2001/8/10━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆        週刊 やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.34 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 今度の日曜日の夜から月曜日の朝(8月12日〜13日)にかけて、 「ペルセウス座流星群」が見ることができるよ。 まぁ、ひらたく言うと流れ星だね。 2年前に獅子座流星群が有名になったけれど、流星群は何種類もあって、ほとんど 毎年見る事ができるんだ。 特にこのお盆頃の流星群は、数も多く安定している。 条件の良い空だと1時間頑張ったら数十個の流れ星が見られるらしいよ。 夏の夜空の流れ星に、何を願いますか? 私は……内緒。えへへ。 星に願いを。 新しく登録して下さった人、はじめまして。 バックナンバーがあるので、ここ↓チェックしてみてね。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ━■ある生物学者Aの指摘の話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ リアリズムに徹したサルの名画が日本にある。 ずっと南宋初期(12世紀)の中国人画家、毛松(もうしょう)作と言われてきた 「猿図」だ。↓ http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/saru.htm 下を見る目つき、顔面の色、手足の指の形、一本一本の毛。どれをとっても真に迫っ ている。 無背景っていうのもこの絵の特徴だ。花鳥画とは別次元の猿の内面まで浮き上がって くるような「猿の肖像画」ともいうべき作品だ。 この絵を「猿の肖像画」「哲学する猿」と呼ぶ人もいる。 現在では作者を毛松とする説はほぼ否定されている。毛松よりももうちょっと時代が 下がる1200年前後の、極めて高い技術を持つ「中国の画家」とする見方が有力だ。 1570年、武田信玄がこの絵を京都・曼殊院に送った。ここまでは書状によって確かめ られているけれどそれ以前の由来は判っていない。中国から渡来した記録もない。 それでも専門家が中国人の作と見なすのは、当時の日本に見られぬ優れた写実性と 絶妙な技術が見られるからだ。 1974年、ある生物学者A(ハゼの分類が専門)が、美術史学の権威から中国絵画 について個人講義を受けた際、先生の示した毛松の「猿図」を見て 「でもこれはニホンザルです」 と指摘したんだ。 ニホンザルが何故、中国の絵に描かれているのか? 返事に困った先生は、動物学者に意見を求めたが、やはり中国に生息していないニホ ンザルだという。 毛松がサルを描いたら上手なので、ニホンザルを送って描いて貰い、そしてその絵を 送って貰った……? 無理がある説明だ。中国の絵と考えるから変な理屈がつくんだ。日本の絵と見なせば すっきりする。 でもいまだに判らない。 ところで、美術界の権威をあわてさせた生物学者Aとは……実は、天皇陛下なんだ よ。(当時は皇太子殿下) つまり平成天皇が皇太子時代に「ニホンザル」だと指摘したんだ。 ━●みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「黄砂の効用から思うこと」 以前、やまねこ通信 vol.18で、ちょっとだけ「今年は札幌と稚内に黄砂が観測され た」って紹介した。 はるばる遠く中国西部のタクラマカン砂漠やゴビ砂漠などの砂が風に乗ってやってく る。 北海道までくるのは、ちょっとだけ珍しいかも。でも西日本ではたびたびなんだって ね。 このやっかいものとしか思われていない黄砂だけれど、最近、意外な効用があること が判ってきたんだよ。 酸性雨の中和。黄砂には、アルカリ性の炭酸カルシウムが多く含まれていて、これが 雨に溶けて雨中の酸性物質を中和してるんだ。 どうもね、日本にやってくる酸性雨の1〜2割を中和する能力があると見積もられて いるらしい。 黄砂は海の生物に栄養を供給する役割も担っている。リン、カリウム、鉄などが含ま れているんだ。 海は一般に鉄分が不足している。鉄分不足が植物プランクトンの増殖を妨げているん だ。 東シナ海では黄砂が供給する栄養分で植物プランクトンが増え、魚が育っている。 人工衛星で黄砂や植物プランクトンの動きを調べると、赤潮の発生も黄砂が関わって いるらしい。 土地がやせたハワイ諸島の火山島では、黄砂が運ぶ養分がないと、木々が育たないと いう研究結果もある。 黄砂の大部分は中国国内に落ちる。その経済的損失は年間7000億円。 しかも黄砂による激しい砂嵐はは増加する傾向にある。 原因は、中国の政策の失敗といっても良いんだろうけれど、森林伐採や過度の放牧 で、土地の砂漠化に歯止めがかからなくなってきてるんだ。 砂漠は北京の北西70kmまで迫っている。このままでは砂漠の飲み込まれてしまう。 環境破壊が進み、黄砂被害が増えている。 陸地表面は砂漠だけれど、地中内部はたくさんの無機養分が眠っていて、細かな砂に よる毛細管現象で地表に吸い上げられて、それが栄養源として循環しているらしい。 日中政府は共同プロジェクトで、砂漠を集中的に緑化する計画がある。 もう、こうなったら何がなんだかわからない。 急激な砂漠の拡大と被害は、ヒトの環境破壊がもたらしたもの。砂は世界に飛んでい き(北米まで飛んだことも確認されている)膨大な被害と、栄養をもたらす。 もはや“自然”のサイクルにも影響を及ぼし始めたヒトだけど、ヒトの損得を越えた 所で自然のメカニズムは動いている。 破壊がなんぼのものだろう? もしかしたら(っていうか、たぶん)ヒトの自然破壊 は地球にとって“屁のカッパ”なのかもしれない。 もっともっと大きな流れの中のホンの一瞬存在している私たち。 人間の意図ではどうにもならない“自然”というものがある。 未知の強力な病気の大流行や、温暖化による確実な変化。 「自然への畏怖」という感覚を忘れた時、何でもコントロールできると慢心した時、 または誤解を怖れず極論すれば「地球にやさしく」などという時の、ある種鈍感な意 識は、環境破壊者だけではなく保護論者も、「慢心」という点において同じではない か思う。 人間がコントロールできる自然など、微々たる範囲でしかない。 コントロールではなく、共に生きること。そのままの状態で共に生きること。 そういう感性を持ち続けたいと私は思うんだよ。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ これから紹介するのはvol.31の「みかりんの叫び」のコーナーでクマとの共存を熱く 語ったあとで貰ったメールです。 地元のリゾート地の自然教室というイベントに参加し、その時のテーマが「ヒグマは 本当に害獣なのだろうか?」ということだったので、その様子を知らせてくれまし た。 けれどとても長かったので、「投稿の全然ない時に掲載したいです」とその時、掲載 を見合わせました。 それで今回めでたく(?)投稿がなかったので満を持しての掲載です。(笑) ただ謎なんですが投稿者のCageさんは信州の方なんだそうです。 信州の自然教室で何故ヒグマなんでしょうね。 ---------------------- [Cage]  ヒグマの生態・習性から食生活までを写真・スライド・クマの骨格などを使って分  かりやすく説明してくれました。食生活にいたっては、実際にヒグマが食べている  桑の実・サルナシ・山ブドウの試食会までありましたよ(笑)。  北海道では、「鮭をくわえる木彫りのヒグマ」がお土産として有名ですが、今では  クマが鮭を捕れる川は知床周辺の3つの川だけなのだそうです。  他の川では河口直前で人間が遡上する鮭をみんな捕っちゃうからなのです。  また、ヒグマの生態・習性を分かりやすく言うと、ヒグマは頭が良くて学習能力に  長け、食料に対する執着心が非常に強く、そして不幸なことに日本の野生動物の中  でもっとも大きく力も強いということです。  その力強さのために、人間によって駆除されているのです。  もともとヒグマをはじめとするクマは、植物を主食とする雑食性であり、人間や生  きている他の獣を襲ったりということはほとんどありません。  人間をおそれて山の中で生活しているため、年に数件の不幸な事故以外には非常に  有害な動物というわけではないのです。  そのイベントの中で、スライドを使った紙芝居がありました。ストーリーはヒグマ  の「アル」君がキャンプ場の外に捨てられたゴミのジュースを舐めるところから始  まります。人間のゴミという、甘くて栄養価の高いご馳走に味をしめたアル君は山  の中腹にあるドライブインにも出没します。  ドライブインではクマをおそれる人もいますが、中には近づいていって写真を撮っ  たり、アル君にお菓子をあげる人まであらわれます。  それまでアル君は人間をおそれていたのですが、人間なんて怖くないということを  学んでしまいます。  そうしてアル君はとうとう人間のたくさんいるキャンプ場に現れ、人間の食料を食  べ始めます。そしてアル君をキャンプ場から追い払おうとする人間を自分の食べ物  を奪う敵だと見なし、襲ってしまうのです。  その後、アル君はハンターに撃たれてしまいました、というものでした。  そして一つの問いかけが残されます。  「アル君が悪いことをしたから撃たれたのでしょうか?」  悪いことをしたのはもちろん人間で、アル君はただクマの習性に従っただけ。  山にゴミを捨て、野生のクマをペット扱いにしてしまったのは人間です。  もちろんクマは山でバッタリ出会えば非常に恐ろしい動物ですが、お互いに恐れて  いる限り、農作物を荒らしたりする憎むべき「敵」ではないはずです。  少し心の痛むお話でしたが、嬉しいことに、多くの子供達が夢中になってこの話を  聴いていて、中には涙ぐむ女の子までいました。  ちなみにそのリゾート周辺にもツキノワグマが出没するんですが、そのイベントの  スタッフは、人間社会に現れたクマを生け捕りにして、人間を恐れさせるために少  しの苦痛を与えた後、発信器を付けた首輪を取り付けて山奥に放す、ということを  やっているそうです。  クマと人間が不幸な「再会」を避けられるように。  残念なことに人間は増えすぎてしまったのかもしれません。  クマとは友達にはなれないかもしれないけど、同じ地球の愛すべき同居人には違い  ありません。また、こういうことを子供にしっかりと伝えていくべきだ、そう思わ  ずにはいられない夜でした。 ---------------------- 「鮭をくわえる木彫りのヒグマ」のおみやげって昔は主流だたみたいだけれど、今は あんまりみなくなったなぁ。 あれをおみやげで買っていったみなさんは、あの後、あの木彫りのクマをどうしたの でしょう? しばらく玄関に飾られて……その後の木彫りのクマの運命や如何に。 観光みやげって、後先考えず勢いで買ってしまうけれど。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★今回の記事は、私の専門分野の“絵画”と、やまねこ通信の“自然科学”の分野の 融合した珍しいネタです。 昭和天皇がキーワードになっている。 この話は、昭和天皇と幼稚園時代からの友人である徳川美術館長の徳川義宣氏の とっておきの話しなんです。 まったく余計な事で余談なんだけれど、天皇ともなると御友人の苗字が“徳川”だっ たりするんだなぁ。なんか凄いや。と妙な感心をする私。 ★黄砂の事をさらっと書くつもりだった。 だけど書いているうちにヒートアップしてしまって、話しが大きくなっていった。 書き出しと書き終わりの語調が違う。(笑) どんどん勝手にエキサイトしてしまっている。面白いから直さずにそのまま掲載。 (笑) 私の嫌いな言葉に「地球を守る」っていう言葉がある。 なんていう慢心だろう。この言葉の持つ傲慢さは環境破壊者と同質のもの。 確かにヒトは数を増やしすぎてその影響は、空気中に炭酸ガスをまき散らし、温暖化 を招いている。 その弊害は今や北極南極の氷を溶かす勢いだ。 かつて地球の大気は二酸化炭素の充満する環境だった。それをストロマトライトとい う微生物が酸素を吐き出し、とうとう地球を酸素の星にしてしまったんだ。 それまでの二酸化炭素の環境の地球に適応していた微生物にとっては酸素は毒。その ため二酸化炭素の世界に適応していた微生物は、絶滅したり酸素のない環境に追いや られていった。 ヒトは、ストロマトライトが何億年もかけて酸素の星にした環境を、短期間で壊し 続けている。 これは、酸素型生物のヒトにとっても、危険な行為だ。 しかしヒトは、二酸化炭素を充満させる方向でしか文明を築けない種なら、自分で自 分の首を絞めつつあるばかりか、今一緒に地球に暮らしている他の動植物も巻き添え にしている行為の結論は、地球の大きなメカニズムの中でなんらかの結論が出るだろ う。 それはたぶんヒトが生息するのには過酷な環境を強いられるかもしれない。 それをヒトの知恵で阻止するのは「地球を守る」というのとは違う。その行為は「ヒ トが住み良い環境の地球を守る」事だ。ようするに“ヒトが主人公”の考え方から出 ていないんだ。 ヒトは、そのままの状態で生きること。ただそれだけで良いんじゃないか。 おお、また勝手にエキサイトしている……。 どうやら書き終えた興奮がおさまっていないようだ。(笑) ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 ★メルマガ相互宣伝です!  バックナンバーを読んでみて、気に入ったら購読すると良いよ。 ◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━  ☆☆ 里山を歩こう ☆☆                 自然の中で出会った昆虫や山野草,花,野鳥,その他の生き物を  リアルタイムに紹介。  デジカメ写真により,ビジュアルに生き物たちの『今!』がわかります。  里山を歩きながら,生き物の息吹を感じてみよう!!                      http://www.mag2.com/m/0000057970.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆ それじゃ、今週はここまで。 あなたのお便り待ってるよ。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 風呂に入ってもぐってみる。 耳に水が入ってぽわんぽわんと音がする。 後悔する。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○週刊 やまねこ通信E=MC二乗 vol.34  2001年8月10日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: ◆インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ◆メルマガ発行サービス「メルマガ天国」ID:3743 http://melten.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○週刊やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さに はまったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。 それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━