2002/9/20━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.80 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 旧暦八月十五夜と九月十三夜には、月を拝し、お団子をお供え。 ぬるま湯で上新粉をこねてから蒸す。そして粘りがでるまで丸めるんだ。 月に供え、翌日お下がりとして小豆あんや砂糖醤油のたれに付けて食べるんだ。 供える数は十五夜が15個、十三夜は13個、ともに12個とする地域もあるよ。 2002年の十五夜は9月21日、十三夜は10月18日にあたるんだ。 さぁ、上新粉を買ってこようっと。 お月見、お月見♪                           (※今週号は十五夜号なので最後にオマケがあります。) 新しく登録して下さった人、はじめまして。  ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ━■マツタケの話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 京都府から兵庫県にまたがる丹波地方はマツタケの産地として有名なんだけれど 実はこの「丹波マツタケ」は数十年ほどの歴史の比較的新しいブランドなんだ。 もともと丹波地方にはマツタケどころかその宿主であるマツ自体がほとんど存在しな かったんだよ。 本来、マツにしろマツタケにしろ乾燥などの劣悪な環境には強いものの、他の生物と の競争力が弱く、環境の良い名所では他の生物にあっさり追い出されてしまうんだ。 だからマツやマツタケっていうのは、他の競争相手が生活できない劣悪な環境にしか 育たないってことなんだ。 そしてね、それらに適した劣悪な環境をつくったのが、実は人間による自然破壊なん だよ。 丹波地方の場合、まず森が伐採されてハゲ山になり、その後災害防止のためにマツだ けは残すようになってマツ林が形成されたんだ。 しかもほかの雑木は薪(たきぎ)として、土を肥沃にする落ち葉は肥料として収奪さ れたりして、乾燥して栄養分の少ない土壌が維持されたんだ。 このような劣悪で、マツやマツタケにとっては競争相手の少ない都合のいい環境が思 いもかけず形成して維持された結果、明治時代以降マツタケが増え始めて、一大産地 になってしまったんだ。 つまり、人間による大規模で恒常的な自然破壊がマツタケを増やしてきたんだね。 現在では、生活様式の変化から雑木などの収奪は必要なくなってきて、山は本来の自 然な姿、つまりマツもマツタケもなくなる方向へ動いているんだ。 マツタケを栽培するには、この自然の回復力に逆らわなければならないって事なん だ。 あるべき姿に戻ろうとする土や微生物、植生などといちいちケンカしなければならな いんだね。 例えば、自然に生えるキノコなら胞子を使ってある程度増やせるんだけれど、マツタ ケは他の微生物との競争に負けるのか、胞子を撒くだけではなかなか増えないんだ。 マツタケを栽培するには自然に逆らって山を劣悪な環境に戻し、そこでマツタケを増 やす方法を開発しなければならないって事なんだよ。 とはいえ現在では、山を劣悪な環境に戻す方法は「マツタケ発生環境整備事業」とし て実用化されているんだ……。 自然に逆らってマツタケを増やすことができるのも、そう遠い日ではないらしいんだ けれど。 良いことなんだか何なんだか。 ━●みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「有限と無限とパラドックス」 昔。まだいろいろなことがよくわかっていなかった頃、世界は無限だった。 でも航路が発見され、地球を一周してしまうと世界は有限になってしまった。 または、つい最近まで大気は無限と考えられていたよね。いくら煙を出しても、 やがてそれは拡散して消える。重工業地帯の煙突から吐き出される黒煙は繁栄の象徴 でさえあったんだから。 海に廃液を流しても大丈夫と思っていた節もあるし。無限の観念があったんだね。 でも大気も、海の浄化作用も有限だった。 物理学に無限はない。宇宙がどんなに広くても、その起源がいかに遠くても、無限で はない。 だからその有限性を確定してみよう。これが物理学の基本姿勢なんだろう。 万物は変わりゆくのだから、永遠や無限という言葉は現実の物質世界には適用できな い。 どうして無限と思ってしまうんだろう。あらゆることは有限ではないか。という概念 から考えてみればそう無茶はできないのに。 日本人が数年前まで無限じゃないかと錯覚していたことがある。 「経済はずっと右肩上がりで上がり続ける」このことを前提にすべてが計画されてい た。 そんなバカなはずはない。ちょっと冷静になって考えてみれば簡単にわかることなの に。 無限は数学の概念の中にある。 例えば正五角形の対角線をすべてつなぐと中に小さな正五角形ができる。その対角線 をつなぐとまた正五角形ができる。こうして果てしなく正五角形が生み出されてい く。 合わせ鏡みたいな感じだね。 以前、ちょっと話題にしたアキレスと亀を今度は図入りで説明してみるね。 ・条件 亀はアキレスの半分の速度で歩く。                  ←両者、こっち方向へ向かっている _____________亀___________ア ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ________亀____ア___________ ______亀_ ア_________________ ____亀_ア___________________ アキレスが亀のいるところまで歩くと、 亀はアルキメデスが進んだ半分先に行く。 それじゃぁってんで、またアキレスは亀の位置まで行くと 亀はその半分の距離を進んでいる。 これをどんなに繰り返しても、アキレスは亀に近づくことは出来ても追い抜けな い。 ね? 妙でしょう? 自然数と偶数の個数が同じという話を紹介しよう。 1、2、3……と続く自然数に対して、2、4、6の偶数は半分の個数に思えるよね。 でもね、1番目の偶数、2番目の偶数……と無限に数えられる。 1は2に、2は4にと1対1に対応できるよ。 だから個数は同じ。自然数と偶数は同じ数だけあるという理屈なんだ。 そうして、線分と正方形も、線分と立方体も同等っていうのだから、常識がひっくり 返ってしまう。 もうひとつ私の好きなパラドックスの話をするね。 不思議な板の話だよ。 嵐で大揺れの船。船員が船長室に駆け込んできました。 「船長、大変です。船底に穴が空きましたが、補修用の板が足りません」 船長が急いで行ってみると、13cm×5cmの65平方センチの長方形の穴が空いて いました。ところが船には8cm×8cmの64平方センチの正方形の板しか無いと いうのです。 ところが賢い船長さんは、この板を上手に切ってつないで65平方センチの 板に変えてしまい、無事船底をふさいだというお話です。 こんな感じにです。↓ http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/paradox.htm ね?不思議でしょ? 『無限』に新しい世界を開いたのはカントール。(1845-1918) カントールは無限も無限にあると言っている。この無限と無限の関係を証明しようと して、さまよってしまうんだ。そうしてシェイクスピアはフランシス・ベーコンだと いう仮説を唱え証明しようと深く入り込み、やがて没する。 人間は無限の概念を手に入れた。 カントールにしろヘーゲルにしろ、無限に取り組んだ数学者は精神を病んでしまって いる。 人間は現実の無限と有限に怯えているんだろうか。 宇宙が時間的にも空間的にも無限だとしたら、有限の体と時間をもつ自分の存在は? 宇宙が時間的にも空間的にも有限だとしたら、その外側には何があるのか? 人間の持つ哲学的な苦悩はここに根ざしているのかもしれないね。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ あれ……? 投稿がない。う〜ん。どうしよ。 え〜と、え〜と。 あぁ、そうだ。ずいぶん昔に書いた文をここに載せてみよう。 やまねこ通信が始まるちょうど1年ほど前の文。1999年11月の私の文です。 過去からの投稿ということで。(笑) ----------------------------- [みかりん] ちまたには、24時間営業の店が今となっては珍しくなく営業しています。 これを支えている背景は、いろいろあります。 問題点も多いです。 ・人間は本来昼行性の動物であるから、生体リズムに反している。 ・夜。店にたむろしている子ども。こんなのが良い訳がない。 (居場所を与えている) ・いつでも買い物が出来るというのは本当に豊かな事なのか? ・産業革命以来、営々と積み上げてきた労働時間の短縮、休日を勝ち取ってきた歴史  を覆すような現象。 でもニーズもあるんだね。 ・国際化で世界が繋がって日本が夜の時に昼。夜中に起きている人を支えるビジネス  は増える。 ・いつでも開いている安心感が売り上げに繋がる。 (実際は夜間売り上げは全体の20%弱) ・すぐ駆け込める「子ども110番」の役割。 まぁ、これらの問題は置いておいて。 この24時間営業を支えているのが深夜電力が安いからという事があげられるんで す。 何故安いか。 それは原発は24時間止めることができないから、深夜の電力は余ってるんだよ。 国は、原発をあと20基増やしたい計画があるから、増設のためには余ってる深夜電 力の消費量を増やさなければならない。 夜間も電力を消費させる自販機を増やしたり、深夜電力を安くして夜間営業店に頑 張って貰ったりね。 便利の追求が石油を浪費して、24時間営業の店が原発増設に荷担しているんだ。 興味深い記事を見つけたよ。 神奈川県藤沢市の話。 暴走族とそのギャラリーが発する騒音爆音に住民は長年泣かされてきた。 「そこに光があるから集まってくるんだ。取り締まりの強化だけじゃなく、環境を変 えていこう」ということになって地元住民と市役所が協力してしないのファミレス、 コンビニ、ガソリンスタンドなど十数店舗に「毎週土曜午前2時から午前7時までの 営業自粛」を要請。 そしたらね。この地区に暴走族が集まってくることが少なくなってひっそりとしてい るんだって。 でもね。住民からは、そろそろ夜間の買い物がしたいって声も上がっているんだっ て。 国のエネルギー問題。 原発を選んだために余る深夜電力。それが安いために深夜営業の店舗が増え、人の生 体リズムを壊し、非行の温存にもなって。 あららあらら。問題は時代を反映してより複雑化していくね。 ひとつの表面化した問題があったとする。 その原因は、たくさんの要素が絡み合った結果で決してひとつではない。 で、そのおおもとは、国の政策であったりするんだな。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★覚えている読者の方、いるかな。 去年も十五夜号は、巻末に「月のショート・ショート」を載せているんだよ。 去年の十五夜号は、vol.40です。 満月と中秋の名月は、一致しない事が多いです。1日〜2日ズレる事が多いです。 ピッタリ合う年もあるよ。 その理由は、やまねこ通信vol.49で説明しています。 未読の方で興味ある方は、バックナンバーをチェックしてみて。 読んだけれど忘れてしまったあなたも。(笑) って、私も書いた時は理解していたんだけれど、しばらくするとまたわかんなく なるぅ〜。(苦笑) ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 ★vol.80の参考文献       「きのこの100の不思議」 東京書籍 日本林業技術協会編      「通販生活」        1999年6月号 ★次回配信予定は9月30日です。 ★みなさんの中にメールマガジンを発行している方はいませんか?  相互で宣伝しあいませんか?  連絡ください。 それじゃ、今週はここまで。 あなたのお便り待ってるよ。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 山で生まれた白い大きな蛾は、光を目指して飛びたくなりました。 眼下には、大都会の織りなす夢のような光がありました。 すぐ近くには街灯のオレンジ色の強い光がありました。 仲間達はそれぞれ思い思いの光に向かって飛んでいきました。 白い大きな蛾は、どの光よりも魅力的なひとつの光に魅せられました。 「あの光を目指そう。」 それは、漆黒の夜空に輝く大きな赤い満月でした。 翌朝、白い大きな花びらのような一匹の蛾が力つきて道端で死んでいました。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○ やまねこ通信E=MC二乗 vol.80  2002年9月20日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: ◆インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ◆メルマガ発行サービス「メルマガ天国」ID:3743 http://melten.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○週刊やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さに はまったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。 それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━