2003/1/30━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.93 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 最近、毎日が眠くて仕方がありません。 個人的に早くも春になってしまったんでしょうか。 それとも春になったらもっと眠たくなるのでしょうか。 新しく登録して下さった人、はじめまして。  ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ━■巨大恐竜の話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今から1億5000万年前の中生代、ジュラ紀は大型草食恐竜が大繁栄した時代だ。 「重いトカゲ」の意味を持つバロサウルス。全長約27m、高さ15mを越える。 5階建てビルに相当する生き物は、間違いなくこの地球に存在したんだ。 バロサウルスは竜脚類と呼ばれる仲間で、全長約30mのウルトラサウルスなどと 同じ優美な首長タイプだ。 彼らは、いったいどんな風景の中でどんな暮らしをしていたんだろう。 いったい何を食べてそんなに大きくなったんだろう。 重要なのは、動物は植物を食べるという事なんだ。 すべての動物は、直接間接に植物からエネルギーを得ている。植物が変われば、 すぐに動物に影響がでる。 変化はまず植物から。植物が環境を変え、そして動物の進化を左右していくんだ。 巨大恐竜が登場したのもまず植物がお膳立てをすることから始まったんだ。 つまり、巨大恐竜登場の前に植物の大発展大繁茂時代があったということなんだよ。 植物の上陸は4億2000万年前(古代シルル期)。 上陸したばかりの植物たちは、海岸線や湖沼などの水辺周辺に広がっているだけ。 まず植物たちは平面を埋めていく。平面が飽和状態になると、競うように上に伸びて いく。 さらに高くなると自らの重さに耐えられるように「幹」を発明する。 そして丈夫な幹に支えられた枝は大量の葉をつけ、ますます効率的な光合成が行われ る。という手順で内陸に進出していったんだ。 3億6500万年前(デボン期の後期)に、種子で繁殖する裸子植物が現れた。 これは画期的だった。いままでの水の中を精子が泳ぐ方法から、花粉管によって精子 を卵まで導くやり方。 そして耐寒性や耐乾性に優れた硬い殻の種子の収得。 これによって乾燥した内陸部への進出も可能になったんだ。 高さ1cmほどの最初のシダ類から、1mのシダ類と裸子植物、石炭期の50mのシダ類とい うように、たった5000万年ほどの間に急速な変化を示しているんだ。 こうして植物たちは巨大木生シダ類と裸子植物からなる大森林を作り上げていったん だ。 恐竜が誕生する1億年前に、植物は恐竜が暮らす環境を整えていたんだよ。 そうして今から2億2500万年前(三畳紀中期)、いよいよ恐竜時代の幕開けになる。 最初は小さな恐竜たちだった。 初期の恐竜たちの餌は、巨木の下に生えている下草だった。 彼らの届かないはるか高い所に手つかずの大量の餌があったのに。 恐竜たちは何故巨大化していったんだろうね。 それは巨大森林と無関係だったとは考えにくい。 今のキリンと高木の関係もあっただろう。 中国のジュラ紀中期の針葉樹林の化石を調べてみると50mの高さはあっただろうとい う事が分かってきているし。 だから場合によっては後ろ足2本で立ち上がって背伸びして高い木の葉を食べていた 可能性だってある。 あの長い首を持つ彼らがだよ。 長い首は、下草のシダ類を食べるにも、高いところの針葉樹の葉を食べるのにも適し ているしね。 1億5000万年前頃、巨大竜脚類が全盛時代を迎えるんだ。 もう20m〜50m級の恐竜がうじゃうじゃいたんだ。 それほど大きくなるために食べる植物の量は半端じゃない。 巨大森林は丸抱えで、彼ら肉食・草食恐竜たちを養っていたんだ。 恐竜たちの消化機構の変化は、先に変化した植物に追いつくため必死の努力だ。 まず歯の革命。三畳期の恐竜たちにはなかった歯の生え替わり。 それと前歯のような構造の歯しか持っていなかったから、石を飲み込んでそれを臼の ように使った。 でね、どうもね、恐竜時代の植物っていうのは、現在よりも柔らかかったらしいんだ よ。食べやすかったんだ。 その良い例がジュラ紀の頃からあったソテツ。 ソテツは、現在はトゲがあってとても堅いんだけど、化石に残された葉の様子から考 えると、当時はもっと消化しやすく柔らかかったらしい。 現在残っている裸子植物は、恐竜から身を守るためにその身を堅くしたんじゃない かって思われているんだよ。 堅い植物は、恐竜の頃の記憶を持っているんだね。 ━▲みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 去年(2002年)12月28日。 北海道の道南の町、南茅部町(みなみかやべちょう)で、火災があった。 この火事は南茅部町埋蔵文化財調査団事務所なんだけど、縄文遺跡である垣ノ島遺跡 からの出土品7、8万点が焼失。被害はとても計り知れないんだ。 2000年5月〜8月に同遺跡から出土した漆塗りの副葬品は、放射性炭素の測定で9000年 前のものと判明されていたんだよ。 これは揚子江流域の遺跡の7000年前を抜いたんだ。 その「世界最古」が灰になってしまった。 縄文の人々は不思議な樹液・漆の効能をすでに知っていたんだよ。 木製の櫛や容器、土器にも塗ったし、糸や繊維を固めて、首飾りや腕輪を作るときの 接着剤としても利用したんだ でもね、その技術がどう生み出されたのかは、よく判っていないんだ。 英語で、陶器はチャイナで漆器はジャパンだけど、一般には漆文化も中国が起源で、 そこから日本に伝わったとされていた。 で、そこに南茅部町から出土した漆塗りの出土品。 北海道内で自生する漆では、副葬品のような美しい仕上がりにはならないという指摘 もあったから、漆文化が北海道起源とは言い切れないようだけど、少なくとも縄文時 代に高度な技術が存在していたことははっきりしたんだ。 漆は本州のどこから来たんだろう。 大陸とどんな交流があったんだろう。 解明が待たれていた矢先の悲報だったんだ。 消失した漆製品は、三内丸山遺跡(青森県)と並んで津軽海峡を挟んだ地域が縄文文 化の中心だったことを示す資料でもあった。 去年の年末。慌ただしい時期に国宝級の文化財を失ったに等しい火災があったんだ よ。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ vol.90のみかりんの叫び「古気象学」で、平安時代を舞台にした源氏物語では 主人公・光源氏は4、5月ごろ「わらは病み(マラリア)」をわずらうという事から >マラリア原虫は17度以上の気温が28日以上続かなければ蚊の体内で育たないん >だ。 >だから「平安の春はマラリアの繁殖に好都合なほど温暖だった」とみることができ >る という話を紹介した。それについての投書。 ------------------------ [やまねこ]  わらわやみはマラリアだというのが一応通説だけれどさ。  あるお医者さんがマラリアだといってからその後検証されていない。  それでおかしいと思った方はマラリアのようなものといっています。  症状が違うし,あの時代にマラリアが入ってきたはずがない。 ------------------------ まぁね。昔に行って調べた人はいないわけだから今ある資料から推察するしかない。 マラリアではなかったにせよ、大きな時間の流れの中での気象や気温の変化はあるよ ね。        今は大きな氷河期と氷河期の間の間氷期なんだ。 これに今話題の「温暖化」がどのような位置にあるのか。 数度の気温上昇が人間の経済活動のみの影響なのか。地球史規模でこの温暖化の意味 することを、私たちはヒステリックにならずに客観的に見極めなくちゃと思うんだ よ。 さて、岡山からのレポートです。 昨年、岡山では桃と牡蠣が不作だったそうです。 ------------------------ [口先天風]  桃の生産農家は軒並み収入減でした。  理由は「温暖化」と「雨不足」だそうでした。温暖化で熱さが早くなって来たので  桃の実がなるのが早まり、「お中元」の時期である8月にはほぼ桃のシーズンは終  わっていて、高値で売れる時期に岡山産の桃は終わっていたのでした。  それから雨不足が原因で糖度が若干落ちて、スッパイ桃が増えたそうです。  ですから、シーズンの品不足と甘さ不足で昨年度の岡山産の桃は相場が上がらな  かったようでした。  農業の場合には終日・一日中「シト、シト、シト」と雨が降り続けなければ駄目な  そうで、それくらいの時間と量が農作物には必要だし、大地に水が染み込んで行か  ないそうです。  昨年1年での桃の売上は前年比で70%から60%程度に減少していました。  岡山は桃の名産地であり「白桃」と言えば岡山で、上品で甘い薫りのする桃なのだ  けど、今期は「雨不足」が原因で不作でした。    売上減が顕著なのがもう一つ。  それは牡蠣なのです。昨年の内海での養殖牡蠣は全般に不作でして、広島の牡蠣も  岡山の日生・蟲明・邑久と生育が遅く実が小さいままで、昨年の年末に成熟牡蠣  はありませんでした。  ですから、殻付きの牡蠣を頼んでも「今年は実が小さいから出せない。」と断る漁  師が多かったです。  実際、昨年の牡蠣は小ぶりで生育が遅かったです。  で、売上ベースで見るとやはり前年比で70〜60%程度なのです。  牡蠣の育成が遅くなった原因はと言うと、「温暖化」と「雨不足」なのです。  海水温度の上昇により牡蠣の育成が遅くなったのと、雨不足により丘からミネラル  分豊富な水が海に流れて来なかった。  これ面白いけど、やはり「シト、シト、シト」と終日続く雨が梅雨の時期に毎週降  り続け、森・畑・田の地中深くまで浸透した水がゆっくりと染み出て海に辿り着き  それを栄養分としてプランクトンが発生し、そして牡蠣が育成するのですが、  去年はその大元の雨が不足していたのです。  そして温暖化も原因して、より牡蠣の育成が難しい海に変わって行ったのです。  つまり農村が不作だと、漁村も不作になると言う図式なのです。  地球での生物の営みって結果として循環していて、何処か一つが不調になると必ず  廻り回って全体に影響するようになっているんですね。  何処か一部で秩序を乱すと、その乱れがゆっくりと全体に影響をしていき、  その過程で「乱れ」が元に戻る事もあれば、「乱れ」の波長が延々と廻って行く事  もある。  今回は単年度収穫の農業が不作だったので、単年度養殖の牡蠣も不作だったのです  が。  これは1年周期の長さで見るのではなくて、100年くらいの長さで見ると  「雨不足」「温暖化」って地球上の生物にとってかなりの影響を連鎖的に及ぼして  いるように思えますね。  そう思うと、私達の平凡な日常生活も意外と貴重な営みになって来るのかも知れま  せんね。 ------------------------ これはやまねこ通信vol.68で紹介した「魚付林」(うおつきりん)と同じ現象です ね。「牡蠣付桃」と言ったらよいのか。 農業と沿岸漁業が密接に関係している例です。 現代人の生活の営みは経済ですから、経済が打撃を与えること(気温気象の変動) には敏感に反応します。 農業も漁業も豊かな収穫がある。それは人間が介在することによって可能なんです。 私が理想と思う形は、人間が介在することによって生物相が豊かになること。 無農薬だった頃の昔の水田は、まさにそれでした。 人は、第一次産業を大事にしなくちゃなんないのになぁ。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★植物と動物は、それ単独で進化していった訳じゃないんだね。 植物の変化は動物の進化を促し、動物の戦略は植物の形を変える。 そうして忘れちゃいけないのは、すべての命を支えているのは植物たちだということ なんだ。 それは大昔も今も変わっちゃいない。 すべての生き物は関わりあっているんだ。 それは生物だけではなく、すべての事象は関わりあって響きあっている。 それは時間をも越えて。 ★去年の9月頃、やまねこ読者の工原さんから質問メールを戴きました。 >昨日友達と話していて、どこからそういう話になったのかは覚えていませんが >友達が「大昔は大気中に酸素が多かった。だから恐竜や植物も成長が >早くて巨大だったし、人間も500年くらい生きたらしい」と言ってました。 >いや、恐竜がいた時代に人間はいなかったのでは?とか妖怪じゃないん >だから500年はいくらなんでも長すぎでは?というツッコミはさてお >いて、酸素が多いと成長が早くて大きくなるというのは本当っぽいと思 >いました。半信半疑ですけど。そうだとしたら、酸素の多い環境を作っ >て動物を育てると、大きくなるんでしょうか。 私は、こう応えたのです。 >活発な火山活動のせいで大気中の二酸化炭素濃度を上昇させ、それによって >温室効果による地球の温暖化が起こり、恐竜を大発展させたんだよ。 >だいたい爬虫類ってのは、どんどん大きくなるんだ。 >年を経ってもある程度までしか哺乳類は大きくならないでしょ。 >でも爬虫類は違うんだよ。 >ワニも大きければ大きいほど年齢が上なんだよ。 工原さんは >おおおお!(ポン) ←膝を叩く音 と、納得してくれましたが、私は書きながら「なんだかなぁ」という曖昧な感触でし た。(笑) で、このたび、「巨大恐竜の話」を書くことができました。 恐竜好きとして嬉しいです。 ★前号で「誰でもピカソ」の「アートバトル」復活を望むBBSに 私の呼びかけに応えて書き込みをしてくれた方、ありがとう! 私は、このアートバトルに参戦しようと思って、作品を用意し 応募要項を調べようとこの公式サイトを訪れたら、コーナーを復活を望むBBSがあっ たんです。 コーナーがなかったことに気付いていなかったんですよ。 http://www.tv-tokyo.co.jp/pikaso/ 『たけしの誰でもピカソ』 ↑ここです。 ここの「⇒ 誰ピカといえばアートバトル!復活を望む会・結成! 」という BBSに復活を望む主旨の書き込みをしていただければ嬉しいな。と。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 ★vol.93の参考文献        「生命40億年はるかな旅3」NHK出版        北海道新聞2002年12月31日 ★次回配信予定は2月10日です。 ★メルマガ相互宣伝です!  バックナンバーを読んでみて、気に入ったら購読すると良いよ。 **************************************           「シュウの神霊相談室」    不思議な前世の覚醒を経て、霊能者として目覚めた シュウ。    その シュウの元を訪れる、多くの人や霊や妖怪や天使たち。    前世の因縁や先祖の因縁を解消し、彷徨う霊たちを浄霊します。    妖怪や天使たちとの、あたたかい交流もあります。    我が家を訪れた多くの人々とその出来事を、実話を元に読みやすく    纏めてお届けしています。      登録はこちら→ http://www5b.biglobe.ne.jp/~hikarino/magazine.html ************************************** 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹     ★彡★彡★彡★彡★彡『蟹屋 山猫屋』★彡★彡★彡★彡★彡 生まれも育ちも北海道育の“みかりん”が、北海道の味覚を全国の方に広めるために 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