2015/9/20━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.231 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 9月10日の鬼怒川氾濫のニュースは、改めて自然災害の恐ろしさを思い知りました。 あっという間に水が押し寄せて何もかも流してしまう大雨による河川決壊。 被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。 日本は自然災害が多い国です。 今回のメイン記事には、 自然災害は生物多様性を促す側面があるという論調があります。 このような災害があったあとだと誤解を招きそうですが 書きたかった事は「中規模撹乱仮説」という考え方を説明したかったのです。 原稿自体は数ヶ月前に書いたものですけれど 鬼怒川氾濫のあとに配信する内容としては不適切だよなと思いながらの配信です。 ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm 「ラジオ山猫通信」も、ここから聞くことができます。↑ ━■強いものは弱いの話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 生物多様性っていう言葉は、今では普通に使われています。 私の子どもの頃にはなかった言葉です。 調べてみると1985年というから今からちょうど30年前に作られた言葉のようです。 生物多様性という言葉と概念は、世界の政治家や科学者、環境保全を考える多くの人たちに 支持されて使われるようになりました。 これって、20世紀最後の10年間にみられた絶滅種への関心の広まりと一致しています。 みんななんとなく地球環境の未来に危機感を持ち始めてきた頃に生まれた言葉であり、 概念なんですね。 なぜ生物多様性が重要なのか。 こういう時によく引き合いにだされる答えに、 「生物の多様性は、私たちにもたらしてくれる恩恵があるから」と言い方があります。 たとえば、普段食べている海産物、紙や建材になる木材、綺麗な水や空気が、 色々な生物がいることによって生み出されているとか。 2004年に起きたスマトラ島沖地震の時に被害が少なかった地域には マングローブとかサンゴ礁があったとか。 人類の医薬品には数万種類もの植物からもたらされた成分が貢献しているとか。 という答えです。 こういうさまざまな恵みが広く失われると困るから、 私たちの未来の可能性を大事にしたいから、 だから生物多様性は大切だという説明です。 私はこういう説明には違和感を感じます。 だって生物って人間のために存在している訳じゃありませんからね。 生物多様性条約っていう国際条約があります。 この条約が作られたとき、原案には次のような文章がありました。 「人類が他の生物と共に地球を分かち合っていることを認め、  それらの生物が人類に対する利益とは関係なく存在している事を受け入れる」 素晴らしいです。 でもこの文章は最終的に削除されてしまいました。 生物多様性条約っていうのは、地球規模で生物多様性の保全を目指す国際条約なんですけれど、 保全だけじゃなく、持続可能な利用をも目的としている面があるんですね。 人が作った決まりごとは所詮、人のためなんですね。 仕方がない事なのかもしれません。 まぁ、生物は数が多いほうが生態系は安定するだろうし、 生物が多いほうが遺伝子の多様性も高いでしょう。 生物多様性が注目されるようになったのは、人間の経済活動のために環境が変化して、 野生動物が数を減らしたり、姿を見かけなくなったりして、 直感的に不安になったからなんだと思います。 多様な生物が多いことが良いことで、生物の種類の数を減らすような人間活動は 悪いことであると感じる人が多くなったという事です。 人間が野生動物に悪影響を与えていると考えられているもののひとつに、 有害物質による環境汚染があります。 その中でも農薬の影響って大変なものがあります。 農薬って言ってみれば生物を殺すことを目的に作られた物質です。 そんな物質をわざと環境に放出するのが農薬です。 でも農薬の人への健康被害もありますし、生態系への影響も極力押さえるように、 使うにあたって登録や基準が設けられています。 このメイン記事を書くにあたって参考にしている本 「自然はそんなにヤワじゃない」の著者である研究者の花里さんが興味深い実験をしました。 花里さんの専門は湖の生態系です。 その中でも動物プランクトンのミジンコを中心に 生態系と水質の関わりについて研究されている方です。 この実験の登場人物を紹介します。 まずは植物プランクトン。 その植物プランクトンを食べる動物プランクトン、ワムシや小型のミジンコです。 それからこれらを食べる中型のケンミジンコなどがいます。 そしてこれらを食べる大型のカブトミジンコがいます。 さらに分解者として重要な働きをするバクテリアも水中に浮遊しているプランクトンです。 湖の水の中には生態系の重要メンバーすべて揃っていて実験しやすいんですね。 プランクトンは冬などエサの少ない時期をやり過ごすために、 卵や胞子の形で湖の底の泥の中でたくさん眠っていて、 成長しはじめる時期がくるのを待っています。 という事は、湖の底の泥をとってきて水槽に入れて、 水を入れると色々なプランクトンが発生して、 湖と似たプランクトンたちの生態系が水槽の中に作られるって事です。 実験しやすいんですね。 水槽に湖の泥と水を入れると、まず水が緑色になります。 植物プランクトンが増えたんです。 その後、ワムシという動物プランクトンが増えて 植物プランクトンはワムシに食べられて数を減らしました。 その次にワムシ類は小型のミジンコであるゾウミジンコに食べられて数を減らし、 水槽にはゾウミジンコばかりになりました。 しばらくすると水槽の中は中型ミジンコであるスカシタマミジンコやオナガミジンコに 変わっていき、 さらに時間がたつと大型ミジンコのカブトミジンコが現われて個体数を増やしていきました。 カブトミジンコがでてくると、中型ミジンコをはじめほとんどの動物プランクトンが 見られなくなって、その後は大型ミジンコばかりが続きました。 ここから実験開始です。 プランクトンの卵が眠る泥から、大型のカブトミジンコで安定する水槽をいくつも用意します。 ここに農薬を入れます。 濃度は薄くします。 水田やゴルフ場で農薬を撒いてから、いくらもたたないうちに雨が降って すぐ近くの川で観察されるくらいの濃度の農薬です。 この薄い農薬を水槽に入れると、 水槽の中の大型のカブトミジンコは姿を消していなくなってしまい、 しばらく経つと水槽の中は中型ミジンコばかりになってその状態は続きました。 別の水槽にもっと濃度を濃くした農薬を入れてみました。 すると大型ミジンコが消えて次に現われたのは中型ミジンコではなく 小型ミジンコだったんです。 それでは次に、もっと濃くした農薬を入れてみると、 ミジンコはほとんど姿を見せなくなって水槽の中にはワムシばかりになりました。 この実験から色々なことがわかりました。 まず、農薬を入れない環境ではカブトミジンコばかりになったという事は、 エサを奪い合うという競争では大型ミジンコが一番強いという事です。 でもこの一番強いはずの大型ミジンコは最も低濃度の農薬で姿を消しました。 動物プランクトンの中では、もっとも農薬に弱いのが大型ミジンコだという事です。 そして大型ミジンコがいなくなった水槽には中型ミジンコが優先したことから、 中型ミジンコは、大型ミジンコについで競争に強いグループだという事がわかります。 そしてもっと農薬の濃度を上げると中型ミジンコがいなくなって 小型ミジンコが増える事になります。 このことから中型ミジンコは大型ミジンコに次いで農薬に弱いこと、 そして小型ミジンコは大型ミジンコや中型ミジンコ相手の競争には勝てないけれど、 それらがいなかったらワムシを押さえて水槽内では優先できることがわかりました。 そして多くのワムシの仲間たちは、最も濃い濃度の農薬を入れた水槽でのみ 優先できることがわかりました。 言い換えれば、ワムシ類は動物プランクトンの中ではもっとも競争に弱くて、 最も農薬に強いという事です。 しつこいようですけど実験をまとめますね。 最も競争に強いのが、大型ミジンコ>中型ミジンコ>小型ミジンコ>ワムシです。 殺虫剤に弱いのが、大型ミジンコ<中型ミジンコ<小型ミジンコ<ワムシです。 大型種ほど農薬に弱くて、小型種ほど薬剤に強い傾向がみられました。 って事はですよ、つまりはこういう事です。 「競争に強いグループほど、薬剤に弱い」っていう事になります。 農薬っていうのは一種のストレスです。 環境から来るストレスです。 つまり「競争に強いものはストレスに弱い」って事なんですね。 「強いものは弱い話」です。やっと本編のタイトルまで来ました。 競争に強いものはストレスにも強いんじゃないかと思ってしまいがちです。 違うんですね。 もし、競争にも環境ストレスにも強い生物がいたら、 その生物はオールマイティーでたとえどんな環境でも競争に勝ってどこでも その生物が優勢で独占する事になってしまいます。 そうなると多様な生物層は作られなくなってしまって、 世界中の生態系がごく限られた生物だけで構成されることになってしまうって事です。 生物多様性ではない世界です。 「競争に強いものはストレスに弱い」 これね、エネルギーのコストの面からも説明できるんです。 生物というのは種の存続っていうのが重要な仕事です。 次の世代に繋げていかなければなりません。 だからできるだけ子どもを残そうとします。 でも子どもを残す前に死んでしまったら元も子もないんで、 次世代に命を繋ぐまでの間、出来るだけ生き残ろうとします。 そこで色々な作戦を使うんですね。 その作戦が生物の種類ごとに違ってきます。 生きていく場所は快適なほうが何かといいです。 エサが豊富で温度や酸素濃度とかが最適な恵まれた環境は、 他の生物にとっても快適なので、そういう場所は競争が激しい場所という事になります。 そういう人気な場所で勝ち残るにはそれなりの武装をしなければならないって事なんです。 たとえば他の生き物より素早いとか、力が強いとかなどです。 しかもそういう人気スポットには捕食者も集まるので、捕食者対策もしなければなりません。 素早く逃げるとか、食べづらい体になるとかなどです。 そのために手足の筋肉を発達させたり、特別な構造を持つ体を作ったりしなければなりません。 せっかくエサが豊富な場所なのに、取り込んだ栄養を子孫を増やすことだけにエネルギーを 使えないんですね。 これとは逆の選択をした生物がいます。 環境が厳しいから競争が少ない場所で暮らすことにしたものたちです。 たとえば寒すぎたり暑過ぎたり、または有害な物質があっても生きていけれるようなところに エネルギーを使って、競争を避けるっていう選択です。 でもそこで生きていくためには、有害物質に対する耐性をあげるような体の仕組みに エネルギーを使う事になります。 競争が少なくても、得たエネルギーを全部子孫を残すことには使えないんですね。 まぁ、どちらの環境を選んでも、 子孫を残すこと以外にもエネルギーを使わなきゃならないので、 競争にも勝つ、環境のストレスにも勝つっていうオールマイティーになってしまうと、 自分自身が生き残るだけにエネルギーを使ってしまって、 子孫を残すっていう所までエネルギーが回らないんですね。 子孫を残せない生物は絶滅してしまいます。 そんなこんなで、それぞれの生物種は競争の多いところ、捕食者の多いところ、 あるいは他の生物が選ばないような過酷な環境ストレスがある所など、 どれかを選ばなきゃならなくて、選んだ環境に適応していくんです。 するとですね、色々な環境を抱えている地域では、 さまざまな生存戦略を使っている生物がいることになって、 そういう所では生物多様性が高くなるんです。 先ほどの実験に話を戻します。 水槽に湖の泥と水を入れると、 動物プランクトンでは真っ先に最も小さなワムシ類が出てきました。 ワムシの仲間は種類が多いので生物多様性は高くなります。 その後に小型ミジンコたちが現われてますます生物は多様性を増します。 でも大型のカブトミジンコが現われるようになると、 多くの動物プランクトンが競争に負けて姿を消してしまうんです。 水槽の中はカブトミジンコのほかには2〜3種類の動物プランクトンがわずかに出現するくらいで、 生物多様性は一気に低くなります。 ここに、低濃度の農薬を入れると大型のカブトミジンコがいなくなって、 その後、ワムシの仲間や小型ミジンコの仲間が増えて生物多様性が高くなったんです。 一見信じがたいけど、農薬が生物多様性を上げたって事なんですね。 もちろん程度問題です。 こういう考え方を「中規模撹乱仮説」といいます。 あれ?なんだか納得いかない顔をしていますね。 農薬を例にとるから納得いかないのかもしれません。 それでは自然災害を例にしてみましょう。 台風や集中豪雨や洪水などで河川が氾濫したとします。 そうなると人々の生活も大変です。 家屋の浸水や交通網の混乱、亡くなる人もいます。 河川は人の力で制御できない勢いで堤防を決壊させて、 川底の土砂や大きな石までも洗い流します。 (鬼怒川氾濫のニュースのあとに、こんな例をあげて、本当に申し訳ありません) 川が氾濫すると川底に棲んでいる生物たちの世界は、 もう想像を絶する混乱状態になってると思います。 川に棲む生物たちは水に流されないように生きていかなければなりません。 そのために石に張り付くように生きているものや、 石の影など流れの遅いところに生息するものが多いです。 まずは石の上にくっついている藻の仲間。 この藻を食べるカゲロウやカワゲラの幼虫、 水辺の樹木の落ち葉を食べるトビケラの幼虫などがいて、 これらの水性昆虫は魚たちのエサにもなっています。 たとえば千曲川の中流で川が安定している時は、 トビゲラとカゲロウの大型水性昆虫が優先でした。 そこに台風が来て大きな洪水があったあとに調べてみると、 多くの水性昆虫は流されてしまって、全体の個体数は大きく減ってしまいました。 その後、体の小さなユスリカの幼虫が真っ先に回復します。 それからトビケラやカゲロウが回復して、 全体の生物量は洪水前よりも多くなったというんですね。 洪水は、安定した環境につくられていた生態系を撹乱する事になります。 でも回復していく過程で、それまで入り込めなかった生物が 新たに生息場所を確保する事にもなるんですね。 話は大幅に飛びます。 日本は昔から自然災害の多い国です。 雨が降れば河川は決壊し、山崩れは起きます。 そこらじゅう水浸しで家屋は流されていきます。 そして地震も津波も火山の噴火もあるこの列島で、私たちはずっと暮らしてきました。 私たちの祖先はずっと自然災害と戦ってきました。 もちろん恩恵も受けながらです。 でもそういう自然災害のある所で暮らす努力が、 私たち日本人に創意工夫と粘り強さと根気と我慢強さと共同作業の教育の 国民性を作る土台になってるのではないかと思うんです。 そうそうナイル川の定期的な氾濫が、天文学、測量術、幾何学が発達する基礎となった といいます。 洪水のような中規模撹乱は、生物多様性をあげて、 人間には知恵をさずけてくれるそういった要素もあるんだと思います。 強いものは弱い。弱いものは強い。たぶん私たちは弱くて強いんです。    * * * * *  * * * * *         大きな動物が小さな動物を食べる       大きな魚が小さな魚を食べる       目に見える命の繋がり       目に見えない命の繋がりもある       顕微鏡でしか見えないミジンコの世界       見えるだけが世界じゃないよ       カブトミジンコがオナガミジンコを食べて       スカシタマミジンコとゾウミジンコが戦っている       その先にハネウデワムシやカメノコワムシがいる       生態系とか生物多様性とか       たぶん百分の一もわかっていない       すべての生物は人間に関係なく独自に必死に生きています       ここ重要、テストにでるよ   ━■みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「信長の野望とドングリの豊作」 織田信長の領土、尾張名古屋は、木曽川、長良川、揖斐川と日本有数の河川が 領土の真ん中を流れています。 この条件がすべての始まりなんです。 この三大河川が毎年台風で氾濫したんですね。毎年のように洪水です。 平地が多い割には台風被害のない米作に適する土地が少ないって事なんですね。 ですから、産業が米作よりも桑(多年生植物、根が深く台風に耐える)を植え、 蚕を飼って絹織物の生産に力を入れることになりました。 主要産業が繊維産業になるしかなかったんです。 だから信長の領土での税は、絹織物の物納が多かったのです。 信長の政策が若い時から京に向いてたのは、過剰な繊維製品のはけ口を求めたためなんですね。 楽市楽座も同じ発想です。 領土内の繊維製品をいかに安く消費地の京に移送するかを考えた方策だったんです。 米作に向かない領土内の主要産業が繊維に傾いていたという事は、 女子労働への依存が多いという事でもあります。 男でなければという力仕事がそんなにないんですね。 という事は男は比較的自由という事でもあるんです。 ここに信長が、男を兵士として通年雇う事ができたという理由になるんです。 この頃、他の大名の所の兵士は普段は農民でした。 農作業をしなければならない男手を戦争のたびに借り出しています。 これは農民にとって痛手です。 農民にとって痛手という事は領主にとっても痛手です。 領主の国力が落ちるという事でもあります。 信長の所の兵は違います。専門の兵士を手元に置いておけたのです。 男手を取られても養蚕産業は痛手ではなかったんですね。 だからといって、尾張兵が強かったかというとそうではないんです。 尾張の土地は毎年氾濫する土地。 氾濫のたびに測量しなければ誰の土地かわからなくなるような土地なんです。 なにがなんでもこの土地を守るというような米作農家のような土地に対する執着心が 弱いんです。 だから尾張兵はの特徴は、機動力という長所と弱兵だという短所があります。(笑) ここに信長が鉄砲という飛び道具の導入を急いだ理由があります。 そして尾張には「飛び道具は卑怯」と叫ぶ鎌倉武士の伝統もなかったんです。 信長が日本統一直前まで行けたのは「領土内に氾濫する河川が三つもあったから」が そもそもなんですね。 河川氾濫は、生物多様性をあげることもあり、 日本統一のそもそもにもなりうるという話でした。 この話も好きな話なので、河川氾濫を扱うときがあったらこの欄で紹介したいと 暖めていた話なんですけれど、(暖めすぎて出展失念) 鬼怒川氾濫のニュースのあとだと不謹慎になってしまいました。 それでは、洪水関係ない別の話。 今年の春の北海道の知床での話です。 去年の秋にドングリが大豊作だったんです。 ドングリが大豊作だったのでエゾヤチネズミが大繁殖したんですね。 ネズミが増えたからフクロウやキツネの狩りがうまくいって子育てが順調になりました。 ネズミが増えた事は天敵のフクロウやキツネが喜ぶだけではありません。 ハチにも影響を与えます。 北海道の春に真っ先に現れるエゾオオマルハナバチというふわふわの毛に包まれた 縦と横の比率がほとんど同じというまやけに丸っこいハチが、エゾヤチネズミのあけた穴に 巣を作るんです。 これね、すごく大事なんですね。 エゾオオマルハナバチは自分では穴をあけません。 エゾヤチネズミがあけた穴に巣を作るんです。 セイヨウマルハナバチという外来種のハナバチがいます。 トマトの受粉用に輸入したものがハウスから逃げ出して野生化したものです。 このセイヨウがエゾマルの巣を乗っ取って追い出すって事をするんです。 おされ気味のエゾマル君にとってはエゾヤチネズミのあけた穴が増えるのはとても助かるんです。 マルハナバチの仲間は北海道のまだ寒い春にも真っ先に活動します。 このマルハナバチをあてにして咲く花があります。 セイヨウが増えると何故ダメなのか。 セイヨウもマルハナバチなんだから良いんじゃないか。と思うかもしれないけれど これ、ダメなんですね。 セイヨウはマルハナバチの中では比較的舌が短いため、深い花では舌が届かないんです。 っていう事は蜜を吸うことができないんで、彼らは花の外側に穴をあけて蜜を盗む「盗蜜」って いう行動をするんです。 盗蜜では花粉はまったく運ばれません。 そう、植物にとっては何の利益にもならないんです。 セイヨウが在来のマルハナバチを駆逐してしまった場合、 それまで舌の長い在来のマルハナバチに花粉を運んでもらっていた植物たちが 種子を生産できなくなってしまうんですね。 たとえば春一番に咲くサクラソウ。 ドングリ豊作がサクラソウの存在に繋がるんですね。 セイヨウは高い競争能力で、日本にもとから住んでいたマルハナバチたちを 駆逐してしまう可能性があるんです。 だからエゾヤチネズミがあけた穴が多い年は、 エゾオオマルハナバチたちには嬉しいことなんです。 ドングリ大豊作がそもそもなんですね。 なんでマルハナバチと河川氾濫の信長の全国統一が抱き合わせで紹介かって? 「そもそも話」なんですよ。 ひとつの原因が遠因にあって巡り巡って「そこに至るのか!」っていう話でした。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★メイン記事の「強いものは弱いの話」。  これねぇ、放送が9月7日でね、ラジオ山猫通信が満6周年記念で  次からは7年目に入るっていう記念の放送なんだけど、  実際の放送を聞いてビックリしました。  ミジンコミジンコと連呼していて何を言ってるか、  聞き手にはとても判りづらいんです。  やまねこ通信っていうのは、読み物であって、話し聞かせる性質のものではないっていう  のを如実に現した回になってしまったと、久しぶりにやってしまった感、満載でした。  (これまでも時々あった。ナマケモノの回とか、縄文の回とか、他にも…。)  ミジンコミジンコと連呼していて、放送聞いてる途中トイレに行って帰ってきても  まだミジンコミジンコと連呼していて、  「酷い」を通り越して「凄い」って笑ってしまいました。  ラジオでミジンコミジンコと連呼する人生を送ることになるとは。(笑)  この回は、中規模撹乱仮説っていう話をしたかったんです。  でもそれがうまくいっていないししかもタイミングも悪いという回になってしまいました。 ★やまねこ通信の217号「健気な外来動物の話」、221号「シナントロープの話」、  224号「食う食われるの話」、227号「保護の罪の話」、そして今号「強いものは弱いの話」  これみんな同じテーマなんです。環境と生態系の話なんですね。続き物だったんです。  今号をもってこのシリーズはおしまい。  続けて書くとしつこいし読む人が飽きるでしょ。  だから間にペンギンやらトマトやら地震やらナキウサギを入れたんです。  次回はネッシーです。 ★ラジオ山猫通信がリアルタイムで、  パソコン、スマートフォンから聴けるようになりました!  http://www.radiokaros.com/simulradio/  ↑ここがカロスのサイトの「インターネット放送聴取方法」のページです。  パソコンからスマートフォンから、カロスの放送を聞く方法が載っています。  http://www.simulradio.jp/  ↑ここがサイマルラジオのサイトです。  ここから全国のコミュニティーラジオが聞けるようになっています。    このサイトを開いたらちょっとスクロールすると「北海道」という場所があって  その下の方に「ラジオカロスサッポロ」という場所があります。  そこの「放送を聴く」をクリックするとメディアプレイヤーが立ち上がって、  リアルタイムに放送を聴くことが出来ます。  サイマルラジオは数分時間がズレて聞こえることがよくあります。  ラジオ山猫通信は、第一月曜日と第三月曜日の19:00〜19:30です。  明日の月曜日19:00に「強いものは弱いの話」が  リアルタイムで聞くことができます。  バックナンバーは、「やまねこ通信 E=MC二乗」のサイトの「ラジオ山猫通信」の  場所から、いつでも好きな回のお話を聴くことが出来ます。   ★今回のこの「強いものは弱いの話」は、  ネットでいつでも好きな時に聞くことができます。  http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm  ここの右側「ラジオ山猫通信」をクリックしてスクロールして  「ペンギンが友達になるまでの話」をクリックすると聞けます。  すぐに聞けない人は、じっと待ってみて。きっと聞けます。  http://crashlanding.under.jp/rajiyama0907.mp3  直接URLはここです。  今回の文は、おおむねラジオ原稿そのままです。  ラジオ用原稿をメルマガ用に書き換えているけどね。 ★vol.231の参考にした本、サイト、ラジオ番組     自然はそんなにヤワじゃない 著/花里孝幸  新潮選書         マルハナバチたちに迫る危機?外来種・セイヨウオオマルハナバチの侵入・定着     http://www.seiyoubusters.com/seiyou/coneco/seiyou1.html     NHKラジオ 朝の7時台の放送。知床ネイチャーセンターの話。(2015/5/25) ★予告です。 9月21日放送「ネス湖とネッシーの話」  (ネットにUP予定は10月4日)(収録終わった) 10月5日放送「キツネに化かされない日本人の話」  (ネットにUP予定は10月18日)(書き終わった)         10月19日放送「昆虫界のジキルとハイド バッタの話」  (ネットにUP予定は11月2日)(書き終わった) 11月2日放送「魚とヘビの左右の話」  (ネットにUP予定は11月15日)(書き終わった) 11月16日放送「これからの宇宙開発の話」  (ネットにUP予定は12月6日)(書き終わった) ★ラジオ放送が月二回隔週であります。  最初はメルマガを元に原稿を書いてたけど、  今は、書き下ろし原稿です。  それをメルマガに転用するという逆転現象が  最近のメルマガ版「やまねこ通信 E=MC二乗」であります。 ★どうぞお時間のある時に「ラジオ山猫通信」も聞いてみてください。  2009年9月から始まった「ラジオ山猫通信」  どこまで続くんだ?  ここまで来たらいける所まで行ってしまえ!  最近は、トチらずスラスラよどみなくしゃべっているように聞こえます。  慣れてきたのです! ウソです。(笑)  編集で直して貰っているんです。 そのためずいぶん聞きやすくなっています。  決して私のしゃべりが上達したのではありません。  編集がうまくなったのです!(キッパリ) ★私はいつも「やまねこ通信 E=MC二乗」の事が頭の隅にあります。  次回テーマは何にしようかと常に思っています。  「やまねこ通信 E=MC二乗」は、私みかりんを構成している大事な要素です。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹     ★彡★彡★彡★彡★彡『蟹屋 山猫屋』★彡★彡★彡★彡★彡 生まれも育ちも北海道育の“みかりん”が、北海道の味覚を全国の方に広めるために 『蟹屋 山猫屋』を立ち上げました。一級品の道産品をお手ごろ価格でネット販売! 読み物としても楽しめるものを目指しているよ。    登録はここ→ http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/kani/   山猫屋の蟹は冷凍ガニではありません。ボイルしたてを食卓に直送! 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹    ↑↑↑  私、みかりんのもうひとつのメールマガジン。  北の味覚。海産物。蟹おいしいよ〜。海水ウニもありますよー。  予算はこれくらい。食べる人数はこれくらい。と教えてくれたら、その中で  できる限りのご提案をします!山猫屋の蟹は冷凍物は扱っておりません!  さぁ、タラバ食べたいよう、毛ガニ食べたいようのメールをみかりんに書こう。  毛蟹の良いのが入荷してきています。  北の食材たちは脂が乗っておいしいです。  この機会に、どうぞ冷凍ではない蟹を!  ご贈答に、山猫屋の海産物を。 それじゃ、今回はここまで。 あなたのお便り待ってます。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 庭の一角におびただしい数の明るい灰色の鳥の羽が多数落ちているのを発見。 本体なし。事件の匂い。 ここで狩りがあった? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○ やまねこ通信E=MC二乗 vol.231  2015年9月20日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さには  まったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。  それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━