2016/7/21━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.244 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 夏は暑いです。(北海道はたいしたことないけどね) なぜ夏が暑いかというと、地球が傾いて太陽のまわりを回っているからです。 太陽は熱いんですね。 地球も地熱があります。内部は熱いんです。 熱って、放熱していくとそのうち冷えてしまいます。 熱はどこにいったかというと、まわりの空気や水を温めたりして広まっていきます。 このあたりを突き詰めて考えていって 「生命ってなんなの?なんでいるの?」という疑問に ある程度の答えを出している本が手元にあります。 「世界をやりなおしても 生命は生まれるか?」著/長沼 毅 朝日出版社 この本はとても面白くて、やまねこ通信を書くにあたって過去に何度か参考にしました。 で、この本の最後の章「生命は宇宙の死を早めるか?」という所を やまねこ風味で説明してみようと試みたのが今号です。 うまく説明できるでしょうか。 ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm 「ラジオ山猫通信」も、ここから聞くことができます。↑ ━■エントロピーと生命の話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ どういう理由かはわからないけれど、この宇宙には色々なものの高低差を平らにしようと する原理が働いています。 たとえば、香水の瓶のふたを開けておくと、部屋に香水の香りが広がっていきます。 香水は広がって薄まって部屋中に満ちて、香水の密度は薄まってやがて均一になります。 ひとたび部屋に広がると、もう元には戻りません。 水の中に落とした1滴のインクも同じイメージですね。 広がって薄まって均一になる。 高い所にあるものは落ちて、低いところに溜まって高低差をなくす方向に行く原理が働きます。 熱いお湯も放っておけば冷めていきます。 熱の高低差をなくすって方向にいっています。 粗密、位置の高低、温度の高低、いろいろなものが均一になろうとする力がこの宇宙の原理に あるだなと感じます。 この世界は「時間とともに『秩序から無秩序へ』という方向に進む」という事で、 これをエントロピー増大の法則といいます。 エントロピーの増大っていうのは、乱雑になって、その結果無秩序になって、 そうして偏りをなくすっていう方向に動くっていう解釈です。 0度の水が入ったビーカーを、100度のお湯で湯煎したとします。 時間が経つとビーカーの水は50度に、100度のお湯も50度になります。 湯煎して熱が移動して50度と50度で平衡になったんです。 この状態で放っておいても、再び0度と100度に戻ることはありません。 0度と100度に保たせたかったら、エネルギーを投入しなければなりません。 冷たいものは冷たいままに、暖かいものは暖かいままに。 冷蔵庫など電気エネルギーや、ガスで温度を上げるなど 何らかのエネルギーの力を使うしかありません。 ちょっと比喩的な例になるんだけれど、自分の部屋を考えてみて。 何もしなければ何も起きないんだけど、自分という個体がエネルギーを使って勉強したり、 友人をよんだり、趣味などで過ごすと部屋は乱雑になります。 物を、もとあった場所に置くという強い意志が必要だし、汚れたものは洗ったり、 ゴミ捨てもしなければなりませんし、掃除もしなければどんどん汚れます。 乱雑にした時よりも大きなエネルギーを投入しないと部屋は片付かないんです。 乱雑さは増していきます。エントロピーは増大していくんです。 次に電気エネルギーでエントロピーを考えていきましょう。 電気エネルギーといえば発電です。  水力、火力、原子力や風力などが真っ先に思い浮かびます。 水力発電。 水は高い所から低い所に流れます。この高低差を利用して水を落として羽根車(タービン)を 回すことで電気を生み出しています。 高い所にある物質は、潜在的に「重力的位置エネルギー」っていうのを持っているんですね。 水力発電っていうのは、高低差を使って水を落として水の流れを「平ら」になる力を 利用しています。 エントロピーは増大しながら、その途中でタービンを回すことによって 電気エネルギーが発生しています。 火力発電は、石油や石炭や天然ガスを燃やして水を蒸発させて、水蒸気の流れる力で タービンを回して電力を得ています。この時、二酸化炭素が発生します。 燃やす石炭や石油は潜在的に持っているエネルギーが高くて、二酸化炭素は低いんです。 水力発電は、「重力的位置エネルギー」の高低差を利用したもので、 火力発電は、「化学的位置エネルギー」の高低差を利用したものです。 位置エネルギーっていうのは、英語でPotential energyっていうんだけど 日本語で「潜在的エネルギー」って訳してみたんだけど、 もっと現代若者風に訳すと「秘められた能力」かな。(笑) 火力発電は、石炭石油という高い化学的位置エネルギーから、 二酸化炭素という低い化学的位置エネルギーに向う流れを利用しているんです。 エネルギーは流れて「平ら」にしているんです。 水力発電は、高い所にあるというだけで秘められたエネルギーを持っていて 落とすことで潜在的エネルギーが顕著化しているんです。 だから、火を燃やすことと水を落とすことは、高い所から低い所へ移動しているという意味で 同じことなんです。 資源とは、「秘められた高いエネルギー」を持っているもので、 それが失われたらエネルギー的に廃棄物になるんですね。 原子力発電も、原子核がそもそも持っている、秘められたエネルギーを取り出す反応です。 話は生物に移ります。 私たち生物はどんな潜在的エネルギーを持っているんでしょう。 重力的位置エネルギー?な訳ないよね。(笑) 生物が持っているのは、細胞の呼吸とか光合成とかの化学エネルギーです。 人間が燃やすのは、たとえば炭水化物、デンプンやブドウ糖などです。 こういう栄養素を酸素で燃やして、二酸化炭素と水として捨ててつつ エネルギーを生み出しています。 どれも高い化学的位置エネルギーを持っています。 で、それらはどこから来たかというと、もともとは太陽の光からです。 植物は太陽のエネルギーを受けて、エネルギー的には低い二酸化炭素を、 デンプンやブドウ糖という高いエネルギーに変えます。これが光合成だね。 光合成っていうのはエネルギー的に低い位置にあるものを、 ヨイショって高い所に持ち上げるようなことなんだね。 逆に、高い所にあるデンプンやブドウ糖を低い所に降ろす(燃やす)のが私たちの呼吸です。 もうひとつ例をあげます。 太陽のエネルギーで海が温められると、水蒸気が上昇して雲になって雨になって降ってきて ダムに溜まります。 重力的位置エネルギーで言えば、太陽の光で水蒸気がぐぐぐーって持ち上げられて高い所に 集めて、低い所に落としてエネルギーを得るのが水力発電です。 それではまたエントロピーの話に戻ります。 デンプンやブドウ糖が二酸化炭素になるっていうのは、 エントロピーが増えてる?減ってる? これは、増えてるんだね。 呼吸によって1個のブドウ糖分子から二酸化炭素分子は6個出るんです。 散らかしちゃってるんです。 ひとつにまとまった高いエネルギーが分散して低いものになってるんです。 コップの水にインク一滴落とすと薄まって広がる感じ。 二酸化炭素はゴミなんで、ゴミが増えるっていうのはエントロピーが増えるって事なんですね。 部屋が散らかるたとえと似てるんです。 地球レベルで考えても、エントロピーは増大する一方です。 でもね、太陽の光のエネルギーが入ってくるので、 エントロピーが大きくなりっぱなしにならずに済んでいるんです。 太陽光によって水蒸気は空に上がって雨となって地表の高い所に貯水池ができる。 植物は光合成によって、エネルギー的に低い二酸化炭素から、デンプンやブドウ糖を作る。 太陽があるから地球はなんとかエネルギー的に平らな終末世界にならずにいられているんです。 部屋に住んでいて同じ環境を維持したかったら、トイレやお風呂場などの掃除や ゴミ出し、物を定位置に戻すなど、散らかした以上のエネルギーを使います。 地球環境が終末期にならないで済んでいるのは、 部屋を綺麗な状態に維持し続けるエネルギーを、太陽がやってくれているようなものです。 もし、太陽のエネルギーが地球に来なかったら、あとは湧いてくる地熱や火山などの 地球そのもののエネルギーだけになります。 比べると太陽からのエネルギーの方が2万倍も大きいんです。 さて。 ここまで考えると、宇宙は全体的にはエントロピーが増えていって、 乱雑で平らな世界に向かってまっしぐらなんだけど、 太陽の影響がある地球みたいな局所的な部分では、 エントロピーの増大が押さえられていると考えることができます。 太陽のおかげで地球は平らな世界にならずに済んでいるんです。 だとしたら太陽って何なんだろう。 宇宙が目指す所への動いているけど、反逆者的な位置付け? 乱雑で平らになろうとする宇宙の思惑とは裏腹に 太陽は秩序を作っているんです。どうしてなんだろう。 ここから生命って何だろうってテーマになっていきます。 川の流れをよく見ていると、所どころに渦巻きがあります。 渦巻きってのは構造体だよね。乱雑じゃなくて秩序を持っています。 渦巻きは高低差のある水の流れがある所で出来ます。 渦巻きを作っている水の分子は、刻一刻と出入りして、入れ替わっています。 入れ替わっているけど、渦というパターンは残っています。 水の渦巻きは何年も残らないけど、木星にある巨大な赤い斑点、あれも気流でできた 渦巻きで、350年前に発見されてからずっとあります。 大気も気圧の高い所から低い所へ流れます。ここでも高低差があるんですね。 その高低差の過程で渦巻きができて、気体の分子も刻一刻と入れ替わるけれど、 パターンは残っています。 これって、代謝に似てるよね。 やまねこ通信vol.168のメイン記事で「動的平衡」の話をしました。 ちょっと引用してみましょう。 >ネズミは、ネズミの形をしているけれど、 >体そのものはゆるく分子が集まっている枠組みというイメージです。 >こういう外の世界の分子が出たり入ったりでバランスを取っていて、 >ホントは絶えず動いているんだけど、そこにしっかりと止まっているように >みえるような状態を「動的平衡」っていうんですね。 >この場合の平衡はバランスという意味です。  >絶えず流れて動きながらも、バランスを取っているということです。 >私たちの体は、半年も経てば原子はすっかり入れ替わっているんです。 >生き物の細胞は、 >折角取り込んだ材料でタンパク質を作り出すことよりも、 >体を作っているタンパク質を壊すことにエネルギーを使っているんです。 >タンパク質が酸化したり変質したりで使い物にならなくなったから、 >壊しているんじゃなくて、出来た端から良いも悪いもどんどん壊しているんです。 >一生懸命壊すのは、壊さないと新しいものが作れないからなんです。 >どうもね、生命というものは絶えず変わっていくことで、変わらないでいられるものなんですね。 渦巻きって、絶えず入れ替わっている生物の新陳代謝に似ています。 ここで「散逸構造」って言葉を紹介します。 Wikipediaの言葉で紹介すると、  散逸構造とは、熱力学的に平衡でない状態にある開放系構造を指す。  エネルギーが散逸していく流れの中に自己組織化のもと発生する、定常的な構造である。 う〜ん。これじゃ何言ってるかわからないよね。 今、私が参考にしている「世界をやりなおしても 生命は生まれるか?」という本には 「生命とは(非平衡解放系における)散逸構造である」と書いています。 はっはっは〜。ますますわかりづらくなっちゃったよね。 さぁ、頑張って説明するぞ。 まず「散逸」っていうのは一般でいうと 「まとまっていた資料がバラバラになって、行方がわからなくなること」です。 物理学でいう「散逸」もそれと同じで、高品位のエネルギーが低品位のエネルギーに なって失われることです。 具体的には、熱以外のエネルギーが熱になって逃げる事って考えても大丈夫です。 熱の逃げ方、伝わり方には、放射、伝導、対流の3つがあります。 放射は光が熱を伝える事だから、ここでは省いて、伝導と対流について。 ビーカーに水が入ってて下から熱をくわえるとします。 まず最初、熱は、じわぁっと伝導で伝わっていって、お湯が熱くなると対流が起きます。 対流は、温度の高低差をなくして平らになるために、熱を早く捨てるための仕組みです。 普通に想像すると、ビーカーの中の水は底から上へ中心を通って上がって広がり、 ビーカー壁面を伝って底へという対流が起きます。 これは1個の噴水的な対流です。 でね、ビーカーの直径や水の深さや加える熱量などの条件が揃えば、 ビーカーの中にこうした泉がたくさんできることがあるんです。 こういうのを「ベナール対流」って言います。 また新しい言葉が出てきちゃったね。 でも、頑張って付いてきて。 「散逸構造」と「ベナール対流」。 この言葉と友達になった先に、「あー、そういう事?そういう考えってあり?」っていう 世界が開けるから。もう少しだから。 噴水型の対流は泉が1個なんだけど、ベナール対流はマルチ泉型になるのね。たくさんあるの。 ベナール対流を上から見ると、複数の泉が隣り合っています。 そしてそれぞれの泉は六角形構造になってるのね。 六角形になりそこねたのもあるけど概ね六角形なんです。 蜂の巣も六角形だね。自然界では6ってマジックナンバーなんだね。 ベナール対流の泉は上から見ると六角形なんだけど、本当は六角柱です。 普通の対流はビーカーの壁面を伝って底に行くけど、 ベナール対流では、それぞれ個々の六角柱の壁面を伝って底に行きます。 すごいよね。ただお湯を沸かしてるだけなのに、自然に構造が出来ちゃうのね。 高低差がある所で水が流れているだけなのに、渦という構造ができるのと似てるんです。 高い空に出る「うろこ雲(巻積雲)」は、空気のベナール対流を下から見上げたものなんです。 風のせいでなかなか綺麗な六角形には見えないけれどね。 https://goo.gl/GgVx3I ここにベナール対流の画像がたくさんあります。 お味噌汁の対流とかウロコ雲とかね。 あぁ、こういう事かぁって、腑に落ちるから見てみて。 で、このベナール対流こそ散逸構造の典型的な例なんです。 ベナール対流の六角柱の構造がある場合と、ない場合(ランダムに水が湧き上がる場合)では、 どっちが早く熱エネルギーを捨てることができるのか?って事なんです。 または、どっちが早くエントロピーが増大するんだろう?って事です。 答えは、散逸構造があったほうです。 たとえば、水がボコボコと無秩序に湧き上がる乱流状態よりは、秩序の整った対流が あった方が早く熱が捨てられるんですね。 乱流でも対流でも、水分子が動く早さは同じなんだけど、 液面に到達するのは対流の方が早いんです。 乱流だとあちこち動き回って移動距離が長くなるし、対流は最短コースで水分子が動くからね。 でね、散逸構造っていうのは秩序だよね。 構造や秩序というのは、エントロピーの増大に反するよね。 薄まってないんだから。集まって秩序を作っているんだから。 エントロピーっていうのは、乱雑さや無秩序の指標だからね。 散逸構造はたしかにエントロピーの増大と逆向きなんだけど、でもね、もっと大きい視点、 散逸構造を取り巻く環境も含めて全体として見れば、熱はさっさと捨てられているんだよ。                               ↑                            ここ、大事。 散逸構造ができると。全体的に見るとエントロピーはさっさと増大するけれど、 局所的に減少しているんだよね。 宇宙をとりまく原理は、エントロピーの増大です。 理由はわからないけれど、宇宙は乱雑さが増して無秩序になって、やがて平らになっていく。 しかも宇宙からすればそれは、さっさと進んだほうがいいらしい。 それを実現するために場合によっては、局所的に秩序を作って、全体的にはさっさと平らに なる事を目指すっていうことなんだね。 ここまで忍耐強く読んでくれたあなた。頑張りました。 ここからです。私が驚愕したのは。 本にはあっさりとこう書かれていました。  われわれ人間もパターンであり、渦巻きだから。  われわれはベナール対流の六角形構造の1個1個なんだ。  太陽の光エネルギーを利用して、植物はデンプンやブドウ糖を作る。  われわれはそれを呼吸という形で燃焼して、活動に必要なエネルギーを得る。  でも人間が食べた食物のほとんどが、自分の体にならずに排泄されるか、  あるいは熱や二酸化炭素として放散されるでしょ。  われわれは結局、発熱機関というよりも、熱を捨てる放熱機関なんだ。  われわれがいないより、いたほうが、熱は、さっさと捨てられるんだよ。  生命というのは、自らは小さなパターンを作りつつ、大局的には宇宙全体を熱的に  平らにするために存在する。  散逸構造を知った今、そんなふうに生命を捉えることが可能になる。 この11行の文章↑に、非常にビックリしたので、この驚きを説明したくて不得意分野の 物理系の説明を長々としたのです。 もうちょっと話を続けるね。 太陽の表面温度は6000度もあってとても熱いんだけど、 宇宙空間はマイナス270度でとても寒いんです。 で、この先、ずうううううっっと時間が経つと、やがて熱的に平らになってしまう時がきます。 この状態を「熱的死(ねつてきし)」とよびます。 宇宙の熱的死は、宇宙全体のエントロピーが最大になる、宇宙の最終状態として 考えられるんだけど、そこには太陽のように極端に熱い場所はないんです。 どこに行っても同じ温度なんですね。 冷たいかどうかは関係なくて、何度であっても構わないんだけど、 温度の高低が存在しない状態。 平らな宇宙の熱的死。そこに向かって宇宙は進んでいるんです。 それに加担しているのが散逸構造を持った生命なんです。 生命っていうのは、宇宙の死を早めるために存在してる? この宇宙はどうしてそんな生命が存在してるんだろう。 渦巻きやベナール対流みたいな、ただの散逸構造と、生命の違いは何だろう。 それは「生命というのは自己増殖する散逸構造」だという事なんです。 現在、私たち人類は、血眼になって地球外生命の発見にいそしんでいます。 生命がいそうな星は、エネルギーの高低がありそうな星です。 理由はわからないけれど、直感的にそう感じます。 エネルギーの高低があるってことはそれを平らにするための生物がいるって事なのかな。 私たちは、宇宙の子。 そして地球をさっさと冷やすために(?)生まれてきて、命を繋いできた者。(なの?) エキサイティングな思考の旅でした。 ━■みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「アボカドとナマケモノの話」 ネットをうろうろしていたら、面白い話を見つけました。 割と好きな話だったんでメイン記事にと思って色々調べようとしたんだけれど あまりに昔すぎて、証拠もなくて、話が広がらなくて、真偽の程も今ひとつだったんで このコーナーでの紹介にしました。 私の子どものの頃にはなかったフルーツや野菜が、今ではどこのスーパーにも並んでいます。 そのひとつにアボカドがあります。 正式には「アボカド」だからね。「アボガド」って「ガ」になってしまうことがあるけど。 アボカドは、ねっとりとしていて濃厚で、フルーツっていうよりも油っていうかバターの 仲間みたいな感じです。 でもれっきとしたフルーツの仲間です。 カルフォルニアロールとかサラダとか、今ではアボカドを使った料理も以前ほど珍しい ものではなくなってきました。 (お、グローバル化だ。エントロピー増大か?←今、メイン記事書いたばかりで、  アボカドをみてもエントロピー増大に思える脳になってる。(笑)) アボカドの特徴のひとつに、その大きなタネがあります。 小さなタネをたくさんっていう作戦の植物とは真逆の作戦です。 だいたい握りコブシ大の果実に対して、ピンポン玉くらい?もうちょっと大きい?っていう タネが中央に鎮座しています。 邪魔です。(笑) 現在でこそアボカドは人間に栽培されていますけれど、こんな大きなタネを持つ植物の 散布者はどんな動物だったんでしょう。 タネは動物に飲み込まれ、糞と共に出される事で遠くに運ばれそこで芽吹きます。 誰かが飲み込んで運んでくれない限りは分布域が広がっていかないのです。 鳥たちは…飲み込めません。 動物たちも飲み込める大きさではないんです。 数万年前、この頃さまざまな巨大動物類がアメリカ大陸に棲んでいました。 北部ではケナガマンモスがいました。 赤道近くの暖かい森林には、身長5m、重さ3トンもの地上性のオオナマケモノがいました。 車ほどの大きさのアルマジロも生息していました。 この頃の巨大なナマケモノやアルマジロが食べていたのが、 大きなタネを持つアボカドじゃないかという話です。 巨大動物たちの消化器官を通してアボカドの硬い皮は分解されて、 高エネルギーの果肉は消化吸収されました。 種は、苦くて毒性があるために噛み砕かれることなく、消化されないまま排出されていました。 アボカドの木は巨大動物によってアメリカの森林のあちこちに種を撒き散らすことができました。 糞と一緒の散布だったので肥料付きです。   アボカドは、種をどんどん巨大化させていきました。 種が大きくなれば「幼木栽培キット」としての種の栄養内容も充実したものになります。 アボカドの戦略は、タネを大きくする事で、エネルギー源を日光だけに頼ってしまわず、 種にある栄養で光合成に必要なエネルギーを補うことです。 だけど約13,000年前、巨大動物たちは大量絶滅してしまいました。 原因は気候変動かもしれませんし、よくわかりません。 でも、原因のひとつにもしかしたら人間の存在がいた可能性はあります。 ちょうどこの頃、アメリカ大陸全土に人間が住むようになったんです。 人間は巨大動物たちとは違うやり方でアボカドを栽培して増やすという事をし始めました。 アボカドは絶滅を免れて、数を増やすことになりました。 vol.241のやまねこ通信のメイン記事で「2億年のイチョウの話」を紹介しました。 イチョウも古い歴史を持つ植物で、散布者が絶滅してイチョウもほぼ絶滅していたような 植物だったんですけれど、人間と出逢って今では全世界に進出しています。 多くの植物は、約束した生き物がいます。 昆虫だったり、鳥だったり、草食獣だったり。 約束した相方が絶滅したら、運命を共にするか、または新たな出逢いに賭けるしかありません。 たまに「人間と出逢えて良かった」って思う植物がいるんですね。 アボカド的には、以前のように巨大動物と再び出逢えることを夢見ているかもしれないけれど。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★メイン記事の参考にした「世界をやりなおしても 生命は生まれるか?」著/長沼 毅  この本、10人の高校生と著者の対話で進んでいきます。  だから難解な内容もわかりやすいので超オススメ本です。  驚くのは10人の高校生の聡明なこと! ★ただでさえ、ややこしいのでメイン記事では書かなかったことをここで。 ビーカーに入った100度のお湯と、それを湯煎する0度の水。。 50度と50度で平衡した時、もしかしたら何かのはずみで50.1度と49.9度という小さな 偏りが起きるかもしれません。 こういうのを「ゆらぎ」と言います。 50.1度と49.9度では「熱ゆらぎ」は起きなくても、50.0001度と49.9999度というくらいの 小さな偏りなら起きるかもしれません。 で、遺伝子のゲノムってあるよね、ATGCの4種類の文字からなる文字列。 このゲノムが「熱的ゆらぎ」みたいな事で突然変異がおきると、自然選択で集団全体の ゲノムのは元の文字列に戻ってしまいます。 エントロピー的には偏りがない平らな状態だね。 エントロピーの増大原理ってのは、大きな偏りを起こさせない原理という事でもあるから 突然変異の淘汰っていうのはこの範疇だなと思うんです。 でも、たまたま「熱的ゆらぎ」みたいな漢字で強い変異体が生まれたとき、 普段なら弱いんだけど新しい環境条件では強い変異体が有利な事もあるんだろうな。 なんて事も本に書いてあって、なるほどなぁと思ったんです。 ★それとエントロピー増大っていうのが、偏りをなくす、平坦になるっていう意味だと知って 人間社会にも当てはまるなぁと思いました。 今、NHKの大河ドラマ「真田丸」にはまって毎回熱心に見てるんですけれど、 独自の領土を持っていた地方の豪族が、争ったり協力したりで統一されていきます。 すると平均化していくんですね。 たとえば言葉。地方で独立していた時は 生活範囲が狭かったんでその地方の言葉だけで通じてれば事足りた。 でも統一されたら言葉が通じないはずなんです。 秀吉が北条氏を滅ぼし、その後、矛先を明に向けます。 その前線基地を肥前(佐賀県)の名護屋城にし、そこに全国の大名を集めてそこから 順次、海を渡らせます。 ドラマでは各地の大名たちが普通に会話しているけれど、そんなはずはない!と思って 見てました。 幕末の頃の志士たちも、言葉が通じなくて難儀しています。 ましてや400年前の戦国武将たちです。言葉は通じていなかったと思います。 でも文書のやりとりはできているんですね。 文章は訛っていないんですね。(笑) 世界史をみると、どんどんグローバル化していっています。 ネットが普及して人間社会はグローバル化に拍車がかかっています。 これも、エントロピー増大の原理が働いているのかぁと思ったりしています。 ★vol.244の参考にした本とサイト     世界をやりなおしても 生命は生まれるか?   著/長沼 毅  朝日出版社     アボカドとメガファウナ     http://d.hatena.ne.jp/naturalist2008/20100420/1271735221       実は絶滅寸前だった アボカドの巨大すぎる種に込められた秘密     http://logmi.jp/143951 ★ラジオ山猫通信の過去の放送 (2010年1月4日第9回放送〜2015年12月22日第152回放送)が、  パソコン、スマートフォンから聴けます。  http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm  ↑ここの右側「ラジオ山猫通信」って所をクリックしたら聴けます。  1回〜8回の放送分は聴けません。  あまりにしゃべりがヘタ過ぎて、音源を貰えなかったんです。  後半になるにつれてどんどんしゃべりが上手になっているように聴こえます。  でも、それは編集がどんどんうまくなってきているんですね。(笑)  語るテーマによっては、とてもしつこくて何言ってるかわからないものもあります。(笑)  やまねこ通信ってのは読み物であって語るものではないんだなと思い知りましたよ。  でもラジオでしかやれない事もいろいろ挑戦しました。  どうぞお時間のある時に聞いてみてください。  そして過去のメルマガ版もどうぞ読んでみてください。   ★私はいつも「やまねこ通信 E=MC二乗」の事が頭の隅にあります。  次回テーマは何にしようかと常に思っています。  「やまねこ通信 E=MC二乗」は、私みかりんを構成している大事な要素です。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹     ★彡★彡★彡★彡★彡『蟹屋 山猫屋』★彡★彡★彡★彡★彡 生まれも育ちも北海道育の“みかりん”が、北海道の味覚を全国の方に広めるために 『蟹屋 山猫屋』を立ち上げました。一級品の道産品をお手ごろ価格でネット販売! 読み物としても楽しめるものを目指しているよ。    登録はここ→ http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/kani/   山猫屋の蟹は冷凍ガニではありません。ボイルしたてを食卓に直送! 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹    ↑↑↑  私、みかりんのもうひとつのメールマガジン。  北の味覚。海産物。蟹おいしいよ〜。海水ウニもありますよー。  予算はこれくらい。食べる人数はこれくらい。と教えてくれたら、その中で  できる限りのご提案をします!山猫屋の蟹は冷凍物は扱っておりません!  さぁ、タラバ食べたいよう、毛ガニ食べたいようのメールをみかりんに書こう。  毛蟹の良いのが入荷してきています。  北の食材たちは脂が乗っておいしいです。  この機会に、どうぞ冷凍ではない蟹を!  ご贈答に、山猫屋の海産物を。 それじゃ、今回はここまで。 あなたのお便り待ってます。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ネットで見つけた私好みの矛盾言葉。 「謙虚さを誇る」 (笑) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○ やまねこ通信E=MC二乗 vol.244  2016年7月21日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さには  まったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。  それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━