2001/1/12━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆        週刊 やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.6 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 先日10日未明の皆既月食を見た方いましたでしょうか? 私、とても月が好きなんですが、あいにく札幌は猛吹雪の荒天。前日までは、きぃん と冷えて夜空の観察にはうってつけだったのになぁ。 この日は、全国的に天気が悪く、月食を見ることができたのは九州の一部のみだった とか。 次回の日本での皆既月食は、2004年5月5日だそうです。 新しく登録して下さった人、はじめまして。 バックナンバーがあるので、ここ↓チェックしてみてね。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ━■「E=MC 二乗」の話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ “E=MC 二乗”という公式は物理学者アインシュタインが導き出した公式であ る。 1905年6月に「特殊相対性理論」が発表された。光の速度を絶対的な基準として、 時間が同じように進むのではなく、運動が速ければ速いほど時間が遅れることが この論文に示されている。 けれどこの中にはまだ“E=MC 二乗”の式は出てこない。 3ヶ月後の1905年9月の論文「物体の慣性はその物体の含むエネルギーに依存するのだ ろうか?」にこの公式が出てくるんだ。 Eはエネルギーを表す。Mは質量(重さ)。Cは光の速度、約30万km/秒を表す。 言葉に直すと エネルギー=質量X(光の速度)二乗 または エネルギー=質量X9000000000(900億)km二乗/秒二乗  である。 エネルギーが増えると質量も増える。質量が増えるとエネルギーも増える。 もっというと、エネルギーと質量は同じものが形を変えた姿だということなんだよ。 でね、この公式を日常に置いて見てみると凄いことになるんだよ。 一円玉は約1gだ。そのエネルギーは100ワットの電球を35000年灯し続けることができ る。 または、100万軒の風呂を沸かすことができる。 100gのボールは自動車を4000年走らせることができる。 これらの数字は質量をすべて消してエネルギーに転換できた場合のこと。もちろん今 はその技術はない。 質量とエネルギーの関係を別の角度から見てみるね。 物を速く飛ばそうとするとその物質に大きな力、エネルギーを加えなければならな い。“E=MC 二乗”によると物質はエネルギーを与えれば与えるほど重くなる。 そして光の速度に近づくほど物質は重くなり、どんなにエネルギーを与えても「光よ り速いものはない」というのが特殊相対性理論の結論のひとつなんだ。 “E=MC 二乗”っていうのは、そういうイメージなんだ。 ━■動物行動学からの性♂♀の話 (6)━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「プレゼント」 ニワシドリ類という鳥の仲間は雄が雌に求愛用のきれいな“あずまや”を作る。 草や小枝で作り、その周囲には貝殻や鳥の羽やきらきら光るものをちりばめて雌を誘 う。後で巣に使うのではなく純粋に雌を引きつけるだけのために大変な労力を使うの だ。 種類によっては、2メートル四方もの地面に枯れ枝を敷きつめ、その間を通路のよう にして周囲にカタツムリの殻を集めて積み上げる。 または1メートル程離れた若木を選び、その根元に小枝を積み上げあいだに止まり木 を作る。毎年使われる“あずまや”はどんどん大きくなり時には3メートルもの高さ に達する。 直径2メートル高さ1メートルのドーム状の入り口に様々な装飾品を並べる種類もい る。 好みの“あずまや”に興味を示した雌はそこで雄と鬼ごっこのようにじゃれて雌の気 分が高まると交尾。しかし途中で雌が逃げてしまうことも多い。 求愛の際に雄が雌に餌を与える求愛給餌という現象がある。小魚や小鳥を餌を持って きて雄が雌に交尾を迫る。 雌はプレゼントだけを受け取って逃げてしまうこともある。 雄から雌への給仕は求愛のときだけではなく、抱卵しているときも続く。モズやカモ メ類では充分貰っているにもかかわらずさらにねだり、体重が20%も増えてしまう。 (思い当たる人いる?(笑)) これは卵形成に必要ということを越えて、つがいの絆を強める働きをしているのでは ないか。と考えられている。(自分に置き換えて考えた人いる?) さてさて。繁殖期を迎えるまでは自分の事だけを考えていればよいバラバラの生活を してきた鳥たち。 それまでは競争関係、敵対関係、または無関係であった他個体と深い絆を結んでいく のである。念の入った面倒くさい求愛行動が進化した背景には、そういう意味がある のだろう。 ━●みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「蛇行復活」 ずいぶん前のニュースだけれど諫早湾の干潟を外海から遮断する時の映像が、いま もって脳裏から離れない。人間って目先の利益のためにここまでやってしまうん だ……。っていたたまれなかったんだ。あそこには多くの海洋小生物がいた。その生 物をあてにしている多くの鳥がいた。百年千年もかかってそれなりにバランスの保っ ている生態系が形成されていたんだ。 あぁ、馬鹿だ、人間は馬鹿だ大馬鹿だと嘆いていたら北海道開発局が2001年から根室 管内標津川中流域で河川改修以前の姿である「蛇行」を復活させる事業計画を去年の 秋に発表したんだ。 これは凄いことなんだよ。 川の歴史は、治水を主眼に短絡化直線化されてきた。その結果、失ったものは多数あ る。 流速が落ちる下流域での土砂が堆積し、川の水深が浅くなって、海への土砂流失量が 増えたこと。 もちろん生物環境も激変だ。 今回の計画では、河道を蛇行させて流速を落とし、土砂を蛇行部分に堆積させる。 水際をコンクリートなどで覆うのではなく、ヤナギを中心とした自然植生で水質浄化 を図る。 自然がそのままあるべき姿というものがいかに合理的で理に適ったものであるか、い まさらながらに思い知らされる。 大昔から治水対策は国家の重要な政策の要だった。氾濫しない川というものが理想 だった。 氾濫がすべて悪いことでもないと次第にわかってきた。 氾濫するスペースごと川なのだ、という河川観を持てば私たちはもっと豊かな恵みに 触れることが出来るのだろう。 ドイツのライン川の一部で「一定程度の氾濫で水に浸かる土地」を整備するなど 「徹底管理」から「自然にゆだねた管理」への試みも始められているという。 川は氾濫するもの。中洲で遊ばない。など、要は私たちの川の付き合い方であると思 う。 そして何よりもコンクリートに囲まれて急いで流れていってしまう川よりも、ヨシや ヤナギに囲まれてゆったり流れる川沿いを散歩することのなんと気持のよいことか。 私、川を眺めるの好きなんだ。 私の住んでる所にもすぐそばにも川があってね、はじめは護岸されてなかったんだ。 護岸されていない川は、見通しが悪くヤナギの葉が垂れ下がり、よどみがあったり、 そこにウグイがいたりしてね、ペットボトルで作ったワナを仕掛けておくと半日で3 匹もウグイが獲れたんだ。夏にはホタルも見ることができたんだ。 でもね、10年くらい前に、護岸工事されちゃったよ。 住民説明会っていうのがあって「ホタルにも影響ない最新式の護岸ですから」と。 嘘、嘘。ホタルなんかいなくなっちゃったよ。見通しの良い川には魚もいないし、流 れが直線になってカモも泳がなくなってしまった。 だから私は、標津川の蛇行復元にはとても関心を持っているんだ。 水源は摩周湖の伏流水。大規模河川としては初の試み。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ まず吾心さんの投書を紹介。 --------------------------- [吾心]  相対性理論、私もいろいろ本などを読んでおりますが、  それらの本の読後感は「話としては面白いよね」の域を脱しきれないんです。  「ことごとく書を信ずればすなわち書無きにしかず」  のことわざが、この場合当てはまるか分かりませんが、 まあ、そういう思いなの  です。  どうも腑に落ちないのですよ、感覚的に。  確かに、アインシュタインのおっちゃんは正しいのかもしれませんし、  知識としては理解しているつもりですが、私の感覚というのも大事にしていきた  い。  そう思うのは私だけ?宗教的?  でもそういう矛盾がありながらも、相対性理論は面白いものです。  読み物としては(笑) --------------------------- おお、大胆にも偉大な物理学者に「どうも腑に落ちない」意見。(笑) 良いと思いますよ。色々な意見。 私、真実はひとつとは思いませんもん。って科学マガジン主催者が言う言葉ではない か。 次に紹介する投書はちょっと変わりダネです。 「やまねこ通信」読者のやまねこさんが前回の投稿者Roidさんに質問という形でそれ に答えるやりとりを紹介します。 私がやまねこさんの質問をRoidさんに転送しました。 --------------------------- [やまねこ]  スターウォーズなどに出てくるワープは理論的に可能なのでしょうか。  空間はねじれているとか言うから出来ないことはないと思えますが。 --------------------------- [Roid]  ワープというのを定義すると「Aという地点からBという地点まで  一瞬、もしくは数秒で移動する。」しかしアインシュタインの相対  性理論による光速度絶対という原理をおかしてはいけない。  ではどうすればいいのか。おっしゃる通り空間を使います。  宇宙論によれば空間は平面ではなく、球面もしくは湾曲した平面の形  をしています。通常我々はその湾曲面に沿ってしか移動出来ませんが  、ブラックホールを使用すればゆがんだ曲面の中をくりぬいて進める  上に、超重力によって時間の流れも限りなく0に近くなるのではた目  には瞬間移動しているように見えるはずです。ただしこの方法には前  にも書いた通り、超質量でブラックホールを安定させないとブラック  ホール内の重力の潮汐で素粒子にまで分解されてしまうので宇宙船の  ような大きなものはちょっとキツイ。  スターウォーズのワープを見るとどこでもいつでも使ってるので、恐  らく空間型ではないと思われる。映像をみると星が放射線状の線のよ  うになって広がっているので、これは光速度に近づくと見られる現象  によく似ている。よってスターウォーズでは速度型のワープを採用し  ていると思われる。しかし速度型では光速度絶対の原理が行く手を阻  むので速い事は速いがワープというのはおこがましい。  まとまりのない文章になってしまいましたが、ようは空間型ではワー  プ出来ますが、バラバラ。速度型ではちゃんと行けますが100光年  離れた場所まできっちり100年かかります。 --------------------------- Roidさん丁寧に答えてくれてありがとう。 私のワープの解釈はね、紙の上でA地点とB地点の距離が10cmあるとするでしょ。 でね、その紙を折り曲げるようにまるめてAとBを立体的に重ねちゃうの。 すると10cmの距離間がなくなって重なるんだ。 やまねこさんが質問のメールにこんな事も書いてくれました。 --------------------------- [やまねこ]  元日の朝日新聞に人類は優秀だからと言ってる方がいましたが,  そうは思えません。  戦争は絶えないし,地球に悪いことをしているし。  だからこの文明が保たれ人類などが絶滅しないのは奇跡だと思っています。  地球の周りには生物が居そうにないことと同じに。 --------------------------- 私はね、みんな優秀だと思うんだよ。 犬も優秀だし、チーターも優秀だし、クジラも優秀だし。蝶も優秀だし。 サボテンも優秀だし、タンポポも優秀なんだ。 でね、確かにヒトは他の生き物と違っている。 でもね、それはもしかしたら周りのヒト以外のすべての生き物たちは、ヒトに何が正 しいのかを教えるために居るのかもしれないなって最近思うようになったんだ。 次は、べに屋さんの投書。 --------------------------- [べに屋]  地球に生物が発生する確率のお話ですが、いつも不思議だなぁと思います。  月も徐々に地球から遠ざかり、それによる引力の変化が地軸に影響して  数億年後には地球環境が変化する、という番組を見た時も  どうせ生きていないのですが「こうしちゃいられない!」と焦りました。  友人からチェコ土産を頂いたのですが、「モルダバイト」という  モルダウ河流域で採れるガラス質の「隕石」の欠片でした。  1500万年前隕石が落下し、その衝撃で溶解して50kmの高さまで噴射した  ものが地表で冷えて固まったのが「モルダバイト」だそうです。  一緒に戴いたパンフレットには「人体のオーラを高める効果もある」とあり、  真偽はわかりませんが不思議な物です。 --------------------------- 月が地球から離れていくと海の潮汐にとても影響があるだろう。 潮汐力によって海から生き物が生まれて育ったと言っても過言ではないのだし。 潮汐のリズムは、地球のすべての生き物が底に持っているリズムだろう。 逆に言うとね、原始地球の夜空は今よりももっと大きな月がぽっかりと浮かんでいた んだよね。 例えば、現在の4倍くらいの大きさの月が夜空に浮かんでいたら……。 なんて神秘的な夜! そんな妄想に使う時間が好きだったりします。 隕石、化石。 そういう物、好きです。 石は時間や空間を越えて私たちに語りかけてくれる。 そういう不思議が石にあります。 宝石は持ってません。石の仲間なんですけれどあまり興味がないのです。 石とはちょっと違うんですけれど、花嫁の薬指に光り輝く美しい金のエンゲージリン グ。あの、わずか何グラムという金のために、3トンもの土砂が掘り起こされ、そし て捨てられることになっているというのです。 美しくきれいな物。遠ざかっていく月で良いじゃないですか。 一見、その辺りの石と見分けがつかない隕石や化石に想像力を刺激されて悠久の時間 を想うことで良いじゃないですか。 遠ざかって行く月の事を思い、どうにもならないけれど「こうしちゃいられない !」って感覚、私、好きです。 月よ! どうかどうか離れないでおくれ。 私たちから離れないでおくれ。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「E=MC 二乗」の話、わかった?  このメールマガジンのタイトル「やまねこ通信 E=MC二乗」の“E=MC二乗” の部分の説明をいつかしなきゃ、と思ってやっと6号で取り上げることができた。 タイトルが「やまねこ通信」だけじゃ何がなんだか判らないので科学マガジンなんだ よという主張を“E=MC二乗”の部分に込めたんだよ。もともとはね。 で、「こんな説明よりももっとうまく説明できるぞ」とか「ここの説明何か変だぞ」 「説明不足だ」などありましたらメール下さい。 動物行動学からの性♂♀の話はまた予告通りにいかなかった。今回は2号で書く予定 だった「プレゼント」。次回こそ「奇妙なものを好む雌」です。 次回の記事は恐竜の話しだよ。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。 ★みなさんの中にメールマガジンを発行している方はいませんか?  もしよかったら相互で宣伝しあいませんか?  連絡ください。 それじゃ、今週はここまで。 あなたのお便り待ってるよ。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 図鑑を見ると動脈が赤、静脈が青で表示されている。 なんだか半分は青い血が流れてるみたいじゃないか。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○週刊 やまねこ通信E=MC二乗 vol.6  2001年1月12日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム:インターネットの本屋さん「まぐまぐ」 http://www.mag2.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○週刊やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さに はまったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。 それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。