2002/11/30━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.87 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 私のパソコンの隣に、恐竜たちのフィギアがたくさんあります。 これらを見ていると、思いは彼らが闊歩していた頃の地球にいきます。 タイムマシンがなくても、思うだけで時間を旅することができます。 時間だけではありません。 思うだけで、空間も旅することができます。 ガラパゴスのロンサムジョージの所へ、食事中のザトウクジラの所へもいけます。 思うことは脳内の仮想現実かもしれません。 でも、すべては「思う」ことから始まったんです。 時空を越えて旅することができる脳を持った私たち。 夜が長いこの季節。良い旅をしようじゃありませんか。 新しく登録して下さった人、はじめまして。  ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ━■2割と8割の話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ アリは絶えず動き回って働いているイメージがある。 でも本当に真面目に働いているアリは、全体の2割。残り8割のアリは、動いてはい るけれど実際には働いていないんだ。 ふぅん。それじゃさ、勤勉な2割のアリばかりを集めて新しい勤勉集団のアリを作っ てみようよ。これは凄いぞ。 するとね、たちまち8割のアリが怠けアリになってしまって、やっぱり2割と8割の 集団になってしまった。 じゃさ、怠けアリばかりを集めた怠け集団のアリを作ったら……2割が真面目に働き はじめちゃったよ。 だからどのアリ集団でも働き者と怠け者が2対8の比率になっているって事なんだ ね。 これと同じ現象が人間の集団についてもみられることを、イタリアの経済学者の パレート(1848〜1923)が報告しているんだ。 セールスマン社会でいえば、優秀な約2割のセールスマンが全体の8割を売り、残り 2割を8割のセールスマンが売っているというんだ。 そしてアリと同じく、優秀なセールスマンばかりを集めてチームを作っても、同じ様 な比率になるというんだ。 カナダのバンクーバーからウナギの稚魚を空輸した話。 稚魚はとても繊細で、太平洋を7〜8時間かけて飛んでいるうちに、ほとんどが死ん でしまうんだ。 でね、そのウナギの稚魚の中に天敵のナマズを入れるんだ。当然、ナマズは稚魚を食 べるよね。稚魚は食べられまいとして逃げ回る。 結果的に2割の稚魚がナマズの餌になって、8割が生き残るんだ。 ほとんどが死んでいたんだからこれは大成功。 私たちは怠け者などいない方が良いとか、ナマズは稚魚を食べるから天敵などいない 方が良いって考えがちだ。 でも、天敵がいない状態では稚魚は死んでしまう。 天敵の存在が稚魚を生かしているんだ。 怠け者がいるから勤勉家が勤勉家でいられるんだ。 天敵も怠け者も勤勉家もみんな依存しながら存在しているんだ。 しまった! また話がズレたね。 では、ズレついでに、ちょっと変わった視点からの2割8割の話を。 司馬遼太郎の爽やかな傑作「坂の上の雲」。 時代は明治、伊予松山の片田舎にこつ然と現れ、後に日本を救う軍人・秋山兄弟と 俳句に新風を吹き込んだ文人・正岡子規の物語。 その第2巻。 子規が若い頃、松尾芭蕉200年忌があった。 当時も、芭蕉の句といえば、それだけで神聖で、芭蕉の作品に対して、冷水を浴びせ て裁断するような批評は子規以前に誰もしたことがない。 それをやってのけたのが若き日の正岡子規。 「芭蕉の俳句の過半は悪句駄句をもって埋められ、上乗と称すべきは、200余首にす ぎず。千余首にのぼる芭蕉の作品のうち、わずか二割程度が上乗で、あとは駄作だ」 ななななななんてことを! 上記が当時まったくの無名だった子規が雑誌「日本」に書いた論文の主旨。 天才・芭蕉でも名作は2割で、8割は駄作なのか……という驚き。 ━●みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「手話をするゴリラ」 先日、手話をするゴリラのビデオを観る機会があった。 ゴリラは実に細やかな感情を表現する。 ビデオを観ているうちに、気が付いた。このゴリラたちの話は何処かで知って やまねこ通信で話題にしたことがあったぞ。 早速バックナンバーを調べてみた。vol.15のみかりんの叫び「動物と話す」だ。 そこのゴリラの部分を抜き書きしてみるね。 ------------------------------ 手話で人間とコミニケーションできるようになったゴリラがいる。 手話の話せるゴリラは2匹。メスとオス。 メスは陽気で明るく積極的なんだけれど、オスは大きくなるにつれちょっと影のある 性格になっていった。 で、充分大きくなったオスにね、手話で人間が尋ねたんだ。 「お母さんは?」 そしたらそのオスは、手話で話し始めたの。 密猟者に殺された母の事を。 幼い頃、目の前で母を殺されて保護されたゴリラだったんだ。 「辛い、哀しい、泣く。」ゴリラは手話で感情を表現する。 ------------------------------ このゴリラたちのビデオだったんだ。 メスのゴリラの名前は「KOKO」。 KOKOは絵本でネコを知って、ネコを大好きになって欲しいと要求する。 で、仔ネコがが与えられ、KOKOはそれはそれは仔ネコを慈しみ愛し可愛がる。 なんとも微笑ましい映像なんだ。 でも仔ネコは不慮の死を遂げるんだ。 KOKOは、とても悲しむ。その悲しみを手話で表現するんだ。 ある時、白いタオルを「赤」と表現したので 「それは赤? 違うでしょう?」と言うと タオルに付いていたゴミのような小さな赤い糸くずを示し、ニヤニヤする。 ワザとなんだよ。 しかもね、KOKOは好んで韻をふむ言葉を使うんだ。 細やかで繊細な感情。 動物たちはかくも豊かな感情を持っているんだ。 たまたまKOKOたちは、人間に理解しやすい感情を持っていて それを手話で表現できた。 でもね、思うんだよ。 「人間に理解しやすい感情」って所にあんまり意味はないんじゃないかな。 「人間に理解しがたい感情」を持っている生物と、「人間に理解しやすい感情」を 持っている生物に、格差はないよね。 「人間に理解しがたい感情」を持っているから、その命はぞんざいに扱って良い。と いう理由にはならないよね。 それはあまりに人間中心にものを考える奢りだよね。 KOKOのビデオを観て、そんなフウにも思いました。 私は、英語がまったくダメなんです。 で「KOKO」のビデオは全部が完全な英語だったんです。しくしく。 まぁ、映像があるからだいたいの事は判ったんですけど。 それとゴリラたちの手話の部分は、“英語で字幕スーパー”が出るので ゴリラたちが何を言っているのか半分ほど判ったという、なんともお粗末な 語学力ですみません。 vol.84で紹介した犬の翻訳機「バウリンガル」にしても、どうしてヒトはこうも 動物と話したがるんだろうね。 話したからわかり合えるんだろうか。 解ったという新たな誤解になるんじゃないんだろうか。 脳のしくみが違うから、心の在りようや興味が違う。 その“違う”という所を大事にして、それでも解る一瞬の理解。 そこの所を大事にしていけば、充分なんじゃないかと思うんだ。 でもKOKOのビデオは素晴らしかったですよ。 一昔前までは、動物に感情などない!と言い切る識者がいたことを思えば 隔世の感があります。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ あ……。 投書がない。 過去に取り上げた話題からでもいいんだよ。 バックナンバーをチェックして、気軽に投書してねっ。          ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★ウナギの稚魚の話は、興味深いなぁと思うんですよ。 過保護にしてどんどんマイナス要因を排除していくと、快適にはならなくて、 生きる気力もなくなってしまうって事なんだなぁ。 ★正岡子規のすごいところは、批判だけではなくフォローもしている所。 芭蕉の文学がすべて彼独自のもので先人の誰のマネでもなく、芭蕉風の俳句の創始者 というべきだ。 しかもその芭蕉流派を開いたのは、芭蕉の晩年10年前のことだと言っている。 その10年の間がもっとも芭蕉の真骨頂ともいうべき期間であり、とくに神ワザの境地 に入ったのは死の直前の3〜4年だというんだ。 短い期間に200余首もの好句を作りだすほうが奇跡だと、芭蕉を救っているんだ。 また確認します。 「やまねこ通信 E=MC二乗」は、自然科学系のメールマガジンですったら。(笑) どんどん話がズレてすみません。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 ★vol.86の参考文献        北海道新聞(2002年6月11日)ひろさちやのほどほど人生論4       「坂の上の雲」 司馬遼太郎       ビデオ「KOKO」       「ココお話ししよう」どうぶつ社 F・パターソン+E・リンデン                       都守淳夫/訳    ★次回配信予定は12月10日です。 ★メルマガ相互宣伝です! ★メルマガ宣伝です! 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹     ★彡★彡★彡★彡★彡『蟹屋 山猫屋』★彡★彡★彡★彡★彡 生まれも育ちも北海道育の“みかりん”が、北海道の味覚を全国の方に広めるために 蟹屋『山猫屋』を立ち上げました。 一級品の道産品をお手ごろ価格でネット販売! 読み物としても楽しめるものを目指しているよ。    登録はここ→ http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/kani/ 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹 ↑私、みかりんのもうひとつのメールマガジン。  タラバ、毛ガニを新鮮なものを安価で提供。  北海道の赤い宝石、イクラは超お薦めだよ。口に広がる旨いプチプチ感。  さぁ、「蟹、欲しいよぉ、イクラ食べたいよう」のメールをみかりんに書こう。 ★みなさんの中にメールマガジンを発行している方はいませんか?  相互で宣伝しあいませんか?  連絡ください。 それじゃ、今週はここまで。 あなたのお便り待ってるよ。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 押しボタン式の信号機の前で、ボタンを押さずに 「信号が変わらない〜」と ずっと立っていたのは私です。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○ やまねこ通信E=MC二乗 vol.87  2002年11月30日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: ◆インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ◆メルマガ発行サービス「メルマガ天国」ID:3743 http://melten.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○週刊やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さに はまったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。 それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━