2001/11/9━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆        週刊 やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.46 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 「もしも世界の人口が100人だったら」 もし現在の人類統計比率をきちんと盛り込んで、 全世界を人口100人の村に縮小するとしたらどうなるでしょう。 その村には…… 100人のうち、57人がアジア人        21人がヨーロッパ人        14人が南北アメリカ人 8人のアフリカ人がいます。 100人のうち、52人が女性で        48人が男性です。 100人のうち、70人が有色人種で        30人が白人です。 100人のうち、70人がキリスト教徒以外の人たちで        30人がキリスト教徒。 100人のうち、89人が異性愛者で        11人が同性愛者。 100人のうち、6人が全世界の富の59パーセントを所有し、       その6人ともがアメリカ国籍。 100人のうち、80人は標準以下の居住環境に住み 100人のうち、70人は文字が読めません。 100人のうち、50人は栄養失調で苦しみ 100人のうち、1人が瀕死の状態にあり 100人のうち、1人は今、生まれようとしています。 100人のうち、1人が大学の教育を受け 100人のうち、1人がコンピューターを所有しています。 先日、FMラジオで紹介された「もしも世界の人口が100人だったら」 という文を聞きました。 ネットで調べてたら、環境NGOの「地球村」のHPで公開されてました。 http://www.chikyumura.org/inpaku/inpaku_frame2.html これはアメリカのジャーナリスト、ダナ・メドウズという人が1990年に書いた エッセイの抜粋なのだそうです。 新しく登録して下さった人、はじめまして。 自己紹介もあるよー。 バックナンバーがあるので、ここ↓チェックしてみてね。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ━■移入動物の話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ マングースは、ジャコウネコの仲間で東南アジア原産。毒蛇のハブ撲滅のため1910年 (明治43年)にインドから輸入され、沖縄に持ち込まれた。 そして奄美大島に入ったのは1979年頃と言われている。 最初30匹ほどだったのが繁殖して現在5000〜10000匹。 ハブ対マングースのショーでは、ハブに勝つマングースだけれど、自然界ではマン グースがハブを食べているという証拠はないんだ。 10年ほど前、捕獲調査をした結果、マングースの胃の中から出てきたのは、希少種 のアマミノクロウサギやアマミトカゲネズミの毛。ハブではなく弱い希少種を食べて いることが判明した。 気性が荒く、畑を荒し家畜も襲う。 環境省は2000年秋から5ヶ年計画で奄美大島のマングース駆除作戦を始めた。 委託を受けたハンターはワナを仕掛け、一匹一匹仕留める。一匹につき2300円の報奨 金が出る。 でも「このやり方でマングースを絶滅させることは無理だろう」とハンターは言う。 よかれと思い込み、人間が持ち込んだマングース。けれど招いたのは生態系の破壊で しかない。今、奄美大島のマングースは人間の手によって次々と殺されている。 浅はかで傲慢な人間の愚策の果ての行為だ。 それでも「殺すしかない。早くすれば犠牲になるマングースの数が少なくて済む」と 言う。 北海道ではアライグマの被害が深刻だ。 ペットとして人気があったアライグマが道内で野生化したのは20年ほど前。 生息数が増え、農作物や養魚所を荒し、アオサギの営素地を脅かすなどの在来生物へ の影響が深刻になり、自治体や動物愛護団体を巻き込んだ議論の末、アライグマ対策 委員会は「撲滅やむなし」と結論。 けれど撲滅は簡単ではない。 雌は1年半で約半数が一度に数匹の子を産む。駆除したとしても一部が残れば、再び 飛躍的に増える怖れがあるんだ。繁殖力は原産地の北米並という。 撲滅運動の結果、密集地での生息数は減ったけれど、根絶には至っておらず、生息地 域は広がり続けている。 釣り目的での北米産のブラックバスなどの外来魚の放流が、日本固有の魚を圧迫して いる。 現在は日本中の湖沼で在来魚が外来魚に脅かされている。事態はかなり深刻だ。 国外から持ち込まれた移入動物の数は、哺乳類だけでも40種類近く。強力な捕食者 だった場合、在来の生物を食い荒らす。 環境省は専門家による「移入種検討委員会」を発足させ、本年度中に対策ガイドライ ンを作る。 移入種がこれほど深刻な事態を招き、そのための後始末になると多大な犠牲と時間と 労力と、それとどうかすると手遅れにもなりかねないという事が判っていながら、 農水省は1999年“植物のへの害がない”として南米などの大型カブトムシやクワガタ 計44種類を解禁した。 野生化の怖れに批判があるにも関わらず……だ。 最大級のヘラクレスオオカブトムシ(中南米)がつがいで15万円。 ネプチューンオオカブトムシ(南米)が同12万円など。 「平均すると1日に1回はカブトムシやクワガタが持ち込まれている」 (横浜植物防疫所成田支署) 熱帯のカブトムシなどは標高の高い涼しい所で生きているから、日本にも定着でき る。 違う種類でも簡単に交雑するし、日本の独自種にどれだけ影響があるかわからない、 と専門家は警鐘を鳴らしている。 行政もこのように足並みは揃わない。 移入動物の駆除について「かわいそう」「人間の身勝手」などと批判しないで欲し い。 私たちが守らなければならないのは、一匹一匹の動物の命ではなく、生態系なんだ。 自然保護と動物愛護は違うんだよ。 それにしても農水省という立場の専門家ともいえる人の鈍感な感性。人がいじってど れほどの物を失ってきたか。 国産のカブトムシ、クワガタに影響があるものがどうして植物に影響がないと言い切 ることができるのか。短い数十年という時間ではなく何百年というまたもっとそれ以 上の時間での影響はないのか。 またたとえ植物に影響がなければ、それを解禁してもいいものなのか。 今までの人間の歴史がその答えを出しているのに、まだこういう感性の人が法律を 動かせる所にいる。 動植物の単一化現象の危険性をもっと深刻に考えなければならないのに。 有害、有益、という人間の観点だけで原産地から捕らえられ、売買、移入、そして駆 除。 ただでさえ在来生態系が揺らいでいるのに、そのほころびを大きくしている。 ━●みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「ゆとりの教育」 シンガポールでは、遺伝子解析の実験などを授業で高校生が誰でもが学ぶという ニュースをNHKでやっていた。 選ばれた特別の高校生の授業ではない。シンガポール中どの高校でも、授業の中で全 員が白衣を着て実際に実習を通して学習しているんだ。 資源もなく人口も少ないシンガポールがこれまで繁栄してきたのは「時代の先を読 む」という努力を惜しまなかったからだという。 高校生は新しい分野での実験を、楽しそうにこなしている映像が流されていた。 さて、日本の現状はどうか。 「ゆとり」という言葉のもとに、小中高と来年度から土日が完全にお休みとなり、週 5日制になる。 授業数は減り、円周率は3になり、国語の教科書からは夏目漱石、森鴎外が消える。 日本の「ゆとり」のために、円周率は3にされ、日本を代表する文豪ふたりに触れる 「ゆとり」が無くなるんだ。これは「ゆとり」か? 土日完全休日となった子ども達は、遊べる空き地や身近な自然を取り上げられた環境 で、どうやって過ごすのだろう。 (ゲーム三昧?) 先生が忙しいという。忙しすぎてとても子ども達に目が行き届かないという。だった ら先生を増やせばいいのではないか。ひとクラスの人数を減らしひとりの先生の目が 行き届く数まで生徒数を減らすも良し、ひとクラス先生ふたり制を導入するも良し。 「ゆとり」が必要なのは、子どもたちではなく、先生だろう。 「ゆとりの教育」などと、さも子どものためを思うが如くのまやかしの論理で、子ど も達から学ぶチャンスを奪わないで欲しい。 宇宙のこと、数字のこと、生物のこと、動物こと、遺伝子工学のこと。子ども達は、 すごい吸収力で知識を自分のものにしていくはずだ。 子どもだから詰め込める時期というものもある。 子どもの教育は、未来に繋がる力だ。 子どもは、私たちの見ることが出来ない未来を生きる。 今になって思うのだけど、学校の勉強というのは、将来役に立つとか立たないとか、 だからやる気が出るとか出ないとか、そういう次元のものではなく、学問も芸術も人 類がはぐくんだ文化であるからして、それを学ぶこと自体に意味がある。 そんなフウに当時思えたら、もっと勉強したかもしれないなぁ。 今年のノーベル化学賞の受賞者の野依良治教授語録。 「科学技術創造立国のために理科を教えるとか、大学は全面的に技術開発に協力しろ とかいうのは全く間違っている」 「富国強兵のために理科を教えているのではない。すべての人が自然の仕組みを知 り、その知恵を使い豊かに生きることこそが理科だ」 「理科離れの問題は、私たちが自然の中に暮らしていないこと。自分で自然の仕組み を体得すること。塾に行って理科が分かるわけがない」 「日本の産業が復興しないのは産業における研究者の能力、創造力が足りないから。 大学の一番大事なことは教育と学術研究で、産業界が大学の先生を“徴兵”して下僕 として使うのはけしからん」 「50年でノーベル賞受賞者30人という政府目標は、学術活動を理解していない。不見 識きわまりない」 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.43〜45で「テラフォーミングの話」を3回連続で載せました。 テラフォーミングには3つの意味があるという内容です。 ・人類が生き延びる手段として火星に移り住むこと。 ・地球の理解が進むこと。 ・「人類の進化」または「哲学的意義」。 それについての投書です。 ----------------------- [goofy]  古代魚はゆりかごで暮らしていて、未知の世界に飛び出したのでは無いと思いま  す。  魚は決心と挑戦は考えないようです。  彼らは住んでいた環境がかわってたとえば、今までいた所が干上がってしまったと  か、水のなかの食料が不足したなどの理由で偶然に他の個体より陸上の生活に少し  適応した者が生き残っただけです。  人類が火星にいっても余り進化は無いと思います。  火星の重力に適応しても獲得形質は遺伝しません。  仮に火星の生活に適応した個体が出現しても、その個体だけが特別たくさんの子孫  を残すとは考えられません。  なぜなら火星の生活にうまく適応出来ない個体も、何らかの形で保護されます。 (医療、福祉など)そこでは生物学的な淘汰はおきません。 ----------------------- 私の意見はちょっと違うんです。 古代魚は、今まで過ごした海に決別をして陸へ行こうと、「決心と挑戦」をしたと思 うんです。 もっと言うと「決心と挑戦」というより「ロマンと好奇心」で陸に向かったと思うん です。 現代でも、蝶や鳥は「え? なんでこんな所にいるの?」という事がよくありニュー スになります。大体は、迷鳥とか風に乗ってきた蝶などという結論付けてお終いで す。 南国生まれのある種の蝶の何割かは、意味なく北上をして死んでしまうというのを観 察されています。(すみません。種類忘れた。) 地上の気候は変わります。そういう無駄とも思える行動は、もし北の地が暖かく変化 した時、真っ先に有利に働くでしょう。 蝶の場合は、そう意識したものではないかもしれません。鳥になるともっと確信犯だ と思えます。 あの霞んで見える島に行ってみたいなと思って泳いで渡っているとしか思えないク マ、鹿。別に今の生活環境に不満があって渡るのが全てではないんです。 私たちと同じ「ロマンと好奇心」と思えるんです。宇宙を目指しつつあるヒトも、古 代魚が陸へ生活圏を広げた最初の「好奇心」の精神が連綿と伝わっているのではと思 うのです。 それと進化の話ですね。 獲得形質は遺伝はしません。だけど形質を決めるのは遺伝だけではないんです。 北の方に住むロシア人と赤道近くに住む人々とは、汗腺の数が全然違うんです。 これは遺伝ではなく、2歳まで過ごした気温で汗腺の数が決まるという事が判ってい ます。 気温でもその後の形質が変わります。ましてや引力が違う中での胎児時代や、幼少年 期の影響など、今までの人類の未体験ゾーンです。違うのは引力だけではなく潮汐や 太陽運動も違う、気温、湿度、紫外線、気圧、磁気などすべて地球とは違う環境で す。 突然変異で火星適応した個体が生まれたとして、それはやはり有利に働くと思いま す。 医療・福祉などが完備したとしても、それらは、適応した個体にも働くのですから。 それに人工的な医療・福祉などは、突発事態や事故には対応できなくなることがあり ます。 やはり適応個体に有利ですし、短期では起きなくても生物淘汰は起きると思います。 私は、短期間で変化は起きると思っていますけれど。 ----------------------- [ikekun]  前号のshoさん(19歳)の「国産ロケット」についての投書で励まされたって感じ  です。  経済なくして、平和も環境のことも解決しないから。  人間活動を悪とする考えは世の中でよく出てくるけれど、人間も生きものであるか  ら、人間が造ったものも自然物の一部。  ビルも、飛行機も、さなぎの殻も、ビーバーのダムも自然物。  迷惑がかかると公害とか害虫扱いするだけ。ただ、ほとんどすべての生きものに  迷惑をかけているのが人間。 ----------------------- ヒトが道をアスファルトで固めたがるのも、ビル群を作りたがるのも、アリのアリ塚 と同じ。 そしてまったくヒトってのは、もっとも凶暴な野生動物だよね。 ほどほどっていう感覚がないんだから。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★野生動物の保護というのは、難しい。例えば、北海道で絶滅寸前のシマフクロウ。 シマフクロウが住み良いように一匹一匹を保護し、繁殖しやすいように巣箱をかけ、 繁殖数に一喜一憂する。それが無駄だとは言わないけれど、守るべきはシマフクロウ が自力で生きていくことが出来る環境なんだ。 エサに不自由しない河川の魚の保護、巣作りに困らないウロのある大きな木を有する 山。 必要なのは、「点の保護」ではなく「面の保護」なんだ。 守るべきは、動物の命よりも「生態系」なんだ。 移入動物撲滅に理解を。 「自然保護と動物愛護は違う」という事にも理解を。 あぁ、それにしても農水省は、どうして南米の大型甲虫類解禁なんてことをやってし まったんだろう。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 ★みなさんの中にメールマガジンを発行している方はいませんか?  相互で宣伝しあいませんか?  連絡ください。 それじゃ、今週はここまで。 あなたのお便り待ってるよ。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 積もりはしなかったけど、雪。 肉まんを買う。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○週刊 やまねこ通信E=MC二乗 vol.46  2001年11月9日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: ◆インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ◆メルマガ発行サービス「メルマガ天国」ID:3743 http://melten.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○週刊やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さに はまったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。 それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━