2001/7/20━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆        週刊 やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.31 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 私は辛いモノ好きで、甘いモノが苦手なんですけれど、甘さひかえめのソフトクリー ムはとても好きなんです。 ソフトクリームがにょろにょろと出てくる機械。あれが欲しいです。 そして私専用の甘くないソフトクリームを作るのです。 え? おいしくなさそう?  新しく登録して下さった人、はじめまして。 バックナンバーがあるので、ここ↓チェックしてみてね。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ━■イグアナの適応力の話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ガラパゴス諸島にイグアナは2種類いる。陸イグアナと海イグアナだ。 陸イグアナは肉厚のサボテンを食べる。海イグアナは海辺の海草や、5分ほど潜るこ とが出来るので海底の岩に張り付いた海草を食べる。 海イグアナは、波に流されないように爪が鋭く、岩場にしっかりと食い込ませる事が 出来る。泳ぎに適応して陸イグアナとは尻尾の形が違う。 両者は色も違う。陸イグアナは明るい茶色。海イグアナは黒っぽい。 ガラパゴス諸島には、この2種類のイグアナしかいない……はずだった。ところが 1981年、突然この両者とは違うイグアナがそこここにいるのだ。 色は黒をベースに白いまだらの模様があり、爪は海イグアナのように鋭い。食べもの は陸イグアナのようにサボテンを食べる。だから住むところは陸地だ。 陸イグアナが届かないようなサボテンも、爪を引っかけて木をよじ登り、食べる事が できる。 突然現れたこのイグアナは何者なんだろう? 1979年から1980年にかけて大規模なエルニーニョ現象が起き、ガラパゴス諸島周辺の 海水温が20度だったのが30度まで上昇した。その結果海草類がほとんど全滅し、海イ グアナの半数以上が死に絶えるという悲劇が起こった。 一方、陸では気温が上昇し植物が異常に繁茂し、陸イグアナは丸々と肥え、数を増や した。 餌を失った海イグアナは食べ物を陸地に求めた。限界まで痩せこけた海イグアナは陸 の草を食べ始めたのである。この時、海イグアナの体には信じられない事が起きてい た。38cmの体は32cmに、36cmの体は28cmに小さくなっていたのだ。体長を小さくする ことによってエネルギー代謝を押さえることまでやってのけたのだ。 謎のイグアナはDNA鑑定の結果、陸地で飢えを凌いでいた海イグアナのオスと陸イグ アナのメスの交雑種(ハイブリット)だったのが判った。 それまではそういう現象は報告されていなかった。 さて、この交雑種のイグアナは交尾の時期になっても陸イグアナに相手にされない。 仕掛けるけれど逃げられる。現在20匹ほどいるという。 今の所、この第3のイグアナにはそれ程明るい未来はない。 イグアナはもともと陸イグアナだったのだろうと推測されている。それが気象異常で 陸の植物が繁茂しなくなったときに海へ向かった一団が海イグアナとなったのだろう と言われている。 イグアナの命はどんな環境でも“生きよう”と生活圏を広げる冒険をしている。 体を縮めてまでも! イグアナは原始的な爬虫類だ。ガラパゴス諸島のような穏やかな天敵のいない場所だ から、太古の生物を彷彿とさせるイグアナが生き延びてこれたのだろう。 でもそれだけじゃない。イグアナの驚くべき適応力がここまで生き延びてきた理由で もあったはずだ。 この第3のイグアナの存在がなによりもその証拠だ。 イグアナの適応力に、命のしたたかさと未来を感じるんだ。 ━■動物行動学からの性♂♀の話 (28)━━━━━━━━━━━━━━━━ 「男は、バカなのだろうか?」 すみません。こんな挑発的なタイトルをつけてしまって。先に謝っておこう。 でも、まぁ、まるっきり根拠のないことではないんだ。 概して男の方が能力にばらつきが大きく、女はそれが小さい。 男には天才もバカもいるし、超極悪人もいれば超お人好しもいる。 比べて、女はほどほどの範囲に収まっていて、極端な例が少ない。 それは、性染色体で説明がつくんだよ。 ヒトは22対の常染色体と一組の性染色体を持っている。男はXY、女はXXだ。 例えば、X上に何かの劣性遺伝子が載っているとしよう。劣性遺伝子は普通ペアとな る染色体の両方に載っていないと発現しないんだけれど、男の染色体は必ず発現 してしまうんだ。 色盲や血友病が男に多いのはそのせいで、男で極端に出る能力はだいたいこのように 説明ができるんだ。 そうしてここでとても重要なことは、男のXは必ず彼の母親から貰っているという 事。まぁ、当たり前なんだけれど、男は男となるために父親からYを受け継ぐ。 そのため、このより重要な方の性染色体は母親から譲り受けることになるんだ。 私は、このシリーズを始める前までは、男と女、そう違いのない生き物と思ってい た。 あるとすれば、それは先入観や歴史的背景や、腕力。そう思っていたんだ。 でも興味を持って色々調べて「ほう」と感嘆する事をここでずっと紹介してきて、と うとうここまで来てしまった。 たしかに巷をにぎわす事件やニュースをみるまでもなく、大天才から大馬鹿野郎まで 男は幅が広い。 女はたしかにほとんどがほどほどの範囲に収まっている。このことに性染色体から説 明がつくとは! やはり男と女、別の生き物なのかもしれない。 ━●みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「共存」 ある時、フェンスを越えて仔熊が来てしまった。あっ、ここは違うかもしれない。仔 熊がそう思った時はもう遅かった。必死で、逃げよう森へ帰ろうと、フェンスの向こ う側、母熊のいる森へ行こうとしていた所を銃で撃たれ、死んだ。去年のニュース だ。 北海道は今年、特にヒグマによる死亡事故が多い。ヒグマ除けグッズが売れているら しい。 山はクマのものだ。ずっとずっと山はクマのものだったんだ。 その山に人が入ってヒグマを見かけたといっては、ハンターが山狩りしてクマを仕留 める……。 このパターンはもう終わりにしないと。 先に紹介した仔熊は、別に殺す必要はないだろう。 共存はできないんだろうか。 まず、住み分け。あるかなり広い一帯を熊の聖域とする。そこに里に下りてきてし まったクマを運ぶ。その地域に、コクワなどクマの食料となる樹を植樹する。そこの 川に上ってくる鮭は、その森の獣のものとして人間は手を付けない。 こんな事は夢なんだろうか? 難しいことなんだろうか? 今年5月、京都の嵐山の竹林で、射殺されたツキノワグマの胃の内容物を調べた、人 と自然の博物館(三田市)の結果は、胃の中から生ごみや農作物などの人為的な食べ物 が見つからなかった。 「ほとんどがタケノコ。自然食が中心だったと見られる。もし生ごみなどがあれば、 クマはそれを見つけた場所に執着するため人間とトラブルになる可能性もあったが、 タケノコに夢中になったクマは、食後には山に帰っていったかも知れない」と分析し ている。 九州地方でツキノワグマが絶滅と判断された。次は四国地方のツキノワグマの番だろ うと言われている。 北海道のヒグマがツキノワグマの二の舞になってはいけないっ! 増えすぎたエゾシカが調理法によってはかなりおいしいかもしれない。これで樹害の 元凶エゾシカと共存できるかも。という記事を読んだ事がある。 こらこら! 共存とは、人間にとって利用価値があるということではないんだぞ! エゾオオカミを絶滅に追い込んだから、エゾシカが増えすぎて樹害をはびこらせたん じゃないか。 あぁ、まだ判らないのか。暗たんたる気持になる。 ムツゴロウ(畑 正憲)さん、いわく。 「あのね、せいぜいね、年間一人や二人じゃないですか、クマに襲われ亡くなるの は」 おっ。そう思っていてもなかなか言えない事をズバッと言うなぁ、この人は。 そしてこの物騒な物言いに続けこう言ってのけた。 「日本では車の事故によって年間、二万人も三万人も死んじゃうんですよ」 行政の針葉樹林重視の傾向が、クマが里に出没する理由とし、人災だと説く。 杉花粉症もクマ出没も無謀な行政の結果。人災だと認識すれば解決の糸口はすぐ近く にあるはずなんだ。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 29号での「年齢によって時間の感覚が違うのは、計算方法によって証明できる」と いう話題から派生して、時間についてふたりの方から投稿が届きました。 Cageさんは、途中からやまねこ通信を登録したので、少しずつバックナンバーを読ん でいるということで、牛乳パックの話題も合わせて書いてくれました。 ----------------------------- [Cage]  vol.3の牛乳パックのリサイクルの話、オレも昔からそう思ってました。  新聞紙なんかの古紙からのり成分を取り除き、パルプを再利用するのならともかく (これも結構エネルギーかかるんだけどね)、使用量の少なくて処理のしにくいラミ  ネートべったりの牛乳パックの再利用化なんてナンセンス。  十数年で再生可能な資源(パルプ)を再利用するために再生不可能な化石燃料を使  う。  これってホントにバカげてますよね?  大事なのは使った牛乳パックを再利用することじゃなく、今ある自然を大切にし、  それを広げていくことですよね。牛乳パックのもっとも有効な活用方法は燃やして  発電するか、「できるかな」の「のっぽさん」にでも渡せばいいのに。  それと「年齢を重ねると、時間の経つ速さが反比例していくように感じる。」って  いう話がありましたが、琉球大学の生物学者、本川達雄教授がこういうことを言っ  ています。  「生物の時間は体重の4分の1乗に比例する。」  つまり、生物の体重が32倍になれば、寿命・産まれてから大人になるまでの  時間・一呼吸の時間・心臓が一回打つ時間などが2倍になるということだそうで  す。  たとえば、人間よりもはるかに小さい生き物の心臓は人間よりも早く打ち、人間よ  りもはるかに大きい生き物は人間よりも長生きするということです。  だから幼い頃(体重の小さい頃)の時間は相対的にゆっくりと感じられ、大人にな  ると時の経つのが早く感じるようになるというのでしょうかね?  このことは「ゾウの時間、ネズミの時間」という本に出ています。  結構売れてましたよね? ----------------------------- 年齢によって時間の経つ感覚が違うという事だし、他にも生物の種類によっても違っ てくると思う。 何かで読んだけれど、ミツバチなどは雨粒が落ちてくるのがはっきり認識できて雨粒 を避けて飛ぶことも難しい事じゃないんじゃないか。と書いてあった。ホントの事は ミツバチに聞いてみなくては判らないけど。 雨粒がゆっくり落ちてくるように見ることが出来る世界。それは私たちの知っている 世界とは随分違う。そういう感覚がある生物から見たらヒトは随分のろまに見えるん だろう。 次の投書は「寿命を1日に例えると」という話しです。 ----------------------------- [ikekun]  零時から24時間を一生に例えると、平均寿命を80歳とした場合、40歳で正午です。  成人式の20歳は日の出の時間くらいの6時です。  一応計算方法は  24時間×60÷80=18 18分で1年となります。25歳の場合は、  25(年齢)×18÷60=7.5 つまり朝7時半です。  ただ平均寿命計算ですので80歳以上は一日を越えてしまいます。(笑)  80歳以上の方は神様から余分に時間を与えられていると考えてはいかがでしょう  か。  つまり、10代は日が明けたけどまだ真っ暗。20代はまだ起き出したところ。  30代で午前中。定年の60歳で夕方6時で、ちょうど終業時間の方もいるかもし  れません。  午前中だと「まだ」、午後だと「もう○時」と言ったりします。  一生も、だんだん「まだ」から「もう」へと感覚的に変化していくともいえそうで  す。 ----------------------------- 次の投書は、28号での叫びのコーナーでの「幸せなブタはおいしい」の話しから。 ----------------------------- [じろ]  中学生の時に学校で豚を飼っていました。餌は自分達の昼食の残飯でした。  「幸せなブタはおいしい」についての30号の投稿を読みながら、彼らは幸せだっ  たのかな、とふと考えました。  僕は餌をやったり糞掃除をしましたが、直接飼育係りをやっていた連中は豚を肉に  する過程まで自分達でやっていました。彼らはきっと僕よりも多くを学んだんだと  思います。豚から。  確かに美味しかったですが、豚を結構粗雑に扱っていたような気がします。  糞かきをするときも、糞をする場所に座っている豚を無理やり蹴ってどかしてみた  りして。中学生ってそんな感じですよね。別に大切にしようとか意識していない。  餌をやって、糞掃除に邪魔だったら力ずくでどかす。  「どけよ、お前」とか言ったりして。あの重い豚を動かすのは本当に大変なんで  す。豚舎から逃げるとみんなで追っかけて捕まえる。  どちらかといえば豚と対等な感じ、いや粗雑に扱っているようで、むしろ振り回さ  れていた感じ。そんなように思い出します。 ----------------------------- そういう経験を中学の頃に出来たのは大変幸せな事と思います。 豚と対等に「どけよ、お前」と蹴飛ばす。それで良いんです。人には人の世界がある し、豚には豚の世界があるし、そこの接点で中学生が、対等だったり粗雑だったり振 り回されたり。 豚は、スーパーで白いトレイに薄切りで並べられてそこにある物ではないという実感 が大切なんだ。ともすると現代社会はそこの所をまったく切り取られても生きていく ことができるというのが怖いとも思うのです。 豚舎から逃げだし、中学生に追いかけられたブタは、結構幸せだったと思いますよ。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★今回叫びで取り上げたクマ問題。 どうも、この手の問題は熱く語ってしまう。私。 ヒトの身勝手さが、あまりに分かり易く現れているのに、“駆除”という貧しい発想 しか出てこない人のなんと多いこと。 今ならまだ間に合うのに。住み分けは可能だと思う。絶対方法はあると思う。 オオカミがいなくなった。この上クマまでいなくなったら、山の魅力は半減だ。クマ がいる怖い山。クマを養う力のある豊かな山。山はもともとクマのもの。 ヒグマと違ってツキノワグマはかなり小さい。それでも駆除の対象となるのは、直接 危害を加えられる被害よりも農作物被害対策なのでしょうか。 そこの所が、北海道に住んでいる私にはちょっと見えてこないんです。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 ★メルマガ相互宣伝です!  バックナンバーを読んでみて、気に入ったら購読すると良いよ。 ==== メルマガ ======================================================== □    『宇宙飛行士への挑戦、宇宙関連ニュースで学ぶ英語』 □ ■ たった1つのルールをくり返し使うだけで英語が読めるようになる。 ■ □ 大学受験、TOEIC,TOEFLなどの枠を超えた英語のエッセンスをお届け。 □ ■ 宇宙の不思議、未来を英語を通して読んでいきます。        ■ □ 将来の宇宙飛行士を目指すトビーと一緒に宇宙を読んでいきませんか?□ ■ URL: http://www.chem.ufl.edu/~mtobita/magazine.html ■ ======================================================== [ ▲PR ] ==== それじゃ、今週はここまで。 あなたのお便り待ってるよ。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ほんのちょっと短い間に眠った。その間、夢を見た。 目が覚めて一瞬何処にいるか判らなかった。現実もどうせ夢か幻。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○週刊 やまねこ通信E=MC二乗 vol.31  2001年7月20日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: ◆インターネットの本屋さん「まぐまぐ」 ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ◆メルマガ発行サービス「メルマガ天国」 ID:3743 http://melten.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○週刊やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さに はまったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。 それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━