2002/6/30━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.72 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 昨日、顔を洗おうとしたら洗面所に大きな黒い昆虫が! 「わぁぁぁあああっぁ!」  よくみると大きなクワガタがいました。 寝ぼけた脳が一瞬でしゃっきりしました。 新しく登録して下さった人、はじめまして。  ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ━■地下生物圏の話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 長い間、地下数百〜数千mの岩盤の中に生物など住んでいるとは、真剣には考えられ ていなかった。 狭く、酸素が少なく、高温高圧。そんな厳しい環境に生物が生息できないって考えら れていたんだ。 ところが近年地下2kmまで深い穴を掘り、途中で生物が紛れ込まないようにしなが ら、試料を分析できるようになったんだ。これを分析した結果、そうした地下深くに も細菌(バクテリア)がたくさんいることが判ってきたんだ。 これら地下生物圏の生物量(バイオマス)は、地上や海にいる全生物を足したバイオ マスと比較しても、多いくらいらしい。 地下深くには、巨大な生物圏がある。と想像できるってことだ。 1990年代後半に玄武岩のガラス質の中に細菌が見つけられたんだ。この細菌は岩に穴 を掘って栄養を取っていた。このように岩から栄養を得ている生物を「リソトロフ」 という。 太陽光を光合成でエネルギー源とする植物は、光を食べる生物ということで「フォト トリフ」。 そして有機物を食べて栄養とする人間を含めた動物は「オルガノトロフ」というん だ。 動物は、食う食われるの環境の中で進化を遂げてきた。植物はそういう関係から離れ て、光合成でエネルギーを自給できるようにした。 そういうフウに考えると地下生物圏の生物たちは「哲学的に達観した生物」と表現す る学者もいるんだ。 陸地の地下数百mから見つかった細菌は、2億5000万年前から眠っていたけれど 採取された後に復活したというんだ。(なんて長い眠り!) 呼吸とは酸化の別名でもある。人間は酸素を酸化剤として使って、有機物を酸素を 使ってゆっくり燃焼していると考えるんだ。 地下深くに生息する生物たちは、地上の動植物や水中の魚、プランクトンとは全く 違った仕組みでエネルギーを得ている。 地下には酸素がない。エネルギーを得るための酸化剤は深さごとに異なって、浅い方 から硝酸、硫酸、二酸化炭素などを使ってエネルギーを得ているんだ。 さてさて、近年にわかにこの今まで知られなかった地下生物圏の微生物たちの研究が 進むにつれて意外な発見が数多く報告されるようになったんだよ。 京都大学の今中教授が発見した微生物は、ゴミなどを餌にして石油を合成することで 有名になったんだよ。 また、水素からメタンを作り出す微生物もみつけられたんだ。 そうしてコーネル大学のゴールドさんは、著書『未知なる地底高熱生物圏』で「石油 は、地下の奥深くに無機的な供給源がある」と主張しているんだ。 石油は従来言われてきているような太古の動植物の死骸が高温高圧の下で熟成されて できたのではない。というんだね。 この説はまだ立証されていないんだけれど、地下生物圏が明らかになり、多くの微生 物が生息しているのが判ってくると、無機的生成や微生物による合成など石油の生成 起源も色々考えられるようになってきたんだ。 国際協力でも研究しているんだよ。 新しい掘削用の船で「ちきゅう」が最近進水したんだ。2006年に稼働して海底7kmま で掘れるというんだ。 人類はマントルを掘ったことはない。海底7kmまで掘ることができれば、地殻とマン トルの境界面のモホ面を掘り抜くことが実現するかもしれない。 モホ面を掘り抜けば、マントルまで地下生物圏が広がっているかどうかが判る。 生物の生息限界と考えられている150度の場所が「ちきゅう」の掘削でどこなのか判 るかもしれない。 3年前まではマントル生物圏などといっても誰も信じていなかったという。 地下の世界は奥が深い。 ━●みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「蓄えない平等社会」 エチオピア南西部、スーダンとの国境地帯にあるさまざまな少数民族のひとつコエグ という500人の民族がいる。 その地域は、眠り病を媒介とするツェツェバエがいるので牛が飼えない。漁労、狩 猟、素朴な農業で暮らしている民族だ。 そこで関野吉晴さんは、二週間、医療行為をした。 患者は頻繁にやってきた。発熱した者、便に虫を持っていたり、血が混じっていた り。子どもの患者も多かった。 ここの患者たちは、診療しても感謝をしない。治癒したり、軽快しても報告に来な い。 初めは抵抗を感じたという。だけど彼らの価値を知り、納得するようになった。 彼らには「ありがとう」という言葉もないんだ。 彼らの特徴はモノを貯め込まないこと。 彼らにとって最も重要なのは「集うこと」と「モノをあげたり、貰ったりするこ と」。 私たちがモノを貯め込んで将来に備えるのに対して、頻繁に人間が行き来しモノを滞 らせない。 人間のネットワークを通して、将来に備える。 私たちの社会が、モノを多く蓄えた者ほど尊敬され支配者になれるのに対して、ここ ではこういう者は軽蔑されるんだ。 その結果、私たちの社会では富める者と貧しい者が偏在するのに対して、彼らの社会 は徹底して平等なんだ。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [ikekun]  科学の進歩は常に議論があります。  古くはダイナマイト。近年は遺伝子組替やクローンなど。  科学の進歩は、困っている人の役に立つよう考えられます。  個々の問題はそれぞれありますが、  すべての問題に共通することはそれを使う人の「こころもち」だと思います。  ボランティア団体の活動議事録を紹介します。  意識についての議論で、テーマは、  「文明の利器をなかなか捨てられない自分たちはどう生きていけばいいか」です。 1)生活や趣味のために働くという意識  →納得できる仕事に就く。充実できるような仕事の仕方を考える。 2)無料に飛びついたり、会社の備品をもらってくる(犯罪です。)  →本当に必要かどうか考える。いらないものは断る。  →長持ちしそうなものを購入し、壊れても(高くても)できるだけ修理する。 3)なんとなく毎日を過ごす。  →1ヶ月、半年、1年、5年先の自分の状態をイメージする。  →自分が社会でどんな役に立っているかを考える。  お金の為に動く人や企業がいても、彼らは顧客満足を考えているわけです。  科学の進歩がどう活用されるかは、一般庶民の感覚がどこに向いているかという  ことの反映です。  科学の進歩を否定する前に、自分と周りを見直すことも重要なことだと思います。 ------------------------------ 私は、科学の進歩を否定しているのではないのです。 現在資本主義を選択しているので、科学が拝金主義と結託するとロクでもないことに なるという警鐘を鳴らしているのです。 顧客満足第一主義であれば、森林伐採しても干潟を埋め立てても良いのかって事なん です。 個人では、家族のタメ、良くないと判っていても企業の歯車としては従わなければな りません。 それでも目先の利益を追求すると、自分の首を絞めます。 人々の行動の底辺になくてはならない思想や哲学が、利潤の追求(顧客満足を含む) に置き換わると、科学は狂気であり凶器であると言っているのです。 科学にロマンは必要です。 ------------------------------ [口先天風]  ソニーの取締役の話を聴く機会がありました。  彼は昭和天皇と会った時の話から始まり、友人であるビルゲイツの話とか  ユリゲラー等の超能力者と呼ばれる人達の話しを始めました。  彼は「大富豪であろうが、国の象徴であろうが、何ら変わらず。返って不幸  に思えた。人はやはり自然のままに日々感謝して活きるのがいいです。」  と、オフレコの話をシミジミ話してくれました。  どんなに自分達にとって住み良い環境を作って行っても、所詮は  お釈迦様の掌で人は活きているんでしょうね。  だから、心はいつも平安で静に感謝して活きたいものですね。  そんなふうに思いました。  クローンの話もしました。  彼は人の細胞には回数券が付いていて、細胞の使用頻度によって  その回数券が無くなってしまう。そして、その細胞でクローンを作れば  その無くなった回数券の年齢に見合うクローンが出来あがる。  と言ってました。  つまり、45歳の細胞でクローンを作れば  赤ちゃんなのに細胞だけは45歳の状態となるそうで。  この延長線上のクローン技術は、あまり使えない雰囲気ですね。  先日、経済アナリストの人が「私は一遍上人の宗派ですが  死ぬ時に『南無阿弥陀仏』と唱えると成仏できて極楽に行ける。」  と言ってました。  「でも、どう考えても、そんなことないですよね。」って笑ってた。  物の存在しか信じられない人達から見た世界観  心の存在を認めた人達の世界観  転生輪廻・魂の存在まで踏み込んだ人達の世界観  そして、我もなく、無我もなく、心も存在しないとした人達の世界観  その上の階層の人達の世界観って全て違うんですよね。  この辺が面白くて、そして難しい所ですね。    ------------------------------ お金持ちとか、仕事に成功したとか、地位が高いとか。そういう事と「幸せ」とは また別のものなんだよね。 お金が無くても、そこそこの仕事をし、地位もなく。そういう中にも「幸せ」はある んだ。 目に見えるモノや、人からの評価に縛られる事の、おろかな事。 「幸せ」は外側ではなく内側にあるもの。 そして「幸せ」も「不幸せ」も同等に価値があると思うのです。 ------------------------------ [かおる姐さん]  「ティラノにふわふわの羽毛があったかも」説にはビックリしました。でも、どう  かしら羽毛は小さな動物の体温調節には有効ですがティラノのような大型の動物に  は向いていないかも。  「ティラノはカラフルだったかも」説には大賛成!!  大型の恐竜は木々の間に身を潜めることができなかったでしょうから(歩いただけ  ですぐバレる・笑)地味な色に縛られる必要がありません。  もしかして南国の鳥のようにカラフルな皮膚を纏っていたのかも知れません。  もちろん恋のために☆  小型恐竜が羽毛を躍らせながら跳梁し、大型恐竜が美を競い合いながら跋扈する。  そんな太古の世界を想像するとワクワクしますね    梅雨は梅の実を漬ける頃だから”梅雨”と書くのだとも、黴と音が通じるから  “バイウ”と呼ぶのだとも言われていますね。  先日、パンを食べようとしたら黴が生えていました。(T_T)  それはそれはカラフルな黴が・・・・・  常々思うのですが、黴ってどうしてああもカラフルのなでしょうね?  微生物はムダのないミニマムな生活をしているはずなのに、どうして彼らにとって  何の役にも立たないはずの色素をセッセと作るのかしら?  微生物学者に訊くと  「代謝の中でたまたま出来てしまうだけだよ」と言うのでしょうが  わたしには彼らが意志を持って色を楽しんでいるように思えるのです。 ------------------------------ 羽毛が小さな動物にっていうのは、現在の動物からみる偏見かもしれません。 ティラノは体長12mあったようです。 やはりこれは大きい。 これまで地球上に出現した鳥類で最も背が高いのは4万年〜200年前まで に生息していたと考えらているジャイアントモアで身長3.6m。 体重は320kg。 恐竜の婚姻色。例えば声なんかも想像の域をでないけれど、 それでも骨格などを検討すればある程度は予測がつくかもしれない。 でもまったくお手上げなのが色。 羽毛や体毛があるなしに関わらず、色は予測のしようもない。 オスメスでの色の違いもあったものもいたかもしれないし、 逃げ回る小さな地味目のヤツもいただろう。そして派手なものもきっといたはず。 現在の鳥の色のなんとバリエーションに富んでいることか。 カビの色ですか。 「代謝の中でたまたま」説ももちろんだけど、カビにはカビの世界観があるんだろう し。 たまたまでも意味はあるかもしれない。 でも色という認識は、ヒト的な感じ方だよね。 恐竜の色。カビの色。生物の色。 婚姻色や警戒色や背景に馴染む色。 空は何故青いの。海は何故青いの。それは青いと感じる私たちの視覚があるからさ。 やまねこ通信vol.51の「擬態の話」の中と投稿の中のレスで「私が見ている“青”が あなたの見る“青”と同じという証拠はないんだ」ということを語っています。 花々は何故あんなにカラフルなの? 誰を意識しているかと問えば、それはヒトではなく虫の目を意識しているはず。 虫の複眼はどう見えるのか。 たぶんこういうフウに見えるのだろうと、それを単眼の私たちが単眼のフィルターで 理解するのは無理じゃないのかな。 カビの五感まではまだまだ想像すらできない。 世界はとても奥深いし、森羅万象は不思議に満ちている。 その不思議の、はじっこに鎮座している幸せを思う時がある。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★現在活動している深海掘削研究線「ジョイデスレゾリューション」は掘削深度の 最高記録が海底下2111mなんだ。 それに比べて「ちきゅう」は7000m。 いったい地球を掘って何が判るっていうの? なんて言わないで。 期待される学術成果は多岐に渡るんだ。 まず地球のコアからマントルなど地殻にわたる全地球システムの解明。 南太平洋の下にはマントル底部から沸き上がるプルームっていう巨大な上昇流がある んだ。恐竜がいたころの中生代に起きた温暖化はこのプルームの動きに関係している いんじゃないかと考えられているんだよ。 マントル物質を採取できればプルームの全ぼうに近づくことが出来る。 他にもプレートとプレートが沈み込む地域で起こる海溝型巨大地震の予知とかね。 深海底に眠るメタンハイドレードの成因解明にも期待がかかっているんだ。 メタンハイドレードっていうのは、メタン分子が氷の結晶に閉じこめられた物質で 「燃える水」とも呼ばれて、新たなエネルギー資源として有望視されているんだけれ ど、過去に大量に大気圏に漏れて地球温暖化を招いたり大津波をもたらしたことも あったらしい。 そして今回紹介した地下深部の未知の微生物の生物圏の存在。 地球のことはまだまだ何もわかっちゃいないんだ。   でね、時々思うんだけれど。 地下街とか地下鉄とか海底トンネルとか。ヒトって結構、穴を掘る動物だなぁって。 “掘る”という作業をいとわない動物だなぁって思うんだよ。 ★「蓄えない平等社会」 良いとか悪いとかじゃなく、地球上にはさまざまな価値観があって、私たちがどっぷ り浸かっている価値観は、数多くある価値観のなかのひとつにしか過ぎないという 事。 そして私たちの価値観を突き詰めていった結果、閉塞間の中に突破口すら見いだせな いのなら、まったく違う価値観からも学ぶことはまだまだたくさんあるだろうという 事。 そのひとつの例として紹介。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 ★vol.72の参考文献         日経サイエンス2002年4月号        北海道新聞2002年3月17日 The Great Journe 関根 吉晴 ★次回配信予定は7月10日です。 ★メルマガ相互宣伝です!  バックナンバーを読んでみて、気に入ったら購読すると良いよ。  バックナンバーはここ→ http://www.tamanegi.com/merumaga2.html 〓〓■◆■tamanegi■◆■〓◆◆〓■■〓◆◆〓■■〓◆◆〓■■〓◆◆〓〓        〜〜〜京の和柄屋・玉葱工房がお届けする〜〜〜       ◆魔界京都の不思議話と電脳露天商のアロハ太閤記◆     登録と解除は  http://www.tamanegi.com/merumaga3.html     和柄アロハ&シャツ【玉葱工房】 http://www.tamanegi.com 今も古都に残る不思議な話、怪異な話に伝説の舞台の現況を合わせてお届け。 京都観光の参考にも!「玉葱工房」オリジナルの和柄アロハとTシャツなど の新作&お特情報やこだわりのポイント、玉葱屋P助奮闘記も泣かせるッ! 〓〓◆◆〓■■〓◆◆〓■■〓◆◆〓■■〓◆◆〓■◆■wagaraya■◆■〓〓 ★みなさんの中にメールマガジンを発行している方はいませんか? 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