送を聞く方法が載っています。  http://www.simulradio.jp/  ↑ここがサイマルラジオのサイトです。  ここから全国のコミュニティーラジオが聞けるようになっています。    このサイトを開いたらちょっとスクロールすると「北海道」という場所があって  その下の方に「ラジオカロスサッポロ」という場所があります。  そこの「放送を聴く」をクリックするとメディアプレイヤーが立ち上がって、  リアルタイムに放送を聴くことが出来ます。  サイマルラジオは数分時間がズレて聞こえることがよくあります。  ラジオ山猫通信は、第一月曜日と第三月曜日の19:00〜19:30です。  明日の月曜日19:00に「強いものは弱いの話」が  リアルタイムで聞くことができます。  バックナンバーは、「やまねこ通信 E=MC二乗」のサイトの「ラジオ山猫通信」の  場所から、いつでも好きな回のお話を聴くことが出来ます。   ★今回のこの「ペンギンが友達になるまでの話」は、  ネットでいつでも好きな時に聞くことができます。  http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm  ここの右側「ラジオ山猫通信」をクリックしてスクロールして  「ペンギンが友達になるまでの話」をクリックすると聞けます。  すぐに聞けない人は、じっと待ってみて。きっと聞けます。  http://crashlanding.under.jp/rajiyama0817.mp3  直接URLはここです。  今回の文は、おおむねラジオ原稿そのままです。  ラジオ用原稿をメルマガ用に書き換えているけどね。 ★vol.230の参考サイト、テレビ番組     ペンギンは歴史にもクチバシをはさむ  著/上田一生  岩波書店     NHKスペシャル「新島誕生 西之島」   2015年8月23日放送 ★予告です。 9月7日放送「強いものは弱いの話」  (ネットにUP予定は9月20日)(収録終わった) 9月21日放送「ネス湖とネッシーの話」  (ネットにUP予定は10月4日)(書き終わった) 10月5日放送「キツネに化かされない日本人の話」  (ネットにUP予定は10月18日)(書き終わった)         10月19日放送「昆虫界のジキルとハイド バッタの話」  (ネットにUP予定は11月2日)(書き終わった) 11月2日放送「魚とヘビの左右の話」  (ネットにUP予定は11月15日)(書き終わった) 11月16日放送「現在の日本の宇宙開発の話」  (ネットにUP予定は12月6日)(これから書く) ★ラジオ放送が月二回隔週であります。  最初はメルマガを元に原稿を書いてたけど、  今は、書き下ろし原稿です。  それをメルマガに転用するという逆転現象が  最近のメルマガ版「やまねこ通信 E=MC二乗」であります。 ★どうぞお時間のある時に「ラジオ山猫通信」も聞いてみてください。  2009年9月から始まった「ラジオ山猫通信」  どこまで続くんだ?  ここまで来たらいける所まで行ってしまえ!  最近は、トチらずスラスラよどみなくしゃべっているように聞こえます。  慣れてきたのです! ウソです。(笑)  編集で直して貰っているんです。 そのためずいぶん聞きやすくなっています。  決して私のしゃべりが上達したのではありません。  編集がうまくなったのです!(キッパリ) ★私はいつも「やまねこ通信 E=MC二乗」の事が頭の隅にあります。  次回テーマは何にしようかと常に思っています。  「やまねこ通信 E=MC二乗」は、私みかりんを構成している大事な要素です。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹     ★彡★彡★彡★彡★彡『蟹屋 山猫屋』★彡★彡★彡★彡★彡 生まれも育ちも北海道育の“みかりん”が、北海道の味覚を全国の方に広めるために 『蟹屋 山猫屋』を立ち上げました。一級品の道産品をお手ごろ価格でネット販売! 読み物としても楽しめるものを目指しているよ。    登録はここ→ http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/kani/   山猫屋の蟹は冷凍ガニではありません。ボイルしたてを食卓に直送! 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹    ↑↑↑  私、みかりんのもうひとつのメールマガジン。  北の味覚。海産物。蟹おいしいよ〜。海水ウニもありますよー。  予算はこれくらい。食べる人数はこれくらい。と教えてくれたら、その中で  できる限りのご提案をします!山猫屋の蟹は冷凍物は扱っておりません!  さぁ、タラバ食べたいよう、毛ガニ食べたいようのメールをみかりんに書こう。  毛蟹の良いのが入荷してきています。  北の食材たちは脂が乗っておいしいです。  この機会に、どうぞ冷凍ではない蟹を!  ご贈答に、山猫屋の海産物を。 それじゃ、今回はここまで。 あなたのお便り待ってます。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「お名前は?」 「ムロヤです」 「どういった漢字ですか?室町のムロ?」 「いいえ、室蘭のムロに、タニです」 「あぁ、そうですか」という会話を昨日した。 なぜあの時、「いいえ」と瞬間的に言ったのかわからない。(笑) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○ やまねこ通信E=MC二乗 vol.230  2015年9月6日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さには  まったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。  それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━