2002/5/10━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.67 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 晴れています。 木々の新緑の淡い緑が、目に眩しいです。 空気は乾いていて冷涼です。 日陰はまだとても寒く、それでも太陽光線は日増しに強くなってきている北国の空。 新しく登録して下さった人、はじめまして。  ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ━■モアの話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1986年5月17日付けの読売新聞に「怪鳥モアはいるか」という記事が掲載された。 その要旨は以下のようなもの。 現在地上で最大の鳥とされているのはアフリカ産のダチョウ、次がオーストラリアの エミュー。 モアはダチョウ、エミュー、キウイと同じ走鳥類の鳥だけど、その大きさは別格だ。 頭頂まで3〜4m、胴体はラクダほどもある。巨体を支える足は丸太のように太く、 現在、地上でモアより大きい動物はキリンかアフリカゾウくらいしかいない。       モアは700万年〜200万年前に現れ、天敵のいなかったニュージーランド全島に繁殖し 続けた。このモアも13世紀〜14世紀にかけてマオリ族が無人のニュージーランドに 大移住を開始してから、羽根や肉を求めるマオリ族に乱獲され生存地域が南へと 狭まっていく。 1796年、イギリスのジェームズ・クックがこの島にやってきた頃にはほぼ絶滅してお り、文字を持たないマオリ族の間では、幻の巨鳥の存在は口伝えで語り継がれている のみだった。 1840年、イギリスの入植開始後、ヨーロッパ人たちは残された骨や骨の化石を見て、 マオリが伝える巨大鳥がこの国一帯に繁殖していたのを知る。 1984年2月、山中の洞窟の調査を行った研究班は、モアの骨が足の踏み場もないほど あるのを目撃。「はじめは丸太が転がっているのかと思ったくらい大きな骨だった」 そしてこの読売新聞の記事でいう今年3月つまり1986年、ロンドンの大英図書館に 一通の手紙が公開されことが、モア生存説に拍車をかけたんだ。 1942年2月に牧師としてニュージーランドにやってきた人が、友人のオックスフォー ド大学教授に宛てた手紙だ。 『原住民たちの話によれば、巨鳥はいまでも南の方にいけば見られるそうで、私の 知っている原住民も見たと言っているので、おそらくまだ生存しているのでしょう』 この手紙はニュージーランドの人たちにも伝わり「百年前にもいたのだから、今も きっといる。マオリはモアを追って南下したが、南島にはまだ人跡未踏地がいっぱい あるのだ」と勇気づけた。 南島は北海道九州四国を合わせたくらいの広さで、海岸部には人は住むが内陸部は モア生存説が生まれるような原野、原生林があちこちにある。 モア探しは、オーストラリアまで及び、1986年4月、博物学者ギルロイ氏が『私がモ アを発見し、生存を確認する』と南島に入っていった。 今のところ、ギルロイ氏からの朗報は聞かれない。 と、長いので適当に抜粋しながらもだいたいこんな文だ。 今から16年前のモア騒動でした。 博物学者ギルロイ氏のその後の動向は知らない。 ━●みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「オットセイとアシカの区分け」 お役所という所は、不思議な事を言い出す。 オットセイ、トドが農水省の管轄で、アザラシ、アシカが環境省の管轄だというん だ。 法律の条文がカタカナから平仮名になるのに伴って改正される鳥獣保護法が、新たに 海洋哺乳類を保護の対象にすることになったんだ。 だけど、すでに他の法律で保護管理されているものは除外する。という規定があるた めに、種ごとに管轄が環境省、農水省と分かれてしまうことになるんだよ。 ちょっとまとめてみよう。 <農水省水産庁>   {漁業法}           イルカ・クジラ   {ラッコ・オットセイ猟獲取締法}ラッコ・オットセイ   {水産資源保護法}       スナメリ・ジュゴン   {北海道連合海区漁業調整委員会}トド    <環境省>   {鳥獣保護法}         ニホンアシカ・アザラシ5種・ジュゴン   現在、アザラシ5種とニホンアシカは法的に保護されていないんだ。 環境省は中央環境審議会で検討の上、ジュゴンと合わせて、生態系の保全を視野に入 れて鳥獣保護法で保護対象にしたいらしい。 で、どういう訳かジュゴンは両方の管轄になるのかな。 この農水省の管轄で捕獲を禁止するのは「資源保護」の色合いが強いんだ。 環境省の鳥獣保護法は「生態系保全の保護対象」。 こんな妙なことになってきているのは、海洋哺乳類を資源扱いしているからなんだ ね。 生物多様性の維持する観点から鳥獣保護法で一括して保護する方が良い。 海洋哺乳類は希少種も多いんだよ。 絶滅危惧種:ニホンアシカ・ゼニガタアザラシ・スナメリ・ジュゴン 危急種  :トド ということにもなっているんだ。 あれ? ちょっと待った! 妙なことに気が付いたぞ。 オットセイが農水省管轄で、ニホンアシカが環境省管轄だ。 ぱっと見て、オットセイとアシカの区別がつく人ってどれだけいる? アザラシとは区別が付くよね。アザラシは耳介がない。上半身が起きあがることはな くゴロンとしている。 オットセイもアシカも耳介があって、上半身が起きあがるんだよね。水族館で芸をす るのは、どっちだっけ……たぶん両方。 調べてみると、オットセイもニホンアシカも、共にアシカ科だよ……。 いいのかなぁ、こんなんで。 ━●ネイティブ日本人の思想(7)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「循環の思想」 こうしてお正月お盆お彼岸など、あの世のご先祖様は、年に何回かこの世の懐かしい 我が家にお帰りになるんだけれど、それは一時帰還。 あの世とは、キリスト教や仏教で言う、天国・地獄や、極楽・地獄などという分け隔 てはない。死ねば皆あの世へ行く。 悪いことをした人も、この世に執着が残っている人も霊能者の巧みな言葉によって、 遅れる事はあるけれど皆あの世へ行けるんだ。そういう点ではまったく平等だね。 賢い人も愚かな人も、金持ちも貧乏人も、善人も悪人も。 あの世へ行けばご先祖様が待っている。天国でも極楽でも地獄でもない、この世と同 じようなあの世へ行ってご先祖様たちと、しばらく一緒に暮らせるのがあの世らし い。 死んでしまったら魂はあの世へ行くけど、いつまでもあの世にいる訳ではなく、ある 一定期間を過ごすとまたこの世へ帰って来るんだ。それは一時帰還じゃなくね、あの 世から飛んできてこの世にいる妊婦のお腹に入るんだ。 生はすべて再生なんだね。 まったく新しい生命が産まれるという事はない。産まれてきた命は先祖の誰かのよみ がえりなんだ。よみがえりとは文字通り「黄泉の国」あの世からの帰りなんだよ。 生まれた子は、あぁ、この子は5年前に亡くなったお爺さんそっくりだ。お爺さんの 生まれ変わりに違いないとか、誰に似てるか判らない子は、おそらく遠いご先祖様の 生まれ変わりだと、そういうフウに誰の生まれ変わりかと見極める人がいたんだろう ね。 古代から中世にかけて、太陽を生死の永遠の循環を繰り返す見方があった。 太陽がよみがえる朝が来ると起き、生の世界へ入る。 太陽が沈む夜が来ると寝て、死の世界へ入る。覚醒と睡眠という循環が、生と死の循 環と考えたんだ。睡眠を一時の死と考えたんだね。 月の満ち欠け。1年も夏は暑く、冬は寒い。三河の山奥から信州にかけて花祭りとい うのがある。それは太陽の力が衰えたのでその太陽の力の再生を願った祭りなんだ。 こういう天体運動も含めて、人間も太陽や月のように生死の循環を繰り返すと考えた んだ。 この世は短い旅である。だけどあの世も短い旅なんだ。 人間は、あの世とこの世の間を永遠に旅しているというのが、日本人の根底にある人 生観と言ってもいいかもしれない。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 前回のvol.66で私が語った以下の文について2通投書が来ました。 >1) 人間も含めて全てが自然である。 >   ゆえに、人間のすることも自然である。なんでもあり。 >2) 人間にとって心地よい環境が自然である。 > 植林された山、氾濫しない川、登山道に階段や砂利道を作ったり、 >   稀少種を保護したり。 >3) 人間が少なかった数千年前の状態が自然である。 >   原生林や氾濫しまくりの川、エントロピー的平衡状態。 >4) 原始地球から微生物が生まれ、植物が繁茂し、酸素が増えて、動物が繁殖し、 > 二酸化炭素が減って空気が澄んで、高等生物が生まれ、化石を燃やして、 > 再び二酸化炭素が増える、何億年ものダイナミックなものが自然である。 で、私自身は迷いながらも4を選択してみたのです。 2通つづけて紹介。 --------------------------- [ikekun]  仕事でもあり、ボランティア団体代表でもある環境系の自分は1を選択しました。  こういう業界の人々は下のように分類されると思います。  意外に感じるところもあるかもしれません。  2の人:環境配慮商品や自然食品のお客さんや、ボランティアメンバーの大半は  ここだと思われます。自己満足型が多いかも。  3の人:ボランティアメンバーにも多くいます。意見は悲観論や現実否定論が多い  です。環境系の社長も多く、お客に説教じみた話をしています。  4の人:学校の先生に多くいます。理想先行型ですので自主的な行動ができるかど  うかでタイプが大きく分かれます。ほとんどは頭でっかちですが、まれに変わり者  がいます。  自分の周りの1の該当者には共通点があります。極度の貧乏人である。特定の活動  に命をかけている。4の変わり者。なぜかいつも笑顔。  自分は4つの選択肢には多くの共通点があると思います。便利さの否定は進化の  否定です。鳥やクモの巣とマンションは同じです。自然の一部である人間の造った  ものです。迷惑も多くかけている人類ですが、火と道具と知恵があるのですから、  本当に気がついたら共存できる仲間の一員になれるはずです。  例えば関空周囲の海の底ももともとは人工建造物と思えないすばらしい環境です  よ。瀬戸内海より多く魚介類が採れます。  きれいな言葉やかっこいい表現だけでは世の中は変わりません。小泉総理も教え  てくれました。 --------------------------- [青嵐透]  vol.66のメンフクロウの話に関しては、ああここにも、としか言えませんね。  オーストラリアのディンゴのように。  人間の都合のいい環境を作るために持ち込まれた動物が、結局バランス破壊を通り  越して人間の害になってしまう。  そういう例を知ってしまうと、目指すべき「自然保護」は(4)かせめて(3)……と  なってきますね。私としては。  大袈裟にモノを作ったり異種を持ってきたりではなく、もっと小さな知恵で自然と  生きていきたい。  コンクリートの護岸壁ではなく松林を、農薬ではなくアイガモを。  アイヌや琉球、世界中の“ネイティブ”のように謙虚に自然と接していけた  ら……と思います。 --------------------------- もちろんこの選択肢に正解などありません。 色々な視点で考えるきっかけのひとつにしてくれればと思うのです。 次に紹介するのは、やまねこ通信の巻末のオマケのコーナーの事です。 vol.65の、オマケのコーナーにしては妙に長文だった蛙玉への疑問です。 --------------------------- [愚道僧]  > 先日、犬と湿地を散策していたら蛙玉を見つけた。  > 1匹のメス蛙に数匹のオス蛙が群がって交尾しようとしているんだけど、  > それがもうワヤ(方言?)になってしまって、蛙の玉になっているんだ。  > メスの姿は見えていない。たぶん玉の中心にいてもうそれはそれは大変なことに  > なっているんだろう。  > 周囲には散乱した産卵。(駄洒落か?)  > いったい何匹のオス蛙が絡まっているのだろう。  > 棒でつんつんしてみた。  > 蛙玉は、ほどけなかった。  何のことやらわからず途方にくれております。  貧弱な想像力をさらすようでなんですが、私には何かのたとえというよりも、  人間社会の現実としてこのことが起こったように思えてなりません。  杞憂に終わればいいのですが・・・。 --------------------------- 何かのたとえではないです。そのままです。 やまねこ通信はこれでも自然科学系のマガジンなんです。(笑) 蛙の産卵風景に出くわしたのです。 春は蛙の産卵時期です。今産卵して何週間か後にオタマジャクシになります。 この時期、オスの蛙はメス蛙状のものをみると見境なく抱きつきます。 この時期のオス蛙は、もう頭がどうかしちゃっていて、抱きつくモノはなんでもよく なってしまっちゃうくらい、取り乱しているんだよ。 実験している番組を見たことがあるんだけれど、チーズとか消しゴムとかそんなもの にも「あっ、メスだ!」とオス蛙が思ったらそれは彼にとってはもうメス蛙なんで す。 チーズとか消しゴムに強く抱きついてしまった実験をみたことがあります。 で、この時期、メス蛙はオス蛙に交尾を迫られ抱きつかれてしまいます。この時の力 は大変強いらしいです。で、ここに幸せなカップル誕生と思いきや、あっ、メス蛙が いると思いこんでしまった他のオス蛙がその重なったカップルにしがみつくことがあ るんです。 そうしてどんどんオス蛙がしがみついていって、蛙玉ができることがあるんですよ。 湿地を散策していてその蛙玉をみつけたんです。                     ※「蛙玉」という単語は私の造語です。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★あぁっ。しまった……。 「ネイティブ日本人の思想」にちょっと力を入れて書いたら、ずいぶん抹香臭いマガ ジンになってしまった。 本当は科学マガジンなんだってば! よぉし、科学マガジンの意地を見せるぅっ。 次回から2回続けて、いよいよやまねこ通信が総力をあげて『進化論』に挑む! 乞うご期待っ!! (総力をあげてって言ったって、ひとりでやっているんだけれどね。へへっ。) ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 ★vol.67の参考文献      「地球 絶滅動物記」   竹書房  今泉忠明      「日本人の魂」     光文社  梅原 猛        「森の思想が人類を救う」小学館  梅原 猛 ★次回配信予定は5月20日です。 ★みなさんの中にメールマガジンを発行している方はいませんか?  相互で宣伝しあいませんか?  連絡ください。 それじゃ、今週はここまで。 あなたのお便り待ってるよ。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 外国人から見れば私も外国人だし、 宇宙人から見れば私も宇宙人だ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○ やまねこ通信E=MC二乗 vol.67  2002年5月10日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: ◆インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ◆メルマガ発行サービス「メルマガ天国」ID:3743 http://melten.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○週刊やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さに はまったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。 それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━