2001/9/21━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆        週刊 やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.39 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 アメリカの同時多発テロから10日。 政治、経済、世界情勢は、不安定感を増しています。 宮沢賢治の言葉を思い出します。 「世界がぜんたい幸福にならないうちは、個人の幸福はありえない」 アインシュタインは、言いました。 「第三次世界大戦が、どういったものになるかはわからない。しかし、第四次世界大 戦で使われる武器は、わかっている。それは、石とこん棒だ」 新しく登録して下さった人、はじめまして。 バックナンバーがあるので、ここ↓チェックしてみてね。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ━■フラクタルの話(2)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ “自然の輪郭には無限の長さが折り畳まれている”なら、リアス式海岸のような複雑 な海岸と九十九里浜のような一直線の海岸は、“長さは無限大で等しい”ということ になってしまうのだろうか? 自然物は測る事ができないのだろうか? フラクタルを発見したマンデルブロ教授は、複雑さの程度を測る尺度として「フラク タル次元」という考え方を導入した。 点は0次元、線は1次元、平面は2次元。この考え方はとても“線形的”だ。 レーザー光線のようなホントの一直線もあれば、一筆書きのようなクネクネとした細 かく折れ曲がった線もある。クネクネをずっと書き続ければ平面を埋め尽くす“平面 のような線”が出来る。 台所の金属タワシのようにステンレス線が渦巻いて、結果的に“ある空間を埋めてし まう線”もある。 クネクネ線は、実際には2次元に近い。 金属タワシ線は、3次元に近い。 そこでマンデルブロ教授は次元を非正数化してしまったんだ。 クネクネ一筆書きの平面は1.7次元。空間に近い金属タワシ線は、2.68次元。 樹枝状フラクタルは、1.4次元。動物の肺胞、ブロッコリー、サンゴ、積乱雲は、 2.17次元。 人間の血管は、2.3次元。脳のシワは2.73〜2.79次元となる。 そうするとリアス式海岸は、1.26次元。九十九里浜のような一直線の海岸は、1.0次 元に近い次元を取る計算になるんだ。 部分の中に全体が隠されている。この事がフラクタル図形に特徴的な不思議な性質な んだ。 典型的なフラクタルとして有名な図形にコッホ曲線というのがある。 コッホ曲線は、じつに単純な図形の繰り返しで出来上がる。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/koch.htm ↑これ。この単純作業を何回も繰り返すと雪の結晶のような形が出来上がる。 無限に繰り返すことが出来る。 コッホ曲線の及ぶ範囲は有限なのに、星形の模様がどんどん細かくなっていって、 輪郭の長さは無限大になってしまう。 そして驚くべきことに、どんなに細かく分割しても、どの部分を拡大しても、同じ形 のコッホ曲線がどんどん出てくる。大小無数の相似形がこの星形図形の中に折り畳ま れているんだ。 この部分の中に全体の形が幾重にも折り畳まれている不思議な構造を「フラクタルの 自己相似性」っていうんだ。 自然界にはこの自己相似的な形がたくさんあるんだよ。 理由は、効率がよいから。 ヒトの肺は、肺胞という小さな部屋に分かれていて肺胞の表面積が大きいほど呼吸が しやすい。 植物の葉もフラクタル次元が高いほど、日光を吸収できる。脳もヒダヒダが複雑な方 がパワーアップできる。 限られた面積の中に無限に近い長さを折り畳むことが出来る。 もしかしたら時間の流れも、歴史も、個人の人生も、フラクタルではないのかな。 同じ10年でも短く激しい凝縮されたたどり方もあるし、ゆっくりゆっくりたどり着 く方法もある。 どちらが充実しているとは言えないんだ。 どちらも複雑で無限の長さと想いが秘められているんだ。 ━●みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「近代建築物」 私の住んでいる所のすぐ近くに札幌ドームという4万人収容できる巨大な建築物が出 来た。 東京ドームがすっぽりと入るくらい大きいらしい。(と言っても東京ドームに行った ことはない) 札幌ドームの外見の印象は、「風の谷のナウシカ」に出てくる巨大な虫、王蟲(オー ム)が銀色になったような。または巨大な銀色のワラジムシのような。そんな建築物 だ。 野球、サッカー、コンサート等、あらゆるイベントが行われるらしい。でも私は人が 大勢集まる所は苦手だし、そういうあらゆるイベントにも興味がない。遠くからドー ム目指してやってくる人には、大変贅沢な場所に住んでいることになる。 イベントには興味がないけれど、近代建築物というアートなモノには興味がある。な によりも銀の王蟲から突き出た奇妙なガラス状のモノが気になってしょうがない。 あれは何だ? あそこに行けるのか?  どうも展望台にもなっているらしい。と、いう訳で先日何もイベントがない日に札幌 ドームという所に行ってみた。 中は広すぎて大きさの感覚が解らないくらい広い。 私が見た状態の時は野球用の人工芝が敷き詰められていたけれど、外にあるサッカー 用グラウンドが必要なときは、入れ替える設備になっているという凄い設備になって いる。 で、お目当ての展望台に行ってみた。正面に手稲山藻岩山を配した札幌の街並み、晴 天ならその向こうに石狩の海まで見えるという。 右手には街並みの向こうに、夕張岳などのはるか彼方の山脈が見える。 左手には羊ヶ丘の広大な畑。人間は凄い物を作ってしまうんだなぁ。 この景色は、百年ちょっと前までは、ただただ何処までも続く原生林と、地から湧い てきたような膨大なエゾシカの群とそれを追いかけるエゾオオカミのものだった。 クマ笹と原生林の間を縫うように蛇行した河はよく氾濫し、そこに上ってくる鮭を狙 うヒグマの親子。 ちょっと想像するだけで、昔の北海道の景色が見えるようだ。 百年ちょっとという年月はそう遠い時間ではない。三代くらい前までさかのぼるだけ で良い。 それよりも、百年前に現在の景色を想像する事の方が難しいだろう。 羊ヶ丘にあるクラーク博士の像は、ドームを指さしている事になってしまったらし い。 そんなことになるなんてクラーク博士も驚いているに違いない。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [マンブー]  私はもともと数学専攻で、相対論や量子論も少々かじりましたが、  最近はもっと違った観点で考えるようになりました。  近頃は、科学的な思考方法にも欠陥があるように考えています。  相対論や量子論を含む一連の科学的思考の大前提って実はあまりに偏っていると思  うのです。 それは、  A    ・1秒後に1秒後の世界があるはずという前提。  A−b  (または)未来のことを過去の観測結果から探れる、という前提。  B    ・宇宙の一部で成り立つことが他の場所でも成り立つという前提。  これらが大前提となって科学は進歩してきたと思うのですが、これって、よく考え  たら当たり前じゃないかもしれませんよね?  いくつかの文献をあたっていると、  「科学は<どういうふうに振舞うか?>には答えるが、<何故そうなるか?>には  答えない」  というくだりがありました。  これを読んで思ったのは、本当の<原因>とは人の意識にあるのではないか?とい  うことでした。  量子論は相対論を補完するカタチで受け入れられましたが、その中では、意識の  問題につながるしかない理論が展開されますし、最近ではイギリスのペンローズ  博士による意識科学への挑戦が有名です。  ペンローズ氏は次のように考えているようです。  「この宇宙(広義の意味での宇宙)は3つの世界から成り立っている、それは    1・物理的世界    2・精神的世界    3・観念的世界  であり、これらは独立しておらず、互いに依存関係にある。  物理的世界が精神的世界をつくり、精神的世界が観念的世界を作っている。  さらに、観念的世界が物理的世界を作っている。  例をあげれば、物質である脳が、人の心(精神)をつくり、その精神が、  <きれい><おいしい><E=MC2>という観念を作る。  そしてその観念が物質を出現させるのだ。」  というようなことです。すごく納得がいくと思いましたがいかがでしょう?  (結局、科学って「納得感」が重要だと思うのですが。)  私の解釈がまちがっているかも知れませんが、面白いと思いませんか? --------------------------- 先日、メルマガのストック分の執筆をしていたのですが、11月の3週目くらいに配 信予定になるはずの記事で「色の話」というのを扱うのです。 そのテーマととても共通していたので、マンブーさんの投書はとても共感を覚えまし た。 『「色」は、波長として存在し、脳に概念として存在する』というテーマで語りま す。 前号でボーダーコリーさんが獣医のタマゴという立場から、犬の幸せにはいろいろな 形があるという投書で「アレルギー、肥満、糖尿病、癌」についてちょっと触れまし た。 で、犬の飼い方という所からは外れてしまいますが、「医療の発展と生活の豊かさ と、病気について」というテーマで、やまねこ通信読者のやまねこさんから投稿メー ルが来ました。 --------------------------- [やまねこ]  >人間でも同じことが言えますが、アレルギーや肥満、糖尿病、そして癌もです。  >このような病気は医療の発展と生活の豊かさによってなるものです。  これは10年前の理論です。しかし,近年の急速な医学の発展によって様々なこと  がわかり,訂正されています。決して医療が作り出した病気でもなければ,生活  の豊かさによってなるものではありません。  まず食生活の問題。かつてのわが国はきわめてバランスの良い,正しい食事をして  いました。しかし,貧しかったので,全ての国民が,十分な食事にありつけず,  カルシウムは一般に不足していたし,カロリーがなんと言っても足らなかった。  したがって軽い栄養失調になっていたともいえる。そのもたらされる結果は感染に  弱いことで,流行り病がしばしば流行し,生活形態からも各地に風土病があり,  そうなると命とりでした。  それでもアレルギーも肥満もありました。肥満は人々が歩かなくなった,つまりエ  ネルギーの支出が少なかったのが原因の1つです。肥満因子を持っている方もいて  これらの方々は少しの要因で太ってしまう。同様に糖尿も1型と2型があって,型に  よっては生活とは関係はほとんどありません。  いちおうガンについて。タバコも昔キセルで吸っていたのが紙巻になったのが第一  の原因です。直接タールがどっと体内に入り込む。それだけではなく,入り込んだ  有害因子が遺伝子に働きかけ,活動を狂わせてしまう。  しかも紙巻になったことで消費する量も増えたはずです。小児ガンなどもあります  が,多くはそれらの蓄積が増殖していき,中年以降に発病する。そのほかにも  大気汚染や食生活など10ぐらい原因はあります。  アレルギーについて。スズメバチに刺されても初めて刺された場合は死にません。  2度以上刺された時にそのアレルギー反応によるショックによって死にいたるの  です。アレルギーというのは自己と非自己を区別することで体に有害なものを排除  しようとする反応です。  その意味では細菌が入り込んだとき,発熱して死滅させようとする反応と同じで  す。  アレルギーの場合は体にそれほど有害なものでなくとも,ある種だけ物質が入った  とたんに過剰反応を起すのです。皮膚の場合は発現することによって警告すること  と、発現物質に備えているのでしょう。喘息の場合は器官が収縮して炎症を起すこ  とによって細菌その他の侵入を阻止しているのです。そんな必要はないのにです。  原因はまず第一にやはりタバコそれに大気汚染,不自然な食品,自然と乖離した生  活様式,それと遺伝。それが私の説ではアデノウィルスの侵入がきっかけで起るの  です。  したがって現代病の原因は医学がもたらしたものでも生活の豊かさによるものでは  ありません。  医学がもたらしたものは薬の副作用とかある意味での痴呆,寝たきりの多さなどで  しょうか。  生活の豊かさの害を挙げれば,運動不足の弊害と動物の肉の摂取しすぎだと思いま  す。 --------------------------- 犬も人間も粗食が一番なんですよね。 腹六分でたくさん歩いて体を動かしていれば、大丈夫なんです。玄米を主食に小魚と わずかな海草とちょっとの草と梅干しを食べていればいいんです。 (また極端な事を!(笑)) 実につまんないかもしれないけれど、それが健康の秘訣だったりします。 体ってのは、飢餓に対する防御システムはたくさんあるんだけれど、飽食に対しての 防御システムってのは、2つか3つくらいしかないって聞いたことがあります。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★前号のみかりんの叫びで「森になったネコ」という文を書きました。 個人的には結構気に入っている文です。どこが気に入っているってテーマなんです よ。 特に都心部に住んでいる人には嫌悪感があるんじゃないかと思って反論を待っていた んです。 例えば、こんなメールが来るのではと身構えていたのです。 「死にかけていたのなら、病院に連れていくというような処置を何故しなかったの か。するべきではないのか」 「死んでしまったネコをそのまま放置して観察するのはあまりに悪趣味。せめて埋め てやるという発想はなかったのか」 それがですね、 「うーみかりんはすごーい。私は見られないかも」とか「森になったネコはね。なん か感動したよ。ほんわりと。ええハナシやん」とか。 やまねこ通信の読者層がこういう反応をさせるのかなぁと妙な感心をしました。 やっぱりね、自然科学マガジンを自称しているマガジンの読者だけのことはあ る……。 あっ、いいですよ。今からでも。そういう反対意見があったらメール下さい。 (って本当に来たらどう答えるんだろうね。考えていないんだ。えへへ。) ★冒頭で宮沢賢治の言葉を引用して思い出しました。 「やまねこ通信 E=MC二乗」の“やまねこ”の部分の由来。 宮沢賢治の「どんぐりと山猫」から来ているんですよ。 かねだいちろう君は、ある日一枚のハガキを受け取りました。 差出人は“やまねこ”です。 そのハガキを受け取ってから、かねだ少年は異次元ワールドに踏み込む話です。 “やまねこ”部分のもうひとつの由来はvol.24で触れているし “E=MC二乗”部分の説明は、vol.6で説明しています。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 ★メルマガ相互宣伝です!  バックナンバーを読んでみて、気に入ったら購読すると良いよ。 ==== メルマガ ======================================================== □    『宇宙飛行士への挑戦、宇宙関連ニュースで学ぶ英語』 □ ■ たった1つのルールをくり返し使うだけで英語が読めるようになる。 ■ □ 大学受験、TOEIC,TOEFLなどの枠を超えた英語のエッセンスをお届け。 □ ■ 宇宙の不思議、未来を英語を通して読んでいきます。        ■ □ 将来の宇宙飛行士を目指すトビーと一緒に宇宙を読んでいきませんか?□ ■ URL: http://www.chem.ufl.edu/~mtobita/magazine.html ■ ======================================================== [ ▲PR ] ==== それじゃ、今週はここまで。 あなたのお便り待ってるよ。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ いつも使ってるカバンが重い。で、中を整理した。 カバンそのものが重い事が判明。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○週刊 やまねこ通信E=MC二乗 vol.39  2001年9月21日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: ◆インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ◆メルマガ発行サービス「メルマガ天国」ID:3743 http://melten.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○週刊やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さに はまったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。 それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━