2003/3/10━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 幽玄の森羅万象の散歩道 動物行動学からの性♂♀の話・動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学 興味のおもむくまま“みかりん”の しゃべりんぐ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━目指せ1万部! ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆         やまねこ通信 E=MC二乗                                vol.97 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ こんにちは。 みかりんです。 個体群の1000分の16つまり、1.6%が変わると、優劣が雪崩のように劇的に変化する ものらしいです。 という事はですね、 アメリカの人口、2億5千万人の1.6%の400万人、 日本の人口の1億2500万人の内の200万人、 中国の人口の11億6千万人の内の1860万人。 このくらいの数字なら楽に、戦争拒否が雪崩のように優勢になるはずなんだけど。 英米を含む世界中の7割の人々が、イラク攻撃望んでいない。 近代戦争は、ダメダメです。昔々の竹槍戦争とは訳が違います。 愛の平和とテクノロジーのやまねこ通信です。 (編集後記に、1000分の16か、1000分の6かどっちか分からない話が載っていま  す。) 新しく登録して下さった人、はじめまして。  ここに↓バックナンバーがあるよ。『内容一覧』という所をクリックしてみて。 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ━■サボテンのトゲの話━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 砂漠や乾燥した土地にはどうして、サボテンのようなトゲを生やした植物が多いんだ ろう。 アメリカでもアフリカでも中東でもアジアでも、砂漠の植物にはトゲだらけのものが 多いんだ。 「トゲで身を守ってる」と本には書いてある。 植物をむしゃむしゃと食べてしまう動物が近づかないように。と。 たしかにサバンナに生えているアカシアの木などはトゲだらけだ。 だけどキリンは長くて丈夫な舌でトゲだらけの木の葉を平気で食べてしまう。 トゲは身を守るのに万能ではない。 砂漠じゃなくたって植物は動物に食べられて嬉しいはずもない。だから葉を硬くした り、ワックス(ロウ)を分泌したりして、なんとか食べにくいようにしている。 たぶん砂漠の植物たちはそれができなかったんだろうね。 葉っぱを厚く硬くしたら、砂漠の暑さでは葉っぱが暑くなってどうにもならなかった んだろう。 それじゃ、葉っぱを薄くして表面をかじりにくいワックスで覆ったら? でも気温50度を越える砂漠じゃ、溶けてしまう。 そうなったらトゲしかない。トゲなら熱がこもることもないし、溶けることもない。 で、どうやってトゲを作る? それはね、葉っぱをトゲにしたんだ。 植物にとって葉っぱは大切な栄養器官だ。葉緑素を含んでいて光合成をする。 太陽エネルギーをとらえてデンプンをつくり、それをもとに自分の体を作って、繁殖 のための花を咲かせる。 その葉っぱを全部トゲにしてしまったらどうしよう。 光合成を生産高を確保するためには、葉っぱは平たくて広くして、太陽光を受ける面 積を大きくしなければならない。 トゲは細くとがったものでないとトゲにはならないから、トゲで光合成はできない。 そこでサボテンは茎を葉っぱの代わりにしたんだ。 茎の表面に葉緑素を作ってそこで光合成をすることにした。面積を確保するために茎 とは思えないほど太くなった。 いくつかのサボテンは巨木のようになった。 背の高さを捨てて、丸っこいころりとした姿になったサボテンもある。 高くなるか、丸くなるかはサボテンの「好み」の問題なんだ。 たぶん光合成の効率と表面積の関係とか、成長の速さといった「経済」「経営」の問 題なんだろう。 こうして葉っぱをトゲに変えて光合成は茎にさせるようになったサボテンは、私たち の思う植物とは違う形になったんだ。 ━▲みかりんの叫び━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「不死と再生/クローンなど」 人間は、地球の生命史上例のない最強の猛獣だ。 大規模な環境破壊と殺戮を行う一方で、未来を予見する能力を得、そのため自らの 死を恐れるようになった。 そしてその死の恐怖から逃れるためか「不老不死」に憧れる。 同種間で殺し合う戦争を繰り返す人間は、自らの不死と再生を願う奇妙な動物なん だね。 古代エジプトやインカ帝国のミイラは、死体をミイラ化することで「不死」が得られ ると考えられた。 中国では仙人伝説。仙人は修行や仙薬などで不老不死の体に変化させた人のこと。 古代ギリシアでは、水銀化合物と黄金で、不老不死の薬ができると説いた。 さてさて、大昔の事と言って馬鹿にしてはいけない。 人間は、現代でも形を変えて同じ事をしている。 実現している所では「精子銀行」、「冷凍冬眠」。そしてなんだか怪しげながらも 実現しよとしている(しかかっている?)のがクローン人間。これも死と再生を不 願う古代からの妄執の延長線にあるものなんだろう。 クローンの先駆けとなった羊のドリーが、通常の羊の平均寿命に遠く及ばない若さで 死んだニュースは、先日、大々的に取り上げられたよね。 ドリーの誕生で、「次はクローン人間」という風向きになったんだけど。 でも、ドリーの体細胞に、高齢の羊によく見られる徴候が発見されるし、ドリーが 5歳半という比較的若い年齢で関節炎を患ったことが発表されるし。 で、こういう憶測が飛び交うことになる。 「ドリーは老化の進んだ状態で生まれたのではないか」と。 基になる遺伝子の設計図をすり減らさずにクローン動物を作るのは不可能だというこ とを示している、と主張する遺伝学者も現れた。 現在、牛、豚、マウス、山羊など数百のクローン動物が世界中に存在し、その多くは 丈夫で健康に暮らしているようだ。 だけど、動物のクローニングの失敗例も多いんだよ。 器官の肥大する奇形があって胎内で死亡したり、誕生直後に死んでしまったり。 誕生から数日後に死亡したり、通常の2倍近い大きさで生まれたり。 このことは、まだまだ「クローン人間」の段階ではないってことを示唆してる。 それでも、時々「クローンベイビィー誕生」のニュースは流れるけれど、どれもこれ も信憑性が問われている。 クローン技術のこの先にあるもの。 たとえばデザイナーチャイルドとか。デザイナーチャイルドというのは、 能力や外見を生まれる前に両親が希望して(デザインして)、そうして生まれる子ど ものこと。 これはとても危険なことなんだよ。 多様性の拒否って事にも繋がるんだよ。多様性が拒否されるとひとつの方向の圧に みんなが弱くなるって事なんだ。 人間は進歩してるんだろうか? 全然そうは思えないんだけど。 食べ物でみても、家畜の肉より野生の動物の肉の方が、脂肪分が少ないだろうし。 人間の数を爆発的に増やした農耕の発達をみても、栽培植物が絞られることで飢饉 の影響を受けやすくなり、人口密度が高くなって伝染病のリスクが高くなる。しかも デンプン質に片寄りすぎて栄養失調にもなりやすい。 あれま。話がそれた。(苦笑) 呪術・科学と頼るものは違っても「不死と再生」を願う人間は、昔からあまり変わっ ていないな。 「この方法は今までと違って合理的で画期的。これで人々は楽になる」という方法が あっても、何百年というスパンで見た場合、そこには必ず負の面がある事に気付く。 気付いたときにはもう手遅れだ。すでに昔には戻れない。 呪術が万能ではなかったように、科学も万能ではない。 その事に気付かなくてはならない。 人、傲るなかれ。です。 ━▲やまねこ投書箱━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 前号vol.96で Aティガさん が「光より早いパルス」という話を紹介してくれまし た。 >光よりも速いならその光パルスを信号にして送るとかすると超光速(高速ではなく >て)パソコンとかができるんでしょうかね。 という疑問を提示してくれて、私は苦手な分野なので「誰かもう少し万人に分かるよ うに、この実験の先にみえてくる未来について教えて下さい」とSOSを出しまし た。 すると現役の大学院生が答えてくれました。 ずいぶんかみ砕いて説明してくれたのですけれど、もともとの話題がそもそも難解で す。 苦手な方は、この部分を飛ばして編集後記を読んで下さい。 平和について語っています。 物理の得意な方は、じっくり読んでみて下さい。 -------------------------- [nori]  光速を超えるとの事ですが・・・  見方によってはいろいろな説明が出来るのですが、  むずかしーい理論的な話は抜きとして、  > 見出しは『光よりも速い光パルス』。  > 光のパルスを光速(秒速30万キロ)の300倍以上の速さで特殊なガス(セシ  >ウムガス)の中を通過させるという実験にNEC北米研究所のリジュン=ワン  >研究員らが成功。7月20日発行の科学誌『ネイチャー』で発表した。  という現象が原理としてはどのようにして起こったのかを動画で説明した有名?  なサイトがあります。  http://www.netspace.net.au/~gregegan/APPLETS/20/20.html  英語なので抵抗があるかもしれませんが、簡単に説明します。  ・画面を流れる白い縦線:光速をあらわしています  ・上部のカラフルな波:下から上にかけてスピードが遅くなっています。   実際媒質中を通る光は低周波数のもの程(赤色光寄り)遅くなります。  ・下の白い波:上のカラフルな波の合成波です  すると・・・白い波の中に、重ね合わせで強めあった部分が光速よりも速く動いて  いる様に見えます!このように周波数を少しずつずらした光を使う事によって好き  な早さのパルスを作り出す事ができます。  (画面をクリックするとバックする光が見れます。)  この例に限らず、見かけ上光速を超えている現象は他にもたくさんあります。  たくさんの電球を一列にならべ、少しずつ時間をずらして点灯させる事によって光  が動いている様に見えます。  これも原理上は速度無限大(一斉に点灯・・・)まで速くする事ができますよね。  他にもはさみの交点とか、灯台の光が当たっている場所の動きとか、ブラックホー  ルの中の光とか、カミオカンデを通るミューオン・・・などなど。  原理はいろいろですが。  とにかく光速を超えているのだから、それに情報を載せれば超光速通信には変わり  はないじゃないかと考えてしまいそうですが。  情報の伝わる速さは伝えようと思ってから実際に伝わるまでの速さで決まるわけで  すが、上の例ですと、パルスを伝えるには予め相手のところまで光を伝える必要が  あります。  つまり、パルスを伝えようとして発生させた、上のたくさんの光が相手のところに  たどりつくまで待たなくては、パルスを届ける事はできないのです。  電球の例でも、電球をどのタイミングで点灯させるかの情報を予めゴールにいる電  球まで伝えなければならず、結局そのスピードよりは速くできないと言う訳です。  こんなんでわかるかな?  いずれにしろこの技術では超光速の通信は無理のようです。もっとも、こんな感じ  の研究をしている人たちはまだまだたくさんいるのでどうなるかはわかりませんが (量子テレポーテーション等)。  ま、そんなとこですか。夢がなくてつまんないでしょうか。 -------------------------- noriさん。ありがとうございました。 夢がなくてつまんないどころか、凄いです。 量子テレポーテーションですか。これって和訳すると魔法ですよね。        あっ。すみません。 スーパーカミオカンデは、小柴さんがノーベル賞を受賞してからずいぶんあちこちで やさしく解説されています。それを読むと一瞬分かったような気になるのですけれ ど、その文から1mも離れると、すぐにまた「わかりませんの世界」に入ってまいま す。 私は、ずいぶんいろんなものを「わかりませんの世界」に入れてしまって、そこに 安泰しているんだなぁと思うことしばしです。 ━●編集後記━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ★冒頭の1000分の1.6%の話は、ちょっと心もとないんだ。 2003年3月6日の北海道新聞のコラムの中の 「黒姫山にこもっていたC・W・ニコルさんが、ある生物学者の『個体群の中の1000分 の6が変わると、優劣が雪崩のように劇的に変化する』という記述を読んで、一条の 光を見いだし、山を降りて人々と交わり自然保護を訴えることにしたという、数年 前、ニコル氏が新聞で披露していた話」 というのを読んだのです。 で、ネット検索してみたら、以下のように書いてある文を発見。 「手もとの新聞記事では、かつて、環境破壊の世の中はもう変えられないとあきらめ ていた時、ニコルさんは原子論の研究者から、こう教えられたそうです。『1000分の 16、1.6%が変わると、全体が変わる。』」 たぶんこのふたつは、出典が同じではないかと思うんです。 「生物学者」「原子論の研究者」と「6」「16」というように、なんとなく似てると いうか違うというか。 札幌市内のある女子高校の話なんですけど 「イラク攻撃をやめて」という声明文を生徒会長が中心となってつくり、小泉首相に 送ったという記事が載っていた。 それは全校生徒の総意ではなく、それに賛同しない生徒が数名いたという。 その数名の意見は「そんな事が何になる」「そんな事が戦争を止める力になると思え ない」というもの。 私達、ごく一般の人間には、国際紛争を止めるという力はないかもしれないけれど、 それを口に出す事で、ある時期を境に雪崩のように大きな波となっていくものかもし れないなぁ。だったらいいなぁ。そんな気持で出典のあいまいな話を紹介しました。 ★やまねこ通信では、過去に何度もクローンについて取り上げてきました。 読者の方からクローンについて意見を募って特集号を組んだこともあるよね。 (やまねこ通信 vol.11) たぶん相当胡散臭く思っているんだね、私。 今回は書いていて話がそれ気味だった けど。(笑) 時々、進歩っって何だろう?と思うんだよ。ひょっとしたら進歩などしていないん じゃないかってね。 ★「やまねこ通信E=MC二乗」では、あなたからの投書を受け付けています。  動物・植物・環境・宇宙・時間・哲学このメルマガの趣旨に合うような投書を  気軽にメールに書いてね。  過去に取り上げた記事からの話題も歓迎しています。 ★vol.97の参考文献                「動物の言い分 人の言い分」角川書店  日高 敏隆 ★次回配信予定は3月20日です。 ★メルマガ宣伝です! 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹     ★彡★彡★彡★彡★彡『蟹屋 山猫屋』★彡★彡★彡★彡★彡 生まれも育ちも北海道育の“みかりん”が、北海道の味覚を全国の方に広めるために 蟹屋『山猫屋』を立ち上げました。 一級品の道産品をお手ごろ価格でネット販売! 読み物としても楽しめるものを目指しているよ。    登録はここ→ http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/kani/ 蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹蟹 ↑私、みかりんのもうひとつのメールマガジン。  北の味覚。海産物。蟹おいしいよ〜。  予算はこれくらい。食べる人数はこれくらい。と教えてくれたら、その中で  できる限りのご提案をします!山猫屋の蟹は冷凍物は一切扱っておりません!  さぁ、タラバ食べたいよう、毛ガニ食べたいようのメールをみかりんに書こう! ★みなさんの中にメールマガジンを発行している方はいませんか?  相互で宣伝しあいませんか?  連絡ください。 それじゃ、今週はここまで。 あなたのお便り待ってるよ。 daichi-m@phoenix-c.or.jp じゃね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今日の月はおぼろ月。 にじんで見えても存在感。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ○ やまねこ通信E=MC二乗 vol.97  2003年3月10日発行 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○発行編集者 みかりん daichi-m@phoenix-c.or.jp ○発行システム: ◆インターネットの本屋さん「まぐまぐ」ID:0000052530 http://www.mag2.com/ ◆メルマガ発行サービス「メルマガ天国」ID:3743 http://melten.com/ ○登録/解除 http://www.phoenix-c.or.jp/~daichi-m/yamaneko/yamaneko.htm ○週刊やまねこ通信は、素人みかりんが趣味で発行しているもので、情報の正確さに はまったく自信がありません。引用して弊害が起きても責任は持てないよ。 それから誤字脱字変換ミスは大目に見てね。気を付けるけれどさ。えへ。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━