2001/12/14━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆        週刊 やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.50 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 やまねこ通信の、vol.17やvol.18で話題になった動植物の和名。 先日、本を読んでいて素晴らしい和名を見つけた。 「リュウグウノオトヒメノモトユイノキリハズシ」という海草だ。 「竜宮の乙姫の元結の切りはずし」という意味。 「バカ貝」というフォローのしようもない名前もあるというのに。 新しく登録して下さった人、はじめまして。  ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ━■リョコウバトの話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ リョコウバトは鳥の歴史始まって以来、最も多くいたと言われる鳥で、一説には50億 羽とも500億羽とも推定された。ようするに多すぎて良く判らないくらいだという事 だ。 1810年頃、ひとつの群の個体数を22億3000万羽と推定した鳥類学者もいた。 リョコウバトの生息地域は北アメリカの東半分で、その名の通り毎年ほぼ決まった筋 道で長距離の渡りを行う鳥だった。夏を北部地域で過ごし、冬はメキシコ湾沿岸地域 へと渡っていたんだ。 一ヶ所に定住することなく、いつも移動している。その群が渡るときには、他の音が 何も聞こえないほどの羽音をたて、数日間というもの空をハトが覆い尽くし、真っ暗 になるほどだったという。 空を真っ暗にするほどの壮観さ。ハトがいったん休息をとるためにひとつの群が大木 にとまると、鳥の重みでのために大木の大枝が折れることもあった。 アメリカ大陸でリョコウバトは隆盛を誇っていたんだ。 1600年頃から北アメリカに定住し始めたヨーロッパ系の人々は、開拓時代と呼ばれる 1800年代に入るとハトの安住の地であった森林や原野を次々と開墾していった。 生息場所を奪われたハトは農作物を荒らすようになった。農民は当然、目の敵にして あらゆる手段を講じて殺すことにつとめた。 その頃、東部から西部に向けてユニオン・パシフィック鉄道が開通することになっ た。これを利用して大量に殺したハトを町へ送り込めば、良い値で売りさばけること になり、大々的に捕獲されるようになった。大量に採れたハトの羽毛も羽根ふとんの 材料として高価に取り引きされるようになると、大量虐殺にさらに拍車がかかった。 アメリカ人はそのリョコウバトを獲って獲って獲りまくった。肉の味が人間の好みに 合ったというのもリョコウバトにとっての不幸だった。 捕獲手段が改良され、おとりと網を使うようになり、毎年、数十万羽という膨大な数 のハトが捕らえられた。 獲っても獲っても空を覆い尽くす鳥ハトは減らなかったという。 ハトがいなくなるなんて誰も予想もしていなかったという。 1850年頃を境にして急激な減少を見せ始め、1890年頃には、もうほとんど何処にもそ の姿を見ることが出来なくなってしまった。 北米大陸に生息していた何百億羽というリョコウバトが絶滅するまでの時間は約100 年。 あっと言う間だった。 1899年、野生の最後の一羽が鉄砲で撃ち落とされた。 1914年9月1日午後1時、シンシナシティ動物園でマーサと呼ばれ飼われていた最後の 個体が死んだ。 現在では、アメリカ合衆国の国立博物館に   No.236650 Ectopistes migratorius (LINNAEUS)   Passenger pigeon の最後の個体、成鳥、♀.   1914年9月1日、シンシナシティ動物園にて死亡、年齢29歳.   シンシナシティ動物園より国立博物館へ寄贈 というラベルがついた標本がたったひとつ残されているだけだ。 ━●みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「乗り物」 ひそかに乗り物が好きだ。 きゃーきゃーと、おおっぴらに騒ぐほどじゃないから“ひそかに”なんだよ。 乗ってみたい乗り物は、たくさんある。牛車とか。(笑) 私は、幼少の頃、妙な乗り物に乗った記憶がうっすらある。 広い飛行場を縦横無尽に走り回る、飛行機に荷物を運ぶだけのための特殊な車だ。 何故、こんな記憶があるのだろう? おぼろげな記憶に寄ると、その時一緒にいたのは、母と、幼い私と弟。それと何やら 随分と走らされた記憶。 去年、弟とその時の記憶を照らし合わせる機会があった。 「ずっとずっと小さい頃、飛行機の荷物を載せる車に乗った記憶があるんだけど。気 のせいかなぁ」 「あぁ、その記憶ならある。今まで本当かどうか自信がなかったんだけど」 恐ろしく方向音痴な母は、飛行機に乗るというのに、たぶんあらぬ方向にいて係りの 人を慌てさせ、荷物運搬車で飛行場内を猛スピードで横切るという荒技を発動したの だろう。 母が方向音痴だったおかげで、珍しいものに乗れてちょっと嬉しい。 人類がこれまでに作り出した乗り物の中で、最も高価な乗り物の一つにアポロ宇宙 船ってのがある。 その中でもアポロ15号から使用された月面車は最高級車としても記録的。 月面車は最高時速16kmで二人乗りにもかかわらず、当時の金額で1台29億円したん だ。 1台の走行距離は26km〜38.1kmしか走行していないので、約1km進むのに1億円かかっ たことになる。 これにも乗ってみたい。 これに乗るには、母が方向音痴というだけではダメなんだろうなぁ。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.48の、ゾウの話や人口爆発の話を読んでの投書です。 ---------------------------- [つるべ]  「野生経済動物」が悲しい、なんてのは、ホントに単なる「感傷」じゃないで  しょうか。  しっかりと経済的に自立した保護政策が取れればそれに越したことは無いで  しょうし、経済を無視した自然保護は上手くいかないのは、現実です。  大体、今の人口では、巨大な象や肉食の虎はある程度の個体数に押さえる「管理」  しなきゃ保ちっこないですよ。  まだ、世界中が注目してくれるだけ、幸せですよ。象や虎は。  「ヒメヒミズ」や「カヤネズミ」はどうなっちゃうんだろう(憂)  ついでに「人口爆発」と「出産率低下」がジレンマ、なんて言ってる限り絶対、  人口問題は解決しないでしょうね。  これからの人口増加も勿論凄い問題ですが、今現在でも人間は充分(十二分)に  多いです。  「隣組」で籤引きをして、5家族に1人の子供とか、子供がいる家は、一切年金等  支給しないとか、ならないもんでしょうか。  過激ですか? じゃあ、お年寄りを殺しますか?それとも戦争?  適正な人口、というのは、どの程度の生活を想定するかで全然違ってきますが、  かなり徹底的なリサイクル(富良野並?)を行ったとして、地球上で8〜10億人  なら、物質循環の輪に入れる、という数字があります。  それ以上なら、地球を「食いつぶして」いく、ということです。  活力?人間はもう活力なんて要りませんよ。大人しくしてましょう。 ---------------------------- まっ、ね。感傷と言われれば返す言葉もないけれど、自然死を待っていれば需要は賄 えるのに、人間の政治的取引の材料にされちゃって、どうにもね。 確かに、象や虎などのように大型の希少動物は注目度が高い。大型動物は大きいだけ で象徴になりやすい。 大型動物が生存するのには、多くの小動物や豊かな植物相が必要です。生態系のピラ ミッドの上の方にいる動物と、下の方の動物の注目度は、やはり違ってくるのでしょ う。 「人口爆発」と「出産率低下」の事ですけれど、どこの立場に身を置いて話しをする かで、ずいぶんと変わってきますよね。 例えば、「国際競争社会の中の日本国の住人として」とか「地球に生を受けた人類と して」とか。 もっと狭い狭い範囲で考えると「一族繁栄」とか。(笑) 「平和」という漠然とした言葉があります。 世界や日本の平和とは別に「家内安全、一家平和」で良し。とする考えだってありま す。 日本の平和は、米国の平和ではないし、先進国の平和が途上国の平和とは限りませ ん。 奇跡が起きて人類の平和の時が来ても、それが全ての動物の平和ではないです。 ---------------------------- [かりん]  vol.46の「ゆとりの教育」から。  日本では2002年より「ゆとり教育」を導入しようとしているけど、欧米や中国では  さらに徹底した詰め込み教育と猛勉強の伝統を復活させてきています。  むしろ日本の教育だけが世界の潮流とは逆の「ゆとり」という道に挑むギャンブル  を開始するようなものです。  前のブッシュ政権では、1990年に「国家教育目標」を発表しています。そのなかで  各年度を終了する段階で、英語、数学、科学、歴史などの科目の学力証明のための  テストを行い、さらに2000年までに米国の科学・数学の学力達成度を世界一にする  という目標を掲げています。  この方針はクリントン政権でも徹底して強化されて、試験重視、家庭学習重視で  米国の教育を立て直しました。  英国でも同様です。1988年から教育改革法に基づき、全国共通テストが実施されま  した。英国でもとりわけ数学教育が重視され、労働党のブレア首相は、党の最優先  政策を「教育、教育、そして教育」として、さらなる学力向上政策を打ち出してい  ます。  日本は、「教育は知識を詰め込むのでなく、考える力を養い、自分で知識を発見す  る喜びと能力を育てるものに転換せよ」という見解らしい。  『超整理法』の野口悠紀夫氏は、「新しい発想、発見の多くは既存の知識を組み替  えたり、それに対して上乗せしただけのものである。既存の知識をどれだけ蓄えて  いるかが、独創性の有無を決定づけると言える。  だから、創造性教育の出発点は『詰め込み教育』でしか有り得ない」と述べ、更に  「ある年齢に達した後には徹底的した詰め込み教育を行うべきで、その時期は  中学生以降だ」と語り、文部省のゆとり教育は間違いであり、教育システムを国際  競争に勝つように根底から変える必要があると言っています。  中国でも、中学校(日本の高校)では平日で12時間くらい学校で勉強してるよう  です。 ---------------------------- このままでは確実に日本は世界から遅れをとってしまいます。20年後には結果が出 るでしょう。 「国家は人なり」です。「ゆとり教育」をしなければならないほど今の子供達にゆと りがないとは思えないんです。 もちろん成績一辺倒で子どもたちの価値を見てはいけません。 自分で学ぶ力を育てていく事。それは“ゆとり”という耳障りの良い言葉で、学ぶ事 柄を間引く事ではないはずです。 本物の“ゆとり”は、そんな安易なものではないはずです。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★人類の関与のせいで動物が絶滅してしまう物語は無数にあるけれど、「食べてしま う」事で絶滅してしまった動物には、ヒトとしての申し訳なさがより一層付きまと う。 無数にいるとされたリョコウバトを「食べて」しまったヒト。 私が気になっている「食べて」しまって絶滅した動物に、ステラー海牛がいる。 10万年くらい前までは日本の海岸にもいた。 ステラー海牛は、1741年発見された大型海生哺乳類で、ジュゴンやマナティーの親 戚。 体長は9メートル近く、重さも4トンを越えたと言われているんだ。 コンブを食べるおとなしい動物で、傷ついた仲間を心配して集まる習性があったた め、捕獲しやすく北洋での航海の食料にされてしまったんだ。 20万年も続いた種が、発見からたった27年で滅んでしまった。 食べてしまったんだ。 1962年ロシアの科学者によるステラー海牛らしい生物の報告例がある。 まだ、北の海のどこかで生き続けている可能性は0じゃないんだけど……。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 ★メルマガ相互宣伝です!  バックナンバーを読んでみて、気に入ったら購読すると良いよ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━            ### アメリカで思うこと ###        アメリカにやってきた。ここがへんだぜアメリカ人        ここがすごいぞアメリカ人。勉強は机の上だけじゃない        登録は→ http://home.att.ne.jp/star/sfonrt/thinkofus.htm ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ それじゃ、今週はここまで。 あなたのお便り待ってるよ。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 年賀状の版画を彫り上げる。 窓の外を見ると…雪で、玄関や車が埋まってる……。 今度は雪を掘る。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○週刊 やまねこ通信E=MC二乗 vol.50  2001年12月14日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: ◆インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ◆メルマガ発行サービス「メルマガ天国」ID:3743 http://melten.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○週刊やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さに はまったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。 それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━