2001/12/21━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆        週刊 やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.51 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 雪の重みによって地球が周期的に変形していることが、米ネバダ大と英ニューカッス ル大のグループにより観測され、米科学誌サイエンスに発表。 観測はGPSにより行われ、2〜3月は冬の北半球がへこみ南半球が膨張、8〜9月は逆に 南半球がへこみ、北半球が膨張していることを突き止めた。と言うのです。 地球のプレートは流動的に移動しているし、北半球や南半球は膨張へこみを繰り返し ているというのなら、私たちとは別の視点で見ると、地球ってのは、どろどろっと 軟らかいものなのかもしれないな。と思ったのです。 新しく登録して下さった人、はじめまして。  ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ━■擬態の話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ え? うっそぉ。 というような模倣に徹した生物をテレビや図鑑で見て驚いた記憶 は誰にでもあるだろう。 ・まるで枯れ枝そのものと化してしまって木にとまっているナナフシ。 ・ランの花びらそっくりの足と胴体を持ったハナカマキリ。 ・ハネに見事な苔を生やしたようにしかみえない蛾。 ・背中に「アリの幼虫」を背負ったカミキリ。 (前胸の一部をアリそっくりに変形させて、背中に背負っているんだ。上から見ると アリそっくりなんだ) ・ハネから顔、足、触覚に至るまで、体の半分だけを腐らせて残り半分は、緑色のキ リギリス。半分だけ腐った枯れ葉に化けているキリギリスなんだ。 擬態とは、四角関係だという。 まず、マネをする者、マネされる者、そしてそれを食べようとする捕食者。 ここまでが三角関係。 そしてさらに「あっ、すごいこれって擬態だぁ」と驚いているヒトという観察者。 木の葉そっくりに擬態しているコノハチョウ。 コノハチョウのハネの裏側の模様は、枯れ葉そのもの。細かい葉脈まで小さい黒い シミまで。 観察者であるヒトは、食われてたまるかという一心でこんなに見事に擬態してるぅ。 と感動する……。 しかしちょっと待て。 ふつうチョウは止まるときにハネを閉じる。ところがコノハチョウは、朽ち木でハネ を休めているときでさえ、ゆっくりとハネを開け閉めするんだ……。 そそそそんなことをしたら、意味ないじゃん!!!! 閉じていれば100%枯れ葉なのに、ハネを開けてしまった瞬間、色鮮やかな派手派手の 模様が露わになってしまう。 閉じれば枯れ葉、開けばチョウ。これじゃ、擬態する意味が半減だよ。 ここで擬態の四番目の当事者は混乱してしまうんだよ。 チョウを食べる捕食者はトリだ。トリが眼が良いからといって、トリがヒトと同じよ うに世界を見ているとは限らないんだよ。 私は青い色が好きだ。でも私が見ている“青”が、あなたの見る“青”と同じという 証拠はないんだ。 モンシロチョウの雄と雌は、ヒトの視覚では区別はなかなかつかない。 でもモンシロチョウの視覚では、はっきり見分けているんだよ。 つまりヒトが「すっごい擬態だ」と感嘆している時でさえ、食うか食われるかの関係 にある当事者たちの眼には、擬態でもなんでもない場合もあるかもしれない。 逆に言うとね、ヒトの眼に見えない隠された擬態も自然界にはきっとたくさんあるは ずだ。 コノハチョウが擬態すべきは、トリの視覚であって、ヒトの視覚ではない。ましてや コノハチョウ自身の視覚でもないんだ。 フィリピン群島には、テントウムシに擬態したゴキブリがたくさんいる。 オーソドックスな進化論の自然選択説では、このように説明する。 捕食者トリは、テントウムシの苦い味を覚えていて、テントウムシに似た斑紋を持つ ムシを避ける。 ゴキブリは、ちょっと似せてトリを欺き、見破られてさらに巧妙に似せる。 ほんのちょっとでもテントウムシに似た方がトリに対して有利だから、突然変異に よってテントウムシに似るゴキブリの遺伝子が残っていく……。そしてテントウムシ そっくりのゴキブリが出来る……という訳。 でもね、この自然選択説にはなんとなく釈然としない気持が残る。 始めに突然変異で、テントウムシに少しだけ似たゴキブリを(まだ限りなくゴキブリ なんだよ)トリは避けるのか? しかも遺伝子の突然変異には、方向性はない。ランダムに無方向に起こってしまう。 タマムシ色とか、真っ赤とか、いう具合に色々変異が出てくる。 このテントウムシゴキブリは、色だけでなく歩き方までテントウムシ歩きなんだ。 遺伝子のランダムな変異が、バッタ歩きやオケラ歩き、カマドウマ歩きを生みだし、 その中でテントウムシ歩きだけが、天文学的確率で蓄積され、選択的に淘汰され た……? それとも、彼らの祖先は、自分たちの“眼”で見てテントウムシ歩きをマスターした のか? 「動物は二種類の異質な情報系を持っている。ひとつは遺伝子の情報系。もうひとつ は脳の情報系(神経系)である」(養老孟司「個体発生と系統発生」) 脳と遺伝子という、お互いに知らんフリのふたつの情報系が、直接出会って干渉しあ うのが“擬態”なんだ。 捕食者であるトリの眼は、脳の情報系を代表している。 テントウムシそっくりの体は、ゴキブリの遺伝子の情報系が作り上げる。 トリの眼が、ゴキブリのフリを見破るとき、捕食者の脳の情報系が、擬態者の遺伝子 の情報系に直接選択をかけている。 もし生き物に“眼”が出現しなかったら、擬態は進化しなかったと思う。 眼が進化したから、生物の形態は、こんなにも多様化しバリエーションに富んだに違 いないことは確かだ。 ━●みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「赤い夜」 11月24日深夜、北海道の陸別町で、夜空を赤く染めたオーロラを肉眼で観測する ことが出来た。 新聞に載っていた写真はここに↓ http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/aurora.htm 北海道はオーロラ出現地域にしては低緯度で、低緯度発生オーロラは赤いんだ。 オーロラは、太陽活動が活発化する11年周期で発生しやすくて、昨年から今年は その周期に当たるんだ。 だから北海道では、最近はよくオーロラがニュースになっていたんだよ。 夜空を見上げれば、オーロラが見えたり、流星群が見えたり。 そういう特別な現象じゃなくても、見上げれば毎日形が変わる月。 地球の夜空は、なかなか刺激的。 この刺激的な地球の夜空は、ヒトの活動とは無関係に起きる。 見る者のいない太古の昔から。 何万年も続いた恐竜時代、ブラキオサウルスの長い首の先にある目にも映ったのだろ う。 見えた見えないと一喜一憂する人類がいなくなってしまっても、変わらず起きる。 ずっとずっと未来、「赤い夜」に見入る生物は、どんなヤツなんだろう。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今週の投書は、ちょっと変わり種です。 vol.48でr−manさんの -------------------  自分では普通と思っていたのですが、私は右目と左目で色の見え方が微妙に違いま  す。  右目が青っぽく、左目が赤っぽく見えます。  生活上支障はありませんが“目”なのか“脳”なのか原因は分かりません。  意外に一人一人「色の見え方」って違うのでは。色の見え方の違いは言葉では表現  できないですもんね。  「音」でも思い出しましたが、歌手のシンディー(ローパーさんではありません)  さんは、1オクターブ(数字は怪しい)高く音が聞こえるそうです。 ------------------- という投書をやまねこ投書箱に載せました。するとSINNさんという読者の方が 以前から疑問に思っていたことと重なるというのでメールをくれました。 それに私が返事を書き、そしてこういう疑問が来たんだよと、r−manさんに知ら せました。 すると、SINNさんとr−manさんから、自分で考えた見解のメールが返ってきまし た。 ちょっと面白いのでこれらやりとりを全部公開。 何故今号で公開するのか。 それは今回の「擬態の話」の中で『私は青い色が好きだ。でも私が見ている“青”が あなたの見る“青”と同じという証拠はないんだ。』 という言葉があるからなんです。 ------------------------------- [SINN]  シンディーという歌手が、ひとより1オクターヴ高く音が聴こえる、という記述が  ありました。  これは、どのようにして確認出来るのでしょうか?わたくしにはその方法がまった  くわかりません。  私がいつも疑問に思っているのは、私が赤として認識している色を見たときに、  私が青と思っている色を見たときの色覚を感じている人がいたとして、これをどの  ようにわかることができるかということです。ちなみに、青についてはこの逆とし  ます。  要するに赤と青が逆に見えているということです。  つまり、私が赤く見えているものが、そのヒトには、青色に見えているということ  です。  でも、そのひとは、言葉としては、この色を、「赤」といいます。  青について、これと逆のことが起きている場合に、これを確かめる方法はあるで  しょうか?  別のたとえでいうと、私は横断歩道を青色でわたりますが、そのひとは赤色で  わたっているということです。  でも、お互いに、横断歩道は言葉としては「あお」でわたっているのです。  この場合、ふたりの認識の違いを理解し合えることはできるでしょうか?  同じものを見たときに、口に出す言葉が違う場合には、どちらかの色覚か色を表す  言葉が違うことはすぐにわかります。  しかし、同じものを見て、同じ言葉を口に出していると、脳で認識している色覚  が違っていても、違っていることを検出することは出来ないのではないでしょうか  ?  先ほどの、歌手のシンディ−さんにピアノの中央ハの鍵盤をたたいたときに出る音  を聴かして、彼女がオクターヴ高く聴こえているかどうかはだれにもわからないの  とおなじように・・・(彼女も、わたしも「その音は中央ハだ」とこたえるでしょ  う?)  わたくしが迷路にはまりこんでいるのでしょうか?  ------------------------------- >シンディーという歌手が、ひとより1オクターヴ高く音が聴こえる、 >という記述がありました。 あぁ、これは、vol.48のr−manさんの投稿文の一節ですね。 そうなんです。 私が見える「青」とSINNさんが見える「青」は同じと誰も証明できないんです。 音に関してもそうです。においに関してもそうです。 で、先程、この文を書いたr−manさんにメールを書いてみました。 でもr−manさんもたぶんどこかの聞きかじりでしょう。 証明は出来ないんです。 これを突き詰めて極端に考えていくと『唯自論』というものになるようです。 『唯自論』とは、自分以外の者や現象は、存在していないのではないか。 というような考え方です。 例えば、私は今札幌の私の家にいます。 その他の物は存在していないのです。 テレビでアメリカの様子が放映されていますけれど、それも単にテレビに映っている だけの事で、本当は「ない」のです。 というような考え方です。 迷路にはまりこんでいる訳ではありません。 ------------------------------- [SINN]  補足ですが、手元の資料を探してみましたが結局見つかりませんでしたので、  「聞きかじり」状態ですが、たぶん確度は高いものです。  ひとの色覚センサーは目にあって、RGBの3つの型がありますが、このうち  のどれか(GかBだったと思うのですがこれがはっきりしない)には、遺伝子  が二種類あって一番よく吸収する波長が微妙に違うという資料を読んだことが  あります。  もちろんどちらも、多数派(後述)の色覚です。したがって、色が微妙に違っ  て見えているはずだということです。  「はずだ」というのはもちろん、今回の論点にかかわるところです。  r−manさんは、ひょっとして左右の目で発現している遺伝子が違うのか  もしれませんね。(でも角膜などに異常があるおそれもあるので、眼科の受診  をお勧めします)  さて、上で「多数派」と書きましたのは、ご存じかもしれませんが、いわゆる  色覚「異常」という言葉が適切ではないという見地からの用語です。  「多数派」が「少数派」を「異常」扱いするのは、21世紀の「常識」からす  ると「異常」だということです。このことは、「かわいい動物保護論」とも  関係することですね。ややこしくいってしまうと19世紀的「優生思想」とい  うことになります。  「進化」という言葉も、これに属するものだと、わたくしは個人的に(=勝手  に?)認識しております。  ところで、唯自論ですが、廬生がみたという邯鄲夢の枕の故事も、これになる  のでしょうか?  ひょっとしたら、わたしがいまシコシコとキーをたたいているのは、実は死に  際のフラッシュバックなのかもしれませんね。 ------------------------------- [r−man]  突然思い出しました。  音が高く聞こえる(らしい)歌手の名前「シンディー」と書きましたが  サンディーが正しいです。  “音”に関しては、サンディーさん本人は実感できませんが人から言われて  認識できます。  例えばピアノにあわせて歌を歌う時伴奏より高い声を出してしまったそうです。  とここまで書いて私も疑問が出てきました。自分の声も高く聞こえれば何も  問題ないのでは...と。自分の声も鼓膜を通して聞こえるのですよね当然。  ん〜確か坂本龍一がパーソナリティーのFM『サウンドストリーム』にゲストで  来た時に本人が言っていてその時は自分でも納得してしまってなんの疑問も  持たなかった。  音痴の人は自分の声と伴奏の音程が違うと認識しながらできないのでしょうか?  それとも「音痴だね」と言われてはじめて認識させられるのしょうか? ------------------------------- まずSINNさんの投稿文をちょっと補足しますね。 「ひとの色覚センサーは目にあって、RGBの3つの型があります」とありますが このRBGっていうのは、たぶん赤青緑の光の三原色のことでしょう。 「廬生がみたという邯鄲夢の枕の故事」というのは、やまねこ通信vol.4で私が語っ ています。 ちょうど一年ほど前は、やまねこ通信は、時間の話題を多く扱っていました。 では、ここでもう一度。   唐の時代の寓話「邯鄲(かんたん)の枕」というお話がある。   ある書生が邯鄲の宿で導師から借りた枕でうたた寝をしてしまう。   立身出世し栄耀栄華を極める一生の夢を見たんだ。   夢から覚めたら時間はいくらも経っていなくて、枕元の鍋で煮ていた芋が   まだ煮え上がっていなかった。 というお話です。 r−manさんの音痴に関する疑問。 私自身は音痴ではないですが私のまわりには音痴が多いので聞いてみました。(笑) 取材によると「音痴だね」と言われてはじめて認識させられるのだそうです。 伴奏の音と違うと判るのなら合わせようともするけれど、それが判らないんだそうで す。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★擬態には、全くジャンルの違う2つのタイプがあるという。 ひとつは葉っぱにそっくりなコノハムシや、小枝そっくりのシャクリムシのタイプ。 これらは葉っぱや枝などの、敵の関心のないものに真似て敵の目を逃れるタイプ。 もうひとつは、ハエとかガなどが、ハチによく似た姿をしているタイプ。 痛い目に合いたくないと思っている敵に、関心のあるものに真似るタイプ。 毒キノコなんかもこれの仲間だね。 身近な擬態のひとつに、近頃街中で見かけるガードマンが警官に擬態している。 警備会社の車もパトカーにそっくりだ。 私はこれにいつも騙されている。(笑) ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 ★メルマガ相互宣伝です!  バックナンバーを読んでみて、気に入ったら購読すると良いよ。 **************************************           「シュウの神霊相談室」    不思議な前世の覚醒を経て、霊能者として目覚めた シュウ。    その シュウの元を訪れる、多くの人や霊や妖怪や天使たち。    前世の因縁や先祖の因縁を解消し、彷徨う霊たちを浄霊します。    妖怪や天使たちとの、あたたかい交流もあります。    我が家を訪れた多くの人々とその出来事を、実話を元に読みやすく    纏めてお届けしています。      登録はこちら→ http://www5b.biglobe.ne.jp/~hikarino/magazine.html ************************************** それじゃ、今週はここまで。 あなたのお便り待ってるよ。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 雪降る空を見上げる。すべての雪が私に向かって落ちてくる。 目に口に顔に。冷たい。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○週刊 やまねこ通信E=MC二乗 vol.51  2001年12月21日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: ◆インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ◆メルマガ発行サービス「メルマガ天国」ID:3743 http://melten.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○週刊やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さに はまったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。 それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━