2001/8/24━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆        週刊 やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.36 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 物をなくし探したけれど見つからず大層不便なんだけれど、買うとあんなに探しても 見つからなかった物が見つかるんだよ。 でも買わないと、このまま見つからないんだ……。 こういう事が多い私。 新しく登録して下さった人、はじめまして。  バックナンバーがあるので、ここ↓チェックしてみてね。 自己紹介もあるよ。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ━■水生類人猿説の話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ヒトはどうして二足歩行なのだろう。それに無毛で、汗かきで、音を中心とするコミ ニュケーションをする。これら他の動物にはないヘンチクリンな特徴は、どうやって 獲得していったのだろう。 遠い昔、人類の祖先が森からサバンナにに出てきたとして、厚い皮下脂肪等の特徴は 適応的だったとは思えない。そこで、人類の祖先は遠い昔、ある一時期を水辺や水中 で過ごしたというアクア説がある。 大型の水生哺乳類が体温を保つには体毛より皮下脂肪の方が良い。クジラやカバがそ の良い例だ。人間も同じ構造になっている。 でも皮下脂肪を持ったまま陸に戻ってきたのでは体温が上がりすぎる。そこで発達し たのが汗腺。他の霊長類では冷や汗しかかかず、汗で体温調節はしない。 またヒトの背中の毛は類人猿と異なり、正中線に向かって斜めに集まっている。これ は泳ぐときに抵抗の少ない生え方だ。 二足歩行については、海産物を求めて海に入っていく時、頭がもぐらないようにした のがきっかけだという。海でイモを洗うサルは二本足で海中に立っている。アザラシ やラッコは物を見るとき直立姿勢になる。イルカもこれが得意だ。 そして泳ぐときは水平になる。ヒトも同じだ。垂直時、水平時共に背骨と後ろ足の関 係は180度。四足動物の90度とは違う。 言葉。嗅覚、触覚、視覚によるコミニケーションのうち、水中でいかせるのは聴覚 だ。イルカをみれば判る。 ダーウィンの自然選択説が正しいとするなら、生物の進化とは、環境に適応するため に形を徐々に変えていくというプロセスのことだ。 自然選択説の困る所は、ある形態がある環境にとても適応的であっても、変形途中の 形態が適応されていなければ、そういう進化は起こらないという事だ。 ダーウィンは、目の進化についてとても悩んだ。完成した目が適応的なのは間違いが ないけれど、皮膚から目へと変形途中の器官が適応的だとは考えにくい。 人類の祖先が遠い昔、森からサバンナに出てきたとして、厚い皮下脂肪、二足歩行、 無毛などの性質は適応的だったのだろうか。 水生類人猿説(アクア説)を唱える一派は、自然選択説を捨てる事と、人類サバンナ 説を捨てる事を主張する。 ウミガメ、ペンギン、アホウドリ、アザラシなど海に住む動物は涙を流す。 ヒトは涙を流す。霊長類の中で涙を流すのはヒトだけ。 淡水に住むワニは涙を流さないが、海に住むワニは涙を流すのだという。 私も悲しいっちゃ泣き、可笑しいっちゃ涙を流す。 どうも海出身の動物のようなんですけど……。 ━●みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「なくなった闇」 人は、文明の発達でいろんな物を手に入れたけど、随分いろいろな物を失った。 そのために様々な弊害が出ている。 すべての弊害の原因は、自然を恐れなくなったところ。 目に見えない物の存在をないがしろにするようになったところ。 もう少し平たく言うと五感が鈍った事。第六感を信じなくなった……というか鈍く なったところ。 私は、このことは電気の発明と普及のせいと思ってる。 電気の普及によって、本当の暗闇がなくなった事と無関係ではないんだ。 生活に真の暗闇が身近にあった頃、暗闇に遭遇すると人は、あらゆる五感を総動員し て闇の中を探ろうとする。 見えないんだから想像力も刺激される。 そこに妖怪も精霊も土地神も見る。 混沌として死者と生者の区別もあいまいになる。 怖れる。 そう、自然との間がうまくいかなくなったのは“怖れ”がなくなったから。闇がなく なったから。 電気の発明と普及のせいなのさ。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 前回の「みかりんの叫び」のコーナーで蚊のかゆかゆ物質について書いたら、 さまざまな人から蚊の投書が来ました。 まず蚊の所だけ抜粋して並べてみます。蚊特集です。(笑) --------------------- [無記名]  蚊に刺されて痒くなるのは、蚊が痒くなる物質を人に注入するからではないはず  です。  理屈はよく判らんけど、人間自身の抗体反応で痒くなるらしい。  つまり自分自身で痒くしているのだよ。  でも実際に蚊が何らかの物を人に注入したせいで痒くなるんなら、一緒ジャンって  理屈も成り立ちそう。 --------------------- [やまねこ]  1.どうして羽音を立てるか  蚊は隙間からもぐりこめるように羽が小さく丈夫に出来ている。だからどのくらい  か忘れましたが,動かす回数が多くないと飛べない。それで空気との摩擦音がして  しまう。  2.かゆさ  やはり口も細く出来ていて,硬いものをつきささなければならない。そこで,  ブスッと刺し,管を差込む。血液は濃いから,毛細管で上がってこないし,吸い込  む力が足りない。そこで別の官から  分泌物を押しこんで,その反動で吸えるよ  うになっている。  かゆくなるのはその分泌物が人間にとって異物だからアレルギー反応を起す。いや  ヒスタミンを出す。正解がよくわかりません。そういった関係でかゆくなる。  かゆくならないと毒が入ったことがわからないから困ることも。キンカンをつけて  中和できなくなるしね。  ところがこの2点がなくったって蚊はおそろしい。あのおそろしい日本脳炎やマラ  リアなど,蚊が媒介になるものは多い。  昔あった風土病だってかなりそうではないのかい。京都で夏になると悪霊よけに祇  園祭が行われるけれど,多くは蚊によって媒介される伝染病や食中毒,さらに熱中  症などを恐れたためでしょう。そのため,蚊帳,ハエ帳,蚊取線香などが出来た。 --------------------- [上林 真之]  蚊に咬まれるとかゆいのは、蚊が血液を凝固させない成分を注入しながら、血を  吸っているからだと聞いたことがあります。現在の日本では、蚊の媒介による日本  脳炎の発病はほとんどないと思いますが、「人間中心主義的」に考えると、蚊が  「ブンブン」いってくれたり、「刺されるとかゆくなったり」するのは、蚊の駆除  から考えると、人間に有利な現象なのかもしれませんね。                                                   --------------------- [nori]  蚊が鳴く話がでたので一言。血を吸うのはメスだけというのは周知の事ですが,  その音は大体440ヘルツぐらいで、ドレミでいう所のラにあたるんですけど。  オスの蚊はその音を頼りにメスによってくるみたいで,ピアノでラばっかひいてる  とオスが寄ってきます。オスはオスで別の音で飛んでます。 --------------------- [複合装甲]  何故、蚊がヒトにかゆみを残すのか。これは蚊がヒトに麻酔をして血を吸うとき  の痛みを抑えるためだと聞いたことがあります。そして、その麻酔成分がヒトの  抗体とアレルギー反応を起こしてかゆみが発生するのです。  蚊にとってこの麻酔が無ければすぐヒトに発見されてやられてしまいますからね。 --------------------- はい。蚊特集でした。 同じような事も、語る人によってニュアンスが違っていて、思いもかけず夏向き企画 が出来たことはとても嬉しいです。 で、実は私の言いたかったことは、ちょっとだけ違うんです。 言いたい事を80%で止めてしまったから、どんどん突っ込まれてしまいました。 (笑) 例えば、カラス。 カラスは抱卵期間中、タマゴを守るために巣の近くを通る動物に攻撃的になります。 その攻撃は巣のある木の下を通る人間にも及びます。 それでは危険なので人間によって巣は撤去されてしまいます。 例え抱卵期間中であっても攻撃さえしなければ、人間はカラスの巣など撤去しないの に。 それと同じで蚊も、あの音や、かゆかゆ物質さえなければこんなにも人間はやっきに なって蚊退治などしないだろうに。 蚊もカラスももうちょっとの工夫があればねぇ。と、そんな事を書きたかったので す。 私は春先のカラスの抱卵期に毎年カラスと戦っているのです。怖いです。 では、蚊以外の投書を紹介。 --------------------- [やまねこ]  北海道に移住した人々にとってオオカミに家畜をやられるというのは死活問題だ  よ。  まだ農作物に依存できないはずだし。それをニワトリ1羽だってもっていかれた  ら,その先どうなるかわかったものではない。  政府が無策なのは明治以来変っていない。私たちの仲間の農業経済学者からは正し  いことはやったことが無いようにさえ聞かされたことがある。(私たちというのは  私が素人の経済学研究者という意味)。  わが国には水田というこれ以上ないわが国にあった方法があったのに西洋の真似を  して三甫農法を導入したりした。現在だって減反政策を取ったりして,土地を余ら  せたりしているでしょう。使わなくても手入れをしないとだめになる上,技術がな  くなる危険もある。本当に多いのなら補助金を出して転作という手も。 --------------------- 北海道は、本州とは歴史が違うからね。 「勝手に入り込んでいった人間vs北海道の自然」という構図だからね。 本州の人たちは、ずっと長い間ニホンオオカミと共存できていたんだし、北海道には アイヌの人たちがちゃんと共存できている文化を持っていたんだ。 「既存のものを排除して殺し尽くす」ということを国レベルで推奨していたんだよ。 そういう歴史から学ばなければね。っていうことなのさ。 全国的に豊作が見込まれる2001年産米の値崩れを防ぐために、水稲を収穫前に刈り取 る青刈り作業が、北海道内各地の水田で始まっている。                        (8月20日付け 北海道新聞) 降水量の多い日本は、世界的にみても稲作に最も向いている土地なんだ。 世界には食糧難の土地もあるのに、何とかならないもんかなぁっていつも思うよ。 --------------------- [つるべ]  34号で『人間が自然を守るなんて奢りだ』というようなことが書いてあって、  「そーかなー?」と思っていたのですが、35号で、オオカミの絶滅についての  書き込みがあり、やはり、「違う!」と思いました!  人間が自然のどれだけを知っているか、ということでしたら、多分一万分の一も分  かっていないでしょう。  でも、もう人間は自然・環境に対し、滅茶苦茶な脅威になっているのは確かではな  いでしょうか?  ありとあらゆる局面で、経済的な面でも情感的な面でも、手段を問わずいま、  「自然を守ろう!」と声を出すことは凄く重要なことだと思います。  そんなところで「謙虚」になっててもしょうがないんじゃないでしょうか。  >食物連鎖の頂点・・・「進化の系統図」の間違いじゃないかと思いますが今現在  の生物学では、書き込みにあったとおり、現在まで生き残っている生物は、皆同じ  位置になるような(単細胞生物も人間も同じ)進化の系統図になっています。  >「霊長類」って言われてみればそーかな?という気もしますが、でも、ワオキツ  ネザルやツパイやリリスザルや、みーんなこの仲間なんですよ。なんとなく許せ  ちゃうんですが。  それより「類人猿」の方がオランウータンやチンパンジー・ゴリラから、「おいお  い、俺たちをヒトの仲間にするのか、俺たちゃそんなに非道くないぞ」って文句出  そうだナーと思います。    --------------------- 今ある環境に少しでも負荷の少ない生活をしなければならないのは現代では当然で す。 以前にもメルマガで語った事があるような気がしますが、私は現在抱えているすべて の問題点は人口問題にあると考えています。 多少の負荷のある生活をしてもそれが少人数ならさほど問題は深刻化しないんです。 先進国での暮らしの水準を、人口の多い発展途上国の人々もすると、たちまち環境は 劣悪化します。 だからと言って「お前たちは、ひねればお湯の出る生活をするな」とは言えません。 先進国ではフロン規制の法律が通りますが、フロンの恩恵を受けていない発展途上国 では、先進国の決めたフロン規制など納得しません。代替フロンはコストが高いので す。 「人命が何よりも大事」という考えは割と最近の考えです。その結果(?)人口は爆 発的に増えましたしこれからも増え続けます。 あらゆるジレンマを抱えて現在があります。 大切なのは、「人命」でしょうか? 「(人が住み良い)地球環境」でしょうか?  人間は地球を滅ぼしてしまうのでしょうか? 私は、人間が滅びても地球は滅びないと思うのです。 もちろんエコロジカルな生活は大変重要な事でこれからのキーワードになっていきま す。 --------------------- [かえる]  オオカミが今も日本にいたら日本の自然のパワーがぐんと増すような気がします。  残念です。  それにしても狂犬病のために捕獲されたとは。森林伐採などの環境の変化はまった  く関係しなかったのでしょうか?  絶滅動物というとカワウソが長いこと生息の痕跡が見つかっていませんね。まだ生  存の可能性を信じて活動を続けているグループがあるようですが、わたしにはもう  絶滅してしまったのではないかと思えるのです。  生きていてほしいという気持ちは山のようにあるのですが、好奇心旺盛なあの動物  が人知れずどこかに生き残っていると考えるのは難しいように思います。  しかし、ほとんどの日本人にとってはカワウソが絶滅したかどうかなんて「おれに  は関係ない」ってことなんだろうな。 --------------------- ニホンオオカミは、森林伐採の影響がなどが出る前に絶滅してしまったようです。 江戸は、都市と伐採林の関係が非常にうまくいっていました。 (やまねこ通信 vol.14「江戸のリサイクル事情(3)」に詳しく載っています) 絶滅動物の話は、とても心が痛くなります。 カワウソっていう動物は、とても遊び好きです。 彼らは本当に楽しげに遊びます。カワウソに生まれてきて良かったと全身で表現する ような生き物です。 そういう動物が日本にもいたんです。 あぁ、ニホンカワウソ。もしいるのなら人目にふれずにこれからもこっそり生きてい ておくれ。 編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★ヒトはどのように類人猿と異なる道を歩いてきたんだろう。 現在最も一般的なのが「サバンナ説」だ。それと「ネオテニー説」だ。 <サバンナ説> 気候の変動で森林が少なくなりサバンナが生じ、そこで暮らし始めたのが人類の祖 先。サバンナでは狩人になる必要が二足歩行の特徴を生んだ。 <ネオテニー説> 人類は幼児の姿を保っている。体毛が少ない、頭が大きいなどは胎児期の類人猿の特 徴だ。 そこにこの水棲類人猿説の<アクア説>が、サバンナに出る前に水生生活をした主張 するのだ。 日本では、一般的ではないきわもの扱いの説だけれど、欧米では、“珍説”ではな く、まじめに見当すべき仮説として地位を確立しつつあるという。 だってね、ちょっと考えても今一番一般的なサバンナ説も、ただサバンナに出ただけ では二足歩行になる理由にはならないんだと思うんだよ。 ★今月は金曜日が5回あるので来週はお休みします。 「週刊 やまねこ通信 E=MC二乗」は、「週刊」と銘打ちながら実は「月4回」 なのです。 お休みいただいた期間は、ストック分の記事の執筆に当てます。ご理解を。 次回配信は9月7日になります。 ★コーナーがひとつ減ったのが気にならない程の、たくさんの投書が嬉しいです。 これからもどんどんメールを送って下さい。 ★「やまねこ通信 E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 ★みなさんの中にメールマガジンを発行している方はいませんか?  相互で宣伝しあいませんか?  連絡ください。 それじゃ、今週はここまで。 あなたのお便り待ってるよ。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 葉を空にかざして葉脈をまじまじと見る。 葉脈は水脈。あちこちに水を見る。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○週刊 やまねこ通信E=MC二乗 vol.36  2001年8月24日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: ◆インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ◆メルマガ発行サービス「メルマガ天国」ID:3743 http://melten.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○週刊やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さに はまったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。 それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━