2003/2/10━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ１万部！ ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 　　　　　　　　やまねこ通信　Ｅ＝ＭＣ二乗 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　vol.94 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 ２月も中盤となれば、北国の冷たい空気のつぶの中にも、暖かいものを感じることが できるようになります。 まだまだ一面の雪景色だけど、動植物の春の準備は着々と進んでいるんです。 たぶん忙しいんだと思います。 新しく登録して下さった人、はじめまして。　 ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ━■地磁気反転の話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 地球の磁場には２つの極がある。 自転軸に沿って巨大な棒磁石を置いたように、このＳ極とＮ極が、地球の北極と南極 とほぼ一致している。 でね、この地球規模の磁気が過去150年で急激に弱くなっているんだよ。 このまま弱くなり続けると、西暦3000年代の早い時期には完全になくなって消えてし まう。 磁気は天然のシールドだ。 太陽風や宇宙線などの大量の粒子が地球に降り注いでいるのを磁気が防いでいてくれ ている。 磁気がなくなったら、これらをまともに浴びてしまう。 人工衛星は大打撃を受けるし、人は放射線照射の危険に脅かされるし、鳥は飛ぶ方向 が判らなくなる……。 想像するしかないけれどたぶんとても大変なことになるんだろう。 でね、このまま磁気がなくってしまうんじゃなくて、この消滅は一時的なもので、こ の現象は変化の中間点じゃないかとも考えられているんだ。 それには訳がある。 かつて北極を指していたコンパスの針が南極を指していたという、「極性反転」と いう現象が何度もあったんじゃないかと考えられているからなんだ。 古代の岩石に閉じこめられた磁性鉱物を調べると、過去５億年に数百回もの極性反転 が起きていたことが判っている。 ただね、反転が起きる時期や持続時間に決まったパターンが見つけられないんだよ。 判っているだけの反転の回数は、約1000件。 最新の反転は、78万年前のこと。 反転するのにかかる最短の所要時間は、1000年。 反転するのにかかる最長の所要時間は、1万年。 反転間の一般的な間隔は、20万年。 反転間の最長時間は、5000万年。 2002年始めに、アフリカ最南端の地中で奇妙な場所が発見されているんだ。 その領域では磁力線が地球の中心を向いていて、周囲とは逆なんだ。 同様な場所は北極付近でも見つかっている。 これら逆向きの磁場を示す場所では、コア本来の動きに逆らう渦ができていて、こう いう領域が広がっているんなら、最近の地球磁場減少に説明がつくんだよ。 こういう反転領域が急増したらという条件でコンピューターシュミレーションをした ら、極性反転が見事に起きたんだ。 で、一番関心があること。 過去の極性反転と大規模な種の絶滅に相関関係が見られないということ。 これは心強い。 「生物的な影響があるとしても、私たちはそれを乗り越えるように進化してきた」 そう言ってくれる地球物理学者もいるんだ。 でも、地球のことはまだ何も判っていないってことを判らなくちゃね。 私たちは、地球のホンの表面で奇跡のように偶然生きている儚い存在なんだ。 ━▲みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「見果てぬ夢」 ２月１日。大きなニュースが新聞紙面を飾った。号外も出た。 スペースシャトル「コロンピア」の事故。驚いたよ。 スペースシャトルの特異な点は、帰還型宇宙船だということ。 それまでの使い捨て型からみるとなんて斬新な！と思わずにはいられない。 地球は大気に包まれていて、私たちは呼吸し、放射線や隕石などから守られ、それは それは大変な恩恵を受けているんだけれど、「宇宙へ行って帰ってくる」という作業 をしようとした時、それをはばむのが、地球を包んでいる大気なんだね。 宇宙へ出るときも帰ってくるときも、大気を通らなくちゃいけない。 　　　　　　　　　 とても上空の薄い大気でも、猛スピードで戻ってくるシャトルには猛烈な摩擦熱がお こるんだ。 宇宙も大変過酷な環境だけど大気を通過するということも、それはそれはとても大変 なことなんだよ。 そういう「過酷」に挑んでいるのが宇宙開発なんだね。 そこに過酷があるから挑む。そこに山があるから登る。というのと同じなんだろう。 宇宙開発を支えているのは技術ではないんだ。未知なるものへ挑戦する精神。たぶん これでしょう。良くも悪くもこの「未知なるものへ挑戦する精神」が人々を動かしこ こまで来た。 これからもそうなんだろう。 すべては「こうなりたい」という思いから。 コロンビア号の名前は、コロンビア川などを発見した１８世紀の探検家ロバート・ク レイの帆船の名。 もっというとクリストファー・コロンブスがその名の由来。 いつの時代も冒険にはリスクがともなう。 次の事故もおこるだろうけど、きっと新しい成果も得られる。 宇宙とは、精神を高揚させるに充分な魅力と、魔力を秘めた所。 見上げればいつもそこにあるけれど、決して身近な所ではない。 人が人である限り「見果てぬ夢」を見続けるんだろうな。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 便所の汲み取りの話です。 感じる所があったので、やまねこ通信に転載をお願いしました。 --------------------------- [口先天風] 　私の住んでいるところも、下水化が進んでいるが個人的には汲み取りの方が良いと 　思っている。 　神戸地震の時、淡路島と神戸とでは被害が違った。 　神戸は電化されていたし、都市ガスだし、水洗トイレだった。 　でも、淡路島は「島」なので井戸は多く残っていたし、ガスはプロパンガスでガス 　ボンベを使用、トイレは汲み取りなので、その後の生活は神戸とは大きく違ってい 　た。 　便利な生活は、何か一つの事故が起きるととても不便になる。 　でも、あるていど自然と接触している生活をしていれば、少々の事故が起きても 　自給自足ができる。 　 --------------------------- あぁ、これは私の主張のひとつである「便利は不便」って事です。 物ごとはアナログであればあるほど、強いんですよ。 それを忘れがちな現代人。 「文字を残す」という事を例にとってみますね。 現代ではパソコンで書いた文字を保存するのには、CD-ROMやフロッピーがあります。 これは非常時には全然読めません。電気がないとダメです。 または情報は劣化しないと言われていても、そのものが物理的に破損したら、一部分 を見ることすらできません。 それにCD-ROMの寿命は５年とか１０年とか言われています。 そういう意味では、紙媒体の方がまだ強いです。 水に濡れたり火災で焼かれたりしたらダメですけれど、電気がこない環境くらいなら 全然平気です。で、濡れたり焼かれたりしても一部分が残る可能性もあります。 そのままだと寿命は長いです。 でも、時間の中でどのくらい耐えられるでしょう。 数百年も耐えられるでしょうか。 それに比べたら「岩や石に彫って書く」は強いです。 電気にも水害火災にも平気です。時間の中でもかなり大丈夫です。 もちろんこの情報社会に石に彫って情報を伝えるなんて、ナンセンスです。 でもそういう感覚を忘れるのはとても怖いことじゃないかと思うんですよ。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★スペースシャトルは、コロンビアの他には、チャレンジャー、ディスカバリー、 エンデバー、アトランティスがあります。 いずれも１８、１９世紀の帆船の名前からきているんです。 コロンビア号は今まで２８回宇宙へ行ってるんです。 これはすごい快挙です。 新しい乗り物は、いつだって悲しい事故と隣り合わせで進歩してきました。 人類の歴史の中で、私が「惜しいっ」って思うのが飛行船の芽が断たれたことです。 ヒンデンブルグ号の大事故で飛行船は開発されなくなりました。 飛行船ってのは面白い方向だと思うんですよ。 エンジン音もなく、巨大な乗り物が宙をすぅぅっっと進んでいくんですよ。 で、歴史は無音で進む飛行船の選択肢をないものとして、飛行機の進化に拍車をかけ ていくんです。 ★「やまねこ通信Ｅ＝ＭＣ二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。 　動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を 　気軽にメールに書いてね。 　過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 ★vol.94の参考文献　 　　　　　　　日経サイエンス2003年2月号 ★次回配信予定は２月２０日です。 ★メルマガ相互宣伝です！ 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