2001/6/15━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆        週刊 やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.27 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 今週は、私の大好きな月についてたくさん語ってしまいます。 月面で過ごした最後の人となったアポロ17号のジーン・サーナン船長が晴れの海での ことをふり返って、こう言っています。 「月の上に立って地球を見上げると、僕たちの世界にはいかに素晴らしい未来と可能 性があるかということが本当に良く分かる。 あの青い星に住む人々には何だって出来ると思うんだ。乗り越えられない困難はない だろうし、解決できない問題はないはずだ。たどり着けない場所もない。 僕がタウラス・リトローに立ったことがその証拠なんだから」 新しく登録して下さった人、はじめまして。 バックナンバーがあるので、ここ↓チェックしてみてね。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ━■月のリズムと動物の話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 干潮時に人が死ぬとは昔からよく言われていることだ。 また満潮時に出産に至る事が多く、新月や満月に出産例が多く、昔から満月の夜は出 産が多いことから「産婆の提灯」と呼んでいた時代もあったらしい。 産婆さんが東奔西走する月夜という意味だ。 もちろん陣痛促進剤や帝王切開などの医療を施さない状態の時だ。 科学的根拠はない。 動物たちの産卵のリズムも月齢と関係あるものが多い。 ゴカイやイソメなどの産卵浮遊現象が、10月か11月の時の下弦の月かその前日か、 新月と満月の直後の日没後満潮時の直後に見られる。 イワシ、ウナギ、ニシンの漁獲も月相に関連した変化が見られるし、マッコウクジラ は、満月や新月の頃に群れる傾向があるという。 日本ではクサフグが初夏の新月か満月直後にの大潮時の満潮に乗って産卵のため大群 が波打ち際に押し寄せる。 陸では、満月の後に群発生するカゲロウ、新月と満月の後に群発生する蚊もいる。 夜鳥のヨタカは、満月の時にうかれ、マレーのジャングルの野ネズミが満月の頃さか んに交尾する。 バッファローは、新月の闇夜に交尾するという。 さて、人間の体内リズムは一日25時間弱の24.8時間だということを知っているだろう か? 太陽とまったく関係のない地下生活者や、光の感覚をまったく失った未熟児網膜症の 人に、24.8時間のリズムが現れる。 一日24時間というリズムは、地球の自転が作るリズムだ。 月は新月から次の新月まで、ちょうど24時間遅れる。このことを計算すると月の一日 は、24.8時間ということになるらしい。 地球の自転による一日の長さは、月による潮汐の摩擦により、100年に1秒ぐらいの割 で長くなっていることが判っている。 例えば4億年くらい前では、1年の長さが400日あり、それだけ1日の長さは短かっ た。 月は100年に3mくらいの割合で、地球から遠ざかっている。昔の月はもっと地球に近 かった訳だ。潮汐の影響は、現在よりもずっと大きかったはずだ。 太陽に同調したリズムは陸にあがってからつくられたもの。 私たち生物は、陸上時代よりも水棲生物時代の方がはるかに長い。月からのリズムは 何億年ものあいだに、私たち生物に組み込まれていると考えても不思議ではないん だ。 何億年も昔からアンモナイトと一緒に繁栄してきたオウムガイ。アンモナイトは滅ん でしまったけれど、オウムガイは今でも生存してる。 このオウムガイが「月の時間を食べて生きている」と言う。 オウムガイには、気房という空気の層があって、そこには成長にしたがって筋を つけているんだ。年輪じゃなくて月輪っていうのかな。通常は、29個……現在の月 齢と一緒。 古生代では、9個しかない。 これは、古生代では月は、地球を9日で周っていたという事になるんだ。 オウムガイは、その時代時代のお月様の運行(月齢)を刻み込んで(食べて)生きて いるんだ。 最後に私の好きな月の話しをひとつ。 ルバング島で30年間もジャングル生活をした小野田寛郎(おのだひろお)さんのお 話。 「電気の無い島では星よりも月に助けられた。特に十三夜の月は便利で、太陽が沈む か沈まないうちに出てきて月光をくれたから。逆は十九夜の月。日が暮れた後もなか なか出てこないから暗くて行動しにくかった。昔の人が『寝待月』とはよく言ったも んだ」 ━■動物行動学からの性♂♀の話 (25)━━━━━━━━━━━━━━━━ 「あぶれオス問題」 (前々号からの「何故、性は3つでも4つでもなく2つなのだろう?」の続き ) 精子というのは、卵をめぐって絶えず争っているのがよくわかる。 卵があぶれるってことはないけれど、精子はただ一つを除いて必ずあぶれる。 これは、メスをめぐってオスどうしが争うことや、メスは滅多にあぶれないけれど、 オスはすぐにあぶれてしまうという動物界の普遍の問題までに関わっているようだ。 そのために色々のケースを紹介してきた。 一夫一妻、一夫多妻、一妻多夫。多夫多妻(乱婚)。 成長途中で性転換するする魚。性転換と言ってもさまざまで、メスがオスになるもの (ハナダイ)、オスがメスになるもの(クマノミ)。 ベラの仲間のほとんどが「性転換派」だけれど、遺伝的に運命が決まっていて、ある ものは人生半ばで性を変えるのに、あるものは一生変えないという例もある(ホンベ ラやササノハベラ)。 だいたいの生き物は、性が固定している。そこにはあぶれオス問題が横たわってい る。 性転換する魚たちは、岩陰でこそこそ生きている臆病な魚たちだ。でも彼らに あぶれオス問題は存在しない。 一夫一妻制は、あぶれオス問題を解決しようとしたヒトの知恵なのかもしれない。そ れはもちろんいくら“完全な”一夫一妻制を強いたとしても、抜け道を探る人はいる だろうけれど。 ヒトも途中で性が変わる生き物だったら……そう想像すると楽しい。 ━●みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「笑顔の力」 ず〜んと落ち込んだ時、ふとんにもぐり込んだまま、ずううっっっと落ち込む。でも 「これじゃいかん!よし!元気になろう。まず笑顔だ」とそう思って心とは裏腹に、 無理矢理笑顔をつくると……すると気持が変わるのが解る。 もっと詳しく言うと、「まず笑顔だ」と決めると、まだ笑顔をつくる前からもう気持 が違っているんだよね。 心と体は連動している事を感じる。 体は心に引きずられるし、心は体に引きずられる。 どちらかが健康だったらちゃんともとに戻ると思うんだ。 無理矢理の不自然な笑顔でも効果があるって、人のメカニズムは凄い。 体が病気になったとき、心も弱気になる。この状態は体に心が引っ張られている状 態。 でも心が健康なら、ずっと引っ張られっ放しじゃなくて「これじゃいかん」と「思 う」。これは心が健康だから。そう思えたらもう大丈夫。無理矢理の笑顔を作る事を 思いついた時から、体は心に引っ張られる。 心がズタボロになった時、体は心に引きずられ、食欲もなく眠れなくなったりする。 この状態は心に体が引きずられている状態。 でも体が健康なら、その内ちゃんと、お腹は空いてくるし、眠たくなる。食べて寝る 事ができるなら、心がズタボロでも無理矢理の笑顔を作る事がでたなら、心は体に引 きずられてもう立ち直りかけている。 「心身」という言葉があるけど心と体は繋がっている。 そこに介在するのは、むりやりの笑顔の力。 誰に見せる訳でもない自分のためだけの笑顔。 笑顔の力。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [鐘辺完]  蛾の超音波吸収する体のつくりは対レーダー塗装に使われるフェライト樹脂のよう  なもんなんかな。  昔、軍用に開発された潜水艦もイルカやサメを参考につくられたし。  いずれステルス戦闘機のような蛾が現れるかも。 -------------------------- いいえ。逆だと思うよ。 蛾のような戦闘機が出来ると思う。レーダーを吸収してエコーを返しにくい構造の ふわふわの毛で覆われて多くの粉がついている戦闘機。(笑) -------------------------- [ぽん]  私ね、24号のボノボの売春の話、気に入ったな。  「そぉっと持って行った」ってところが泣かせるやン。  ボノボは、なにか事件が起きたときにも、仲間を鎮静するために擬似的な性行為を  するそうですね。  それから、食料を独り占めしないで分け与える、すごく社会的な動物だというのは  見たことある。  私はボノボの「カンジ」とチンパンジーの「アイ」のファンです。 -------------------------- 生殖目的以外でコミニケーションとしてのセックスを利用するというのは、判ってい る限りでは今のところヒトとボノボなんです。 でね、「そぉっと持って行った」あと雄は「これを見て見ぬふりをする」んだけれど これは揶揄としての表現ではなくて「持って行くところを見たくない。見ると惜しく なって取り返したくなる」らしく後ろを向いてしまうのだそうです。(笑) 「後ろを向いているうちに持って行っておくれ。さぁ早く。気が変わらないうちに」 という所でしょうか。 -------------------------- [やまねこ]  23号で個性の話しが出ました。それで個性とも絡むから書いてみました。  メンデルの法則は,ワトソンとクリックのDNAの二重螺旋と一緒に今日のバイオの  基礎となっているそうです。  メンデルは牧師だったのですが,教会というのは自給自足のところがあってえんど  う豆を育てている時,違いに気付き実験を繰り返してメンデルの法則を発見しまし  た。  それを彼は学会で発表しました。  彼は素人だったこともあり,学会では,そんなばかなと嘲笑されただけでお蔵入り  となりました。  その後,時は流れ,没後50年経ちました。  アメリカで,偶然二人だったか三人だったか同時にそれに似た法則を発見して,  学会に出しました。  驚いた彼らはこんなことがあるのなら,誰かがすでに発見しているかもしれないと  いうことになり,皆で調べ,眠っていたメンデルの論文が出てきました。  メンデルは嘲笑されたにもかかわらず,その後もこつこつと1人で研究を進めたた  め,かなり精緻なものとなっていました。  このようにしてメンデルの法則が世に出ました。  だから研究者は今日新しいアイデアが出たときは競合しないか。  誰かが手をつけていないかを探るのと,アイデアを引きだすため,論文をあさるの  が日常です。  もし誰かがやっていて失敗していたら,損だものね。  モットモ皆があきらめたペニシリンの発見などもありますが。 -------------------------- 科学の世界も早く研究し成果を出したた者が評価されるんだけれど、早すぎてその 時代に認められなければ世に出てこない。 没後50年目にして出てきた論文。そういえばニュートンの微積分の方法は三百年も 後で発見され発表されている。ニュートンの場合は、認められなかったんじゃなくて 反対意見を聞くのがイヤで意図的に隠していたという困ったちゃんなんだけれどね。 今現在、日の目を見るのにもっと時間が必要な「本当に素晴らしい発見」が実はもう 生まれているのかもしれない。 -------------------------- [つるべ]  なぜ性には男性・女性の2性しかないのか、ということですが、私は単純に  『DNAが二重構造だから』と考えていました。  もしもDNAが三重構造、四重構造の生物が宇宙に存在すれば、より複雑な進化 をしている、というようなSF読んだ気がします。 -------------------------- あっ。同じ事なのかもしれないけれど、私は「二重構造だから2性しかない」のでは なく「ふたつの性だから二重構造なのかな」と今になって思うのでした。 と、つるべさんに投稿にしていいですかメールを書いたら返事が来ました。 -------------------------- [つるべ]  でも、性が出来る前(あるいは今現在単性生殖を行う生物)でも、DNAは『二重構  造』してるんですが?  ま、現在の生殖は核相が復相(2n)である、ということの方が重要なのかも知れ  ませんが、大本は「2重螺旋構造」にあったんじゃないか、ということです。  ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★「月は100年に3mくらいの割合で、地球から遠ざかっている」このことを知った私 がまっさきに思った風景……それは恐竜たちの夜。今よりももっともっとずっと大き な月が昇る恐竜の夜。プロントザウルスが見上げる巨大な上弦の月。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。 ★メルマガ相互宣伝です!  バックナンバーを読んでみて、気に入ったら登録すると良いよ。 ★☆★――――――――――――――――――――――――――――――★☆★         ━━━━━私の芥川賞全集━━━━━        ◆日本の「純文学」の歴史を極私的に解説◆        http://www.geocities.co.jp/Bookend/5871/ 海坂他人が、芥川賞作品を語る解説する批評する。超硬派メールマガジン!         まぐまぐマガジンID: 0000056452 ★☆★――――――――――――――――――――――――――――――★☆★ それじゃ、今週はここまで。 あなたのお便り待ってるよ。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 時間の流れは不思議。 速い流れと遅い流れがある。同じ一分一秒なのに。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○週刊 やまねこ通信E=MC二乗 vol.27  2001年6月15日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: ◆インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ◆メルマガ発行サービス「メルマガ天国」ID:3743 http://melten.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○週刊やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さに はまったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。 それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━