2017/11/26━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.251 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 今日のメイン記事は「小麦と稲の人類家畜化計画の話」というタイトルを つけてみました。 この話は「サピエンス全史」上巻の本に載っていた話で すごく面白かったんです。 半年位前に買った本で、是非やまねこで紹介したいと思っていました。 でもね、まとめるのが難しくてこの本からvol.248で 「動物の分布から、南北米大陸文明がスペインに滅ぼされる理由を考察する話」 としてまとめました。 で、気を取り直して「小麦と稲の策略」の話として今回まとめてみました。 ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm 「ラジオ山猫通信」も、ここから聞くことができます。↑ ━■小麦と稲の人類家畜化計画の話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 人類は長い長い時間を(250万年とか300万年とか)狩猟採取生活で暮らしていました。 植物を採取して動物を狩るという生活です。 これはホモ・サピエンスだけじゃなく、ホモ・エレクトスやネアンデルタール人もです。 で、この狩猟採取生活っていうのは案外安定していた生活だったのです。 食べるものは多岐に渡っていました。 たとえば日本の縄文時代を例にすると、 あらゆる植物、イチジク、クリ、クルミ、トチ、クズ、ワラビ、ヤマノイモ、 ウバユリなどなど。 木の芽、山菜など食べられる植物はほとんど無限にあります。 あらゆる魚介、ハマグリ、アサリ、カキ、シジミ、河川でのサケ、マス。 内湾性のスズキ、ボラ、クロダイや、イワシやサバなどの小魚や、 外洋性のマグロ、サワラ、シイラ、サメ、サンマ、アジなどなど。 漁労は魚網によるものもあります。 そして獣たち。 イノシシ、シカ、カモシカ、クマ、タヌキ、アナグマ、ウサギなど。 アザラシ、トド、オットウセイなどの海獣類。 鳥類は、キジ、カモ、ガン、ツルなど。 ドングリなど堅果類のデンプンをこねて灰の中で焼いた縄文クッキーも出土しています。 たぶん鍋料理のようなものも食べていたと思われます。 狩猟採取生活って結構豊かなんですね。 それは食べ物に関してだけじゃなく、余暇もかなり多かったと考えられています。 たとえば平均3〜4時間働けば、あとは自由時間みたいな。 狩りは3日に一度。 狩猟でも漁労でも採取でも、食べ物はだいたいが保存が効かないので、 多く採る意味がないんですね。 多く取れたらみんなで分けます。 有り余る自由時間で凝った土器を作ったり、 おしゃべりしながら矢尻や漁労の網を作ったり。 以上は四季の豊かな日本の狩猟採取生活のイメージですけれど、 世界の狩猟採取生活も同じようなものだったと想像できます。 多くの種類の食べ物に頼っての生活は、たとえば災害に対しても強いのです。 この食べ物がダメならこっちの食べ物がある。というように。 農耕民のように単一のもの(小麦や稲)に依存するような食生活だと、 冷害や旱魃やイナゴなどの発生で、すぐに人々の生活は追い詰められてしまいます。 それから狩猟採取生活者と農耕生活者では戦い方も違います。 狩猟採取生活たちの戦いは、強い相手に対しては逃げればいいのです。 狩猟採取の生活はただでさえ移動生活です。 その時とれるものの所まで移動してちょっとの間だけ定住してまた移動です。 そういう生活をしていると強い相手に対しては逃げればいいだけです。 でも農耕生活者の戦いはそうはいきません。 農耕民たちは所有物が多く、そして栽培のための土地がとても大事です。 土地を奪われたら生きていけません。妥協の余地がないのです。 農耕民の戦いは、避難すれば畑も家も穀倉も明け渡すことになり、死を意味します。 だから戦いはその場に踏みとどまり、あくまで戦う徹底抗戦になりがちです。 かつて学者たちは、農業革命は人類にとって大躍進だったと主張していました。 獣を狩って木の実を拾い食いしていた原始的な人々が進化して利口になって、 小麦や稲を栽培する事ができるようになった論です。 小麦や稲を栽培できるようになると、それまでの危険な生活を捨てて農耕民となり、 満ち足りた暮らしをするようになったという論調です。 でも農耕民は狩猟民よりも一般に困難な生活を余儀なくされていました。 狩猟採取の生活は刺激的で多様な時間を送り、単一の小麦や稲に頼る生活よりも 飢えや病気の危険が少なかったのです。 狩猟採集民は天然資源だけで生きています。 だから他の哺乳動物と同じく、条件のよい時期には女性は妊娠する可能性が多くなり 条件の悪い時期には繁殖力が落ちます。 そして彼らは移動が付きものでしたから、移動に枷になる子どもの増加には向きません。 ひとり産むとその間隔をあける習慣がありました。 中絶や間引きもあったでしょう。 人類は農業革命によって手に入る食料の総量は増やすことができました。 でも食料の増加は、より良い生活やより良い余暇には結びつかなかったのです。 むしろ人口爆発と飽食エリート層の誕生につながりました。 平均的な農耕民は、平均的な狩猟採集民よりも苦労して働いたのに 食べるものは劣り余暇は減りました。 まず人類の身体は、リンゴの木に登ったりガゼルを追いかけたりするのに適応しています。 石を取り除いたり水桶を運んだりするのには向いていません。 農耕生活に移行してから椎間板ヘルニアや関節炎など多くの疾患に悩ませられることに なります。 ちょっと視点を変えます。 1万年前、小麦や稲は、ただの野生の草でした。 中東の狭い範囲に生えていた小麦。 中国南部の山岳地帯が原産(東南アジア説もある)とされる稲。 ともに多くの植物のひとつでした。 ところがほんの数千年のうちに世界中で生育するまでになりました。 例えば、生存と繁殖というのを成功の基準にすると 小麦は植物のなかで地球の歴史上でもかなりの成功を収めたことになります。 1万年前には北アメリカの大草原地帯には小麦は一本も生えていなかったのに 現在では何百km歩いても小麦以外の植物は一切目に入らないこともあります。 世界全体で小麦は日本の面積の約6倍の地表を覆っているんです。 たくさんあるうちのただひとつの草にすぎない小麦がどうやって このポジションを得たのでしょう。 それは人類に世話をさせることででした。 これが小麦と稲の人類家畜化計画です。 人類はおよそ1万年前までは狩猟採集によって快適に暮らしていたけれど 次第に小麦や稲の栽培をし始めました。 そして人類は多くの地域で、朝から晩までほとんど小麦や稲の世話ばかり焼いて 過ごすようにまります。 小麦や稲は非常に手がかかりました。 岩や石を取り除き、水や養分を与え、草取りをし、虫の害に怯え、病に気を使い イナゴの群れや鳥害や動物の侵入に対策をし、肥やしを入れ…。 作業は無限に続きます。 そして得たのが腰痛です。 あまりに時間と手間隙がかかるので、人々は小麦や稲のそばに定住をしました。 人類の生活様式が変わったのです。 では、小麦や稲はどうやって人類を説得し、素晴らしい狩猟採取生活を捨てさせて 世話に明け暮れる腰痛の暮らしをさせたのでしょうか。 見返りに何を提供したのでしょうか。 実は個々の人々には何も提供してないのです。 でもホモ・サピエンスという種全体には授けたものがありました。 小麦や稲を栽培すれば単位面積あたりの土地からはるかに多くの食物が得られます。 お陰でホモ・サピエンスは数を増やしているのです。 例をあげれば、紀元前13000年頃のパレスチナのオアシス周辺には 栄養状態の良い人々が100人からなる放浪集団を維持するのがせいぜいでした。 それが紀元前8500年頃、野生の草が小麦畑に取って代わる頃、 オアシス周辺では1000人規模の村がやっていけてました。 ただし、病気や栄養状態が悪く苦しんでいました。 1つの種の成功は、DNAの複製の数によって決まります。 複製の数こそ繁栄の証です。 DNAの複製が尽き果てればその種は絶滅です。 1000の複製は100の複製に優るのです。 以前より劣悪な条件下でも多くの人口を維持できたのが農業革命です。 個々の幸せ度は関係ないんですね。 企業の経済的成功は、従業員の幸福度ではなく銀行貯金の金額で測られるような。 とはいえ、個々の幸せを無視した種の繁栄など誰も望んではいません。 なぜ自分たちの生活水準を落としてまでDNAの複製を望むのか。 誰も小麦と稲とそのような取引きに合意はしていません。 狩猟採取生活から農耕民へ。 この変化は急なものではなく、日々の生活がわずかに変わるだけでした。 最後の氷河期が終わって温暖化の時代がくると、降雨量も増えて穀類には理想的な 気候になっていきました。 多くの食べられる植物のひとつであった小麦や稲などの穀類は、温暖な気候で生息域を 増やしました。 それに連れて人々は以前よりも多くの小麦や稲を食べました。 野生の小麦や稲は選り分けたり、挽いたり調理したりしないと食べられないので 採取したら一時的な野営地に持って帰ります。 穀類は粒が小さくて数が多いので野営地に戻る途中でこぼれ落ちて、 やがて人が通る道や野営地の周りにこれら穀類が育ち始めます。 人間が森や藪を焼き払ったときも穀類にとってそれは有利に働きました。 焼き払ったあとには日光や水分や養分を独占できました。 人間の集団は放浪の生活を少しずつ捨てて、季節的な野営地に、さらには永続的に 住み着くことになっていきます。 最初のうちは収穫期に4週間くらいしか野営地に定住していなかったかもしれません。 でも数十年もすると小麦や稲は増えて広がって収穫期も長く延びて 続的な村落になっていきました。 人々は、労働時間の多くをかけて野生の穀類を世話しはじめます。 放浪生活をやめると女性は毎年子どもを産めるようになりました。 幼子はお粥で育てることができて早く離乳する事ができました。 畑では働き手が必要で離乳も早い方がいいのです。 永続的な村落になると人口が増えました。 穀類は余剰分を保管する事ができたので、増えた人口は余剰分で補いました。 でも余剰分はすぐになくなります。 さらに多くの畑で栽培しなければならなくなりました。 子どもが母乳よりも穀類で育つにつれ、子どもは増えるけれど死亡率も増えます。 でも死亡率の増加よりも出生率が上回り、人類は増加していきました。 時が経つにつれ「小麦と稲との取引」はますます負担が増えていきました。 子どもは大量に死に、大人は汗水たらしてようやく食いつないでいく生活です。 パレスチナのオアシス周辺の紀元前8500年に棲んでいた平均的な暮らしは 同じ場所に暮らしていた紀元前13000年に暮らしていた人々よりも厳しかったのです。 けれど何が起きているのか気づく人はいませんでした。 種を地面に撒く代わりに、畑を掘り返すといった少しばかりの 追加の仕事をすると決めるたびに 「仕事はきつくなるけれど、たっぷり収穫があるはずだ」 「不作の心配をしなくてすむ。子どもたちに腹をすかせて眠ることもなくなるぞ」 「前より働けば、前より良い暮らしができる」 このもくろみは前半はうまくいったんです。 彼らは一生懸命頑張りました。 でも子どもの数が彼らの予想以上に増えていきました。 子どもが増えれば余剰の穀類はより多くの子どもに分け合わなければならなくなります。 単一の食料源の危険、豊作の年の穀倉の守りへの人手、城壁の建設と見張り、 膨れ上がる人口と栽培の工夫からの増収の悪循環。 あれ?これって楽しくなくね?って人類が気づいたとしても もう後戻りはできなませんでした。 小さな変化が積み重なって世代を経るにつれ、社会が変わってしまい、 誰も元の生活を覚えていません。 そして人口増加のためもう引き返せなかったのです。 数人の腹を満たし、少しばかりの安心を得るための、 些細な決定が積み重なっただけなのです。 後戻りは不可能で、罠の入り口は閉じてしまいました。 こうして古代の狩猟採集民は、焼け付くような日差しの下、 腰を痛めながら桶の水を運ぶ日々を過ごす事になっていきました。 人類は、小麦や稲の下僕のポジションというお話でした。 「小麦と稲の人類家畜化計画の話」には、もちろん続きがあります。 狩猟採取生活は、未来の事をあまり考えなくていいのです。 考えてもしかたがないんですね。 その日暮らしで、食べ物を保存したり所有物を増やしたりが難しかったからです。 だから自給自足の狩猟採取生活では長期的な計画には限界がありました。 でもそのお陰で多くの心配事からは介抱されていたと思います。 自分ではどうにもならないことを思い悩んでもしかたがないからです。 でも農耕革命がおきて農耕民たちには未来はとても重要になりました。 農耕は何ヶ月にも及ぶ耕作と短期の収穫繁忙期があります。 なまじ穀類は保存ができるので、旱魃洪水などの災害に備えて、 自分たちが消費する以上の蓄えを残すものを 作り出さなければならないといつも追い立てられていました。 不作の年は必ず来ます。 だからありとあらゆる努力をしました。 未来への不安からです。 農耕民が未来を心配するのは、心配の種が多かっただけではなく 対策を立てられたからでもあります。 新たな灌漑水路を作ったり、追加で作物を植えたり。 でも未来の安心のための努力の結晶である余剰な食物は、至るところで台頭した支配者や エリート層に搾取され、大部分の農耕民は飢えギリギリで暮らすことになります。 没収された食料の余剰がは、戦争や政治や芸術や哲学の原動力となり、 城や砦、記念碑や寺院が立ちました。 近代の後期(ついこのあいだ)まで、人類の9割は農耕民でした。 農耕民ががんばった余剰分で王、役人、兵士、宗教家、芸術家、思索家が食べ、 歴史は彼らが作っていき、残りのほとんどの人々は ただただ畑を耕し水桶を運んで腰を痛めて今日に至ります。 ウシという種は人類が家畜化したせいで数の上では大成功したという事になります。 DNAの複製がたくさんあるという意味での成功です。 でも絶滅の瀬戸際にある珍しい野生のサイの方が、ステーキにされるために小さな箱に 押し込まれて運動もできずに一生を送るウシよりも幸福というか満足した一生でしょう。 今日の話は、種の繁栄と個々の幸せは関係ないというお話でした。 ━■みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「レッサーパンダの腹黒」 先日、旭川市の旭山動物園に行く機会がありました。 行動展示で世界的に有名になった動物園です。 たいして珍しい動物がいるわけでもなく赤字だったこの動物園は、 行動展示という方法で黒字に転じ、ついでに世界の動物園の展示方法を 変えてしまったという伝説の動物園です。 いろいろ気になる動物がいて楽しかったんですけれど、 改めてレッサーパンダの腹は黒いなぁと思いました。 まぁ、レッサーパンダは私のよく行く札幌円山動物園にもいるのですけれど。 旭山動物園の説明文によるとレッサーパンダの腹部の黒色は、 多くの時間を樹上で過ごす事から、下から見上げられたときに逆光になって 外敵に発見されないようにするためという事が書いてありました。 そうかなぁ。 う〜ん。 そうかなぁ…。 樹上生活するどうぶつはたくさんいます。 原猿類たちはレッサーパンダよりもずっと樹上生活に適応しています。 仲にはめったに木から下りないものもいます。 でも腹黒ではありません。 鳥も魚も腹白が多いです。 鳥や魚ばかりではなく、lだいたいの動物の腹の色は 背中と同じ色かまたは白がほとんどです。 シマウマもペンギンもクジラも柴犬もパンダも腹は白いです。 黒い動物は腹も黒のももちろんいます。 クマ、クロネコ、クロヒョウ、カラスなど。 でも腹だけ妙に黒いのはレッサーパンダくらいです。 調べてみるとクロハラハムスターというのをみつけました。 これも腹だけ黒いです。 https://www.youtube.com/watch?time_continue=68&v=Cf06WJQ4FnE これがクロハラハムスター。 懐かず凶暴なハムスターです。 攻撃するときに立ち上がって黒い腹をこれ見よがしに見せてるので 威嚇の黒なんでしょう。 他の樹上生活の動物に腹黒は見当たらないことからレッサーパンダの腹黒の理由は 逆光を利用した風景に溶け込む説には疑問が残りました。 う〜む。 もうちょっと例が欲しいなぁ。 カチカチカチ(パソコンで検索してる) あ、これはどう? ラーテル。 中東やアフリカあたりにいるアナグマみたいなイタチみたいな動物です。 頭から背中にかけて白くてあとは全部黒いです。 めちゃめちゃ気が強くてライオンにも毒蛇コブラにも攻撃的です。 肉食だけれどハチミツ大好きです。 でもハチの巣を見つけるのは苦手です。 ラーテルとは反対に蜂の巣を見つけるのは得意だけど 蜂が怖くてしかたがない小鳥がいます。 ミツオシエという鳥です。 この鳥は蜂の巣を見つけるとラーテルに教えます。 ラーテルは蜂の巣を破壊して蜜にありつけます。 その残骸をミツオシエは食べます。 ラーテルとミツオシエは共生関係にあります。 腹黒関係なかった…。 私は時々地元の円山動物園に行きます。 みなさんもレッサーパンダを見る機会がありましたら どうぞその腹黒っぷりに注目して観察してみてください。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/251.htm      ↑  レッサーパンダの腹黒っぷりと、ラーテル&ミツオシエ ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 前号のみかりんの叫びで「幸せな右脳の世界」の話を紹介しました。 脳科学者のジルさんが、脳卒中で左脳が使えなくなり、右脳だけの生活になった時の 話です。 右脳の認識する世界は、すべての宇宙と繋がっていて肯定と幸せに満ちている世界だと いうのです。 その話を読んで読者の坂手保弘さんがお父さまの右脳生活の思い出です。 すごく興味深い話です。 -------------------------------------- [坂手保弘さん] 右脳左脳では面白い経験をしたことがあります。 私でなく、私父ですが。 やはり、脳こうそくで右半身マヒとなりました。 ここまではおなじです。 3カ月間意識が戻らず、もうだめかと思いましたが、(〜あいだ全部省略〜)本人の 努力により杖をついて歩ける程度までになりました。 しかし、最後まで言葉は出ませんでした。 面白い経験とはこの先です。 言葉は出ないのですが、人の名前を左手で何人も何十人も書き始めたのです。 過去の知り合いです。 姓名を紙に鉛筆で大きな字で・・・ それも漢字で! 家で生活を始めたころ、言葉がうまくしゃべれないので、 意思疎通に「ひらがな」で筆談しようとしたのですが、見事に失敗。 ですので、漢字を書き始めたのには、家族中びっくりしました。 当時、これは右脳と左脳に関係しているな!と感覚的にとらえていたのです。 はっきり理由が分かったのはその後20年くらいたってからです。 あるきっかけで、私が中国語の勉強を始めました。 あたりまえですが、中国語はすべて「漢字」です。 言語ですので、発音で意思疎通をするのですが、アルファベットと決定的に違うこと は、字がそれ単体で意味を持っていることです。 ですので、仮に発音ができなくても(間違っていても)、目で漢字を追っていくとな んとなく意味が取れるのです。(注記1) 一文字で概念を持っており、発音しなくても意味を持てる。ここがミソです。 言葉を組み立てるのは、左脳で行うようですが、イメージなどの概念は右脳で行う。 なので、漢字を見るとイメージだけは伝わるのでしょう。 イメージだけで、漢字を思い出す作業を父はしていたのかもしれません。 この文字(漢字)からイメージを作る作業は、アルファベット圏の人や、 日本語のひらがながでは出来ない作業です。 本来の言語の流れは、イメージが先にあって、 それを言葉に当てはめる順序のはずです。 残念ながら、中国語で会話をするには、漢字の羅列の中から動詞を見つけ、 主語と目的語で全体の意味を見つけなければなりませんので、 漢字での会話はできませんでした。(当時思いつきませんでした) 漢字は、表意文字。 ひらがなは、表音文字。 この違いが決定的な違いになります。 ちょっと余談 (注記1) 中国語を勉強するに当たり、この、「目でもって漢字を追っていくと意味が取れる」 というのが初めはよいのですが、言語としてとらえようとしたときに大きな問題に 直面することになります。 それは、日本人にしか起きない問題で、先ほどの表意文字のように、 どうしても漢字の意味に引きずられてしい、あるところから上達しなくなるのです。 言語は、やはり発音でイメージを作り上げており、目でなく耳なのです。 「永遠の中国語検定3級」といわれるところです。 欧米人で、中国語をしゃべれるが全く漢字は書けないという人を 見かけることもあります。 父は毎日言葉を持たず、テレビと新聞ばかり眺めておりましたので、 「かわいそーだなぁ」と思っておりましたが、 このメルマガを読み、「もしかしたら、「本当に幸せな全肯定な世界」」に 住んでいたのかもしれないと思いました。 幸せだったのかもしれません。 今思うと、一生のうちで一番穏やかな顔をしていたように見えました。 (実家を整理した時に父の子供のころの写真などを発見しましたので) -------------------------------------- [みかりん] すごく興味深い話を本当にありがとうございます! そういえば私もちょっとだけ似たような経験を先日しました。 数年ぶりにある人が私の目の前に現れました。 私は知っている人とはわかりましたがどうしても名前が出てきません。 でも思い出そうと頑張っているとその人にまつわるイメージが出てきたんです。 「ええと、岩見沢在住でしたよね」 「妹さんの名前に魅の字がある」(私の名前の字と一緒だから覚えていた) 「あー、名前思い出した真理さんですね」 「苗字がどうしても思い出せない…あ、苗字に木偏がつく漢字がありますね」 このようにじわりじわりとイメージだけが湧いてきて、 あれ?これって右脳だけの記憶だなってちょっと感じたんです。 うん、苗字に木偏ありました。 木偏のないもうひとつの漢字も木を連想させる漢字でした。 左脳はこの人の事忘れていたけれど、右脳が覚えていたみたいな気がした一件でした。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★穀類が備蓄できたから余計に作ってしまう。         ↓  貧富の差ができて、エリート層と農民ができる。        ↓  文化、科学、法律、国家などができる。 これらは小麦や稲の策略で出来たともいえる話が今回のメイン記事でした。 ★以下に紹介する話はネット上に拡散されているたくさんあるコピペの中のひとつで 私の好きな話です。 今回の主題と微妙に重なっているので載せてみます。 『メキシコ人の漁師とハーバード大卒のコンサルタントの話』 メキシコの海岸沿いの小さな村を、アメリカ人エリートコンサルタントが訪れました。 波止場に止めてある漁師の船を見ると、黄色い背びれを持つ活きのいいマグロが獲れています。 そのアメリカ人コンサルタントはその船の漁師に尋ねます。 「その魚を釣り上げるのにどれくらいかかったのですか?」 メキシコ人漁師は答えます。 「数時間くらいかな。」 「なんでもっと長く海に残って、もっと魚を獲らないんですか?」 「家族が必要としている分があればそれでいいのさ。」 「では、仕事以外のときは何をして過ごしているんですか?」 「遅くまで寝て、魚を少しばかり獲って、子どもと遊び、  妻のマリアと一緒にゆっくり昼寝をして、夕方頃には村に散歩に出て仲間たちと  ワイン片手にギターを弾いて楽しむね。本当に充実した毎日だよ。」 それを聞いて、コンサルタントは鼻で笑いながら言いました。 「私はハーバード大学を卒業してMBA(経営学修士)を取得したコンサルタントです。  そこであなたに助言をしましょう。  まず、あなたはもっと漁をする時間を長く取るべきです。  そして、大きな漁船を買ってください。  そうすれば、もっと魚を取ることが出来て、さらに多くの船を買うことができますよ。  最終的には大きな漁船団を手に入れることが出来るでしょう。  また、仲介業者を挟まずに獲れた魚は加工業者に直接出荷しましょう。  最終的には自分の加工工場を作ることが出来るでしょう。  製品、加工、流通に関してすべて自分でコントロールできるようになりますよ。  そしたら、こんな小さな漁村を離れてメキシコ・シティに移り、その後ロサンゼルスに、  最終的にニューヨーク・シティへ進出するんです。  あなたの大きくなった会社を経営できるようにね。」 それを聞いた漁師は、コンサルタントに聞きます。 「で、それはどれくらいかかるんだい?」 「15〜20年くらいですかね。」 「じゃあ、その後は?」 コンサルタントは興奮気味に答えます。 「ここからが最高ですよ。あなたの会社を株式公開して、  自社株を大々的に売り出すんです!あなたは巨万の富を手に入れ、  一躍億万長者に成り上がるのです!」 「巨万の富か…それで、次は?」 コンサルタントは満面の笑みで答えます。 「そしたら、大金を持って早期リタイヤですよ!  あなたの好きなことがなんでも出来るんです!遅くまで寝て、魚を少しばかり獲って、  子どもと遊び、妻のマリアさんと一緒にゆっくり昼寝をして、  夕方頃には村に散歩に出て仲間たちとワイン片手にギターを弾いて楽しんだり  できるでしょうね!」    ★vol.251の参考にした書籍&サイト   サピエンス全史 上  著/ユヴァル・ノア・ハラリ 訳/柴田裕之 河出書房新社 ★ラジオ山猫通信の過去の放送 (2010年1月4日第9回放送〜2015年12月22日第152回放送)が、  パソコン、スマートフォンから聴けます。  http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm  ↑ここの右側「ラジオ山猫通信」って所をクリックしたら聴けます。   ★私はいつも「やまねこ通信 E=MC二乗」の事が頭の隅にあります。  次回テーマは何にしようかと常に思っています。  「やまねこ通信 E=MC二乗」は、私みかりんを構成している大事な要素です。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹     ★彡★彡★彡★彡★彡『蟹屋 山猫屋』★彡★彡★彡★彡★彡 生まれも育ちも北海道育の“みかりん”が、北海道の味覚を全国の方に広めるために 『蟹屋 山猫屋』を立ち上げました。一級品の道産品をお手ごろ価格でネット販売! 読み物としても楽しめるものを目指しているよ。    登録はここ→ http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/kani/   山猫屋の蟹は冷凍ガニではありません。ボイルしたてを食卓に直送! 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹    ↑↑↑  私、みかりんのもうひとつのメールマガジン。  北の味覚。海産物。蟹おいしいよ〜。海水ウニもありますよー。  予算はこれくらい。食べる人数はこれくらい。と教えてくれたら、その中で  できる限りのご提案をします!山猫屋の蟹は冷凍物は扱っておりません!  さぁ、タラバ食べたいよう、毛ガニ食べたいようのメールをみかりんに書こう。  毛蟹の良いのが入荷してきています。  北の食材たちは脂が乗っておいしいです。  この機会に、どうぞ冷凍ではない蟹を!  ご贈答に、山猫屋の海産物を。 それじゃ、今回はここまで。 あなたのお便り待ってます。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 昨日すごく不思議な髪型を見た。 60がらみの太った男性。 基本は坊主頭なんだよ。で、幽霊の頭に三角の布があるでしょ。 髪であの三角を再現してるって言えばわかる? 白髪なのでなおさらそう見える。 前髪をちょっとだけ伸ばしてワックスか何かで三角に立てているんだよ。 これってお風呂上りにはあの三角が下に下がるのかな。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○ やまねこ通信E=MC二乗 vol.251  2017年11月26日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さには  まったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。  それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━