2002/12/20━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.89 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 朝。あちこちにオブジェがあった。 冬の風物詩だ。 車の上に雪が積もり、もはや車の原型をとどめているようなものはなく、 なだらかな曲線を持つ暖かなフォルムのオブジェが、 静寂の中のあちこちにあるだけ。 雪は音を吸い込み辺りは静か。ミュージアムの雰囲気。 新しく登録して下さった人、はじめまして。  ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ━■ブラックホールの話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ブッラクホールとは何だろう。 重力があまりに強すぎて、この世でもっとも速いとされる光でさえ(秒速30万キロ) そこから脱出できない天体のこと。 ちょっとブラックホールと人類の歴史を追ってみよう。 ブラックホールの存在に最初に思いをめぐらしたのはイギリスのジョン・ミッチェル (1724-93)は、今から200年以上も前っていうから驚いてしまう。 牧師をしながらの科学者。同時代人のニュートンに強い影響を受けた。 ニュートンの「万有引力の法則」「光の粒子説」をもとにこんなことを考えた。 「星の光が私たちに見えるのは、光の粒子が星から脱出して地球まで届くからだ。 もし星がとても重くなったら、光の粒子が星の引力につかまって脱出できなくなるの ではないかな」 ミッチェルは、極端に密度が高い星は「光らない星」になると考えたんだ。 そして、仮に太陽が「光らない星」になるためにはどのくらい小さくなる必要がある のかを計算したんだ。 結果は半径2.9km。太陽が今の質量を保ったまま、ここまで小さくなれば、外から見 えない星になる。 この計算は、現在のブラックホール理論とほぼ一致しているんだ。 そしてこの時代、まだブラックホールは「空想」の段階だった。 それから150年後、アインシュタインの相対性理論によって、ブラックホールがこの 宇宙のどこかに存在することが明らかになった。 ブラックホールは空想から理論の段階に移るんだ。 1939年、アメリカの物理学者オッペンハイマーは、ブラックホールが重い星の爆発の あとに生まれるという理論を発表。 「星の質量が非常に大きいと、重力崩壊はとどまることを知らず無限に続く。 その巨大重力場の近くでは光の波長は伸び、時間もゆがむ」 密度無限大で、時間が止まった世界が理論的にありうることを証明したんだ。 ブラックホールが宇宙のどこかにあることは判ったものの、実際にはなかなか見つけ られなかった。 だから人々は、かえって想像力をかき立てられて、SF小説や映画にたびたび登場 することになった。 でもついに、ブラックホールが発見される時がくる。 きっかけはX線天文学の進歩。 ブラックホールはそれ自体は見えないんだけれど、何かを飲み込んでいるのなら、そ の時に強いエネルギーが出るはず。見えなくてもX線なら感知できる。でも地上から では大気に吸収されてしまう。 X線観察は、宇宙空間にでることが必要だったんだ。 1960年代から観測ロケットが次々と打ち上げられた。決め手になったのは1970年代に 打ち上げられたX線天文衛星「ウルフ」。 ウルフは、地球から800光年離れたはくちょう座の中に強いX線源を発見したんだ。 「はくちょう座X-1」と名付けられて、精密な観測が行われたんだよ。 はくちょう座X-1は、連星のうちの片方の星が爆発したあとにできたブラックホール で、残された星は、ブラックホールとダンスを続けている。 大きさは直径300km以下。 その後、次々と連星の片方の爆発したのちに出来たと考えられるブラックホールが、 見つかっている。 これまでに見つかったのは、太陽系周辺で合わせて11個。 どれも太陽の数倍から十数倍の大きさだ。 で、最近、こうしたブラックホールとは比べものにならない大きさのブラックホール が見つかってきたんだ。 巨大ブラックホールが見つかった場所は、私たちの天の川銀河の中心部。 天の川銀河の中心部は、いて座の方向にある。 夏の夜、南の空の高くない所に、天の川が横切るように6つの星がひしゃく型に見え る。 この「南斗六星」と天の川が交差するあたりが、天の川銀河の中心方向。 もちろん夜空に目を凝らしても、ブラックホールは見えないよ。(笑) 5年間に及ぶ観測の結果、銀河の中心には、太陽のおよそ300万倍というとてつもな く巨大な質量が収まっていることが判った。 はくちょう座X-1など、これまで見つかっていたブラックホールと比べて、5桁も大 きいブラックホールが私たちの銀河の中心にある。 そんな巨大なブラックホールが、どうやって銀河の中心にできたのか。 また他の銀河にもあるものなのか。 私たちの天の川銀河は、他の銀河と変わらない普通の銀河。 ここに巨大ブラックホールがあるということは、他の銀河にもあってもおかしくな い。 どの銀河の中心にもブラックホールがあり、ブラックホールの大きさが銀河の大きさ に比例していることがわかったのはつい2年ほど前。 銀河の進化にブラックホールが深く関わっていることは明らかになったけれど 具体的な研究はまだ始まったばかりなんだ。 ━●みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「動物の責任、人間の責任」 ちょっと不確かな情報なんだけど、アメリカでクマに襲われて怪我をした人が 「自分が悪かった。クマは悪くない」と言い、裁判所もそれを認めて、クマはそのま ま、怪我をした人が刑務所に入れられた、という例があるというのです。 アメリカでは、野生動物が人間を襲ったときに、動物がいけなかったのか、人間がい けなかったのか、裁判所が裁定するのだそうです。 動物がいけなかった。矯正はもうできない、となれば殺されることになるのだろうけ れど。 だけど人間がいけなかった、となれば、動物はお咎めなしで、人間が刑務所 に行くというんだ。 北海道の知床の岩尾別川にヒグマが現れ、サケをとっているのを見かけて観光客が 集まってしまい、自然センターの人たちが、“熊の方を”追い払うために花火やら 空砲やらを使って活躍せざるをえなかった、というニュースがあった。 観光客が車を止めて見ているだけでなく、車を降りて川に近づいていく人たちも多数 という映像。 この場合、追い払うべきは観光客の方だろうと思うんだけど。 以前サファリパークのライオンの区画内で車を降りて、襲われて亡くなった人がい た。 野生動物をなめちゃいけません。 クマに襲われた経験を持つアメリカ女性のこんな言葉を聞いたことがあります。 「良いクマは、死んだクマよ」 文化の違いなんだろうけれど、前から気になっていたことがある。 子供用の絵本にしてもイラストにしても、欧米文化の動物のイラストは可愛くない。 ウサギにしてもキツネにしてもクマにしてもリスに至るまで、妙にリアルで見方に よっては怖いくらいだ。 で、日本。 クマちゃん、キツネちゃん、ウサちゃん、リスちゃん、みんな可愛い〜の♪ これねー、危険なんじゃないかなぁって思うんだよ。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ [口先天風]  12月17日、ライト兄弟が空を飛んだ日なんですよね。  昔、多くの人達は大空を見上げ、何度となく、何度となく空を飛ぼうと思い、  願い、考えた。  羽を両手につけて飛ぼうとする人達、自転車に羽をつけてひたすら漕いだ人達、  時々テレビでそんな映像が流れるが、そんな滑稽な人達の努力と積重ねがな  ければ、空は飛べなかったと思う。  そんな人達の積重ねの延長にライト兄弟が、夢を実現し数秒間だけど飛んだのが  12月17日だ。  一度空を飛ぶ方法が分かれば、後は早い。目覚しい技術開発が続き  その70年後には人は月に立っている。  毎年、この頃になると思い出す。私の好きな日のひとつである12月17日。 -------------------------------- 驚くべき事は、ライト兄弟が数秒間、宙を飛んでから、わずか70年後に人類は 月に向かって飛んでいるという事実。 この70年の間に、人類は何を得て何を失ったんだろう。 機械文明の進化は加速度をつけている。 現代では5年前の機械は、古すぎてかえのパーツは手に入らない。 思いを叶えるための代償としての環境負荷は、人類自身だけではなく他の生物も巻き 込んで重要問題だ。 それでも、人間の持つ「努力を積み重ねる力」ってのには、驚嘆させられるよ。 私は、よく思うんだよ。 「人間は、いったいどうしたいんだろう」ってね。  ちょっと前までは、宗教や哲学で解釈していたことが、今日的には科学の命題として 科学がその答えを出そうとしている。 宇宙や生命の分野の発展は目覚ましい。 でも科学万能の解釈では間違いをおかす。突きつめると「神の領域」とでも解釈しな いと危険なこともある。 12月18日にイネのゲノム解析が完了したというニュースが流れた。 これは、良いニュースなんだろうか。 ライト兄弟の頃、空はロマンだった。科学はロマンだった。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★投稿が少なかったので、私が多くを語ってしまった。はっはっは! ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 ★vol.86の参考文献        NHKスペシャル宇宙4 未来への暴走 NHK出版 ★次回配信予定は12月30日です。 ★メルマガ宣伝です! 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹     ★彡★彡★彡★彡★彡『蟹屋 山猫屋』★彡★彡★彡★彡★彡 生まれも育ちも北海道育の“みかりん”が、北海道の味覚を全国の方に広めるために 蟹屋『山猫屋』を立ち上げました。 一級品の道産品をお手ごろ価格でネット販売! 読み物としても楽しめるものを目指しているよ。    登録はここ→ http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/kani/ 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹 ↑私、みかりんのもうひとつのメールマガジン。  年末年始用にお得感いっぱいの蟹のセットを企画したよ。大人気だっ!  人の集まるこの季節、蟹でおもてなしを考えているなら、ご予算と人数を  知らせてくれたら、良い蟹のセットを提案するよ。  さぁ「蟹、欲しいよぉ、イクラ食べたいよう」のメールをみかりんに書こう。 ★みなさんの中にメールマガジンを発行している方はいませんか?  相互で宣伝しあいませんか?  連絡ください。 それじゃ、今週はここまで。 あなたのお便り待ってるよ。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 床に突っ伏して、寝てしまう。 殺人現場のようだ。(笑) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○ やまねこ通信E=MC二乗 vol.89  2002年12月20日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: ◆インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ◆メルマガ発行サービス「メルマガ天国」ID:3743 http://melten.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○週刊やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さに はまったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。 それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━