2002/4/30━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.66 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 札幌でも例年より2週間も早く桜が開花してしまった。 もちろん観測史上最速の開花宣言だ。 気温の上昇に伴って、南の方から桜前線が北上してきてここまで来た。 桜前線はこれからさらに北上し道北へ、そして道東方面に向かう。で、全道を覆って しまって桜前線はおしまいかと言うと、そうではない。 カムチャッカ半島を越えて、北方領土を越えて、桜のある限りどんどん進むんだ。 桜の北限に向かって桜前線はまだまだ進む。 新しく登録して下さった人、はじめまして。  ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ━■メンフクロウの話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ヨーロッパではメンフクロウは、廃墟や教会に好んで巣をもち、夜行性で白い奇妙な 顔のためか、多くの民話などに登場する。 その名は、“Barn(納屋)”の“Owl(フクロウ)”のとおり農場と結びつきが強い んだ。 メンフクロウはネズミを好むため農民に大切に扱われ、たとえばオランダでは建物に 「フクロウの扉」をつけて棲みやすいようにしたし、悪天候が続くと餌を与えて助け たりしてきた。 でも農薬に頼る農業が始まったとき、その影響をまともに受けたのはメンフクロウた ちだったんだ。 マレーシアでは、アブラヤシ園に被害を及ぼすネズミ退治用に、化学薬品とメンフク ロウが用いられている。 メンフクロウは家族で棲み、しばしば数家族が集まって、40羽にも達する群れを形 成するんだ。一家族で年に1300匹のネズミを捕まえるというんだから、農場を守るの には都合が良い鳥なんだね。 1950年代にセーシェル諸島では、ネズミ駆除の目的でアフリカからメンフクロウを移 入した。 メンフクロウ類は北西ヨーロッパからアフリカ、インド、オーストラリア、南北アメ リカまで分布する非常に強い種類で、小型哺乳類、鳥類、魚類、カエル、トカゲ、大 型昆虫など幅広く食べるんだよ。 そんな強い鳥を移入してしまったセーシル諸島は、取り返しのつかないことになって しまった。 セーシェルに移入されたメンフクロウはたちまち数を増やし、12年間でこの島からシ ロアジサシを消滅させ、稀少なセーシルルリバトを減少させ、絶滅の恐れのあるセー シェルズチョウゲンボウと営巣場所をめぐって競合した。 1959年、メンフクロウによって絶滅させられたとばかりに思われていたセーシェルコ ノハズクが、マヘ島の山間で再発見された。80つがい程度が生息しているかもといわ れている。 メンフクロウは一転して害鳥とされはじめ、現在ではその首に賞金がかかり、ことあ るごとに殺されている。 場所によって害鳥、益鳥など、勝手な事を。 そして害鳥となるきっかけは、やはりヒトだったりするんだね。 ━●みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「自然保護って何だろう?」 こんなフウに考えてみた。 1) 人間も含めて全てが自然である。    ゆえに、人間のすることも自然である。なんでもあり。 2) 人間にとって心地よい環境が自然である。 植林された山、氾濫しない川、登山道に階段や砂利道を作ったり、    稀少種を保護したり。 3) 人間が少なかった数千年前の状態が自然である。    原生林や氾濫しまくりの川、エントロピー的平衡状態。 4) 原始地球から微生物が生まれ、植物が繁茂し、酸素が増えて、動物が繁殖し、 二酸化炭素が減って空気が澄んで、高等生物が生まれ、化石を燃やして、 再び二酸化炭素が増える、何億年ものダイナミックなものが自然である。 私の自然観はどれだろう。 4かなぁ……。 やまねこ通信で多くを語っているうちに、私も色々考えるようになった。 自分で調べて書いていて驚いたのが、やまねこ通信vol.34だ。 この34号の「みかりんの叫び」と「編集後記」で黄砂について妙に熱く語ってい る。 未読の人は是非読んで欲しい。 解っている限りで地球史上で生物の大量大絶滅は5回起こっている。           継続期間   絶滅比     原因               (確認値と推定値) ・オルドビス期末  1000万年   60〜80%  海水準変動 ・デボン期末    300万年未満  57〜83%  惑星衝突・寒冷化・海洋無酸素化 ・ペルム期末    不明     82〜95%  気候変動・惑星衝突・火山活動 ・三畳紀末   300万年〜400万年 53〜80%  火山活動・温暖化 ・白亜紀末   100万年未満    47〜76%  惑星衝突・火山活動 過去500年間に1100種類以上の生物が絶滅したと考えられている。 生物学者は第6の大量絶滅が差し迫っていると危惧するけれど、大きな大きなスパン で見れば、未来の古生物学者が現代を振り返れば、現在の種の絶滅は異常な事態の 予兆というほどの深刻なものではないのかもしれない。 って考えるのは楽天的すぎる? そして大絶滅の後は、それ以上の複雑な生物が台頭してきているんだ。 そりゃぁ何百万年もかかっているけれど。 「現在の種の絶滅」は、いったいどのような位置づけをすればいいのだろう。 何百万年ものスパンで考えるほどの気長さを持ち合わせていないヒトに、その答えは 出せない。 ━●ネイティブ日本人の思想(6)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「祭りは鎮魂」 日本の祭りは八百万の神の国にふさわしく種類が豊富だ。 そして夏祭りが多い。特に東北の夏祭りは華麗だ。 この夏祭りは、お盆の行事であり、あの世から帰ってきたご先祖の霊やそれと一緒に 帰ってきた救われない霊をなぐさめる祭りなんだ。 秋田の西馬音内(にしもない)盆踊りでは、人々が踊っている中に覆面をつけたもの が一緒になっって踊るんだ。その覆面をつけた者は救われない霊なんだ。 一緒になって踊ることは、救われぬ霊の鎮魂なんだね。 岩手の鬼剣舞(おにけんばい)もそういう踊りだ。 坂上田村麻呂に殺された蝦夷の怨霊がお盆に帰ってきて、踊るのかもしれない。 その踊りには本来深い恨みがこめられているかも知れないけれど、この地の人たちの ご先祖かもしれない。 その日一日は、ご先祖となって大和朝廷に対して恨みを語ることが許されるのかもし れない。 東北の祭りには、その内面に大和朝廷に征服された蝦夷の悲しみが秘められているも のが多い。 えんぶり、なまはげなども同じようなものなのだろう。 こうしてさまざまな祭りによって、祖先の霊とともにこの世にやってきた救われぬ霊 がなぐさめられて、送り火と共に、あの世へお帰りになるんだ。 日本には送り火を主題にした火祭りがふたつある。 ひとつは、青森のねぶた。もうひとつは京都の大文字だ。このふたつの祭りは性格は 同じなんだけれどその印象のなんと違うことか。 ねぶた祭りは、熱狂。あの華麗なねぶたを作ってハネトが飛び跳ねるんだ。 ねぶたは縄文の祭りだ。自由で健康でダイナミックだ。 諏訪の御柱祭り、新宮の御燈祭り、ねぶた祭りは、縄文の三大祭りだろう。 縄文の祭りはオープンだ。誰でも参加できて、単純で、人間の根源に訴える力を持っ ている。原始の感情を刺激して、はるか昔の縄文人の感情を思い出させる力が祭りに 隠されている。 こういう祭りに比べれば、同じ火祭りである京都の大文字は、優美だ。まったく体を 動かさない。観賞の祭りだ。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [青嵐透]  vol.65のイルカの『癒し』について。  ものすごく同感です!いままで「癒し」という表現に違和感があったのですが  「牛や山羊の乳と同じ〜」のくだりではっきりしました。  イルカは人間を癒すために進化したのではなのです。ただイルカ特有の能力が、  人間の神経にうまいこと影響しただけ。温泉と同じですよね。  人間と関係無く放たれているものが、たまたま人間の生物的波長とあっただけなの  でしょう。 -------------------------- そうなんです。最近、流行語のように安易に「癒し」という言葉が使われていて、私 はその言葉にすごく胡散臭さを感じていたんです。 イルカの発する音がヒトに“たまたま”良い現象を起こしたんです。 これがヒトに悪い影響を与えるものだったら、とたんにイルカは悪者になるんでしょ うね。 私は、動物が好きです。「可愛いから」でも「癒されるから」でも「役に立つから」 でもないんです。 可愛いも可愛くないも含めて、存在そのものが好きなんです。 あるがままの動物たちがとても好きなんです。そのままで君たちはとても素敵だよっ て。 -------------------------- [藤山]  今、熊の本を読んでいるのですが蜂の天敵はクマのようで、クマは恐れられていま  すが年間の被害はたいしたことは無くて蜂では年間40人ほどが死んでいるそうで  す。クマが減って蜂の被害が広がっている。  タヌキは“カイセン”の病気が大流行して最近見ることがありません。  タヌキが減るとヘビが増える。今年はマムシに注意が必要です。 -------------------------- 藤山さんのいう熊は、ツキノワグマのことのようです。体長約1.4m。 九州で絶滅宣言がなされました。四国のツキノワグマが絶滅寸前のようです。 北海道に住む私としては、ちょっと疑問なんですけれど、ツキノワグマは怖れられる ような存在なのでしょうか? 人を見かけたら襲いかかってくるような動物でも無さそうだし、ヒグマに比べたら ずいぶんと小型だし。 畑の被害くらいなのでしょうか? それはどのくらいの物なんでしょうか? ツキノワグマの保護についてはどうなっているんでしょう。 北海道に住んでいるとヒグマの情報は入るんですけれど、ツキノワグマの情報は入っ てきません。 日本の森には、ツキノワグマとヒグマと二種類のクマがいるんです。 クマが暮らしていける森を私たちは誇りにして保っていかなければなりません。 タヌキの疥癬病っていうのは、キタキツネの所で私が語ったのと似たような状況なの かな。 野生動物にスナック菓子を与える危険をもっと広めなければならないな。 クマの共存については、やまねこ通信vol.31のみかりんの叫びで。 キタキツネの疥癬病については、やまねこ通信vol.30で語っています。 未読の人は、バックナンバーをチェックしてみて! ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★どんなに誹謗されても構わない。 私は札幌生まれの札幌育ちで札幌が大好きなんだけれど、札幌で行われている、どう しても好きになれない大っ嫌いなものがある。 それは「YOSAKOIソーラン祭り」だ。 10年くらい前に学生が主体でささやかに始められたYOSAKOIソーラン祭りは、その後 あれよあれよと急成長し、今では雪祭り以上に集客力があり、人々が熱狂し、規則や 審査基準が出来、一瞬、北の街はYOSAKOIソーラン祭り一色となり、興奮のるつぼと 化す。 この祭りは、四国のよさこい祭りにヒントを得て作られた人工的な祭りだ。 それぞれ独自のデザインのハッピを揃え、団体で踊りを競うもので、審査があり、 優勝、準優勝などとランク付けがあり、年々多くの団体がエントリーし、何ヶ月も かけて練習に練習を重ね、その日に備えるのである。 この人工的な祭りは、ただのエネルギー発散場所としての騒然としたもので、そこに 魂がないのが嫌いだ。 鎮魂や悲しみや切なる願い、豊作や豊漁や感謝の気持、八百万の神々との交信と感謝 とおそれの気持、あの世へ行った人々との共食としての行事。こういうものを表現 したのが祭りだと思う。 今では、本家の四国のよさこい祭りより大きくなってしまったなどとほざく札幌っ子 のバカな事。 四国のよさこいに対して失礼この上ない。 YOSAKOIソーランは、私の祭りに対する感覚を逆撫でし、1年に1度不機嫌になる日 だ。 不思議なことに私と同意見を目にした事がないのは、どうしてだろう。 集客力、経済波及効果、審査基準、エネルギー発散場所などというものでしか見る事 が出来なくなっている人々が行うものは、それは『祭り』ではない。 ちょっとした広場を利用して、ささやかなヤグラを建てて、ぐるぐると単調に踊る盆 踊り。 片田舎の小さな神社に、少しばかりの市がたつ小さなお祭り。 そういったものの方が、はるかに『祭り』の意味がある。 私は、大小に関わらず、魂の入っている祭りを愛する。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 ★vol.66の参考文献(今号から参考にした文献を表記することにしました)       「地球 絶滅動物記」  竹書房  今泉忠明      「日本人の魂」    光文社  梅原 猛   ★次回配信予定は5月10日です。 ★みなさんの中にメールマガジンを発行している方はいませんか?  相互で宣伝しあいませんか?  連絡ください。 それじゃ、今週はここまで。 あなたのお便り待ってるよ。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 満開の桜と満月が一緒。 グレープフルーツ酎ハイを片手に乾杯。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○ やまねこ通信E=MC二乗 vol.66  2002年4月30日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: ◆インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ◆メルマガ発行サービス「メルマガ天国」ID:3743 http://melten.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○週刊やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さに はまったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。 それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━