2018/3/25━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.252 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 私は魚の流線型の形が好きです。 魚の流線型は、水という環境に適応した機能的な美しさを感じるからです。 だからマンボウの中途半端?な形はただただ不思議に感じます。 一度知ったらインパクトの強いマンボウ。 でも私は、プカプカ浮かぶのんきなイメージくらいしか 知っていることはないと気づきました。 マンボウについての知識はほとんどないです。 澤井悦郎さん著「マンボウのひみつ」を読むとマンボウについて色々わかりました。 目をつぶることができるとか、水戸光圀公(黄門様)が食した記録があるとか、 死にやすい噂は都市伝説だったとか、溺れた人を助けた記録が少なくとも2件あるとか。 今日は澤井悦郎さんの本から得たばかりのマンボウ話をしてみます。 ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm 「ラジオ山猫通信」も、ここから聞くことができます。↑ ━■マンボウの気持ちの話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ マンボウは何の仲間なのか。 まずここからはじめます。 答えはフグ。 フグ目マンボウ科です。 フグ目マンボウ科は3つの属に分かれます。 マンボウ属、ヤリマンボウ属、クサビフグ属です。 フグ目マンボウ科マンボウ属は ウシマンボウ、マンボウ、カクレマンボウに分かれます。 そしてつい最近までこの3種どころかヤリマンボウも一緒に混在して 区別がつかなすぎてすべてマンボウとして、いっしょくたに扱われたり、 33種にも区別されたり。まぁ、判らなかったんですね。 ここらで33種あるといわれるマンボウ、または全部同じだといわれるマンボウを 整理してみようとなってきたのがつい最近の事でした。 2000年台に入ってからなんです。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/252a.htm ちょっとここ見てみて。 この1枚目のイラストは「マンボウのひみつ」からで、絵も著者が描いたものです。 このイラストにはカクレマンボウが描かれていません。 この本の発行は2017年8月です。 カクレマンボウが新種としてカクレマンボウと名付けられたのが 本の発行の一ヶ月前の2017年7月なんです。 イラストを見るとウシマンボウとマンボウの違いの目立つところは、 デコのでっぱりのあるなしです。 でもウシマンボウの幼体は出っ張っていません。 そしてウシマンボウと名付けられたのも2010年の事です。 「マンボウのひみつ」の著者、澤井悦郎さんも命名者のひとりです。 これとこれは別種である。これとこれは同種である。 混乱混線しているマンボウを整理していく大きな決め手になったのは、DNA鑑定でした。 2017年と言えば去年です。 何故これまでマンボウ界は放っておかれたのでしょう。 それは簡単。 誰も困らないからです。 必要とされていないからです。 それと大きすぎるんです。 ウシマンボウだと前長3m以上、重さ2トン以上にもなります。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/252a.htm 2枚目の画像。こんなに大きいんです。 この写真は北海道の漁師さんのイカやサバを獲る定置網にかかったものです。 このマンボウは、写真と動画を撮って放流されました。 たとえば研究のためと言って標本採集するにしても漁師さんの協力が不可欠です。 採集した標本を運ぶトラックも必要だし、標本を保存する大きな施設も必要…となると まぁ、できないんですね。 マンボウ漁っていうのはありません。 沿岸の定置網にたまたまかかったり、遠洋漁業のマグロ船でもマンボウは捕れます。 マンボウは水揚げされても大してお金にならず、船が汚れるために嫌がられ気味なんですね。 でもマンボウは食べることができる魚です。 だからマンボウが獲れてしまったらほとんどを海に捨てて 可食部だけを持ち帰るという事もありました。 マンボウはすぐに生臭くなってしまうので、 漁獲される沿岸地域で地産地消されていました。(岩手、宮城、高知、三重など) 日本では1636年の「料理物語(寛永13年版)」にマンボウの料理法が載っています。 歴史上の人物では、水戸藩の第二代藩主である徳川光圀(水戸黄門)が マンボウを食べている記録があります。 マンボウを食べる地域では、スーパーに切り身が売っているそうです。 味は「おいしい!」っていう人と、「これは無理」って人に分かれるようです。 もしかしたら鮮度が重要なのかもしれません。 マンボウと人が関わってきた歴史は古く、紀元前までさかのぼります。 アメリカのチャンネル諸島にある島の貝塚には、マンボウの骨や歯が出土しています。 貝塚っていうよりもマンボウ塚です。 人は大昔からマンボウを食べてきた証拠です。 ちなみに回転寿司でマグロの代用として使われているアカマンボウは、 マンボウの仲間ではありません。 アカマンボウ目アカマンボウ科アカマンボウ属アカマンボウです。 私は、マンボウが食べることができる魚だとは知りませんでした。 他にも知らない事だらけなんですけれど、そのひとつに回遊する魚であるという事です。 でも回遊ルートやどこで繁殖しているのかとか、寿命すらわかっていません。 目視での雌雄の区別もできません。 どうもクラゲを主に食べているようです。 私がマンボウという単語を知ったのは たぶん小中学校の時に夢中になって読んだ北杜夫さんの「どくとるマンボウ」シリーズです。 北杜夫さんが世界中を巡った船医時代にマンボウを見て、自身を「マンボウ」と名乗りました。 マンボウの世間に媚びないのんびりプカプカ按配に憧れたのだと思います。 マンボウはその巨体を横たえて海面にぷかぷか浮く魚です。 そこに海鳥が舞い降りてもそのままぷかぷか浮いているようです。 野生の生き物とは思えない無防備さです。 海に棲む魚の類でこんな状態になるものって他に聞いた事がありません。 この現象を日本では「昼寝」、海外では「日光浴」と呼んでいます。 科学者はその理由を考えます。 ・体調不良である。 ・瀕死である。 ・餌を探すために上から海底を見ている。 ・鳥に寄生虫を食べてもらっている。 ・深海までもぐって体温が下がったので温めている…etc。 で、研究者的には「寄生虫対策じゃね?」って所に落ち着こうとしていたんです。 でも私は、寄生虫対策だとしたら、それならもう片面はどうなの?って思っていました。 片面を寄生虫退治したら次は必ず反対側を海面に出してるの? まぁ、昼寝状態のマンボウに海鳥が乗って何かついばんでいるのは観察されているので そういう面もあるか。でもなぁって思っていました。 今まで知られていなかったマンボウの種類分けが一気に進んだのは DNA解析ができるようになったからですけれど、 21世紀になってもうひとつ生物の生態の解明に大活躍する事になった手法に バイオロギングがあります。 バイオロギングとは、動物に直接、記録計とか発信機をつけて行動範囲などを知る手法です。 bio(生物)+logging(記録する)という意味の、2003年に生まれた日本発祥の造語です。 記録計や発信機がつけられる動物なら、 ヒトでもサカナでもトリでもカメでも何でも対象になります。 放し飼いのイエネコに小型のカメラを付けて行動を探るっていうのもバイオロギングです。 2000年代以降、この手法はマンボウ研究にも盛んに取り入れられて 実はああ見えて、 ・早く泳げる。 ・深い所まで潜っている。 ・季節的に回遊している。 という事が判ってきました。 何故、ここに来て誰も得しないマンボウにバイオロギングが付けられているのかという のには理由があります。 記録計は日々小型化していて、新しい機能が搭載されたものがどんどん登場しています。 マンボウは、体も大きく、イルカに体当たりされても水面でプカプカ浮いてるほど 性質もおとなしいので、新しい記録計を試すにはちょうどいいんですね。 バイオロギングのモデル生物となりつつあります。 で、ついでにマンボウのいろんな事が判ってきたのです。 バイオロギングで、マンボウは深海まで潜ることがわかったので マンボウの海面プカプカ問題は、寄生虫を海鳥に食べてもらうのは二次的なもので 体を温めている説が有力となりました。 でも、こうじゃないかなってヒトが想像できる範囲内でしか本当の事はわかりません。 マンボウの本当の気持ちはわからないんです。 よくクジラやシャチなどが大きく海面からジャンプして体を海面に叩きつけている動作をします。 この理由として ・クジラの体に付いた寄生虫を落とすため。 ・外敵への威嚇。 ・雌クジラ獲得のために雄クジラ同士で威嚇しあってる。 ・雌クジラへの求愛行動。 ・単に遊んで楽しんでいる。 と考えられています。 でもそんな事、判らないんですよ。人間には。 そうじゃないかなって考えるのが精一杯なんですね。 もしかしたらたくさんの魚を丸呑みして、腹の中の魚をショック死させてるかもしれないしね。 「ええぇぇいっ!腹の中で暴れるなぁ。これでもくらえぇぇ」ってね。(笑) そう。マンボウの気持ちもクジラの気持ちも、本当の所はヒトにはわかりません。 ヒトはヒトの感覚の範囲内でしかわからないので、 人間側に引き寄せて理解するしかできないのです。 話をマンボウに戻して、私の知らなかったことのもうひとつ。 「フグは目をつぶる。マンボウもフグの仲間だから目をつぶる」と本に紹介されていました。 う〜ん。知らなかった。 私たちはヒトはなぜ目をつぶるのか。 それは目を乾燥から守るためです。 魚は乾燥から目を守る必要はないんだよなぁ。 だけどフグは目をつぶることができます。 まぶたがあるっていうよりも、目の周りの皮膚を巾着袋の口を閉めるように中央に寄せ集めて 目を隠すんですね。 フグの仲間のマンボウも、目の内側にある皮膚が後方から前方に向かって寄せ集まって 目を隠してしまうことができます。 まぁ、目は大事な器官だから目を守っているんでしょうね。 でも乾燥から守っている訳ではないな。うん。 と、このようにやっぱりマンボウと意思疎通が難しいヒトには、 マンボウの行動が「何のために」と疑問を持つと 大きなクエスチョンマークが頭上に浮かぶ事となります。 何のためにこんな行動をとったのか?というマンボウの行動に 「マンボウが溺れている人を助けた」という記録が少なくとも2件あります。 たとえばイルカが人を助けた。トラがシカの子どもを保護した。というのは判るんです。 哺乳類ですから。 でもマンボウは魚なんです。 魚が人を助けるかなぁ。 <1例目> 「静岡県のカツオ漁船が八丈島付近でシケに遭い、船員ひとりだけがマンボウの背中に乗り 遭難から3日目に救助された」という話。 ソースは、民俗学者が漁師から聞いた話として伝えられているけれど真偽詳細不明。 <2例目> 「1964年4月2日、高知県南端から150kmほど離れた日向灘沖で、漁船から落ちた15歳の船員が マンボウの背中につかまり、2時間後に戻ってきた船に救助された」という話です。 ソースは、2009年4月放映の 「ザ!世界仰天ニュース 大海原からの大脱出in衝撃の大脱出スペシャル」というテレビ番組。 2例目の方は複数の雑誌にも記事になっていて本当の事のようです。 だけどマンボウが積極的に人を助けた…というより、いつものようにプカプカと浮いてただけ というのが正しいと思います。 マンボウの気持ちは人にはわかりません。 私のマンボウのイメージは、海ののんき者でした。 たぶん多くの人がそういうイメージだったと思います。 でも近年、「死にやすい生物」という伝承がネットを中心に流布さています。 ・寄生虫を落とすために海面からジャンプして着水で死ぬ。 ・ほぼ直進しかできないので岩に激突して死ぬ。 ・潜水して凍死。 ・ひなたぼっこで鳥につつかれ化膿死。 ・ひなたぼっこして陸に座礁死。 ・目に泡が入ってストレス死。 ・ウミガメとぶつかるかもしれないと予想してストレス死。 ・近くにいた仲間が死亡したショックで死亡。 ・甲殻類がのどに刺さって死亡。 など。(笑) これらは全部デマです。 ネタ話がSNSで拡散されて、それをテレビが取り上げて都市伝説化したものです。 それから「マンボウが3億個の卵を産み、2匹しか残れない」という話もデマです。 ここまで読んでくれた方、これでだいぶマンボウに詳しくなったと思います。 でも私のそもそもの疑問、何故マンボウはあんなに中途半端な形なのかという疑問は解けません。 野生動物は機能的な形をしているはずという思い込みがある私には、 マンボウの形が不思議でしょうがありません。 もちろん摩訶不思議な形をした生き物がいるのは知っています。 特に昆虫に多いです。 それでも大海原を回遊し、3mにもなる大型の魚が流線型以外を選択しているとは! http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/252a.htm ここの3枚目をちょっと見てください。 マンボウはフグの仲間です。 この図は「ハリセンボンを変化させればマンボウの形になる」という 生物化学者ダーシー・トムソンの描いた図です。 たぶんマンボウ的には、この形がベスト!なんでしょう。 マンボウの気持ちは、私たち人の及びもつかない境地にいると思うしかないです。 ━■みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「アライグマと目が合う」 私が住んでいる地域は、札幌市の郊外で森と隣接している地域です。 森は、森林総合研究所の所有する所であったり、自然公園であったり、 自衛隊の演習所であったりで、原生林も含まれていて、190万都市にしてはかなり自然豊かな 場所です。 野生動物も多く、夜になるとキタキツネが道路を徘徊しているのは珍しくもなく、 エゾジカ、ヒグマ、シマリス、エゾリス、エゾタヌキ、エゾモモンガなどの動物がいます。 まだ雪深い3月上旬のある日。 私はいただきものの脂身の多い牛肉をどうしようか思いあぐねていました。 この脂身を食べたくない。取り出したい。 あぁ、そうか、一度茹でてそのまま鍋ごと冷やしたら浮いてきた脂身が固まったら 脂身だけ取り出しやすいかも。 そうやって取り出した脂身。 今度はその脂身を前に思案。これをただ捨てるのはもったいないなぁ。牛さんも無念だろう。 命は次に繋げてこそだ。 そう思った私は、取り出した牛の脂身の半分を庭の雪の上に(雪がとけたらそこは家庭菜園の畑) 肥料になるかもと撒き、もう半分は庭のバードテーブルに置いた。 雪の上に撒いた脂身は、闇夜のカラスと同じ、雪の白と脂身の白で ヒトの目にはどこにあるか判らなくなった。 脂身を庭に置いて2時間後。 カラスが一羽やってきて雪の上の脂身を全部食べて行ってしまった。 あらまぁ〜。そういう事ね。 雪が解けて庭の畑の肥料になるまで、自然界は高エネルギーな脂身を放ってくれないのね。 それにしてもカラスの脂身察知能力の凄い事。 ヒトの目には判断のつかない雪の上の脂身。 これをすぐさま探し当ててしまった。 鳥は嗅覚の動物ではなく視覚の動物です。 カラスは視覚で雪の上の白い脂身を見つけたのです。 さすがスカベンジャー(掃除人くらいの意味)。 たとえばヒトの目にはまったく同じに見える「本物の肉」と「イミテーションの肉」。 これをカラスの目の前に置く実験をすると、 まったく迷うことなく100%間違わずに「本物の肉」に一直線に行きます。 何度やっても。いろんなカラスで確かめても。 ヒトの目はさまざまな色を識別できるけれど、錐体細胞は3種類しかなく、 実際に見えているのは、赤・緑・青の3種類しかありません。 対して、多くのトリには錐体細胞は4種類あります。つまり4原色がベースになっているんですね。 種類によって見える色は異なるものの、 カラスの場合は「紫外線」を加えた4原色が見える構造になっています。 だから半透明のゴミ袋でも中身を正確に探り当てることができるんですね。 だから、雪の上の白い脂身は、カラスにとって普通に「見える」状態で置かれていたという事なんでしょう。 それではもうひとつのバードテーブルの脂身はどうなったのか。 私の予想では、庭に来る鳥たち(カラスではなく、シジュウカラやヤマガラなどのカラ類たち)の 冬の終わりの栄養補給になるはずでした。 脂身を置いてから約6時間後。 居間の窓から見えたバードテーブルの異変に気づきました。 なんか動物がいる…。 なんだろう。ネコかな。 あれ? 尻尾がシマシマだ。 え?、まさか…。 私は外に出て庭に周り、雪に埋って足をとられながらバードテーブルに近づきました。 そしてアライグマと目が合うという体験をしました。 たいていの野生動物はそうそうヒトと目線を合わせません。 または目線が合ったときは襲ってくる時です。 カメラを向けてもアライグマはそのままカメラ目線です。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/252b.htm そしてずうずうしくもアライグマはそのあと1時間ほどバードテーブルで過ごし、 暗くなってから姿を消したのでした。 庭の雪の上には、キツネでもネコでものない、器用そうな手を持つ者の痕跡が残されていました。 アライグマ。 北米原産の動物。 雑食性で非常に広い食性を示し、とても高い繁殖力でまたたくまに増える動物です。 日本にいるのは帰化動物。 最初は1961年に岐阜県で施設で飼っていた12頭が脱走し、ほとんどを回収したけれど2頭が未回収。 その後、尻尾に縞があるタヌキの目撃情報が増えるはじめます。(笑) その後、アライグマを捕獲した人が繁殖させ、数十頭を野に放しています。(意味わからん) 北海道でも1979年に恵庭市で飼育個体10頭が逃げ出して、その後、付近の酪農地帯に定住。 1970年代にアニメ「あらいぐまラスカル」がヒット。 アライグマ=ラスカルという世代は今なお多いです。 ラスカルのヒットでアライグマをペットにする人があとを断たず、 多い年では年間1500頭もの個体が輸入されるようになり盛んに飼育されます。 アライグマは手先が器用で脱走しやすい動物で、 多くの飼育個体が逃げ出したことが考えられます。 アライグマは可愛らしい見た目をしています。 でもペットには向かない動物です。 ペットとしては、赤ちゃん時代と晩年なら向いています。 野生のアライグマに家の屋根裏などに棲みつかれたら、家はすぐにダメになっていきます。 素人では追い出す事はまず無理です。 30年ほど前に長沼町(札幌から車で1時間ほど)に住んでいた私の知人が アライグマに家を占領?され、庭の作物は全滅し、長い戦いの末、家を手放した事があり、 当時、その顛末が「アライグマに負けた男」として新聞記事にもなったことがありました。 思えば、アライグマ被害の走りだったんですね。 そういう知識があった私は、今年のバードテーブルは早々に餌やリをやめました。 アライグマの縄張りに認識されたくなかったからです。 で、すごいなと思ったのは、アライグマがピンポイントで直接私の家の庭のバードテーブルに やってきたその能力です。 普段、この辺りはアライグマの目撃情報はありませんでした。 私の家は森から数十メートル程、離れていると思います。 森と私の家との間には、小さな小さな小川(重複表現、承知!)と家が3軒ほど建っていています。 道路も2本あります。 庭は家々囲まれていて中庭状態で、森から一直線には見えないし、っていう場所です。 カラスのように視覚に頼る動物ではなく、そもそもカラスも見逃したバードテーブル内の脂身です。 嗅覚。 これしかありません。 3月上旬の札幌。 もちろん草木は眠っていてこれといって香りを放つものはありません。 でもヒトである私からしても、冷えた脂身の臭いたち込めているという感じからは程遠く、 まったく臭いはしていなかったです。(ヒトの嗅覚的には) そもそも少量ですし。 ヒトには見えないものが見えるカラス。 ヒトにはかぎ分けられない臭いを探し当てるアライグマ。 ヒトが知りえる世界はほんの一部だという事、 世界はもっと色や臭いで満ちていて、もっともっと豊かであるんだろうな。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ やまねこ読者の坂手保弘さんから、とても興味深いメールと画像が送られてきました。 あわや大発見か!っていう話題です。 やまねこ読者が世界に大発見を発表するのかっていう事になりそうな画像でした。 超レアな虹の話です。 理解するには、気象や虹の仕組みの知識が必要で、 メールを貰ってから私もネットで仕入れたにわか知識を総動員しました。 -------------------------------------- [坂手保弘さん] みかりん… たっ、たっ 大変だ!すごいものを見た。 今朝、虹 それも、太陽側に! http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/252c.htm めずらしいなぁーと思って車止めてスマホで写真撮った。 ウィキペディアで調べたら、沖縄で4回撮影された記録があるだけらしい。 しかも、それは、第三の虹です。 解像度が悪くて写真はわかりずらいのですが、色の並び順が第三の虹の逆になっています。 ここだけの話、写真に撮られたのは「世界で初めてかもしれない」ぐらい興奮しています。 NHKの投稿Do画に先ほど投稿しました。 以下はその時の文章です。    ******  ******  ******  ****** 千葉県旭市 今朝、田んぼの中を通勤で車で走っていたところ、 変な方角(太陽に対して)に虹が出ていることに気が付きました。 車を止めて、スマホで写真を撮りました。 昼休みに、ネットで調べたところとても珍しい虹であることがわかりました。 (詳しくはウィキペディア) 第一の虹:普通に見える太陽を背にした虹。 第二の虹:第一の虹の外側に見える虹。色の並び順が逆になっている。 第三の虹:太陽側に見える虹で太陽から離れた角度にでる。色の並び順は第一と同じ。      沖縄で4回確認されている。 第四の虹:ウィキペディアによると理論的には存在するが、観測されているかどうかわからない。      記録はありませんでした。色の並び順は第三の虹の逆に見えます。      より太陽に近い角度に出るらしいです。 第四の虹とは私が勝手につけた名前です。スマホの写真でもったいない。 ちゃんとしたカメラで撮りたかったです。 私が一人で興奮しているだけですので、気象予報士のかたなどで検証してください。    ******  ******  ******  ****** -------------------------------------- [みかりん] すぐに理解ができなくてwikiを見たり メールを何度も読み返してその凄さに打ち震えました。 これはものすごい貴重な写真?!かも? それにしても私の虹に対する知識のとぼしさ。 ネットを駆使してにわか勉強しました。 まずここを見て。 http://www.02320.net/sun_phenomena_halos/ ここの下の方にハロと第3の虹の違いが書いてあります。 共通点 太陽の側に出る  相違点 第3の虹とハロは色順が逆 ではこのハロとは何者なのか。 暈(かさ ハロ) https://web.archive.org/web/20090228003001/http://homepage3.nifty.com/ueyama/sky2/skyrare.html こんな所がヒット…う〜む。理解できん…。(笑) ハロは白っぽく見えることが多いようですけれど、 坂手さんの写真はかなり赤から紫へのスペクトルがはっきり見て取れます。 この写真は「暈(かさ ハロ)」のスペクトルがはっきり見えたもの???? 第4の虹にしろ、暈のスペクトルがはっきりしたものにせよ、 かなり珍しい現象を写真におさめた事には変わりないです。 気象予報士さんの説明が欲しい所です。 投稿DO画から返信なり反応があったら私にも一報ください。 私は子どもの頃、「なぜ虹は弧を描くのか問題」に頭を悩ませていました。 何年も悩んである時「太陽が丸いからではないのか」と気がつきました。 そんな事を考えていた事を誰にも言ったことはありません。(これが初告白です) そしてそのような結論に至った事も誰にも言っていません。そしてそれが正しいかどうかも知りません。 という事を思い出しました。 -------------------------------------- [坂手保弘さん] ハロ、記事を読みました。 いわゆる「笠」ですよね。 日笠、月の笠。まーるい輪っかが出ることを見かけます。 白いだけで虹色になっていません。 飛行機に乗ると、席が空いていれば窓側に乗ります。 下の雲に、運が良ければ、ブロッケンの妖怪が見えます。 飛行機の形のかげを中心に周りに丸い輪が見えます。 白い輪で虹色になっていません。 氷が反射すると乱反射で白く見えるものと思っていました。 でも、ハロ(=氷、=笠)でも条件がそろえば虹色になるのですね。 22度の角度にハロが出るようです。 私が撮った写真は、立った場所が完全に特定できます。 また、風景を入れましたので、電柱や建物から太陽からの角度を確認することができます。 後日、太陽から虹までの角度を確認します。 22度であれば、「ハロ」と思って間違いないようです。 あーぁ。 世界で初めて、第四の虹を写真に撮ったと思ったのに…残念。 ところで、なぜ虹が丸いか? みかりんの疑問を考えてみました。 光源(=太陽)が一点でそこから光が広がっているから、同じ角度で反射する点の連続は丸くなる。 確証はありませんが、あっていると思います。 もし、太陽が棒状(蛍光灯の様に)であれば、虹は棒に平行に2本出ると思います。 ついでに、棒の端はそこから離れた確度で弧を描くので、閉じた“輪”になるかな? ん? 地球では太陽は1個ですが、2個で連星になっている恒星も珍しくないとどこかで読んだ気がします。 この場合の虹はグッチのマークみたいに2つ出る? ダメダメ。 論理的にはそうでも、2つの太陽が虹の幅(赤〜紫)の角度よりもっと大きく離れていなければ 重なって確認できない。って事ですね。 -------------------------------------- [坂手保弘さん] 22度ハローの角度を測ってみました。 結論を先に言いますと、太陽より右側の虹は正確に22度でした。 測量器などがあれば造作ないのですが、手元にあるもので風景の角度を正確に測る事にかなり苦労しました。 始めは、用箋ばさみに挟んだ紙に、目線を風景に合わせて線を引いてみました。 この方法は、まったく安定しなく目標に対して±10度くらいはブレてしまいます。 この方法では、22度(46度)を測るのはムリと判断しました。 しばらくしてから、携帯電話(アイホン)に、コンパスがついていることを思い出しました。 先の用箋ばさみの真ん中に線を引き、アイホンを線の中心に固定し、 その線を目標の方角に合わせたときの磁方位を記録、2点間の角度を測りました。 ±1〜2度で測定できました。何度か測定したところ、ほぼ22度で間違いないようです。 ということで、第4の虹は幻の虹で、本当は22度ハローでした。 ちゃんちゃん。 指摘をしていただきありがとうございます。 氷の屈折でも虹が出ることは思いもつきませんでした。 言っていただけなければ、いまでも「世界で初めての虹だ」と思っている事でしょう。 まぁ、いづれにしても太陽側に出る虹は珍しいことに変わりはありません。 いくつもの条件が重ならないと虹に見えない(ならない)と思います。 たぶん今後見ることはないと思いますので、貴重な体験でした。 -------------------------------------- [みかりん] 22度ハロという単語に初めて会ったんで ネットであちこち徘徊して少し知識を仕入れました。 すごく判りやすかったサイトがここ。 http://www.02320.net/ice-halos/ http://www.02320.net/sun_phenomena_halos/ ここも三次虹とハロの違いについて説明しています。 そして22度ハロの簡単な見分け方がこれ。 http://abjapan.exblog.jp/23775672/ いやぁ、今回の坂手さんのそもそもの最初の写真。 あれを撮って「もしかして第4の虹か?」と思ったのがまずすごいです。 http://weathernews.jp/s/topics/201607/270135/ ここでは3重のハロの図解。 22度ハロが六角柱の氷晶で見られるんだけど 9度、18度のハロは複雑な形をしたピラミッド氷晶と呼ばれる氷の粒で現れるんですね。 今回のお話、かなり興味深く勉強させていただきました。 ありがとうございます。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★ここの所、AI(人工頭脳)などのテクノロジー系の進出が世界を席巻しています。  やまねこ通信としては本来ならどんどんこれらにも触れて行くべき話題です。  バク宙するロボット、仮想通貨の普及と混乱、AIがAIを作ることに成功、  自動運転の車などなど、今、テクノロジー分野のニュースは熱いです。  でも、私の理解が追いつかなくて(好きな分野だけど、そもそも理解できない(笑))  記事として取り上げることができなくてもどかしい思いをしています。  先日NHKのテレビで、中国では偽札が横行しているので現金に信用がなく、  スマホ決済が当たり前で、屋台でのお金のやりとりも屋台にあるQRコードにスマホを  かざせば成立と紹介されていました。  そればかりか、おばあちゃんが孫にあげるおこづかいもスマホでのやりとりで済むんです。    それに比べて「日本は現金信仰が根強く」と紹介していました。    世界は大きく変わりつつある。  日本もたぶん2020年の東京オリンピック目指して 大きく変わるのだろうっていう予感が  ビンビンしています。  私は未だにパカパカケータイを使っているけれど。    ★vol.252の参考にした書籍&サイト     マンボウのひみつ  著/澤井悦郎 岩波ジュニア新書     wikipediaアライグマ     https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%B0%E3%83%9E     カラスは紫外線が見えるって本当?     https://woman.mynavi.jp/article/150110-137/ ★ラジオ山猫通信の過去の放送 (2010年1月4日第9回放送〜2015年12月22日第152回放送)が、  パソコン、スマートフォンから聴けます。  http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm  ↑ここの右側「ラジオ山猫通信」って所をクリックしたら聴けます。   ★私はいつも「やまねこ通信 E=MC二乗」の事が頭の隅にあります。  次回テーマは何にしようかと常に思っています。  「やまねこ通信 E=MC二乗」は、私みかりんを構成している大事な要素です。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹     ★彡★彡★彡★彡★彡『蟹屋 山猫屋』★彡★彡★彡★彡★彡 生まれも育ちも北海道育の“みかりん”が、北海道の味覚を全国の方に広めるために 『蟹屋 山猫屋』を立ち上げました。一級品の道産品をお手ごろ価格でネット販売! 読み物としても楽しめるものを目指しているよ。    登録はここ→ http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/kani/   山猫屋の蟹は冷凍ガニではありません。ボイルしたてを食卓に直送! 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹    ↑↑↑  私、みかりんのもうひとつのメールマガジン。  北の味覚。海産物。蟹おいしいよ〜。海水ウニもありますよー。  予算はこれくらい。食べる人数はこれくらい。と教えてくれたら、その中で  できる限りのご提案をします!山猫屋の蟹は冷凍物は扱っておりません!  さぁ、タラバ食べたいよう、毛ガニ食べたいようのメールをみかりんに書こう。  毛蟹の良いのが入荷してきています。  北の食材たちは脂が乗っておいしいです。  この機会に、どうぞ冷凍ではない蟹を!  ご贈答に、山猫屋の海産物を。 それじゃ、今回はここまで。 あなたのお便り待ってます。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ここ一年くらいで会った珍名さん。 西上床(にしうえどこ)さん。 當麻(たいま)さん。 興膳(こうぜん)さん。 五百旗頭(いおきべ)さん。 三盃(さんばい)さん。  みなさんかなりの珍名さんだと思うの。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○ やまねこ通信E=MC二乗 vol.252  2018年3月25日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さには  まったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。  それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━