2001/7/6━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆        週刊 やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.29 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 遠くに見える入道雲。いよいよ夏到来。 夏といえば夕立、雷、かと思うと、たちまち晴れ渡って辺りに響きわたるセミの声。 ブタの置物型蚊取り線香入れから漂う蚊取り線香の香り。 見かけると「夏だぁ」って思う花がタチアオイ。コケッコッコー花って呼んで、 花びらを鼻の頭に付けてニワトリになった子どもの頃の夏。 日本の情緒だなぁ……。 四季がはっきりしている日本ってなかなか良いじゃん。と思う瞬間の多いこと。って 言ってもね、よその国の事よく知らないの。私。えへへ。 新しく登録して下さった人、はじめまして。 自己紹介もあるよー。 バックナンバーがあるので、ここ↓チェックしてみてね。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ━■キツネの話(2)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「中国のキツネ、日本のキツネ」 物語における中国と日本のキツネを比べて考察してみよう。 まず中国を代表として清代初期の伝奇的小説集『聊斎志異』から。 -登場人物- [桑=人間の男] [蓮香(れんこう)=狐が化けた美女] [李=死霊が化けた美女] 桑という学生が、狐の化けた美女蓮香と、死霊の化けた美女李に取り憑かれる。 とりわけ死霊の李と毎晩同衾して精を吸い取られ、からからに精魂を使い果たし瀕死 の状態になる。 しかし彼は蓮香のが苦心して集めてきた仙薬と、二人の献身的な看病のお陰で甦る。 非を悔いた李は姿を消してしまうが、ある裕福な家の死んだばかりの娘燕児(えん じ)の体に入り込み、桑と結婚する。一方、蓮香は桑の子を生むが、桑と李の幸福な 結婚を見て心に決する所があり、産後間もなく寝付いて死んでしまう。李と蓮香は、 桑を看病したとき以来、姉妹のように仲良くなっていたので、今は燕児と名乗ってい る李は、死んで棺の中で狐の姿に戻ってしまった蓮香を手厚く葬り、遺児となった赤 ん坊を自分の子のように慈しんで育てる。 桑はやがて郷試に合格し、家もだんだん豊かになっていったが、燕児には子が出来 ず、蓮香の子もとても利発だが体が弱く病気ばかりしている。そのため燕児は夫が 側妾を置いてくれたらと思っている。 ある日、ひとりの老婆が娘を売りに来た。呼び入れてみると、かつての蓮香そっく り。蓮香が死の間際「もし縁があったら十年後にまた会いましょう」と言っていたの が実現したのだ。 こうして桑は蓮香と李と、二世に渡ってこの世ならぬ不思議な契りを結んだのでし た。 めでたしめでたし……。 めでたいか? 桑に取り憑いた、本来はおぞましい限りであるはずの狐と死霊のいずれもが、並の人 間よりもまさる情愛と信従と犠牲の心を示し、この世の奇跡を生んだ物語。全体の面 妖さといい奇想天外さといい、なるほどこれは中国独自の伝奇的世界だと感心するし かない。 次に紹介するのは日本の代表的な狐物語「信太妻(しのだづま)」 ある日。阿倍保名(あべのやすな)が狩りに追われた古狐を助けてやった。 保名は恋人葛の葉(くずのは)と幸せに暮らしていると、石川悪右衛門という輩に 恋人を奪われてしまう。 保名は、失望のあまり死のうとする所を、さらわれたはずの葛の葉が来て止める。 その葛の葉は先に保名に危ういところを助けられた信太の森の古狐が化けたものだっ た。その事を保名は知らない。 保名は都に帰ることが出来ない身の上になったので摂津阿倍野という村で、葛の葉と 夫婦として暮らした。そのうち子が生まれ童子丸と名付けた。童子丸が五歳になるま で何事もなく平和に暮らした。 ある日。本物の葛の葉が保名を訪ねてやってきた。その時保名は留守で、自分に似た 娘が布を織っている。いぶかっているとそこに保名が帰ってきて、本物の葛の葉と話 しをする。話しを聞くと今の女房になっている者が怪しい。 保名に怪しまれたのを知った狐葛の葉は、障子に歌を書き置いて姿を消す。 「恋しくば たづねて来てみよ。 和泉なる信太の森の うらみ葛の葉」 その後、童子丸が慕うので、信太の森へ保名が童子丸を連れていくと、狐の葛の葉が 出てきて子に姿を見せる。 余談だけど、今ブームになっている陰陽師、阿倍清明は、このキツネを母とする童子 丸という伝説がある。 だいたい中国の狐は、えもいわれぬ美女に化け、男をたぶらかし底なしの性の深淵に 引きずり込み、身も心もとろかしつくし、男は腑抜けになって死んでしまうという無 限の愛欲譚が多い。ともかく徹底しているのだ。 それに比べ信太の森の古狐は、命の恩人への「報恩」のためのものだったのが、いた わり連れ添う内に愛着がでてきて、あまつさえ子まで出来てしまう。本物がでてきた ため悲しい恋をあきらめ信太の森のへ去っていく姿は、日本人の好きな「義理」と 「人情」の葛藤の一変種といってもいいかもしれない。 中国の狐物語と日本の狐物語の手触りの違いは、あちらの儒教とこちらの仏教の違い ほどはあるのだろう。 日本では、狐と稲の神様信仰との結びつきは、お稲荷さんという形で私たちの中に深 く結びついている。 狐の女房は稲田を良く実らせ、夫の家を繁栄に導くという俗信が古くからあった。 中国から入ってきた狐のお化け話しも、日本ではそういう俗信と結びついて哀れ深い 人情話となっていったようだ。 日本の狐は、いかにもひなびた愛すべきお稲荷さんとして、時々姿をみせては、 「おいでおいで遊ぼうよ」と人間を招いている。 ━●みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「まだ見ぬ風景」 私は、ぼんやりとしている様に見える事があるかもしれないけれど、そういう時は頭 の中で実にさまざまな事を思っているんだ。考えているんだ。想像しているんだ。妄 想しているんだ。 今日は、その一端を紹介してみよう。 月に立って地球を見る。頭上に浮かぶ地球。その地球は、私たちが「日食」「月食」 と呼ぶような現象が起きるのであろうか? つまり月の影で地球が欠ける「地球食」 である。月は地球に比べかなり小さいから“欠ける”まではいかないくても地球に小 さい丸い月の影が通り過ぎる「地球食」。そんな現象があるのだろうか? 疑問に思った私は、月に詳しいNさんにメールを書いて聞いてみた。 すると一言。「それは日食の事ですね」という返事が返ってきた。 ここで私はしばし混乱したのである。どうして私の疑問が通じないのだろう? どう してこの質問の答えが「日食」なのだろう? 頭の上に大きなクエッションマークを浮かべながらその日を暮らし、そしてそのメー ルを貰ってから12時間後、突然理解したのである。 太→ → →    月   地球 陽→ → → こういうフウに太陽と月と地球が一直線に並んだ状態の時、太陽の光で月の影が地球 に映る。この時、月に立って地球を見た場合、私の言う「地球食」が見ることが出来 る。それは私の予想した通り、月の小さい影が地球を移動するという形で映る。 その時、月の影に入った地域の地球の人が、太陽を見た場合。この状態を「日食」と いうんだ。 あああああああああ。そういうことなんだよねー。だから「地球食」は「日食」なん だ。なるほど。 後日、Nさんからの補足情報。 「月に立って地球を見た場合もまた約29.5日の周期で満ち欠けをして見えます。 しかし、天空にはほぼ固定していることと、地球自体が1日で自転していることか ら、地球から見る月とは大きく印象が違います」 あああああ。すごい。月から見た地球。まだ見ぬ風景を想像し、意識を月面に飛ば す。 そう。私がぼんやりしている様に見えるときは、心は月面に行っているのかもしれな いんだよ。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 前号で「年齢を重ねると、時間の経つ速さが反比例していくように感じる。 この事を誰か数式で証明してくれる人っていないかなぁ。」ってつぶやいたらなんと 3人もの読者の方から数式で証明してくれたメールが届きました。 驚きです。 これは、常識だったんでしょうか? 私だけが知らなかった周知の数式だったので しょうか? 言ってみるものだなぁ。 という訳で3人とも紹介。 ----------------------------- [アダチ]  人はすべからく自分の経験に基づいて物事を判断します。時間の感覚も同じだと思  います。  例えば今、5歳の子供の感じる1年の長さは、自分の全人生の内の20%分の重み  を 持つことになります(1/5=20%)。  10歳の子供は10%の重み(1/10)、  20歳では5%(1/20)、  40歳では2.5%(1/40)、  80歳では1.25%(1/80)。  1月間、1週間、1日、1時間についても全く同様のことが云えるでしょう。   つまり、年をとるほど1年の長さは、自分が歩んできた人生の長さに比べて、  だんだんとその割合が小さくなっていきます。  数式化すると  X=年齢   Y=1年の長さが自分の人生の長さに占める割合  Y=1/X  これが「年齢を重ねると、時間の経つ速さが反比例していくように感じる」ことの  理由ではないでしょうか? ----------------------------- [帆音]  それは、子供の頃は1年が人生の数分の1だったのに、年齢を重ねるにしたがって  年数分の1になるからです。  つまり5歳の時の1年は人生の5分の1で20歳になると20分の1、40歳で  は、、、  こうして相対的に年々1年が短く感じるのだと思います。 ----------------------------- [CAPTAIN FUTURE]  子供のころ、例えば6歳ぐらいだとすると、生きてきた時間の長さに対する一日の  長さは1/(365×6)で0.0005479(0.0548%)であったもの  が、30歳ぐらいになると1/(365×30)0.00009132(0.00  91%)となってしまいます。  つまり生きてきた時間と比べて1日という時間の占める割合が0.054/0.0  09で6倍も違うわけです。  だから子供のころはあんなに一日が長く感じたんじゃないかと思います。  実際子供のころはテレビを見てても、例えばドカベンって言う野球アニメがありま  したが、あれピッチャーが投げてからキャッチャーに玉が届くまでに、みんながい  ろんなこと考えているシーンがはさまりーの、風が吹き荒れたり、バックが燃え上  がったり、なんだかんだでが2週間ぐらいかかってたような気がしてたんですが、  近頃パーフェクTVでやっている、再放送を見てたらやけに試合展開が速いんで  す。  昔感じてたあの異様な試合の遅さは、相対的な時間の長さによるものなのかなぁと  再認識しました。  大相撲なんかもそうです。子供のころは太った人が見合ってぱっと試合すればいい  ものを3回も4回も引っ込んでは塩ぶっ掛けたり、汗拭いたりで「はようせんか  いっっっ」って感じでいらいらして見てられないものでしたが、今ではその取り組  みに向けて気合が高まっていくさまを観るのも楽しいと思えるようになりました。  この大相撲の例だと相対的な時間の長さの件もありますが、子供のころよりいろん  なことを考えるようになったので、時間が足りなく感じるのかもしれません。 ----------------------------- 私は、ずっと不思議でしょうがなかったんだよ。 子どもの頃の一日の長かったこと。その頃、年寄りは木や石のように動かないなぁと 思ったものでした。 たぶん動いていたんでしょうね。(笑) 同じ空間に居ながらも、時間の感覚が違うって面白い。 年端のいかない者と、年輩者では時間の進み方の感じ方が違うっていうのが、単なる “そんな感じ”がするっていうんじゃなくて、こうやって数式で理由付けができるっ ていうのにすごく驚いています。 それから、前回もうひとつの呼びかけ「苔だか粘菌だかの一種は性別が7つあるらし い」という情報に詳しい方、いましたら連絡下さい。 大体、菌類系はややこしいんだよ。キノコにしたって一筋縄じゃいかないんだ。 謎に満ちていてまだホントの事はほとんど判っていないんだ。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★キツネの話しが異常に長くなってしまったので、♂♀の話しはお休みします。 でもこれも広い意味での♂♀のお話だよね。 「キツネの話(2)」これでもだいぶ色々割愛して短くまとめたんだよ。 ヨーロッパでもキツネの話しは多く、イソップの寓話に出てくるキツネも善良な他の 動物をしばしば化かす。けれどキツネは自ら仕掛けたワナに逆にはまって嘲笑のマト になる事も多く、愛すべき登場人物として描かれている。 数ある動物の中でキツネほど昔話に登場する動物は他にはいない。これは日本だけで はなく世界的な傾向なんだ。 このことはキツネは野生動物でありながら、猛獣とは違ってその生活圏が人間の生活 圏と隣接しているからなんだと思う。 例えば漁村で陸揚げされた魚をキツネのエサになるというような、人間とキツネの 近さを物語っているんだ。 近すぎて、キツネが人間の生活圏の中に入り込み、所有物や家畜を食い荒らすため に、人間はキツネを常に観察しなければならなかった。キツネへの関心は他の動物よ り高くなり、生態と習性の観察結果を昔話に取り入れていったのだと思う。 次回は、やっと「動物のキツネ」です。 ★この度、環境庁が初めて作った「循環型社会白書」が8ページに渡って、江戸時代 のリサイクルを紹介している。 欠けた茶碗を白玉粉で焼き継ぎ修復する職人がいたり、ろうそくの溶け残りを集める 行商が家々を回ったり。 やまねこ通信では、過去に何度もリサイクルについて取り上げている。 牛乳パックリサイクルや、ペットボトルリサイクルについての疑問。“これではリサ イクルじゃない”という主張に続き、江戸のリサイクル事情を3回シリーズで掲載し た。 この環境庁の白書と「やまねこ通信」の江戸のリサイクル記事がそっくりなのは、 元ネタが同じだからなんだ。(笑) 「大江戸リサイクル事情」 出版社:講談社文庫 著者:石川栄輔 途中から登録して読んでいない方は是非、読んでみて。 バックナンバーは、ここ↓ http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm 「牛乳パックの話」は、vol.3   「ペットボトルの話」は、vol.9 「江戸のリサイクルの話」は、vol.12〜vol.14です。 江戸初期60年ほどで、ゴミによる埋め立て面積が200ヘクタールに達したけれど、 その後二百年近く一定だった。「モノを徹底的に利用し、ゴミを出さなかった証拠」 なのだろうね。 ★HP版「やまねこ通信」のトップページのマリリン・モンローの画像を増やしまし た。(にこっ) 8画像だったのが15画像に。どうぞ楽しんでみて下さい。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。 ★メルマガ相互宣伝です!  バックナンバーを読んでみて、気に入ったら購読すると良いよ。 ―――――――――――――――――――――――――――――─ 【妄言辞典】 http://www3.plala.or.jp/mougen/jiten-index.html  当該国語辞典は抱腹絶倒・奇々怪々のジョーク定義集。一読して 笑うか唸るか呆れるかは読者次第である。――編者・妄言王の呟き。 ―――――――――――――――――――――――――――――─ それじゃ、今週はここまで。 あなたのお便り待ってるよ。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「小泉メルマガ」さん、「やまねこ通信 E=MC二乗」と相互広告しませんか? と、ここで、ささやいてみる……。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○週刊 やまねこ通信E=MC二乗 vol.29  2001年7月6日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: ◆インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ◆メルマガ発行サービス「メルマガ天国」ID:3743 http://melten.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○週刊やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さに はまったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。 それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━