2003/1/10━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.91 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ あけまして おめでとうございます。 みかりんです。 いつの間にか、21世紀も板についてきて、もう2003年を迎えました。 宇宙旅行やロケットでの宇宙空間の滞在が長くなると、新しい年を迎えるという感覚 はどうなるんでしょう。 例えば木星の衛星エウロパに向かうロケットの中での会話。 長期滞在型ロケットだ。 「新年あけましておめでとう」 「何それ」 「新しく年が明けた時の日本のあいさつだよ」 「でもそれって、日本時間だろ? オレは日本から見て地球の裏側のブラジル出身だ よ」 地球を遠く離れた所でのこんな会話は、どうなるんでしょう。 宇宙空間にでたら、太陽と地球の関係を基準とした地球時間や日本時間は意味がなく なります。 エウロパに着いたらエウロパ時間の新年になるんでしょうか。 判らない〜。 時々時間って何だろうって考えます。 んなこと言っていないで、やはり時間の区切りは必要。 取りあえず新しい年の始まり。 あけましておめでとうございます。 新しく登録して下さった人、はじめまして。  ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ━■ヒツジの話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ モンゴル高原に生まれたヒツジの話を。 出産の時期になって出産数が増えてくると、やがて本体の群とは別に、母と子のペア からなる群ができる。 子ヒツジは、その群の中で一日中母ヒツジと一緒にいて乳を吸う。 だけど数の中には子ヒツジの面倒をみない母ヒツジがいる。 この現象を「ゴロンコイ」という。 ゴロンコイの発生率は、双子の出産や初産のケースに多い。 ゴロンコイの対処法が面白いんだ。 まずゴロンコイの母ヒツジの足を3本、ヒモで繋げて逃走できないようにする。 そうした状態で子ヒツジをそばにおいておく。数日間、だだっ広い大地の真ん中で ペアリングされたままにする。 囲いの中にペアリングされることもある。 このように物理的に子ヒツジと一緒にされた母ヒツジは、歌を聞かされる。 「トイク、トイク」という定期的な呼びかけの歌を歌って、母ヒツジをなだめ、 母子の絆を確立するのモンゴルの伝統的な母子関係正常化対策なんだ。 「トイク」という歌の代わりに、ヤギなら「チャイク」と決まっている。 言霊の力が信じられていて、呪術的な側面を持った療法なんだろうね。 ラクダは、馬頭琴を演奏して聞かせると母ラクダは涙を流して子ラクダの面倒を みるようになるという。 聴覚を通じて家畜に働きかけるということは有効なんだね。 トイクの歌は、養子縁組の際にも歌われるんだ。 例えば、子ヒツジに死なれた母ヒツジに、双子で生まれた子ヒツジの片方を組み合わ せたりするときに。 死んでしまった子ヒツジの皮を使った方法が効果的であるにも関わらず、牧民は歌を 歌う。 養母候補がなくて人によって哺乳瓶で育てられると、子ヒツジは人懐こくなってしま う。 子ヒツジに乳母や養母をみつけてあてがってやるのは、人ではなく群につきしたがわ せるためなんだ。 1頭のヒツジを動かすよりも100頭のヒツジを動かす方が簡単だからなんだね。 そうしてちょっと大きくなった子ヒツジは、ある日集められる。 子ヒツジの中から、種オス候補が選ばれるんだ。 選び方は適当。(笑) 体格のよいものが選ばれるんだけど、それは単純に 生まれが早かっただけってこともあるんだから。 めでたく種オス候補となった子ヒツジは額にバターを塗られて、祝福の言葉をかけら れる。 群の繁栄という義務を担わされたんだ。 残った多くの子ヒツジたちは、1匹ずつ抱きかかえられてメスはそのまま解放。 オスは手術者の手に渡される。手術者はナイフで小さな切り込みを入れて、内部を取 り出し、傷口をふさぐ。去勢だ。 嫌がる子ヒツジはバガナとよばれる棒をまたぎ、まじないの言葉をかけられて解放。 ヒツジの睾丸は、牛乳と穀類(キビかコメ)と一緒に煮て、特別料理になる。 満2歳になるとほとんどのメスが母になる。余程のことがない限りメスと種オスは 10年くらいは屠殺されない。 でも去勢オスは。いつ売却されるかまたは自家用に屠殺されないとも限らないんだ。 で、面白いなぁと思うのは、屠殺のために捕まえたとき、うまく逃げ出したヒツジに 対して、牧民は二度と屠殺を試みないというんだ。 そうして栄誉を与えるらしい。 ━▲みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「未来予想図」 およそ100年前の1901年の報知新聞の正月の新聞に、20世紀にはこんなことが起こる という予測が載ったんだ。 ・軍艦が飛ぶ ・電話が東京からロンドンやニューヨークと話ができる ・世界一周が7日間で出来る ・機械で熱風と冷風の両方出せる ・相手の顔が見える電話ができる ・機関車は時速240キロ以上になり、東京-神戸間は2時間半で走る ・天災を一ヶ月前に予測できる ・人間は犬猫と自由に話ができる おおおおおお、当たってるぅ〜。 軍艦が空を飛ぶ。当たった。 ライト兄弟の飛行機の発明は1903年、飛行機っていう言葉もない時代なんだよ。 「天災を一ヶ月前に予測」っていうのは、まだ出来てはいないようだけれど、 2年前の北海道の有珠山(うすざん)噴火は、予測ができて住民は前もって避難でき た。 「犬猫と話ができる」というのは、vol.88で紹介した「バウリンガル」がそれにあた ると思う。 要するに驚くほど的中しているんだ。 これは当時の多く人々が、願ったり想像していたことだったんだろうね。 だから「こうしたい」と夢みたことは、その多くが実現するということなんだ。 だから「予言が当たった」のではなく「みんなが願ったから実現した」んだよ。 それでは現代の人が未来を想像したらどんな予測をするのだろう。 ちょっと考えてみるね。 ・宇宙ステーションや火星移住など、宇宙へ向かうようになる。 ・クローン技術を使って、自分の臓器を培養して病気になったときに備える。 ・海洋牧場ができる。(クジラやマグロの養殖が可能) ・海水を真水に変えて、砂漠を田畑にする これって、あまりに人間本意すぎるかなぁ。 あなたならどんな予想をする? ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 前々号vol.89で「ブラックホールの話」を紹介した。 ブラックホールという現象の仮説が立てられ、想像上のことだったのが発見されてい く歴史の紹介。 そして新たな仮説と謎。 そのブッラクホールに、おふたりの方から質問というか疑問というか、そういう投書 です。 ----------------------- [やまねこ]  ブラックホールはある程度大きな惑星が寿命となった後にできるものと思っていま  した。  寿命が来ると,だんだん縮んで,赤くなっていく。そしてどんどん縮んでいくこと  により質量が増していく。  その結果,周囲より重力が高まるからどんどん回りの質量を吸収していく。  しかし,その吸収には限度があり,溜め込めなくなると爆発する。  それがビックバン。  このビック版に移る仮定については誰も行っていませんが。通説は別のもの。  ところがやまねこ通信ではブラックホールも爆発でできるという。爆発したら,  エントロピーが減少してしまうと思うけれど。どうなんでしょう。 ----------------------- [寓言]   実は私、ブラックホールには人一倍(?)興味がありまして!  この不可思議極まりない存在が大好きです。  宇宙の事を考えると、本当に自分の小ささが実感できて、その宇宙の中にぽっかり  と浮かんでいる地球・月・太陽・その他…  いまだ解明されていない事柄の数々、興味と空想癖(笑)をそそられます。  いつか見たテレビで、「ブラックホールを抜けると違う空間に行く」という仮説を  聞いたことがあります。抜けたホールは「ホワイトホール」と呼ばれていて、  ブラックホールで吸い取った光などが放出されている…みたいな感じでした。  かなり昔の記憶なので曖昧、しかも「ホントかよ…」と半笑いしてしまうような  突飛な仮説だと思うのですが、私はそれにひどく衝撃を受けて、同時に物凄い  ロマンというか…魅力を感じました。  今自分がいる空間(次元)のほかにも空間(次元)がある、それって何だか  モノすごい事ですよね。違う次元だなんて、全然想像もつかないです。  ところで変な方向に話は飛びますが、もし人間がブラックホールに吸い込まれたら  どうなるんでしょうか。やっぱり引力が強すぎて、吸い込まれた先に出ることなん  て不可能…ですかねぇ?  ブラックホールに吸い込まれた光達は一体どこへいくんでしょうか。  これからブラックホールの解明がどんどん進んでいくといいなぁと思います。  願わくば、SFの様なロマン溢れる方向へいって欲しい・・・         ----------------------- 10年くらい前までは天文学者さえ、ブラックホールなんて単なる「宇宙の落とし 穴」くらいにしか思っていなかったんだ。 だけどその後、銀河の中心から次々と巨大ブラックホールが見つかったことで、「奇 妙な存在ではないのではないか」と天文学者たちは皆そう思いはじめたんだよ。 ブラックホールはもしかしたら意外と重要な役割を果たしていているのではないか。 と。 これまで私たちは明るく輝く天体のほうばかりに目を奪われすぎていたのかもしれな い。 実際のところ宇宙は、明るく輝く「銀河」と、暗闇に潜む「ブラックホール」のふた つが、車の両輪のように働いて、成り立っているのかもしれない。 どの銀河の中心にも巨大ブラックホールがあり、さらにブラックホールの大きさが銀 河の大きさと比例しているのがわかったのは、1999年のこと。 銀河の進化にブラックホールが深く関わっているのはあきらかになったけれど具体的 な研究はまだ始まったばかりなんだ。 やまねこさんと寓言さんの疑問に、素人の私には答えることができません。 おふたりの疑問は私の疑問でもあります。 どなたか判りやすく説明してくれたら嬉しいのですけれど。 次の投書は、前回vol.90でちょっと話題にしたアーミッシュについて アメリカ留学中の工原さんの説明です。 ----------------------- [工原]  彼らの生活はホントに興味深いものがありますね。  ペンシルバニア州ピッツバーグの中心地から車で高速道路を走ること1時間程の  トコロにアーミッシュ・カントリーというアーミッシュの人々が暮らす地域があっ  て、私の住んでいる場所からは40分ほどなので、何度か行ったことがあります。  牧場や畑が広がる田舎に普通の民家とアーミッシュの家が点々と混在しているので  すが、どちらの家かはすぐに見分けられます。アーミッシュの家には車がない、  庭に白黒紺の洗濯物が干してある(普通の家庭は乾燥機を使うしアーミッシュの  人々は色モノの服やリネンは使わない)、シンプルな白いカーテンは片側に寄せて  留めてあるだけ。  彼らは手作りの木製家具や手芸品、食品などを売ったり、農業をしたりして生活し  ていて、アーミッシュ・キルトや家具は有名ですね。納屋の片隅や観光客向けの  お土産屋さんで売られている商品はどれもしっかり作られていて実用的なだけでは  なく、デザインも素朴ながら美しいです。キルトも美しい!の一言につきます。  もちろん手作りなのでそれなりの値段はするけど、品質を考えたら安いものです。  映画 "目撃者−刑事ジョン・ブック" でハリソン・フォード演じる刑事がアーミッ  シュの村で生活しますが、まさにあんな世界が広がっています。電気もガスも  使わないシンプル・ライフですよね。厳格なルールに基づいた生活ですが、  現代文明を拒絶するのではなく、わりと柔軟に折り合いをつけているようにも思え  ます。  馬車の後部につけているプラスティックの反射器(っていうんでしょうか?  オレンジ色の光を反射するヤツ)も最初は反対意見が出たけど、自動車との事故を  防ぐために仕方ないということで導入したとか。  自分達では車を所有したり運転したりはしないけど必要なときはバスに乗るし、  動物園でエスカレーターを使っているアーミッシュの団体を見かけたこともありま  す。  外界との落差が極端に広がっている現代では、テクノロジーに憧れるのか厳しい  規律から逃げるのか、アーミッシュの生活を捨てる若者もいるそうです。  彼らはアーミッシュの学校で基本的な教育を受けるだけなので、外の世界ではいい  仕事に就けず、厳しい現実が待っているようです。  彼らの生活はシンプルで美しいなぁと憧れる一方、自分にはとてもできないよね  インターネットのない生活なんて信じられない・・・なんて言ってるあたり矛盾  してますね、我ながらふやけた現代人の見本のようです。 ----------------------- 私はアーミッシュの生活の写真集をみたことがあります。 綺麗です。素朴です。あれが人間本来の生活なんだなぁって思います。 でもね、どうしても「でもね」って思ってしまうんだ。 未来に「破滅」が待っているかもしれないけれど、進歩や変化を否定したらダメなん じゃないかって。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★今年は未(ヒツジ)年です。 で、ヒツジの話を。と思ってヒツジのことを調べた。 でもヒツジはもともと日本にはいない動物。ヒツジにまつわる物語はほとんどない。 わずかに「羊頭狗肉」という言葉があるくらいだ。 でもこれだって中国からの言葉。 それでも人類史の中でヒツジは最古の家畜です。 中東やヨーロッパ圏では、紀元前からヒツジの話満載だ。ヒツジなくして何も語れな い。衣食住が羊で賄えちゃうんだから。 こちら方面からヒツジの話を紹介しようとしても、宗教絡みも相まってか、今ひとつ ピンと来るものがない。 で、モンゴル高原のヒツジの話に落ち着きました。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 ★vol.91の参考文献         アニマ No.219 1990.12  平凡社        週刊朝日百科 動物たちの地球 122          北海道新聞夕刊 2002年11月11日 松尾つよし        NHKスペシャル宇宙4 未来への暴走 NHK出版 ★次回配信予定は1月20日です。 ★メルマガ宣伝です! 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹     ★彡★彡★彡★彡★彡『蟹屋 山猫屋』★彡★彡★彡★彡★彡 生まれも育ちも北海道育の“みかりん”が、北海道の味覚を全国の方に広めるために 蟹屋『山猫屋』を立ち上げました。 一級品の道産品をお手ごろ価格でネット販売! 読み物としても楽しめるものを目指しているよ。    登録はここ→ http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/kani/ 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹 ↑私、みかりんのもうひとつのメールマガジン。  年末にたくさんの注文をありがとう!  実は、今の毛ガニは、えりも産の最高品が出回りはじめたんだ。  えりも産の毛ガニは、特に蟹味噌が最高と言われているんだよ。  さぁ、最高級の毛ガニを食べたいようのメールをみかりんに書こう! ★みなさんの中にメールマガジンを発行している方はいませんか?  相互で宣伝しあいませんか?  連絡ください。 それじゃ、今週はここまで。 あなたのお便り待ってるよ。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 空きっ腹に正月料理を詰め込む。 うっぷ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○ やまねこ通信E=MC二乗 vol.91  2003年1月10日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: ◆インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ◆メルマガ発行サービス「メルマガ天国」ID:3743 http://melten.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○週刊やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さに はまったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。 それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━