2019/2/10━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.255 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 イヌの起源といえば、人懐っこいオオカミを飼いならしたものがイヌである。 というのが現在の一般的な説です。 今日のお話はその説に一石を投じる話です。 ざっくり言うと 「イヌはオオカミの子孫ではない」 「オオカミから派生したイヌは最初からイヌだった。そしてヒトと出逢った」 です。 あくまでも仮説です。 でもしっくりくる話です。 私は進化の真理にかなり近づいているんじゃないかという印象を持ちました。 今日はそんな話を「メイン記事」と「みかりんの叫び」で紹介します。 「やまねこ投書箱」と「編集後記」を含めて、いつもよりも(いつもだけど) より長いです。長文です。 果たして最後まで読んでくれる人がいるんでしょうか。(笑) ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm 「ラジオ山猫通信」も、ここから聞くことができます。↑ ━■狼は狼、犬は犬の話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 世界中に狩猟犬がいます。性質はそれぞれで違います。 猟師がシカのいそうな森でイヌを放します。 イヌはシカを倒したら猟師のもとに帰ってきます。 猟師はイヌに「シカを倒した所に連れて行け」と命じると、イヌは案内します。 猟師のする事といったら、ただイヌが来るのを待っているだけなんです。 ノルウェーのノルウェージャンエルクハウンド、ドイツのワイマラナー、韓国の珍島犬など、 こういう1匹1殺のやり方を採用している猟師とイヌの関係は世界中にあります。 または数匹のイヌにイノシシを追わせ、猟師は待っているだけです。 その内にイヌがイノシシを噛み倒した事がわかると猟師は現場に駆け、 その場でイノシシを解体して、イヌに肉をやります。 獲物を襲わないイヌもいます。 イギリスで作られたラブラドール犬がフランスに持ち込まれた時に 当時のフランス人が驚いた記録が残っています。 シカ狩りに連れて行ったら従来の狩猟犬と全然違うんですね。 無駄吼えをせず、シカを襲わないんです。 シカのにおいを追ってシカを追い詰めて、猟師をそこに連れて行くだけなんです。 においを追っている途中でラブラドールを呼び止めたら、 キョトンとして「何で呼び止めたの?」となってそこで仕事を放棄してしまいます。 シカがとび出てきたら、ラブラドールは猟師の後ろに隠れるという記述も残っています。 愛されキャラです。 イギリスのジャックラッセルテリアは、ネズミ駆除に長けています。 中世にはペストやコレラが大流行しています。媒体はネズミです。 ネズミ駆除といえばネコと思う所ですが、1匹のネコなら2匹のネズミで満腹になります。 ドブネズミなら一匹でも食べきれません。それでは駆除になりません。 でもイヌなら捕ったネズミを食べないのですから、いくらでも殺していきます。 当時のイギリスではネコよりもイヌの方がネズミ駆除に適している事を知っていました。 この習性を利用して、現在ではジャックラッセルテリアの競技会がたくさんあります。 土管の中を走ったり、障害物を乗り越えてネズミの模型を捕る競技とか。 布で作ったネズミの白い模型がモーターで動き出したら、ジャックラッセルテリアは もうじっとしていられません。 まず、ここまでを一言でまとめると、「狩猟犬は獲物を襲っても食べない」ということです。 普通の肉食獣なら、「獲物を倒す」→「食べる」で行動が完結します。 でもイヌは「獲物を倒すor追い詰める」→「飼い主に報告して連れて行く」→ 「飼い主が獲物を解体して、イヌに肉を与える」で行動が完結するんです。 イヌとヒトとの特別な共生関係が見えます。 もうちょっとヒトとイヌの共生関係の例をあげていきますね。 アフリカのある部族の毒矢は即効性がなく効き目が遅いです。 矢を受けた獲物は逃げます。 それをイヌが追います。ヒトはイヌを追って、毒で弱った獲物を仕留めます。 イヌは必ず飼い主のもとに戻ってきます。とても有用です。 南アフリカのナミビア共和国のヒンバ部族のイヌは、ヒトと付かず離れず暮らしています。 ヒンバの人たちは飼っているヒツジを食べるために殺します。 肉は人間が食べます。内臓は全部イヌにやります。 イヌはそうやってヒトからエサを貰って暮らしています。 イヌはどんなに叱られても原野には行きません。 ヒンバの人たちは自分たちが暮らすのにいっぱいいっぱいです。 でもイヌが具合が悪くなると診療所に持ち込んできます。 イヌはヒンバの人たちにとって、とても大事で2頭も3頭も欲しがります。 ヒンバの人たちの家は地べたと繋がっていて、ヘビが入ったりして子どもを噛むんですね。 それを防ぐのがイヌなんです。 イヌはヘビを追い払うだけではなく、ライオン、ヒョウ、チーター、ジャッカルなど そういうものから家畜を守るためにも非常に有用です。 吼えて知らせてくれる。だから追い払いにいけます。 アフリカにはたくさんの野生動物がいます。 でも、野良犬が野生動物と一緒にいる事はありません。 イヌは人間のもとへもとへとやってくる性質があるんですね。 ヒトと協力してエサを貰う。 イヌは他の動物と決定的に何かが違う特別な動物だと考えていいと思います。 それでは次に、自分で獲物をとるディンゴについて語ります。 オーストラリアは有袋類の大陸です。 そこにヒトがやってきました。今いるアボリジニの人たちのことです。 アボリジニの人たちがやってきたのは、割と最近で、3000年くらい前とかそんなもんです。 色々な説がありますが、今、私が参考にしている本ではヒトが先に来て、あとでイヌが来たと 書いてあります。 アボリジニがイヌを手にいれました。 非常に大きな喜びだったようで、その喜びは口伝えで残り、聞き書きで資料になっています。 そこにたくさんのイヌの話が出ています。 イヌのように素晴らしい生き物はいないと。 イヌが増えると狩りが容易になりました。 もともとイヌを飼う文化がない所に有用なイヌが来て、イヌはとても増えていきました。 増えたイヌは野外にしみ出していってディンゴになりました。 でもその原野の中であれだけ優秀なイヌが勝利者になっていないんです。 オーストラリアの生態系を考えると、エサは豊富にあります。 カンガルーやオポッサムとか、小型のたくさんの有袋類たちが地にあふれているのに。 ディンゴの数は少ないです。行動体系はファミリー単位で2頭から4頭。 大きな群れは作らないんです。 ほんとうにひっそりと暮らしているんですね。 ちゃんとしたイヌ社会を作っていれば生態系の頂点の勝利者になれる能力があるのに。 ※wikipediaでは、ディンゴはオオカミ扱いになっています。  今、私がもとにしている本はイヌ扱いなのでここではそれで。  今回参考にした本についてはこのあとの「みかりんの叫び」で語ります。 ディンゴのように野外にしみ出したイヌは他にもいます。 ニューギニアシンギングドッグです。 ニューギニアに移住する人たちが持って行ったイヌが森に逃れて自分たちで繁殖しています。 ガラパゴスにもいました。 人間が連れて行って放り出したイヌたちです。 このイヌたちは、最大で4頭の群れでウシ、ヤギ、イグアナを食べて生き延びています。 どれも最大頭数が4頭が精一杯で、そして条件が揃っているのに生態系の頂点に君臨という かたちにはなっていなくて、ひっそりと生き延びているという印象です。 その点、ネコは違います。オーストラリアの牧場主はネズミよけにネコを好み、 たくさん投入しました。 最初のうちこそ牧場内をうろうろしていたネコはそのうち堂々と外へ出て行って 野良ネコ化します。 オーストラリアのもともとの自然は、小型の有袋類の宝庫だったんですけれど ネコの導入で生態系が変りました。 ネコにはそう所があります。 ネコがいなかった島にネコを放つと島の生態系が変わって大変な目に遭います。 やまねこ通信vol.250のメイン記事「頭が赤い鳥のシャア仮説の話」でも アカポッポという鳥を保護するために島にいるすべてのネコを排除する事から始めています。 イヌとネコではそれだけ差がでます。 ネコは手付かずの自然の中で勝利者になれるし、イヌは勝利者になれないのです。 ここにもイヌという動物の特色があります。 イヌの習性の話しを2つします。 ひとつはレトリーブ(持ち帰る)です。フリスビーとかを投げると持ってくる行動です。 これ、イヌ自身はどう使っていいか自分でも判らない習性なんですね。 鳥が逃げるから追いかける。→間の悪い鳥がイヌに捕まってしまう。→ イヌは鳥を咥えてからどうして良いかわからず。→飼い主の所に持ってきてしまう。 こういう事が起きます。 遺伝の力というかイヌ自身でもわからないんです。 自分で食べるのか、子どもにあげるのか、隠すのか。そういう目的がある行動ではないんです。 これがキツネなら、腹が減ってれば食べるし、減ってなければ埋めます。 もうひとつ。 ネズミ狩りが得意なイヌがいました。 まず見る→何かが動く→すっと前進する→23秒〜24秒待つ→とびつく→ネズミゲット。 ある刺激に対してネズミはフリーズします。固まってしまうんですね。 こうなるとイヌには見えません。でもいつまでもフリーズしてられないので20数秒で動きます。 ここをイヌが見逃さずに捕まえるんです。 このコツを習得したイヌはネズミ狩りの名人(名犬)になります。 狩りなので確実に殺します。でも食べないんです。 「殺すんだったら食べるぶんだけに」と言いたいんだけど、そうじゃないんです。 イヌにもこの行動が何なのかわからないんです。 フリスビーを投げられたらそれを捕ってくる。それと同じものが彼らの中にあります。 目的がないんです。目的があれば、フリーズした→動いた→捕った→殺した→食った で、完結なんですけれど。 イヌのネズミ狩りは、食べないで置いておいて放っておいてもう興味がないんです。 さてここから少しずつ本題に入っていきます。 やまねこ通信のどこかで語ったような気がするんだけれど(見つけられなかった) ソ連時代のロシアで、ベリャーエフという人のキツネの実験の話です。 たくさんのキツネを飼い、その中でもおとなしい個体を選び、掛け合わせ、それを何世代にも 渡って営々と続けました。そして40年もするとキツネの形態に変化が現れてきました。 耳が垂れた個体。ぶちの個体。巻き尾の個体。 キツネがイヌ化していったように見えます。 世界中のイヌ好きたちが驚きました。 ヒトが長い時間をかけてオオカミを自然選択してイヌを作ったのを、 実験で効率的に数十年でキツネをイヌ化出来たって事?って。 今ではこの話はかなりメジャーになって検索したらイヌっぽいキツネの動画などを見る事が できます。 動画では、あの用心深いキツネにあるまじき行動が見られます。 耳の垂れたブチで巻き尾のキツネが嬉々として人のあとをついて歩くんです。 その行動はイヌにしか見えません。 現在この実験の創始者であるベリャーエフ博士は亡くなって、ツート博士という女性が 引き継いでいます。 で、今、参考にしている本の著者はこの実験の欠点を予想しています。 その上で見学に行っています。 ツート博士は言います。 「どんなキツネも私のあとをついてくるのよ。本当によく馴れたイヌとかわらないのよ」 これは違うと著者は言います。 どんなに馴れたキツネでもそれは第一次社会適応期の結果であって、 3年もすれば第二次社会適応期になってキツネの遺伝子が働いて、 やっぱりキツネになってしまう。それが野生動物だ。と。 第一次社会適応期と第二次社会適応期。 第一次社会適応期では、親が一番良いんだけど、でも育ててくれるんなら何でも良いんです。 最初に育ててくれるものに懐きます。 でも必ず第二次社会適応期がやってきて、ヒトが触りまくってどんなに可愛がっても キツネはキツネに、タヌキはタヌキになりますっていう話です。 だから、「人間に慣らしすぎたら野生の動物にならないよ」という考えに真っ向から反対する 考え方です。 だからタンチョウを育てるのにタンチョウのぬいぐるみを着て、ヒトを親と思わせないように 配慮するというやり方(現在ではこの方法が世界の主流です)を著者は笑います。 パンダを例にしましょう。 中国から日本にパンダがやってきました。 何かあったらいけないから冷暖房完備ですごい部屋を作って飼育員はパンダと距離をおいて 育てます。これをやるとパンダはなかなか交尾をしないんですね。 一方中国四川省のパンダ飼育所では、パンダが子どもの頃、ヒトと徹底的に遊ぶんです。 こんなにふれあったらパンダがヒトがいなきゃダメになる、とか考えないんですね。 一緒に遊ぶ事でパンダとしての心を育てるのが大切と考えているんです。 昔は、人間の赤ん坊は、脳細胞が少なくて育っていくにつれて どんどん細胞が分裂して増えていくと考えられていました。 これは間違いでした。 赤ちゃんは、むしろ成人よりも脳細胞の数は多くて、そして刺激を受けることで使われる細胞が 残って行くんです。 たくさん使われる回路が残るんです。 たとえばその回路が2歳までに使われなければだんだん退化していく。そういうシステムです。 子ギツネをとても刺激の少ない育て方をしたとします。 穴の中にいて、親もほとんど帰ってこない生活です。 そういう生活をすると脳の回路はどんどん消えて、必要不可欠な回路だけが残ります。 反対に、子ギツネを兄弟の多い、それどころかイヌもネコもヒトもいるような環境で育てると 脳の細胞がいろいろな刺激を受けて、穴の中で眠って育ったものよりも、非常に幅の広い 生き生きとした子ギツネになります。 こういう子ギツネは、第一次社会適応期が長くなります。倍以上です。 で、このあと大自然に出て行く事で、脳は次のステップに行く神経機構が育っていきます。 脳が膨れ上がって新しい回路を作るんですね。 これが第二次社会適応期です。 第二次社会適応期の回路には、今まで生活してきたことに対するアンチテーゼが含まれます。 この時、キツネはキツネに、タヌキはタヌキになっていきます。 子ギツネ時代をヒトに懐いたイヌのように過ごすしたからといっても、 キツネはイヌにはならないんです。 オオカミとイヌは混血してオオカミ犬ができます。 オオカミ犬は成長すると外に外にと出ようとします。 簡単にいうと逃げ出します。 100年ほど前に平岩米吉という在野の動物学者が、樺太でオオカミとイヌの雑種について 実験観察した記録があります。 ここではF1(雑種第一代)、F2、F3、F4と雑種をどんどん作って オオカミの血を薄めていきました。 結論は「堕落したイヌしか得られなかった」と書かれています。 つまりイヌらしくないんですね。 イヌらしいとは何か? たぶん「信じて頼り切って身を任せてくれる」とか 「ヒトにとても関心があり、ヒトを観察していて、ヒトの役にたつ事の喜びを感じる」とか そういう事だと思うのです。 誤解しないでください。これはオオカミ犬を否定しているのではないです。 オオカミ犬が成長して、ヒトのもとを離れたがり、そうしてある時、逃げ出します。 見つけて連れ戻した当初は大喜びなんですけれど、また逃げ出します。 たとえば、はぐれたかつて飼っていたオオカミ犬に偶然原野で出会ったとき、 大喜びで飛びついてきて舐めまわしてきます。でもやっぱり居つかないんです。 オオカミ犬が成長するとなぜいなくなるのか? イヌの遺伝子の上にオオカミの遺伝子が乗ります。 オオカミの「第二次社会適応期が来ると原野へ向かうという行動の遺伝子」が乗るんです。 F1になってもこの遺伝子は残ります。 オオカミの血が入るともうイヌにはならないんですね。 F2、F3になってもその遺伝子は、次の代に送られていくんです。 だから室内飼いは無理で、逃げられるリスク付きで外に繋いで飼うしかありあません。 オオカミと交配してその遺伝子を入れてやれば、出て行ったオオカミ犬は オオカミと一緒になってオオカミ社会の中に入っていきます。 だからオーストラリアの大きな群れを作らないディンゴは、イヌだと著者は言います。 オオカミみたいな大きな群れを作る遺伝子がないからなんです。 飼いネコ、飼いイヌには時々「レトリーブ」する個体がいますね。 飼い主に持ってくる行動です。 ネコ場合はレトリーブのピークは春です。 繁殖してなくても発情がきていて、子どもを産む時期に合わせて小鳥やネズミを 持ってくるんですね。 動物の体の中にあるプログラムが進行しているんです。 ネコの場合は持ってくるかこないかは、エサの大きさにもあります。 小さいと食べちゃいます。 大きいのを捕まえると喜んで子どもに持ってくるんです。 これがネコのレトリーブの起こる原因です。 ネコの場合は、子どもに与える、または自分で食べるという目的があるんですね。 さてイヌです。 イヌは、投げられたフリスビーを持ってくる。 これはヒトに褒められるから??? 唯一考えられるのは「子どもだから」。 その行動が遊びなんです。 動物は遊びの中で重要な狩りの要素を覚えていきます。 レトリーブも、動物を追いかけるのも全部狩りの練習です。 チーターの母親は、殺さないように捕まえたインパラを、ある程度大きくなった子どもたちの 前に置きます。 インパラが立ち上がる→子どもたちが襲う→インパラを倒す で、インパラが全然動かなくなるとチーターの子どもたちは興味がなくなるんです。 横向いて知らんぷりなんです。 またインパラが動くと襲います。 この繰り返し。 子供のうちはそれを「食べる」という目的に繋がっていないんです。 イヌはまだ「心理的に子どもだから」 そういう大人の部分をヒトに預けているんです。 「そういうところは、おれ、考えるのめんどくさいよ。おまえやってよ」です。 そう理解すると、イヌが猟師と獲物を追っていても獲物を「食べない」秘密が垣間見えます。 先に例にあげたロシアのキツネの研究所の欠点。 人馴れして尻尾を振っているのは、第一次社会適応期だけをみての結果です。 どんなに馴れたキツネでも、第一次社会適応期が延びても、 いずれは第二次社会適応期が来て、キツネの遺伝子が働いてやっぱりキツネになってしまいます。 それが野生動物なんです。 それでは何故研究所のキツネに耳が垂れる、ブチ模様が出る、巻き尾になるなどの 形態上の変化が現れたのか。 著者はその事について仮説を立てています。 研究所では、「血族結婚ではない」と「繁殖系統図を作った」と主張しています。 でも人馴れするというグループ分けはしているんです。 そのグループ分けが、似た遺伝子のタイプを選り分けて、 染色体の傷が補填し合わない結果として、耳垂れ、ブチ、巻き尾が出たとしたら、 これはこれで発見だと著者は言っています。 さて本題に戻って結論に向かいます。 ひとことで言ってしまえば「イヌには第二社会適応期がない」です。 基本的にイヌとヒトとの関係は「親と子の関係」なんですね。 現在よく言われている理論(人懐こいオオカミの子孫を飼いならしたのがイヌ)では イヌを飼うなら「家族は群れ」だから飼い主はボスにならなければならない。となりますが そういう関係になったとしたら、飼い主が病気で倒れたらイヌは喜んでボスになるはずです。 でも実際はそんな事はないです。 健全な関係が作られているイヌと飼い主なら、飼い主が病気で倒れたら イヌは心配して看病してくれます。 やまねこ通信ではこれまで色々な「共生」の話を紹介しました。 共生は、ある生き物とある生き物が「契約」したとしか考えられない生き方の戦略です。 たとえばある植物は、ある昆虫のみを招いて蜜を与え花粉を運んでもらう。 こんな例はゴマンとありますね。 エジプトイチジクとイチジクコバチの濃密な関係は、やまねこ通信vol.193で紹介しました。 たとえば北海道のまだ寒い競争相手の少ない春先に真っ先に花をつけるサクラソウは、 ふわふわの毛に包まれたエゾオオマルハナバチと契約しています。 ウツボとベラの関係では、ベラはウツボの体の寄生虫を食べ、縄張り争いはウツボに 任せて共生しています。 で、ヒトとイヌもこの強固な共生関係だという説なんです。 オオカミと契約したのなら成長すると出て行ってしまいます。 イヌはヒトと共生するに当たって社会性をなくしたんです。 「おれたちは社会を作らないよ。人間が作ってよ。あんたたちに付いていくからさ」です。 イヌが人間の所に来て、人間が好きで、自然の中で生きていける能力はあるのに自然に返らず 人間のそばに居たがる説明が付きます。 ホモサピエンスが出アフリカの頃はいつだったか。諸説ありますが15万年前くらいです。 イヌがオオカミと分かれイヌになったのが同じくらいの時期です。 あの時代にイヌとヒトが契約したのではないか。と著者は考えています。 意識して飼ったのではなく、イヌがなんとなくヒトの周りに居つく状態です。 するとかなり便利なんですね。 ヘビやサソリのたぐいから家や家族を守る。狩りの手伝いをする。 イヌがいる狩りといない狩りでは成功率は格段に違ったでしょう。 また別の本には(これについても「みかりんの叫び」で紹介します)、 イヌはヒトと共生を始める何万年も前から、オオカミとは別の進化をたどっていた。 イヌは、他者を受け入れるという性格によって人間と生活する道を選んだ。 現在の遺伝子解析の結果はそう指し示している。 と書かれている箇所を見つけました。 私は「なるほど、そうか!」と膝をポンと叩いたものです。 日本にはかつてニホンオオカミがいましたが、ニホンオオカミが家畜化されて日本犬に なった訳ではないです。 イヌはイヌとして日本列島に渡ってきました。 オオカミと交雑する事はあったとしても、手元に残るのは逃げ出さなかったイヌだけなんです。 オオカミ遺伝子が乗ったものは出て行ってしまってオオカミ社会の中で生きていきます。 いつもヒトのもとに残るのはピュアなイヌなんです。 ヒトはイヌに選ばれたんだと思います。 イヌは他の動物と違って特別な動物なんだと思います。 ━■みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「カイコの謎」 カイコは今4000年以上も前、中国で飼われはじめたといいます。 中国最古の文明の地である黄河流域の遺跡に、養蚕が行われたと思われる遺跡が みつかっています。 伝説では、黄帝妃の西陵(さいりょう)氏が、庭で繭をつくる虫をみつけて、帝(みかど)に ねだって飼いはじめたといいます。 絹のsilkは、西陵氏(Si Ling-chi)が由来で、紀元前2600年頃の事だというから、 今から4600年くらい前のことです。 カイコは究極の家畜です。 イヌネコなら野良イヌ、野良ネコはいますが、野良カイコは存在できません。 カイコを野生のクワにとまらせると一週間ほどで全滅します。 風で木が揺れると把握力が弱いカイコは木から落ちてしまって這い上がる事はできません。 そこで餓死か捕食されます。 樹上でも白く目立つのでアシナガバチに捕食されやすいです。 それらを克服してマユを作れたとしましょう。 でも羽化しても、成虫は飛ぶことが出来ないので、配偶者を探すことも産卵場所を探すのも 無理です。 他の動物は家畜になっても内に野生を秘めています。 カイコほど家畜化の進んだ動物はいません。 現在、カイコの原種はクワコと考えられています。 カイコとクワコの雑種が生まれますしね。 でもあまりにも性質が違います。 カイコは群がります。 クワコはけっして群がらないです。 カイコはほとんど動き回りません。 クワコは活発です。成虫も活発に飛び回ります。 この違いは「ヒトが飼育化をすすめているうちに、遺伝的に淘汰されて 今の飼いやすいカイコになった」と、実に簡単に説明されています。 伝説では、西陵氏が庭に出て絹を紡ぐ虫をみつけて最初の布を織った事になっています。 布を織るくらいなら相当数のマユが必要で、その虫はたくさんいたことになります。 カイコは群がる性質があるけれど、クワコは群れないし飼いやすい昆虫ではありません。 西陵氏はどうやってマユを取ったんでしょう。 で、ここからが重要なんですけれど、先ほども述べたようにカイコとクワコは雑種ができます。 この交雑した幼虫を、カイコを飼うように飼うと、 半分は逃げ出して、半分が残ります。 クワコ的なのが脱出して、カイコ的なのが残るんです。 あれ?この話、どこかで聞いた事ありませんか? 先ほど紹介したオオカミとイヌの交雑した話とまったく同じです。 オオカミの遺伝子が乗った雑種が逃げ出し、オオカミの群れに入っていき、 手元には常にイヌが残る話とまったく同じ構図です。 ここまで、まるでメイン記事のような語り口でお話してきました。 ここからいつもの言いっぱなしの「みかりんの叫び」調になります。 ある日、私はいつものようにネットの海をうろうろしておりました。 そしてあるサイトに行き着いたのです。 https://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/pickup/interview/mutugorou/ ここです。↑ メイン記事で私がもったいぶった「著者は」という言い方をしていたのは畑 正憲さん、 ムツゴロウさんの事でした。 このサイトでムツゴロウさんは「イヌはオオカミの子孫ではない」と言っています。 これを初見で私は「またまたぁ、ムツゴロウさんってば」とあまり意に介さなかったんです。 これがある日の午前中の事でした。 この日、私は用事があって午後から街に出ました。 予定より早くに街に出て余った時間を大きな本屋で立ち読みで過ごしていました。 その時なにげなく手に取った本が「オオカミと野生のイヌ」という美しい写真の多い イヌ科の本でした。 この本をパラパラとめくると目に飛び込んできたのがメイン記事でも紹介した文です。 ==================== イヌはヒトと共生を始める何万年も前から、オオカミとは別の進化をたどっていた。 イヌは、他者を受け入れるという性格によって人間と生活する道を選んだ。 現在の遺伝子解析の結果はそう指し示している。 ==================== え? 何これ。これ午前中に読んだムツさんの言ってる事とまったく同じじゃん。 人懐こいオオカミを選択した結果がイヌという今までの通説が覆されてるの? 私は驚いて家に帰ってから再び朝に読んだサイトに行き何度も熟読しました。 そして「1日に2度もこの説が私の目に飛び込んできたのは偶然ではない」と感じたのです。(笑 それで、このサイトで紹介されているこの事を語った著/畑 正憲の本、 「犬はどこから…そしてここへ 犬はオオカミの子孫ではない」を買おうとしました。 そしたら…愕然としました。 この本は絶版だという事。 amazonのレビューはどれも高評価である事。 中古本だと送料込みで5000円にもなってしまうこと。 もとは1429円なのに。 手に入らないとなるとますます読みたくなります。 それで図書館に置いてないか調べると、それほど近くない図書館に1冊ありました。 図書館は図書館同士で連携が取れているので、取り寄せが出来ます。 それで近所の図書館で受け取りが出来るように手続きをしてやっと入手に成功しました。 そうして何度も何度も読みました。 ムツさんが何を言いたいか。何を見つけたか。何を伝えたいか。 これをどうやってやまねこ通信で伝えるか。 そうこうしている内に、またひとつ追い風が吹きました。 私の家に昔からある本で「タコはいかにしてタコになったか」という著/奥井一満の本の中で カイコとクワコとの交雑種は逃げ出す話が載っているのに気づいたのです! これらの本を発行年代順に並べると 「タコはいかにしてタコになったか」は、1997年の本です。 「犬はどこから…そしてここへ」は、2007年の本。 「オオカミと野生のイヌ」は、2018年の本です。 「オオカミと野生のイヌ」で、現在の遺伝子解析の結果と言っている最新情報に それ以前から気づいて「今までの説は何か変」と感じている人はいたんです。 ムツゴロウさんいわく 「犬とオオカミが結婚したとする。そんな例はいっぱいありますね。 ただそうすると、生まれた二世には、第二次社会適応期ができてしまうんです。 その遺伝子をもってしまうんです。 そうすると人間と住んでいられなくなって、第二次社会適応期の時に、 人間のところから逃げていってしまう。 そうすると、犬だけが人間のもとに残る。だから常に、犬はピュアなんです」 家畜化とは、ヒトのもとに残るようになる事なのかも。 動物の「第二次社会適応期」とはムツゴロウさんの造語です。 でもこの考え方をすると色々な事に説明がつきます。 このあたりを私はこれからも脳内で何度も反芻していくことになりそうです。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 前号で、スイスにお住まいの越前さんから「ウシの痛み」というテーマで この欄で私と越前さんと酪農家の羽田恭さんのやりとりを紹介しました。 スイスで「牛の角を切らない農家に助成金を出す」という議題が出て 国民投票があるという話の紹介をしました。 角を切るときに牛に相当な激痛がありそれが牛のトラウマになり、動物愛護の 姿勢として受け入れられないものがあるという意見をかんがみての国民投票です。 もちろん反対意見もあります。 お互いが傷つけあうこともあるし、人間にとっても脅威になりかねないという意見です。 道北の酪農家である羽田恭さんもこちら側の意見で 「ウシも痛いかもしれないけれど、ツノで怪我したら人も痛い。 下手したら死んでしまう。ウシはかなり目が悪い。しかも臆病で暴走しやすい。 その上、発情したらベテラン酪農家でも予測が難しい。とても危険。 なので生えてしまったツノは切るべき。」 で、そのスイスの国民投票結果を越前さんから頂きました。 ------------------------------- [羽田恭]さん 先日、牛の授精の手伝いで、牛の尻尾もって押さえつけてた。 そしたら発情した牛に何発も頭突き食らった。痛いな、ぐらいですんだけど。 角あったら、俺はケガしている。 勤め先の牧場は搾乳する牛を基本的に放すことなく繋ぎっぱなし。 そんなに身動きはできない。 妊娠して出産までの搾らない約2か月だけ放牧となる。 このやり方は一部の動物愛護家は、やめるべきだと言うかもしれない。 それで牛を放牧場に放すとなると、牛は明らかに興奮して飛び跳ねたりする。 多分うれしいのだと思う。 では再び捕まえて搾乳牛舎に繋ぎっぱなしする時、どうなのか。 繋ぐ所まで牛を追い込む事があるんだけど、以前繋ぎっぱなしだったことがある 経産牛の方がすんなり入っていく。 初産の牛は大体苦労して、ほぼ無理やり押し込む事になる。 となると、牛にとって初めての出来事が怖いけど、あまり身動きできない状況 はそこまで辛くないかも? 牛の前に行くと、大体好奇心一杯にしかみえない目でじっと見つめてきて、 少し引け腰で匂いを嗅いできて、人懐こい奴に至っては 服に咥えてきて引っ張ってくる。 辛そうには思えないのだ。 聞いた話、昔の牛の中には搾乳の度に天井につくくらい、1m近くハイジャンプする牛が いたという。 (体重500キロから800キロの動物が、である。命がいくつあっても足りない) また、一々麻酔をしないと暴れまくって搾乳できない牛がいたとか。 でも今はそんな牛はいない。 暴れる牛の血統は淘汰されたという。 ホルスタインはおとなしい性格だと言われるのは、品種改良の結果だ。 (ジャージーの方が暴れると聞いた事がある。ホルスタインは頭数が多いから、 改良が進んだのだろう) となると、今の牛は繋ぎっぱなしで身動きがあまりできない状態は、 苦痛に感じにくいように品種改良された可能性がある。 酪農家にとってもその方がいい。 つまりストレスを感じにくいため、肉質も乳質も悪くならない。 それにストレスを感じにくい分、暴れることもない。 なら、今の牛たちは結構幸せな可能性がある。 荒川弘の漫画で、農業高校を舞台にした青春群像劇で農業酪農をテーマにした「銀の匙」の中に も豚は密飼いが負担にならないよう品種改良されたとあった。 ぱっと見不幸な状態が、本人にとってはそうでもない時はある。 自分を顧みると、ブラックだろと言われかねない労働時間を健やかにこなしている。 (本日の労働時間約13時間。他の人にどう言われようと楽しくやっており、 負担ではないのです) もちろん客観的に幸せな状態にするのはとても重要だ。 でもそれは人にとってそう思うに過ぎない事は? 酪農業、畜産業にとって楽なように家畜は品種改良され、その結果家畜はそれなりに 幸せなような気がする。 酪農業や畜産業をすぐに動物虐待だ、というのはどうなのかな、と思う次第です。 ------------------------------- [みかりん] 前号で羽田恭さんが 「そういえばスイスなら、ウシはブラウンスイスという品種が主流かな。 ブラウンスイスはあまり大きくない可能性が。ホルスタインは少ないのかなぁ」 と、投稿文に書いていたので、ブラウンスイスを画像検索してみました。 あらぁ、これは可愛い。 大人ウシでもすごく可愛くて、そしてそして子牛のなんてラブリーな事。 人間の都合に合わせて品種の性質を変える。 私はこれはアリと強く思います。 そうする事でヒトも動物もストレスが軽減されます。 野で自立していかなければならない可能性があるのでしたら 人間の都合で奪ってはいけない野性味の性質ですが、 飼育下にある動物は、そのまま野性味を持ったまま飼育されるのは酷です。可哀相です。 投票結果に興味津々です。 ------------------------------- [越前]さん 夕べ夫がある雑誌に投稿されていた農家の年配の女性の意見を見せてくれまして… 無論、今回の投票についてです。 彼女は若い頃、いわゆる「牛の事故」で失明しかけたそうです。 そんなこともあり、ツノは切ってる。でも、昨今は鎮静剤と鎮痛剤の二種を注射してから ツノきりを行うので、牛だってストレスなんかない。 そのほうがお互いに安全が保たれる。 大体、一頭につき2万ちょっとでる補助金の財源確保をどうするつもりだ。 農家でもないのに高みの見物気分で動物愛護なんて言ってるあんたたち!お金を出す覚悟は できてるってことだよね!!! 関係ないのに一々口を出さないで欲しい! と、まあ、こんな感じ(笑) 「事件は現場で起こってるんだよ!」いわゆるコレですよね。 昨日夫とも話ましたが、この法律のキモはツノを切ったからといって損する農家はない、 ってところです。 切らないことで得する人たちはいますけどね。 財源確保に関しては上記の方は正しい。 それは牛ちゃんたちのために身銭を切る、正しいと言った以上、 自分の意見の落とし前をつけるってことだと思います。 勿論法案が通って、反対した人たちまで支払いの必要が生じるわけですけど、 そこは多数決の民主主義なんでごめんね〜(笑) 兵器買うよりいいでしょう。 品種改良に関して、前メールで書いたことがわかりにくかったかもしれませんが、 ワタシも拒否しているわけではありません。 ストレス軽減のための手段であり、必要かもしれない。 ロボトミー手術のような残酷さがあるわけでもない。 むしろ、宗教的な畏怖かもしれません。やはり怖いものを感じてしまうんですよねえ。 ------------------------------- [みかりん] 越前さん。当たり前の確認をしますね。 Yesが「ウシのツノは切らないでね」 Noが 「ウシのツノは危ないから切りたいの。理解してね」 ですか? 微妙に違うかな?! ------------------------------- [越前]さん Yesが 「ウシのツノを切らない(今まで切らなかった、将来的に切るのをやめた)農家に助成金を出す」 Noが 「農家の判断に助成金など出さない」です。 直接ツノを切る是非を問うているのではなく、 まあ、動物愛護の観点から(?)ウシのツノは残そう、 そういう方向に行くように助成金を出そう、って感じですかね。 そして切るという立場の農家の声の代表は前メールで書いた女性の意見なんだと思います。 ------------------------------- [越前]さん 国民投票結果がでました。 45・3パーセント 是 54・7パーセント 否 で、残念ながら否決されました。 ただ、かなりの接戦だったことを受けて、このイニシアチブの発案者の いかにもスイスの農夫って感じの某おんじは、否決にもかかわらず 将来への希望もみえて満足だそうです。 アナウンサー氏も言ってましたが、面白いのは都市部が、ジュネーブ、チューリヒ、 バーゼル等の主だった都市は全部Yesだったこと。 Noにまわったのが、農家が沢山あるであろう地方だったことです。 ------------------------------- [みかりん] 越前さん。 「牛の痛みについて」の提言と「スイスの国民投票について」の 経緯と結果の報告ありがとうございました。 とても興味深かったです。 NHKのニュースでも、さらっとですが扱っていました。 ぞんざいに扱って良い命はないです。 ですがその範囲をどこまで広げればいいのでしょうという問題もあります。 家を建てればそこに棲んでいた昆虫やミミズやネズミや草木の命はどうなる。 いや、そこまでは面倒みれないからせめて家畜たちの痛みに思いを馳せようというのも 正しい。 今回のスイスでの話の興味深かった所は、こういう提言が国を揚げての問題まで広まった ことでした。 個人ではわかります。 身近にいる動物が痛みで苦しんでいたなら何とかしたい気持ち。 その痛みの原因がヒトがやっていることならやめる事ができるのではないか。 かつては、動物には感情がないとまで言われていた時代が長かったことを思えば 国レベルでここまで動物の痛みについて議論される所まで人類は行ったんだって所が 私がとても興味深く思った事でした。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★「犬はどこから…そしてここへ 犬はオオカミの子孫ではない」   この本を読むと随所に「熱心な取材の末に色々わかった事やデータを取っ行き着いた結論に   ついては発表しないという、僕には困った癖がある」と書いてあります。(笑)   やめて〜。発表して〜。   この本は正確に言うとムツゴロウさんの「著書」ではなく、講演内容を書きとったもの   です。だから全編「話し言葉」です。   だから非常に読みやすいんだけど、内容はすごく深いです。      どうもムツゴロウさん的には、この講演内容はこれまでの動物に関するムツさんの   未発表内容のダイジェスト版的な位置付けのようで、この先練りに練った内容で   発表したいもののひとつのようです。   でも1935年生まれのムツさんも80歳を超えました。   残り寿命を考えて欲しいです。ムツさんの脳内で完結したままあちら側にいってしまわない   で欲しいです。   ここまで読んでくださった読者のみなさん。    もしよかったらこの本を手にとって読んでみて欲しいです。   5000円ほどを出して中古本を入手でも、図書館を利用してでも。   やまねこ通信で紹介したのはホンの一部です。     他にも「噛み犬」についても書かれています。   ただ装丁はなかなか残念な出来な本です。   いつの日にかもうちょっとマシな装丁で再販される事を心より願っています。 ★私が今ハマっているのがヤングジャンプに連載中のマンガ「ゴールデンカムイ」です。  ここにレタラという狼と、リュウという北海道犬がでてきます。  このマンガは、オオカミとイヌをとてもよく描き分けています。    オオカミのレタラは幼年期をヒトに育てられたんだけど、ある日プイっと自然に戻って  いきます。これってオオカミの第二次社会適応期じゃないですかー。  リュウは賢く勇敢なイヌなんだけどどんな目にあってもヒトから離れようとしません。   ヒトが何を求めてるか、どうやったらヒトの役に立てられるかとヒトを観察している所が  あります。  思えば私はたくさんの動物の物語を読んできました。  ジャック・ロンドンの「荒野の呼び声」と「白い牙」。  シートン動物記は挿絵も含めて(挿絵もシートンです!)私のバイブル的なものです。  児童文学の「子鹿物語」や「あらいぐまラスカル」は、  シカとアライグマの第二次社会適応期とヒトの軋轢の話だなぁとか。  今、思い返してみると第二次社会適応期を念頭に置いて動物文学を読むと  当然そういう物語になるよなと思う事が多い事に改めて気づきます。 ★vol.255の参考にしたサイト&書籍    ムツゴロウさんの本  https://books.rakuten.co.jp/RBOOKS/pickup/interview/mutugorou/  犬はどこから…そしてここへ 犬はオオカミの子孫ではない  著/畑 正憲  学研  オオカミと野生のイヌ                   著/近藤 雄生・ 澤井聖一  タコはいかにしてタコになったか              著/奥井 一満 光文社文庫      ★ラジオ山猫通信の過去の放送 (2010年1月4日第9回放送〜2015年12月22日第152回放送)が、  パソコン、スマートフォンから聴けます。  http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm  ↑ここの右側「ラジオ山猫通信」って所をクリックしたら聴けます。   ★私はいつも「やまねこ通信 E=MC二乗」の事が頭の隅にあります。  次回テーマは何にしようかと常に思っています。  「やまねこ通信 E=MC二乗」は、私みかりんを構成している大事な要素です。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹     ★彡★彡★彡★彡★彡『蟹屋 山猫屋』★彡★彡★彡★彡★彡 生まれも育ちも北海道育の“みかりん”が、北海道の味覚を全国の方に広めるために 『蟹屋 山猫屋』を立ち上げました。一級品の道産品をお手ごろ価格でネット販売! 読み物としても楽しめるものを目指しているよ。    登録はここ→ http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/kani/   山猫屋の蟹は冷凍ガニではありません。ボイルしたてを食卓に直送! 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹    ↑↑↑  私、みかりんのもうひとつのメールマガジン。  北の味覚。海産物。蟹おいしいよ〜。海水ウニもありますよー。  予算はこれくらい。食べる人数はこれくらい。と教えてくれたら、その中で  できる限りのご提案をします!山猫屋の蟹は冷凍物は扱っておりません!  さぁ、タラバ食べたいよう、毛ガニ食べたいようのメールをみかりんに書こう。  毛蟹の良いのが入荷してきています。  北の食材たちは脂が乗っておいしいです。  この機会に、どうぞ冷凍ではない蟹を!  ご贈答に、山猫屋の海産物を。 それじゃ、今回はここまで。 あなたのお便り待ってます。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「念写」って画像がデジタルになってから聞かなくなったな。 フィルム写真時代はよく聞いたんだけど。 今、「念写」界はどうなってるの? 誰か知ってる人いる? ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○ やまねこ通信E=MC二乗 vol.255  2019年2月10日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さには  まったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。  それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━