2002/10/30━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.84 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 秋の夜長、時間の本を読む。 10億年とは、地球の誕生から、海ができて、生命が生まれて、二酸化炭素が 多かった大気が酸素に富むものに変わるまでかかった時間。 この間に、太陽は銀河のまわりを4周した。 10億年とは、そんな時間。参考までに宇宙の年齢は120億〜140億年。 と、説明されてもねぇ…。 新しく登録して下さった人、はじめまして。  ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ━■モンゴロイド5万年の話(3)━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ さて、環境に適応するのに有利なのは、ヒトの“未熟性”。 ヒトは見た目が子どもっぽいだけじゃなく、いつまでも子どもの時期が長いってのが 特徴なんだ。 ヒトがネオテニーで進化したことの一番大きな意味は、ここにあるんだ。 サルは、生まれてからすぐに目が見えるようになるし、つかまったり、支えたりと いった両手両足の運動もかなり出来る。 でもヒトは視力も運動能力も未発達。生後一年くらいでようやくサルの新生児レベル だ。 他のサルが胎児のうちに発達させる機能を、ヒトは生まれた後に発達させなきゃなら ない。 しかも成長の速度が遅い。 ヒトの幼年期・少年期は、他の霊長類の1.5〜2倍あるんだ。その間、親の世話なしに は生きていけない。 生物が生きるのは、遺伝子を残すため。生き残っていくこと、そして次の世代へと遺 伝子が「続いていくこと」、つまり「生殖可能になるまで育つ子ども(遺伝子)を、 どれだけ次世代に残せるか」なんだ。 で、戦略としては、大まかに言うとふたつある。 『r-戦略』=子どもを出来るだけ多く作る戦略。 昆虫とか魚とか大量にタマゴを産んでその内何%か生き残ればそれで良しとする。 『k-戦略』=少子少産戦略。丁寧に確実に育て上げようとする。 これは世代交代の期間が長くなる傾向があるんだ。つまり成長が遅くなる。 哺乳類は、その名の通り哺乳をして子育てをする。「少なく産んで大事に育てる」と いうk-戦略をとってきた。特に霊長類の多くは、この戦略。 子育て期間は、子どもにとって生き残る力を得るための準備期間なんだ。この期間が 長いほど、子どもにとっては生き残る術を学ぶチャンスが増え、親は子どもを保護・ 教育できるというメリットがあるんだ。 このk-戦略を究極まで推し進めたのがヒトなんだよ。 ヒトは厳しいサバンナへ出ていった。子どもを産みっぱなしで放置すれば生き残れる かどうかは判らない。 そこでヒトは子育て期間を延長する方向に進化したんだ。 ネオテニーによって未熟さを保つ「幼年期の延長」という究極のk-戦略で、厳しい環 境に適応しようとしたんだ。 ネオテニーは、子どもが未熟になるというリスクもあるけれど、学習を含めた経験を たくさん積めるから、複雑で変動する環境にうまく適応できる能力を身に付けること ができるんだ。 だから教育して成熟した子どもを残すという点からみれば、確実性が高いんだよ。 その「少くなく産んで大事に育てる」k-戦略にも、ヒト集団によって内容に差がある んだ。 モンゴロイドが進出した寒冷地は生きるために学ぶことが多かった。そして教育を受 ける期間(子どもの期間)が長い方が有利に働いたんだね。 だからモンゴロイドはネオテニーが進んで、さらに幼年期を延長し、子育て期間を長 くとるように進化していったんだ。 モンゴロイドはk-戦略をいちばん推し進めたヒトなんだよ。 環境に合わせて脳を作っていくには、脳が柔らかくてシナプスが自由に変化できる期 間が長い方が良い。 シナプスの変化は幼年期にもっとも激しく起こるので幼年期の延長、つまりネオテ ニーによって脳が発達するんだ。 ネオテニーは退化じゃなく進化なんだよ。 脳に関しては子どもっぽい方が優れているんだ。 で、ここから先はちょっと危険な言い方だけど。 思い切って書いてしまおう。 脳の大きさはだけをみてもモンゴロイドは進化していると言えるんだ。 実際に脳はモンゴロイドが一番重い。 モンゴロイドの平均脳重は男で約1450gで、欧米人になどの他のヒト集団と比べると、 平均で50g〜150gも重いんだ。 体格は小さいのに脳が重いってことは、バランスからいうとそうとう脳の比率が大き い。 もっと言うと、体重で補正した相対脳重でみると、少なく見積もっても他集団と1.2 倍も大きいことになってしまうんだ。 ヒトがチンパンジーと分かれたのは500万年前。ネオテニーが始まったのは250万年 前。 ヒトとチンパンジーでは遺伝子は1〜2%の違いしかないけれど、脳は3倍も発達して いるんだ。 それだけネオテニーによる脳の発達の違いが大きいんだよ。                                 つづく。 ━●みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「犬の翻訳機」 東急ハンズのチラシを見ていたら、以前から噂があった商品が載っていた。 おもちゃメーカーのタカラが「バウリンガル」というネーミングの犬の翻訳機を発 売。 人間と動物のコミュニケーションの実現を目指す「ドリトルプロジェクト」の第1弾 という事らしい。 「バウリンガル」は、犬の鳴き声を解析する携帯機器で、首輪に装着した送信機で犬 の鳴き声を拾う。そして受信機側で鳴き声をデジタル処理で犬の感情に変換する。 鳴き声のトーンから「フラストレーション」「威嚇」「自己表現」「楽しい」「悲し い」「要求」の6種類に分類され、「やったね」「つまんないよー」「たのしいな」 など200種類の感情を受信機の液晶画面に映し出す。 まぁ、犬の言葉の翻訳機という触れ込みだ。 ドリトルプロジェクトとは良く言ったものだね。 動物と話がしたい。私も幼い頃、そう思っていた。ドリトル先生シリーズを読破し、 ますますその思いを強めていった小学生時代。 まさかね、機械で読みとることができる時代になるとは。さすが21世紀。 今年9月に発売以来もうすでに3万台も売れているという。 で、改良を重ねて米国での販売も視野に入れているという。 どんな改良を考えているかというと。 犬の感情をサーバーに送り、そこから携帯電話などにメールを送る「バウリンガル メール(仮称)」や、犬の鳴き声を翻訳したりするロボット「DR-01(仮称)」の研 究開発も行なわれているとか。 現在のバウリンガルでも、かなりの事ができるという。 鳴き声をリアルタイムで変換処理するほか、一定期間の犬の感情を蓄積して「満足 度」などのパラメータを評価する機能もある。 評価結果から「ちょっと寂しいワン、もっと遊んでね」などといった文章も表示され る。 そして犬の感情の履歴を「日記」として記録することもでき、留守番中の犬の様子を あとで確認できるんだって。 そして犬以外の動物の研究もする予定とか。 きゃぁ〜。すごい時代になったもんだ。 そりゃぁ、玩具としては面白いから売れるかもしれないよ。 私の目指す犬との関係とは違う。 翻訳機なんかなくても犬の気持が判るのが飼い主じゃないのか。 ペットとのコミュニケーションに、そんなに自信がないのか。 こうした機器は犬との距離を縮めることなるのか? どうだかねぇ。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.82で、ほんのちょっと「狼爪」について触れました。 ---------------------------- [Miyako]  狼の爪って書いて、ろうそう。  昔、ドーベルマンの子犬を買って来た時、その子犬には狼爪はなかったんだよ。  しばらくして、友人のドーベルマンには狼爪があることに気がついた。  どうやら、所属団体によっては、生まれてすぐに取ってしまうんだ。  JKC(ジャパン・ケンネル・クラブ)仕様の犬だったら、まず、すぐに取ってし  まう。  PD(警察犬)仕様の犬は、そのままだったよ。  でも、盲導犬を目指す犬は、やはり、取ってしまうんだよね。  友人曰く、狼爪を残しておくことは、取り除いてしまった犬よりも、踏ん張りがき  くはず。 ---------------------------- 「狼爪」は「ろうそう」って発音するんだね。知らなかったです。はい。 で、「狼爪」について書いた後、ドーベルマン好きのMiyakoさんの文は続きま す。 ---------------------------- [Miyako]  犬はもともと人が作り上げた動物で、犬の祖先である野生動物をもとに長い年月を  かけていろいろな品種をつくり出してきている。  動物の種による特徴がよく出るのは頭の骨で、頭骨は構成要素骨が多く、形も複雑  なので他と比較すべき多くの情報を含んでいる。  犬の頭骸骨は品種差が大きいでしょう?  同じようにペット化されてるネコと比べても、その種類の多さは比ではないと思  う。  家畜化された犬の最初の主要な役割は狩猟のパートナーだけど、いつも狩に使用さ  れていたわけではないらしい。  今現在の犬との生活から考えると、残飯の整理、子供の遊び相手、侵入者に対する  番犬として役立っていたことと想像できる。  さらに文明が進化して人の社会が高度化してくると人の要求も変化してくる。  牧羊犬、使役犬、狩猟犬など、用途によって人は犬を改良してきた。  数多くの品種がどのような行動性を持っているのか、各品種による行動パターンは  ある程度予測可能とされていて、  バセットハウンド、シュナウザー、ビーグルなどは、トイレのしつけがしにくい。  レトリバーは訓練性能が高く遊び好きで攻撃性が低い。    ドーベルマンは訓練性能も高く、攻撃性もあるので、警察犬などで使われるのだけ  ど、気分にむらがありすぎるのが難点。  工場などの夜の見張りを無人の状態でさせると、サボってしまうヤツが多いらし  い。  人がいれば、見張るフリをするのだけど。  だから、見張り番にはシェパードの方に軍配があがるのだと警察犬訓練所の人が  言っていた。  だけど私はそんなドーベルが好きである。(笑)  もともと犬の繁殖は外観よりもむしろ特定の作業能力や行動などの機能面を重視し  ながら行われたはず。近親交配でこのような有用な特性を維持し品種を形成するの  に役立ってきた。  が、健康上の問題ももちろん増える。奇形も生まれる。  だけど、商業活動上、遺伝性疾病が発生しやすくても、繁殖は繰り返される。  犬の品種にはそれぞれスタンダードと呼ばれる基準があって主に外見の性質を重視  したもの。  ドーベルマンやボクサーは、たれ耳で長い尾を持って生まれるのに、断耳、断尾さ  れてしまう。  断尾は犬のコミュニケーションの手段のひとつを奪うことになるし、断耳はしたが  結果的に耳が立たない哀れなドーベルマンもいる。  これは、もう、人の都合だけでしてる整形美容みたいなもの。最近、特にヨーロッ  パなどでは、断耳、尾をしない傾向がでてきてるらしい。  もしも、また、ドーベルと一緒の生活ができるとしたら、私は耳と尾は自然のまま  にしようと思う。 ----------------------------  4回シリーズの「モンゴロイド5万年の話」の次に、その番外編として、 犬のネオテニーというテーマで、短く語ります。 モンゴロイドが、コーカソイドから枝分かれして、さらにネオテニー化していったの が5万年前。 そして、なんという偶然か、イヌもオオカミからネオテニー化して分かれていったの が5万年前なんです。   ----------------------------  [青嵐透]  水、いいですよね。  人間アミノ酸がなかったら水です。私なら約35リットルの海水。  人間が歩くということは、水が流れているということ。  たくさんの人が出会い別れるということは、水が対流しているということ。  生きているということは、この星の循環を繋いでいるということ。  水のことを考えると、私は少し気持ちよくなります。  うぅん、ますむらひろし幻想感。  先日の朝日新聞の一面に、鮭と森の関係が載っていました。  それによると鮭の遡上する川があると、近くの森も豊かになるとのこと。  森の獣が食べた鮭の残骸が、森を豊かにするそうです。鮭は、森にも食べられてい  るのだなぁ……。  空と海の関係。  森と魚だけではなく、鳥と海も影響したりしているんでしょうね。  成層圏の高みから見れば、空と海の境目なんてないのでしょうから。 ----------------------------  「森の獣が食べた鮭の残骸が、森を豊かにする」という話は、vol.68の投稿欄で Aティガさんが「魚付林(うおつきりん)」の事を詳細にレポートしてくれました。 すべてのあらゆる事象は関わり合っています。 森と魚も、海も空も動物も植物も。それらとヒトもそうですし、人同士もそうです。 それだけじゃなく、地球と月、太陽や彗星や銀河の星々も。もっと遠くの星でさえも です。 すべてが関わりの中のバランスの中で存在しています。(アンバランスも含めて) 「幽玄の森羅万象の散歩道」と、やまねこ通信でうたっています。 幽玄とは、奥深く微妙ではかりしれなくて、味わい深く、上品でやさしい。 美しくたおやかなやさしさ。です。(講談社 日本語大辞典より)  まぁ、そんな気持で配信しているのです。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★「モンゴロイドは、脳が重く優秀である」なんて危険な意見でしょうっ! でもさんざん白人種は優秀であると言い聞かされてきたから、このくらい言ってし まっていいのではないかと思って、思い切って書いてみた。 ネオテニーが発達しているために、童顔で若く見えて老いても好奇心を失わず。と良 いことづくめのようなモンゴロイド。 しかし、意外な所に大変な落とし穴が。 このままではモンゴロイド(特に日本人)が危ない。それは次回。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 ★vol.83の参考文献        日経サイエンス 2002年12月号   「時間とは何か」      「平然と車内で化粧する脳」扶桑社  沢口 俊之+南伸坊    ★次回配信予定は11月10日です。 ★メルマガ相互宣伝です!  バックナンバーを読んでみて、気に入ったら購読すると良いよ。 ★メルマガ宣伝です! 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹     ★彡★彡★彡★彡★彡『蟹屋 山猫屋』★彡★彡★彡★彡★彡 生まれも育ちも北海道育の“みかりん”が、北海道の味覚を全国の方に広めるために 蟹屋『山猫屋』を立ち上げました。 一級品の道産品をお手ごろ価格でネット販売! 読み物としても楽しめるものを目指しているよ。    登録はここ→ http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/kani/ 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹 ↑私、みかりんのもうひとつのメールマガジン。  タラバ、毛ガニを新鮮なものを安価で提供。  お店で漬けたプロの味の新物イクラがお薦めだよ。残りわずかになってきた。  北海道の赤い宝石、イクラ。頬に広がるプチプチ感。  プレゼントにも喜ばれること間違いなし。  さぁ、「蟹、欲しいよぉ、イクラ食べたいよう」のメールをみかりんに書こう。 ★みなさんの中にメールマガジンを発行している方はいませんか?  相互で宣伝しあいませんか?  連絡ください。 それじゃ、今週はここまで。 あなたのお便り待ってるよ。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 猫が魚を狙っている。 真剣な猫は美しい。体中に緊張が張りつめている。 このまま見ていたいけど、追い払う。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○ やまねこ通信E=MC二乗 vol.84  2002年10月30日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: ◆インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ◆メルマガ発行サービス「メルマガ天国」ID:3743 http://melten.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○週刊やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さに はまったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。 それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━